毎月25日更新!

川も海も湖も、 釣りを始めたいすべての人を応援する総合釣りサイト

生物多様性における「箱」と「コンテンツ」

生物多様性における「箱」と「コンテンツ」

つり人編集部=写真と文

ネット関連の打ち合わせなどで
「箱」と「コンテンツ」という言葉が
しばしば用いられる。
「箱」はシステムや仕組みのことであり
「コンテンツ」は中身のことだ。

「箱」と「コンテンツ」は
どちらかが優れているだけではダメだ。
大切なのは両者のバランスである。

名古屋で生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)
が開催されていることもあり
テレビや新聞、週刊誌が生物多様性を取り上げる
機会が増えている。

それらを見ていて思うのは
「コンテンツ」のことしか議論されていない
ということだ。

地球上のさまざまな生物を「コンテンツ」とした場合
生物を育む自然環境は「箱」である。

しかし、「箱」に関しては
まるで別問題のごとく議論されず
「コンテンツ」だけがクローズアップされる。

たとえば多摩川の外来種問題。
家庭で飼育されていたと思われる
グッピー、エンゼルフィッシュ、アリゲーターガー
などの熱帯魚をはじめ
ブラックバス、ミドリガメといった
外来種が増えているという。

由々しき問題ではあると思うが
そこにいるグッピーやエンゼルフィッシュが問題なのではなく
熱帯の地にしか生息できぬはずの熱帯魚が
越冬できてしまう「箱」、つまり多摩川自体が問題なのである。

多摩川の場合、
羽村取水堰よりも下流には
多摩川本来の水は流れていない。

多摩川中下流域の水の7割は
下水処理水なのである。
下水処理水は温度が高いため
多摩川中下流域では真冬でも
水温が高いのである。

つまり、高水温を好む外来種にとって
居心地のいい「箱」なわけだ。

多摩川はほんの一例だ。

外来種が増えて在来種が減ったのは
外来種が在来種を食べつくしたからではない。
「箱」が在来種よりも外来種の生息に適してしまったからだ。

日本の淡水魚の多くは
水草のあるところで産卵し
水草のあるところを住処にしていたが
コンクリート護岸が
一瞬にして彼らの生息環境を奪ってしまったのだ。

もし、在来種の復活を本当に望むなら
外来種問題だけではなく
河川や湖沼の護岸化、ダム、農薬による汚染などの自然環境問題にも
同時に取り組まねばならない。

しかし、現状は
そのような「箱」は置いておき
「コンテンツ」だけがクローズアップされる。

極端な例を挙げれば
霞ヶ浦などは本来、海とつながっていた汽水湖であったのを
河口堰によって完全に淡水化してしまったのだ。
それだけで、魚介類にどれだけの打撃を与えたことか。

海水魚を飼育していた水槽の中を
完全に真水にしてしまえばどういうことになるのか
火を見るよりも明らかである。

それにもかかわらず
それら在来種がいなくなった要因を
外来種の食害だと騒いでいるのが
いまの生物多様性問題なのだ。

(山根)



2010/10/24

<< 2010/10 >>
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31

最新号 2017年11月号

今月は「秋は湖に浸る。」と題して、湖沼の釣りを特集。涼しい風が吹き始め、空が高くなるこの季節。都会の喧騒を少し離れ、のんびりした時間を過ごせるのが湖沼の釣りだ。ターゲットはワカサギ、ニジマス、ヒメマス、コイ、ハス。ファミリーフィッシングからコアな数釣り・大ものねらいまで、秋の湖沼に出かけたくなるサポート&ガイド。 海ではキングオブ大衆魚、アジの好機到来! 投げ、足もと、カゴのサビキ3釣法や夜磯の大アジねらい、厳選アジ釣り場、釣ったアジを食べ尽くすアジレシピも必見。そのほか、好評隔月連載の「三石忍の沖釣りテンポUP」、「阪本智子の旬魚探見!」、「今が旬!! 日本列島激アツ釣り場」も掲載。
[ 詳細はこちらから ]

オンライン書店Fujisan.co.jp

つり人最新号を、毎号、発売日当日までにお手元にお届けいたします。 (地域や交通事情によって発売日より遅れて届くことがございます。予めご了承ください。) 送料は全国無料。印刷版、デジタル版共に1冊から定期購読がはじめられます。 店頭で売り切れてしまったり、忙しくて買いそびれる、という心配もありません。
定期購読をお申し込みいただくと、デジタル版の最新号からバックナンバーまで約1年分が無料で読めます。

[ 定期購読はこちらから ]

 

読み込み中