瀬田さんはアユ釣り競技会屈指のアスリートである。高い身体能力と勝負強いメンタル。計算された試合運びは盤石の強さを誇る。一方で気さくでアユ釣りが大好きな趣味人でもあり、どんな質問でも明快に答えてくれる。
トーナメントに出場する際のアドバイス
解説◎瀬田匡志
瀬田さんはアユ釣り競技会屈指のアスリートである。高い身体能力と勝負強いメンタル。計算された試合運びは盤石の強さを誇る。一方で気さくでアユ釣りが大好きな趣味人でもあり、どんな質問でも明快に答えてくれる。目次
Q:下見をする時に最も注意して見るべきは何か?
A: 私の場合は瀬が正当に釣れるかです。さらには大、中、小どの底石がよいか、水深は浅場か深場か、チャラ、トロ、段々瀬、瀬落ちと細かくポイントを見ていきます。あとは自分の好きなスタイルの釣りの真逆の釣りの釣果も気にしてはいます。
Q:地区予選で勝ち抜くために最も注意すべきことは何か?
A: 仕上がっていない若アユの時期です。私がダイワ鮎マスターズで初めて全国大会に進出した2009年、地区予選は広島県太田川から参加しました。この時はナイロンを使用し、1歩も動かず泳がせて釣りました。いわゆる群れアユの釣りです。今一番その河川で釣れる釣り方に対応できるかがポイントです。予選決勝のボーダーライン(下のカットライン)尾数が自分の予想と合ってきたら、状況判断が的確になってきたと思ってよいでしょう。
Q:見切りの判断基準は何か?
A: アユが高活性な状況であればアユの反応を重視します。「音」、「前アタリ」というやつです。オトリが野アユに追われた時の反応がなくなれば、追うアユ=釣れる魚がいないと判断します。低活性になると魚は見えるけど追わないケースが多々あります。周りが釣れていなければ見える魚を何とか釣ろうとそこで粘ります。が、結果が出ない場合は見切って動きます。同じ群れでも水深などで変わる場合も多く、小場所や水深の異なるポイントを捜します。
Q:マンツーマン対決で最も注意していることは何か?
A: エリアが短く1時間で全部探りきれるようなエリアなら、すべてのポイントにテンポよくオトリを通します。特に好場所は釣り切って、飛び付くアユは必ず掛けます。広いエリアだと探り切る時間はありません。時間が迫ってきたところで飛び付きが釣れそうな場所は必ずオトリを通し、エリア交代後に相手選手がすぐに釣れない状況をつくっておきます。
昨夏のダイワ鮎マスターズ全国決勝大会。最後の大一番は長良川の雄、加藤達士さんとの一戦だった
Q:限られた時間内にエリアをどのように探っていくのが効果的か?
A: 基本的に前半はセンター旗からなるべく離れ、遠くから探って徐々にセンター旗の近くにきます。このほうがエリア交代の時間にロスがありません。後半戦はセンターまで戻らなくてもよいケースが多く、自由に動けます。基本は対戦相手がサオをだしていなかった場所からスタートし、釣れない場合はよく釣れていた場所にスッと入ります。
Q:テンポよく速く探ったほうがよいシチュエーションは?
A: アユが多い河川はテンポを早くします。さらに高活性な時はもちろん、ポイントが全く分からない時も同様です。
Q:ゆっくり探ったほうがよいシチュエーションは?
A: 低活性でじっくりオトリを見せないと追わない場合や、1尾目のオトリを替えるまではスローテンポに探ります。特に群れアユであれば、群れた魚を釣ってオトリにすると馴染みがよく掛かり出す場合が多々あります。1尾取るまでは時間をかけてもよいです。朝一番の日が昇るまでの時間もゆっくりと探ります
日が高くなるまでは我慢の時間も必要
Q:朝一番の川でねらうべきポイントは?
A: 基本は瀬肩か瀬尻だと思います。川底に変化があり水当たりと水通しがよい場所です。
Q:周りの選手が釣りまくっている時にすべきことは?
A: どの水深でどのような石組で釣れているのか。近くに同じような場所が空いていないかを見ています。同じような場所が見つかると「ここも釣れる♪」と落ち着けます。
Q:アユ釣り上達の秘訣は?
A: 何事も決めつけず、疑問に思ったらやってみることです。たとえば朝一番はドギツイ急流の瀬は必ず空いています。思い切ってそのド芯にオモリを付けたオトリを入れてみるのもよいでしょう。一番は自分が楽しく好きな釣りを続けることだと思います。アユ釣りはあくまで趣味ですからね。
自分の好きな趣味のアユ釣りをいつまでも続けたいとマスターズ優勝時のインタビューでも瀬田さんは語っていた
※この記事は、月刊『つり人』2018年7月号でも読むことができます。
◆関連記事
今さら聞けない要点を解説! オトリ篇、ポイント選び篇、足取りとサオさばき篇