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編集部2023年1月11日

【大野ゆうきの湾奥ゼミ】冬のシーバス事情

シーバス-川 シーバス-海 魚種別釣りガイド

なぜいつも釣れるのか? 釣るために何をしているのか?東京湾奥というエリアで、コンスタントに釣果を得るためにすべきこととは……。

 

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なぜいつも釣れるのか? 釣るために何をしているのか?東京湾奥というエリアで、コンスタントに釣果を得るためにすべきこととは……。

 

プロフィール

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大野ゆうき

東京は隅田川のほとり両国生まれのシーバスアングラー。はじめてルアーでシーバスを釣ったのは中学2年時の6月18日。以来、シーバスゲームの魅力に魅かれ、現在では湾奥シーバスのスペシャリストとして活躍

湾奥・冬のシーバス事情

ベイトが豊富で釣りやすいと言われる秋が終わり、冬になる。すると、湾奥のシーバス事情はどのように変わってくるのだろうか。

「やっぱり冬になると湾奥のシーバスは少なくなります。絶対数は確実に減っていきますね。特に産卵に絡むような個体が少なくなる。サイズ的には60cm以上の個体が極端に釣れなくなってくる。もちろん、全部ではないですが、かなり少なくなる印象です」

冬になると産卵に関わるサイズのシーバスたちが、湾奥から抜け、沖の深場へと移動していくと言われるが、まさにそれを体感するのが冬だという。

「秋に比べシーバスが減った印象を強く受けるのは12月の1回目の寒波のあとくらいから。そこから湾奥的な冬を感じるようになります」と大野さん。

冬になるとシーバスが産卵のために、湾奥から移動していく――。

それが冬の湾奥ゲームが難しい理由のひとつ。また、秋にたくさんいたベイトが抜けていくのも冬の特徴だという。

「全体としては12月に入るとそれまでの秋に比べてベイトの数も減っていく。それに伴って、シーバスも湾奥を離れていく個体が多いというのが基本的な冬の流れですね」

産卵によるシーバスの移動。大量にいたベイトの移動。それよって、湾奥エリアにいた多くのシーバスの数が減る。これが冬の湾奥事情というわけだ。フィーバー状態と言える秋と比較した場合、絶対数も減ってくるため「釣れにくくなった」「冬のシーバスは難しい」という印象が強くなる。これによって冬のシーバス釣りは難しいというイメージがすりこまれるのだ。

ただ、近年はそういう状況にも変化が見られるという。

「秋に入ったイワシ、コノシロ、サッパなどがなかなか抜けず、湾奥に残っていることも近年、増えました。昔は、もっと顕著にベイトが抜けていなくなった。もちろん秋の盛期と比べれば断然、少なくなりますが、そういうベイトが湾奥に残るケースが多くなった。この残ったベイトに着いて、湾奥から抜けない残りシーバスも増えた印象。つまり、秋がダラダラと伸びたような状況が、近年は増えましたね」

それと、もうひとつ秋と冬には大きな違いがあり、それが大野ゆうきにとってはポジティブに働くという。

「冬は圧倒的にシーバスアングラーの数が減ります。秋よりも入りたいポイントに入りやすくなる。これは冬の大きなメリットと言えますね」

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冬のシーバスが難しい理由

「冬の釣りが難しく感じるのは、シーバスの絶対数が減るからです。すると簡単には釣れなくなる。その結果、時合が短くなる。それが冬の難しさとなって表れます」

冬は時合が短くなるとは、いったいどういうことだろう。

「まず魚数が減るので、秋に盛っていたような釣りやすいポイントが減少してポイント自体がシビアになります」

つまり、ベイトもシーバスも多い秋なら60点のポイントでも釣れるシーバスがいたものの、その絶対数が減る冬だと、より100点に近いポイントアプローチができないと釣れなくなる。

「そして数が少ないので、時合が短くなる。いい時間帯に釣れる数も減るし、数が少なく反応が得づらいので、時合に気づかないことも多くなる。つまり、時合を生かせない。そこにポイントのシビアさも加わります。これが冬の難しさ。簡単に釣れる魚、簡単なポイントが減るので釣りづらくなる。だだ、言えるのは、シーバス自体が難しくなるわけではないということ。魚の活性は秋同様、高いんです」

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デイゲームとナイトゲーム

冬は潮が澄んでくるのも特徴だ。

「潮が澄むと魚からルアーが見つけやすくなります。その状況が行きすぎると今度は見切られやすい状況にもなります。そんななか、有効になるのは港湾のデイゲームならトップウォーターですね。デイゲームで水が澄んでいれば、下のレンジからでもルアーを見つけやすく、しかも水面で動かすルアーは魚をスレさせにくい。ベイトが浮いていない場合は、樹脂製も金属製も含めたバイブレーション系かな。深いところと広いところを探れるのが理由です。そしてスピードの釣りの有効性ですね。そんな理由で冬の港湾のデイゲームでは上か下かの釣りが効果的になってきます」

対して冬の港湾のナイトではどのような釣りが有効になるのだろう。

「基本、秋と変わらず、いる場所にさえ投げれば何でも釣れる。ただ、潮が澄んでいるのでイワシなどが残っているとナイトゲームでもダート系のルアーが強いケースがある。なので、ミニエントを深い場所で跳ばす釣りは12月〜1月の澄み潮のナイトで高実績ですね」

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冬に釣果を出すのに大切なこと

ベイトの数もシーバス自体の数も減る冬。しかも、産卵に関わる60cmのシーバスが顕著にいなくなる湾奥。当然、釣るのは簡単ではなくなる。しかし、シーバスがまったくいないわけでもなければ、活性自体が下がって釣れないわけではないという。そんな冬に釣るにはどうすればいいのか。

