ここ10年、相模湾のキハダ釣りがフィーバーし続けています。キハダといえば久米島や海外など、遠征で……というのがかつてのイメージでしたが、今や都心から1時間30分で行ける平塚周辺出船の乗合船で当然のようにねらえるターゲットとして定着しています。
マグロと向き合うための準備と実践 相模湾/平塚・庄三郎丸出船
つり人=写真と文
「頼む、掛からないで……」
かつて外洋のトローリング船に乗ったとき、キハダとのファイトで足腰がガタガタになったマッチョな男性の姿を見て、僕はこう思いました。KOされる気しかしない……。
それから大もの釣りは避け続ける人生でしたが、ついにこの日がやってきてしまいました。
相模湾・庄三郎丸でキハダ&カツオ船に乗ってコマセ釣りを初体験したようすをお届けします。
◆編集スタッフ・ササキの初体験シリーズ
・東京湾のマゴチ釣りを初体験! この道40年のマゴチ神に2倍釣るための極意を教わる!!
・餌木タコ(エギタコ)を初体験! 腕の差が出る吸盤バトル
相模湾でキハダが釣れる!?
ここ10年、相模湾のキハダ釣りがフィーバーし続けています。キハダといえば久米島や海外など、遠征で……というのがかつてのイメージでしたが、今や都心から1時間30分で行ける平塚周辺出船の乗合船で当然のようにねらえるターゲットとして定着しています。
相模湾のキハダ。20~30kgがアベレージサイズ
庄三郎丸の店内に飾られていた釣果写真。マッチョな男性だけでなく女性もキハダを手にしている
なぜこうなったのか? 2014年の『月刊つり人』には海洋学者・工藤孝浩さんのレポートが掲載されていました。キハダは全世界の熱帯・亜熱帯に分布し、最大で体長2m、200kgにまで成長します。相模湾への回遊が確認されたのは2007年。従来のキメジ(10kg未満の未成魚)の回遊にくわえ、20~30kg級の個体が回ってきたのです。以来、年々大型化の傾向があり、2014年には40kgオーバーがキャッチされました。このレポートで工藤さんは「今年も、来年もキハダは相模湾に来る」と断言していますが、その通りの結果になっています。
工藤さんの分析によると、キハダが現われるようになった理由はふたつ。ひとつは相模湾の海水温の上昇(データによると100年で1℃上昇している)。もうひとつは相模湾に設置された大型パヤオの存在です。
ということで、僕(編集スタッフ・ササキ)もキハダ釣りにチャレンジすることに。冒頭に書いたように本当は避けたかったんですが、「相模湾のキハダは絶対に体験すべき」という熱い推薦を社内で受けて断れませんでした……。
相模湾でキハダを釣る方法はいくつかあります。ルアー(トップウォーターやジグ)、エビング(メタルジグと組み合わせた小型のワームでねらう)、コマセ釣りなど。今回は最も愛好者が多いコマセにトライすることにしました。カゴの中にオキアミを詰めてコマセとし、刺しエサのオキアミを食べてもらうというスタイルです。ハリや糸のサイズこそ違えど、アジやマダイをねらうコマセ釣りとまったく同じ構造でマグロをねらうわけです。
カゴにオキアミを詰めてコマセとし、ハリにもオキアミを刺してキハダをねらう
相模湾のキハダは基本的にはイワシなどの小魚を主食としていますが、コマセのオキアミをエサだと認識し始めるとオキアミを盛んに捕食するようになります。相模湾のキハダコマセ船が始まるのは8月1日。8月中旬に庄三郎丸に電話をしたところ、「ようやくキハダもカツオもコマセを食べ始めたよ!今がチャンスだと思う!」との熱いお言葉。8月21日、相模湾に突入することになりました。
ちなみに同じ釣り方でカツオも同時にねらうことができます。あとで書きますが、ねらう水深や仕掛けを変えることで釣り分けが可能。カツオを釣ってお土産を確保し、キハダに切り替えて夢を追う……そんな一日が王道のようです。
カツオは3~5kgがアベレージ
ロッドとリール、ラインの選び方
まずは道具の準備です。かれこれ25年釣りをしていますが、「掛からないで」なんて思ったのは一度だけ。今回はそんなことがないよう、準備だけはしっかりしようと思いました。とはいえ、10号以上の糸を使う釣りは人生で初。知識もタックルもなにひとつ持っていない状態でした。買い物に行ったキャスティング東久留米店のスタッフ(副店長・大友さん)とつり人編集部から授かった教えをここにまとめます。
【ロッド】
ロッドはガチガチのムチムチで……なんて思っていたら大間違いでした。店頭でキハダ専用ロッドを触っていただければわかると思いますが、意外と軟らかい!!
