芽吹きの季節に見つけられる美味しい食材。7沢に分け入っての本格的な山菜採りも楽しいが、身近な里や平地で見つかる野草も立派な自然食だ。川魚や野の食材を生かした料理店を営む戸門剛さんに、おすすめの15種を紹介してもらう。
腰を据えるか探りに行くか。田園のマブナ釣りについてご紹介。
写真・文◎高木翔太、編集部
解説◎菊池貞雄、須藤文雄
こちらの記事は月刊『つり人』2021年5月号に掲載したものをオンライン版として公開しています。
「釣りはフナに始まりフナに終わる」と言われるほど、マブナ釣りは始めやすく奥が深いものだ。
そのスタイルは主に2つ。腰を据えて1ヵ所を釣り続けるか、広範囲を探りながら釣り歩いて
いくかである。ツクシがにょきにょき頭を伸ばしタンポポが彩る春の田園地帯へ、ノベザオと
シンプルな仕掛けを用意して出かけてみてはいかが?
須藤 文雄
1955 年発会の東京めだか釣友会・会長。
海水、淡水問わず年間を通じてさまざまな釣りを楽しんでいる。
目次
テンポよく気になるポイントをすべて探ろう
このようなホソにも大型マブナが潜んでいる。障害物周りを中心に広く探っていこう
このようなポイントは魚が溜まりやすい。ムシエサだけだと攻略が難しいのでラセンに練りエサを付けて魚を寄せよう
水路にある枯れた抽水植物(= ヤッカラ)がガサガサと動いていたら大型のマブナがいる証拠
探り釣りの仕掛け。シモリウキと2 本バリで効率よく探っていける
寒い日が続く早春に効果的なエンコ釣りに対して、春本番の乗っ込みでは探り釣りをおすすめしたい。
乗っ込みのマブナ釣りで使用するエサはキヂ(ミミズ)やアカムシ。マブナは動物食性が強いからだ。ムシエサは魚がいればすぐに反応が得られる反面、遠くのポイントから魚を寄せる力に乏しい。そのため釣り方は1ヵ所にとどまって釣る“エンコ釣り”ではなく、足を使ってさまざまなポイントに仕掛けを投入する“探り釣り”が主体となる。
アカムシ。1匹ではアピール力が低いためたくさん付ける。このとき魚につつかれて取られないように1匹1匹しっかりとハリに刺す
キヂ(ミミズ)。水中でも盛んに動き回ることにくわえて独特の匂いも発しているためアピール力が高い
ムシエサを使っていると仕掛け投入後すぐにアタリが出ることがほとんど。投入後30秒ほどしたら次のポイントへ仕掛けを入れよう。落ちてくるエサにはよく反応するので、障害物周りなどのマブナが溜まっていそうなポイントでは30秒ほどしたら一旦仕掛けを上げて再投入すると反応が得られることもある。テンポよく探ってマブナの付き場を捜そう。
探り釣りに適したシモリウキ仕掛け
あちこちのポイントを探る場合に問題になるのが水深に合わせてウキの高さを調整することだ。投入地点が変われば水深も変わる。マブナは底付近でエサを食べる習性がある。このため浮力のある棒ウキ(たとえばヘラウキ)を使った仕掛けでは、ポイントを変えるたびにエサが底に到達するようにウキ下を調整する必要が出てくる。その都度ウキ下を調整していたらテンポが悪くなり広範囲を探れなくなってしまう。この問題を解決するのに「シモリウキ仕掛け」が使われる。
水面のシモリが引き込まれたり水中のシモリが移動するのがアタリ。風の強い日には写真のように一番上に親ウキを付けると安定する
仕掛けは水中でこのような状態になる。底とその少し上の層を同時に探れる仕掛け
シモリというのは沈むという意味。水深を把握しやすいように中通しの玉ウキやナツメウキを5~7㎝ほどの間隔で5個セットする。ウキはホウキグサの芯で止める。ウキの浮力よりも重いオモリをセットして着底まで沈み続けるようにしておく。こうすると水深が深い場合にはすべてのシモリ玉が水面下へ沈んだり、浅いポイントではシモリウキが沈まなかったりと、設定しているウキ下よりも水深が深いのか浅いのかが一目で判断できるため調整がしやすいのだ。