「わずかな変化を見逃さないことですよね。潮の変化、ベイトの動きなど。魚数が少ないから、変化による効果の表れがすごく小さいんです。だから気づきの感度レベルを上げないと気づけない。でも、そこを見過ごすとシーバスの数は少ないし、時合が短いので釣れないんです」

釣果を出すには、マイナスの要素が多くなってしまう冬。そんな冬ではなるべく潮が大きく動くタイミングをねらうのも重要だという。

「やっぱり潮とベイトの存在はキモ。寒波が来てもベイトが残っていて、そこにシーバスが着いていれば結構、釣れちゃったりしますから。なので、体感的な寒さはあまり関係ない。ベイトがいるか、それとも離れてしまっているかが大事ですね。そしてベイトが手前まで回遊する可能性が高くなるという点で、潮まわりが大きい日のほうが有望になります。特に冬は夜の潮がかなり大きく動くようになるので大潮、中潮、小潮の前半などはチャンスが大きい。日を選べるならタイドグラフなどで、潮が大きく動くタイミングをチェックしておくといいでしょうね」

アングラーにとって難しい状況が多い冬ではあるが、考え方によってはプラスになることもある。たとえば、それはアングラーの少なさだ。

 

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「秋ってアングラーが多いので、いい場所を何カ所も移動できないんです。いいポイントはたくさんあるけど、そういう好ポイントには必ず人がいるので、一等地をハシゴして釣ることができないのが秋。なので、簡単に釣れる場所をたくさん回ろうとすると大変。それに比べれば、冬はアングラーの数が圧倒的に少ないので、いいポイントに入りやすく、移動しても、別のいいポイントに入りやすい。そこは冬の大きなメリットです」 

冬に少なくなるのはシーバスやベイトだけでなく、アングラーもしかりなのだ。寒さと落ち込む釣果によって、秋には大勢いた釣り人が激減するという。ポイントを多く知る大野ゆうきにとって、これはメリットとなる。

「ポイントが空いているからこそ、状況と有望な場所が読めているのなら留まるよりも動いたほうが数も獲れるし面白いですよね。入りたい場所に入れるのが冬のメリットです。そう言った意味でも、僕は割と冬は好きです。たとえば22年の1月は、たくさん釣りには行けなかったもののシーバスの数自体は、そこそこ釣りました。釣行回数から見るとかなりいい打率でしたね」

ただし、粘って釣るのがNGというわけではない。ベストな移動先が読めないアングラーの場合は、一カ所に留まり投げ続ける方法もある。

「時合が短いから場所が読めないのに下手に動いてしまうと、そのチャンスすら逃す場合もある。場所が読めないなら留まり、その場所での変化を読み取る感度を上げるのもアリですね」

「時合が短いから場所が読めないのに下手に動いてしまうと、そのチャンスすら逃す場合もある。場所が読めないなら留まり、その場所での変化を読み取る感度を上げるのもアリですね」

そして、冬のシーバス釣りの魅力はまだある。それは川のランカーだ。

「12月の中旬ごろだと、まだ川でベイトを食って残っているシーバスもいる。ベイトがいるから、まだ産卵に向かっていないような個体です。このシーバスがデカい。そんなランカーをワンチャンねらう醍醐味もありますね」

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ルアーサイズを考える

キャッチ数を伸ばしたかったら、冬はルアーを替えていったほうがいいというのが大野ゆうきの考え。ルアーのタイプはもちろん、ルアーのサイズに関しても考える余地があるようだ。

「この時期、ベイトのサイズ自体は一番大きいんです。夏から秋、そして冬となって残ったベイトも成長しているので。ただ、大きいルアーだと釣れず、小さいルアーだと釣れるというケースも出てきます。なぜなら産卵に絡む60cm以上のシーバスの数が減って、アベレージが下がっているからです。大きいルアーにシーバスが反応しても、シーバスのサイズが小さく物理的に掛かりにくいケースも出てくる。そういう場合、ルアーのサイズを落とすとキャッチ数が伸びることもあります」

また、当然ながら大きいルアーと小さいルアーでは動きの質も変わるため、反応に差が出てくることもある。ベイト自体は大きい時期だけに、大きなルアーを使いたくなるのがアングラーの性だが、掛かりやすさなどを考え、あえてルアーサイズを落とすという選択肢も頭に入れておくとよさそうだ。

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2月に入ると魚数が増える

湾奥にいるシーバスの絶対数が減るため、簡単ではなくなる冬だが、実はその期間はさほど長くない。シーバスの数が減ったな……と感じるのが12月の頭だとして、それが続くのは1月、そして2月の中旬ごろまでだ。

「2月の中旬をすぎると、産卵から戻る個体が増えるので、シーバスの数も急激に増えた印象になってきます。また、その釣りづらいと言われる冬の期間も、けっしてシーバス自体の活性が低いわけではない。あくまでも秋に比べ、ラッキーで釣れるような魚が少なくなるだけ。ラッキーがないから、しっかりねらわないと釣れないのが冬。僕にとっては、ポイント的な動きやすさもあるので、時合さえ外さなければ数は真冬のほうが釣れることも少なくない。だから『冬は釣れない』言うことも難しいんですよね(笑)」

つまり、冬だからといって必要以上に苦手意識を持たないことも大事。寒いからと家でモンモンとすごすくらいなら、しっかりと防寒を整え湾奥へと繰り出してみよう。そんな環境下で釣りあげる1尾の感動は格別だから。

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