険谷にして美渓、美渓にして爆釣、爆釣なのに良型、そのうえ開けて明るく毛バリも振りやすい。沢登りの対象としても一級でその沢旅は一生の思い出になる。それが北又谷である。もちろん、ソ行はたやすくない。
山越えで入渓する憧れの険谷
文◎服部文祥、写真◎丸山剛
この記事の内容
◆関連動画
消えた白金滝
険谷にして美渓、美渓にして爆釣、爆釣なのに良型、そのうえ開けて明るく毛バリも振りやすい。沢登りの対象としても一級でその沢旅は一生の思い出になる。それが北又谷である。もちろん、ソ行はたやすくない。
起点は江戸時代から湯治場だった小川温泉
魚止ノ滝下でまず小手調べにサオをだす。滝の右壁を登って滝上に出ると、40cmクラスのイワナが並んでいる。ここも苦しい体勢で、毛バリを打つ。右岸に渡らないと先には進めないので、流心を思い切って跳び越して対岸へ。重い流れに逆らって進むと大釜滝である。泳いで突破してもよい。右岸から巻くこともできる。少し歩くと又右衛門滝。ここで初日を終えるパーティーが多い。
2日目は、又右衛門滝を突破するか、左岸から巻くことからはじまる。ここからしばらくは中ノ廊下と呼ばれ忙しい。泳いだりへつったり跳んだり登ったりと、自分の持つ能力を発揮して出てくる課題をどんどんこなしていく。ミズカミ出合付近で渓が広くなってくると、魚影も見え始める。かつて白金滝下は巨大イワナが群遊していたが、白金滝がなくなって、魚が溜まらなくなった。白金滝から漏斗谷の出合周辺には宿泊地を見つけられる。
三階滝を越える
3日目も厳しいソ行が続く。長持淵を過ぎ、三階滝は右岸から越える。その上のゴルジュには大きな倒木が挟まり、ソ行が容易になった。黒岩谷が出合えば、ようやく釣りがメインになる。猿が滝を丁寧に釣って、左岸から巻き、滝上に出ると、魚影は濃くなる。吹沢谷出合に平地があり、増水には耐えられないが宿泊できる。ここをベースに吹沢谷と本流に分かれて、釣りを楽しむことができる。
4日目、おだやかになった渓を釣りながら遡っていく。宗八郎滝を越え、奥の二俣を過ぎたあたりが魚止滝(だと思う)。ここでサオをしまい、ソ行に専念することになる。源流部の小滝もなかなか手強く、最後のヤブも苦労させられる。その日中に下りるのは体力的に大変で、犬ケ岳の栂海(つがみ)山荘に宿泊し、翌日下山になる。
求められるソ行テクニック
誌面の関係で全体的にごく簡単に書いたが、徒渉技術、泳力、登攀技術、ロープワークなどが身に付いていないとソ行はままならない。とくに小さな岩場や滝をこなす時に、空身で登って荷揚げを多用する。駆け抜けるだけなら3泊で完全ソ行可能だが、釣りを楽しむとなると5泊は欲しい。また大雨が降ると身動きはとれなくなる。白金谷、黒岩谷、吹沢からエスケープが可能で、それらを使い短い行程で北又谷の一部を楽しむ計画も考えられる。
本流は魚影が少なかった
猿が滝は手前から丁寧に釣った
●管轄漁協:なし
※この記事は月刊『つり人』2018年4月号に掲載したものを再編集しています。情報は掲載時のものです。解禁日・入漁料等は管轄漁協にご確認ください
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