キハダ専用ロッドの多くはカーボンだけでなくグラス素材も使われていて、粘り強さとしなやかさを兼ね備えたものになっています(カーボンと比べ、グラスは弾性率が低く曲がりやすく粘り強いとされています)。カーボン配合率が高めのモデルは軽量で比較的リーズナブルというメリットがありますが、キハダにのめり込んだエキスパートの多くは粘り強さを最優先してグラスソリッドロッドを愛用しているそうです。
長さについては、置き竿でねらう場合は2mオーバーも用いられるようですが、今回は主流になっているスタンディング(誘いもファイトも手持ち)に挑戦したかったので、1.7~1.9mの範囲で選ぶことにしました。
ちなみに深海竿や大もの用の泳がせ竿でも代用はできるようですが、キハダ専用ロッドは吸い込みとアタリのとりやすさ重視でティップが繊細になっています。
小さなアタリをとりやすい繊細なティップがキハダ用ロッドの特徴
ロッドエンドにはデカアテを装着する。購入時に付属しているモデルもありますが、なければ別途買いましょう。ファイト時にデカアテを身体にあてると楽にファイトできます。
【リールとライン】
リールは両軸タイプが主流(大型スピニングを使う方もいます)。キハダはファーストランで200m走ることもあるらしく、PE8号が最低でも300m、できれば500m以上巻けるものが必要です。手巻きと電動の選択肢がありますが、今回僕は1秒も迷わず電動をセレクトしました。進化した技術の恩恵を100パーセント受けなければ過去のトラウマには立ち向かえません!
ダイワなら750番以上、シマノなら6000番以上がキハダには合っています。スタンディングで釣るとなると軽さも重要なので、ダイワの750・800番(シーボーグやタナコンシリーズ)、シマノの6000番(フォースマスターとビーストマスター)がひとつの基準になっているそうです。ちなみにシーボーグ800はPE8号が600m、ビーストマスター6000はPE8号が750m巻けます。
この日、キハダねらいの釣り人のリールを観察するとやはり大型電動リールが主流でした。シーボーグ800やビーストマスター6000、フォースマスター9000が多かった印象です
ラインはPE8~10号。迷ったら太め、ということで今回は10号にしました。10mごとに色が変わるタイプのものを電動リール購入時にお店で巻いてもらいました。
仕掛けについて
【テンビンとビシ、接続スナップ】
コマセカゴ(庄三郎丸の場合は80号)はテンビンにセットします。テンビンには遊動と固定式のふたつがあり、それぞれメリットとデメリットがあります。
固定式テンビン+コマセカゴ
遊動式テンビン
遊動式はキハダが走っている最中にコマセカゴやテンビンの抵抗がハリスにかかりにくいメリットがありますが、オマツリしやすくほどきにくいというデメリットがあります。対して固定式はコマセカゴなどの抵抗がハリスにかかりやすいですが、逆に言えばキハダにも抵抗がかかるので魚が弱りやすいと言われています。オマツリがしにくいという点でビギナーには固定式がオススメということなので今回はそちらをセレクトしました。長さ40cmで線径2.3mm以上のものがオススメです。
ミチイトとハリスとの接続はそれぞれトローリングスナップを使用しました。お店では5号、引張強度54kgあたりを基準にモデルを選んだほうがいいとのアドバイスがありました。ちなみに取材日に同船したベテランは7号を使用していました。PE8号であればスナップは5号、PE10号であれば7号という選び方で問題ないようです。
トローリングスナップは5~7号が基準
【ハリスとハリ】
ハリスはフロロカーボン18~22号が庄三郎丸の推奨。カツオの場合は16号でOKとのこと。長さは3m、4.5m、6mの3種類を使い分けるのが基本。食いが渋いときほど長いハリスが有利になる傾向があるようです(エサが自然に漂いやすくなる)。