下と上2つのハリで効率よく探る
今回探り釣りの仕掛けを解説してくれた須藤文雄さんは、2本バリ仕掛けを使っていた。底付近の魚をねらうための下バリと、底から少し上の層を探るための上バリがセットされている。
須藤さんの自作テンビンは遊動式になっている。上バリもゴム管で留めているだけなので交換も簡単で早い
下バリは直径1㎜程度のO リングにセットしている。ハリスにチチワを作っておき、ハリをO リングに通した後、チチワに通して引っ張ればハリスをセットすることができる。
「ハリス止メだと穴にハリスを通さないといけませんが、O リングならハリを通せばいい。目が悪くなった私に優しい仕掛けです(笑)」と須藤さん。
上バリをセットしている小型のテンビンは0.3㎜のピアノ線をT 字に折り曲げたもの。ミチイトを通したあとPE ラインでぐるぐると巻き、その上にマニキュアを薄く塗って固めている。いわゆるテンビン効果で仕掛けに上バリが絡まりにくい。
ハリスの長さはどちらも5㎝程度で、須藤さんはこの2本のハリにキヂとアカムシの両方を付けて釣りを開始する。
「日や時間帯によってどちらのエサによく反応するのか違いますので、まずはどちらも付けて釣り始めましょう。反応のよいエサが分かれば上バリも下バリも同じエサで大丈夫です」
使用するハリはフナバリ。大きさは4~6号を使えば問題ない。ハリスは0.8号。
オモリはシモリウキの浮力を上回り、仕掛け全体が沈んでいくように調整する。下バリのエサが底に着かないと意味がないが、重すぎてもエサをくわえた魚が違和感を抱いてしまう。板オモリを多めに巻いておき、シモリウキがゆっくり沈み込むような重さに調整しよう。オモリを巻くのはハリス止メ付近。ここにセットすると下バリはしっかり底を取り、上バリはシモリに引っ張られ水中で立つ。
カーボンザオなら2.7 ~ 3.3m、和竿であれば九尺~丈一(十一尺)程度のマブナザオを用意すればよい
大型のマブナが来ることもあるのでタモは必需品。振り出し式の柄を付けると持ち運びに便利
エンコと探りのいいとこ取り仕掛け!
須藤さんの仕掛けには上バリのすぐ上に「ラセン」と呼ばれるバネを引き伸ばしたようなものがついている。
アユのエサ釣りで使われるラセン。上バリのすぐ上にガン玉を使って固定している。これがあれば練りエサがしっかり保持される
これはアユのエサ釣り仕掛けに見られるパーツで寄せエサを保持しておくのに使われる。本来はここに寄せエサのシラスを付けるが、乗っ込みのマブナ釣りではグルテンを付ける。これによって練りエサで寄せてムシエサで食わせるという釣り方も可能になる。橋の下や水門、樋管など陰になっているポイントに魚が溜まっていることが多いが、ムシエサだけだと隠れている魚を寄せることが難しい。このようなシチュエーションでこの仕掛けが効果を発揮する。ラセンに付けた練りエサが徐々に広がり陰の中から魚が寄って来るのだ。
尺(=30. 3cm)を超えるような大型のマブナが釣れるのが乗っ込みシーズンだ
こうざき天の川公園
地元の方が手をいれ、きれいに整備された公園。管理している方にお話を聞いたところ「ぜひ釣り人に来ていただきたい」とのこと。広場があるため釣りをしない子どもも楽しめる。足場もよくきれいなトイレも設置されており家族連れでも安心だ
千葉県香取郡神崎町にある『こうざき天の川公園』は水路が流れており、釣りを楽しむことができる公園だ。この水路は利根川に接続しているため、マブナやコイなどが入ってきている。草刈りなどの管理は近隣の住民によってなされ、ドロが堆積して水深が浅くなると土砂を掻き出し、魚が生息しやすい環境作りをしているそうだ。駐車場あり、トイレありとファミリーでも利用しやすい公園である。