ハリはキハダ用環付きバリやヒラマサバリ。16号がひとつの基準になっていますが、カツオねらいの場合は12号や14号も使います。キハダ専用のフックはネムリバリが多いですが、それはハリがかかる場所が口内の奥深くになってほしくないから。飲み込まれるとラインブレイクのリスクが高まってしまいます。ネムリバリの場合、キハダが最初にオキアミを食べたときはハリが口の奥に入っていても、ハリ先が内側を向いているがゆえに、アワセの際に口元まで出てきやすいのです(逆に言えばスッポ抜けやすい)。ネムっていないストレートタイプのハリはすっぽ抜けにくい分、飲まれる確率はやや高まってしまいます。オキアミをキレイにつけやすいのはストレートタイプ。「切られる確率を少しでも下げたい」という思いから僕はネムリが入ったタイプを購入しました。
この日はハリ先がネムったタイプ(オキアミマグロ)の16、18号を使用した
自宅で作った「トローリングスナップ+ハリス+ハリ」は仕掛け巻きに巻いておく
ちなみにハリスとハリは別々に買って自分で結ぶほうが号数や長さセレクトなどの自由度が増すのでオススメですが、結びに自信がない人には完成仕掛けがオススメです。釣具店や船宿で購入できます。
【結び】
キハダを釣りに行くにあたって最も苦労したのが結び。20号のフロロカーボンを使うのは人生で初めてなので、なかなかうまく結べませんでした。練習の際に参考にした月刊つり人の記事を紹介するので、こちらをご覧ください。選択肢はひとつではないので、自分に合ったものを見つけていただければと思います。
■キハダねらいの結び
●ミチイト先端にチチワを作る方法
ビミニツイスト
●ハリスとスイベルなどの接続
スリーブ止め
●ハリスとハリの結び方
坂本結び
ミチイトのPE10号の先端はチチワを作ってスナップと接続しました。強化チューブ(PE10号には1mmがマッチ)を通したうえで8の字結びし、ハーフヒッチを30回ほど施して輪を作りました。キャスティング東久留米店でスタッフの大友さんに教わった方法。ハリスとスイベルは漁師結びで、ハリは坂本結び
【その他必要な道具】
ラインブレイカー。根掛かりを切る際にラインを巻き付けて引っ張るための道具で、ハリスを伸ばしたり、結びを締めたりするのに使える。太いフロロカーボンを扱う際に欠かせないアイテムです
ハリをどこかに掛け、写真のようにラインを巻き付けて引っ張ります
電動リールの場合はバッテリーが必要です。軽量で持ち運びしやすくどの向きにおいてもOKなリチウムバッテリーもありますが、僕はリーズナブルな鉛製を購入しました。充電は自宅で行ないます
ロッドホルダーは必需品。移動中や取込みの際などは竿を固定しておきます。この状態のまま釣りをするベテランもおり、キハダが掛かったあとも固定したままファイトするウインチスタイルもあります
クーラーボックスは40ℓ以上のものが望ましい。カツオは楽々入りますし、庄三郎丸の場合はマグロが釣れたら無料でさばいて三枚おろしにしてくれるので簡単に持ち帰り可能
仕掛けの投入~誘い
8月21日、庄三郎丸に向かいました。出船は6時。集合時間は5時だったのですが、4時に現地着。するとすでに大勢の釣り人が鼻息荒く準備をしております。のんびり感はなく、総員臨戦態勢という空気。過去に行ったカワハギやタコ、マゴチの乗合船と比べ、釣り人の目が血走っている感じがしました。この日のキハダ・カツオ船は3隻! 平日なのにすごい熱気です。見渡せばマッチョなメンズが多い気がするし……大丈夫か……僕……。
そして5時には船に乗り、ロッドホルダーを取り付けたりタックルをセットしたりして6時に出船。
いざキハダ!
30分ほど走って向かった先には驚きの光景が広がっていました。洋上のあるゾーンに船、船、船!! この日、最も船団が大きくなったタイミングで数えると100艇は超えていました。
そのすべての船が止まっているのではなく、キハダを追って低速で走り回っているのです。20名乗りの遊漁船が100艇で動き回り、しかもその合間を縫うようにキハダやカツオのナブラや鳥山が発生するのです。そのようすは圧巻!! 相模湾にこんな鉄火場が存在したなんて……もっと早く知りたかった……! ぶつからないように走るだけで相当神経を使いそうなものですが、船長は安全運転は当然として、魚探でキハダの群れを追いながら走るのです。うーん。超人だ!
大船団のプレッシャーなどお構いなくキハダとカツオはナブラを立てる。血沸き肉躍るとはまさにこのこと……!
船上に話を戻します。群れを捜索して走る時間と釣りをする時間が交互に訪れます。船がストップすると船長から合図がありタナの指示が。「やって~。20から30」という感じです。ここでさっそく疑問がわきました。魚探に魚が映っているにしては、指示ダナの範囲が広い気が……。
船長に話を聞くと理由がはっきりわかりました。群れを先回りして船を止めているので、仕掛けを下した時点では真下にキハダがいないことが多々あるのです。そして、仕掛けを嫌って下へ潜って通過することもあるので、タナをピンポイントで指示することは難しいそうです。「20~40」などと幅をもって釣り人に伝えることで全員のタナがバラバラになり、誰かしらはタナが合う可能性が出てくる、というわけでした。
たとえば、同じ船に乗っていたベテランの田中さんは45mなど、常に深めのタナをねらっていました。船長の指示ダナより深い場合がほとんどでしたが、これは上記の船長の意図を理解したうえでの工夫。浅いタナに多いカツオを避け、深いタナで船下を通過するキハダを獲ろうという気持ちの現われでした。ちなみに田中さんは探見丸を付けていたので、釣り座で魚影を確認しながらタナを選んでいました。仕掛け投入時にすでに魚影が映っていれば、その水深ちょうどにカゴがくるように調節することが多いそうです。
ちなみに僕は浅いタナばかりねらうことをこの時点で決心していました。準備はしっかりしたつもりですが、「キハダは荷が重いかも……」と思い始めていたのです。まずはカツオで自信をつけたい……!
釣り開始から間もなく、カツオがアタり始めました。タナがキハダより浅いのが特徴です
カゴが目当ての水深まで落ちたらクラッチを戻しロッドをシャクってコマセをカゴから出します。田中さんは身体全体を使い、長いストロークで3回シャクリを入れていました。コマセはたくさん出れば出るほどいいんだろうか……? 教えて船長!
一昨日も26kgのキハダを釣ったというエキスパート・田中邦彦さんのコマセワーク。長いストロークでしっかりとコマセを出していた
シャクリのあとはアタリを待ちます
「状況によりますね。たとえば今みたいに群れを先回りして船をつめて、ダメならすぐに仕掛けを上げて移動するときは、最初のシャクリで一気にコマセを出したほうがいいです。少しだけ待ってダメなら回収して即移動、となることは多いですから、コマセを残すメリットがない。ただ、9月中旬くらいになって、キハダがオキアミをしっかりと食べ始めると、船下に出たり入ったりするようになります。そうなると比較的長時間仕掛けを海中に入れておいて誘うこともある。こういうときは最初のシャクリですべてのコマセを出さずに、あえて残しておいて後で出し直すといった工夫が有効になってきます」
なるほど……。ちなみにベテランの田中さんはロングタイプで穴が少なめのコマセが出にくいカゴを使っていました。「3回のシャクリでコマセが出る」といった情報を自分で把握していて、船の流し方に応じてシャクリの回数や頻度を調節していたのが印象的でした。
平均3回ほどのシャクリを入れたあとはサオを止めてアタリを待ちます。この日はハイペースで移動することが多かったので、「仕掛け投入⇒シャクリ⇒待ち⇒3分ほどで回収し移動」という流れがほとんどでした。
また、船長に「アタリをたくさん出す人の特徴はありますか?」と聞くと「合図とともに仕掛けをすぐに下せる人」と即答されました。移動中にコマセカゴにコマセを詰めておき、船がスローダウンしたらカゴを持って構えておくことが大事です。これ、朝はできても、アタリが遠く集中力が途切れがちになる終盤はついついおろそかになりがちかと。気をつけます……。
◆田中さんが「仕掛けをすぐ下す」ために行なっていた工夫
船がスローダウンしたら右手でカゴを持ち投入に備えます
仕掛け投入の合図を待っている状態。探見丸を見つつ、クラッチはすでに切っている。スプールは指で止めています
カゴとハリスが水中に入ったら竿を写真のように下げる。ガイドとラインが摩擦する抵抗がかかりにくくなるため仕掛けの落下速度が速くなります。釣る人は細かい工夫を欠かさないことを実感しました
船がスローダウンしたら右手でカゴを持ち投入に備えます
仕掛け投入の合図を待っている状態。探見丸を見つつ、クラッチはすでに切っている。スプールは指で止めています
カゴとハリスが水中に入ったら竿を写真のように下げる。ガイドとラインが摩擦する抵抗がかかりにくくなるため仕掛けの落下速度が速くなります。釣る人は細かい工夫を欠かさないことを実感しました
ちなみに田中さんは刺しエサに3Lサイズのオキアミを使用していました。基本は1尾掛けで、写真のようにハリ先を隠すのが好みだそうです
……と思いきや、終盤はなぜか2匹掛けに!! なぜ?と思い質問すると……。「ハリをすっぽり隠せる大きいオキアミが少なくなってきたからです。僕はできるだけハリを隠したいので、オキアミが小さい分2匹にしています。あと、コマセもなくなってきたので、少しでも目立たせたい」。緻密だ……!
アタリから獲るまでの流れ
いったいどんなアタリが出るのか……? 一昨日も26kgのキハダを釣っているという田中さんに聞きました。
「トン……という前アタリが出るので、絶対にここで強くアワせてください。飲まれる可能性が減って、取り込める確率がグッと上がります」
ドラグは締め気味がいいと船長。必要以上に走られることによるオマツリを防止するためです。糸を思いっきり引っ張ってなんとかドラグが出るくらいが基準。ドラグチェッカーを持っている人は最初は3kg、勝負をかけるときは5kg前後に設定しておきましょう。
この日は「ドラグはキツめにね~」と船長からアナウンスが入った。オマツリを避けるためです
フッキングの直後はファーストランが待っています。キハダの場合50m、100mと走りますが、ここは耐えるのみ。最初の走りが終わり、マグロの頭をこちらに向かせることができればあとは巻き上げていきます。手巻きの場合はポンピングが必須ですが、電動の場合はポンピングなしでも上がってくることもあるそうです。
カツオが掛かった!
取り込みの最終段階はロッドをホルダーに固定し、ハリスをたぐって仲乗りさんに網ですくってもらいます
今夜はタタキだ!
釣ったあとのカツオは血抜きを行なう方が多かったです。ナイフでエラを切り、水を張ったバケツに頭からカツオを入れて血を抜きます
わたくしササキにもカツオが1尾釣れました! 一度もドラグを出されることなく電動リールが巻き上げてくれました。恐るべしパワー!
大船団のなか、気づくとオレンジの回転灯がブン回っている船が! これはキハダが掛かったお知らせのようで、ひとりの釣り人が絶賛ポンピング中でした。「カツオでいいや」とか思っていた僕、回転灯の光を見て釣り人としての善の心がよみがえり、仕掛けをカツオ用からキハダ用に変えました
相模湾キハダの展望
残念ながらこの日、わが船はキハダのヒットなし。庄三郎丸から出船した3隻でキャッチ1尾という渋めの日に当たってしまったそうです。リベンジ決定! ということで、船長に今後の展望を聞きました。
「3日前まではキハダがコマセを食っていたんだけど、今日は小さなイワシに執着して水面でエサを食べていたのが渋かった原因だと思います」とのこと。今後、キハダ船は10月いっぱいまで出船する可能性があるそうです(状況により時期は変わります)。どの時期がアタリが多いかということは読めないそうですが、ひとつ言えるのは「日替わり」だということ。前日はコマセを食べなかったけど当日はコマセにつく、ということが起きるそうです。実際、取材翌日はコマセの調子がよくキハダが複数上がり、10本以上のカツオを釣った人もいたそうです。
帰港時に遭遇した鳥山。10cm未満のイワシが空中からは鳥にねらわれ、水中ではカツオに突き上げられていました。これがこの日苦戦した理由のようです
ナブラとくればルアーの出番なのですが、ルアーとエサのサイズが合わないためか食べてくれません
この日、庄三郎丸で釣りあげられた貴重なキハダ。24kgでした
都会に近い海で待っている圧倒的な非日常。血沸き肉躍る相模湾のキハダゲームは釣れなくても脳汁が出るものでした。人生の目標がひとつ増えた1日でした。
最後にこの日お世話になった平塚の庄三郎丸の受付から出船までの流れを紹介します。
庄三郎丸
http://www.shouzaburo.com/
住所:神奈川県平塚市千石河岸57-17
TEL:0463-21-1012
定休日:火曜日
●相模湾の沖釣りを知り尽くした老舗の船宿。キハダ・カツオ船は6時出船(5時までに集合)、14時前後沖上がり。乗船料は1万1500円(オキアミ代は別途1500円)
庄三郎丸の店内。早く着いたら朝ご飯を食べることもできます
受付時に希望の席を記入する仕組み。この日、カツオ・キハダ船は平日なのに3隻が出船! ルアーの釣り人の席は前と決められています。角の席が人気でした
店内で売っている完成仕掛けとサニービシ
コマセと刺しエサのオキアミは1500円で購入できます
港まではトラックで荷物を運んでもらえます
この日お世話になった望月幸雄船長