バスフィッシング初心者のために、おもなルアーごとにタックルの選び方から使用法まで基本を詳しく解説します。今回はクランクベイトのなかで中くらいの潜行深度をもつミドルダイバークランク編です。
ロッド・リール・ラインの選び方と基本の使用法
写真と文◎編集部
この記事では、バスフィッシング初心者のために、おもなルアーごとにタックルの選び方から使用法まで基本を詳しく解説します。今回はクランクベイトのなかで中くらいの潜行深度をもつミドルダイバークランク編です。
■バズベイト編
■ポッパー編
■シャロークランク編
■スピナーベイト
目次
クランクベイト・ミドルダイバーとは
ずんぐりしたボディーにトレブルフックを備え、リールのハンドルを巻く(クランキング)ことで水中を泳がせ魚を誘うルアーがクランクベイトです。泳がせると、リップに水の抵抗を受けてボディーを震わせながら潜行し、巻くのを止めると浮き上がります。
そのクランクベイトを潜る深さに応じて分類したときに、中間的な潜行深度をもつものをミドルダイバー(ミッドランナーやミドルクランクとも)と呼ぶことがあります。具体的な基準はありませんが、便宜上この記事では最大潜行深度(1キャストの中で到達できる最大深度)が1.5~3mの範囲ものをミドルクランクとして解説します。それより浅いものはシャロークランク、それ以上のものはディープクランクです。
性格の異なるクランクベイトを使い分けることで釣果を伸ばせる
リールを巻くことで水中を泳がせて誘うルアー=巻き物はいくつかの種類がありますが、クランクベイトの大きなメリットは、それぞれの製品が備える潜行深度の水深を効率よく引いてこられることです。スピナーベイトなどの沈む巻き物ルアーは、ルアーの重さとリトリーブスピードによって泳ぐ水深が変わってきますから、ねらった水深を通すのに多少神経を使います。クランクベイトはそういった難しさがなくオートマチックにねらいの水深を探れるので、広範囲をスピーディーにチェックしていくのを得意としています。
最大深度が1.5~3mのミドルクランクは、護岸されたオカッパリフィールドやダム湖などでも扱いやすく、日本で最も活躍する機会の多いクランクベイトと言えるでしょう。
クランクベイト・ミドルダイバーに適したロッドは?
ミドルダイバータイプのクランクベイトは、シャロークランクと同様ベイトロッドで扱うのがいいでしょう。理由はいくつかあり、ルアーのなかでも比較的巻き抵抗が大きいジャンルのルアーのため、巻き上げパワーの大きいベイトタックルが向いているというのがひとつ。そして、広範囲を素早く探っていくのが得意というクランクベイトのメリットを生かすためにも手返しのいいベイトタックルが有利になります。
ロッドのパワーは扱うクランクベイトの重さ(サイズ)によって選びます。多くのフィールドで出番の多い10g(3/8オンス)前後のクランクベイトには柔らかめのML(ミディアムライト)パワーのものがいいでしょう。クランクベイト用のロッドは、ルアーのサイズに対して少し柔らかめのパワーのものを使ったほうが、バイトからランディングまでのミスを減らすことができます。
長さは6~7ftの範囲で扱いやすいものを選べばOKですが、リザーバーのオーバーハング際をねらうときなど、正確なキャスト精度が求められるときは短めがいいでしょう。
一方、6ft台後半~7ftという長めのロッドのメリットも大きいです。ロングロッドのメリットは、その長さを活かして泳ぐ水深のコントロールがしやすいということ。クランクベイトでサーチしていると、地形の変化でルアーがボトムにタッチすることがあります。クランクベイトをボトムにタッチさせながら巻くのは「ボトムノック」と言い、魚を誘うテクニックでもあるのですが、あまり激しくボトムにあたるようだと根掛かりの原因になったり底のゴミを拾ってしまったりして釣れません。その場合は、ロッドティップを上げて巻くことで潜行深度を浅くすることができ、ボトムの起伏に応じてちょうどよい水深を巻きやすいです。
また、クランクベイト用ロッドは、素材に「低弾性カーボン」や「グラス」などが使われているロッドがおすすめ。これらの素材は、ロッドの反発スピードを抑えめに作ることができ、クランクを深く食い込ませたり、ファイト中のバラシを少なくしてくれる効果があります。
★グラスロッドと低弾性カーボンロッドのそれぞれの特徴とメリットは「シャロークランク編」で解説しています。
クランクベイト・ミドルダイバーに適したリールは?
ベイトリールには、ハンドル一回転でスプールが何回転するかを表わす「ギア比」を、モデルごとに選べるラインナップが展開されています。ギア比が5代のもの(スペック表記で「5.5:1」など)をローギア、6代のもの(6.2:1など)はノーマルギア、7以上のもの(7.2:1など)をハイギアと呼ぶことが多いです。
クランクベイト用のリールは、巻き上げスピードが遅い代わりに少ない力で楽に巻けるローギアモデルを合わせる人が多いです。抵抗の大きなクランクベイトを巻きやすいというメリットのほかにも、ボトムノックで障害物にタッチしてからクリアするまでに、勢いあまって巻きすぎてしまうことが少なくバイトのチャンスが生まれやすいということも期待できます。
一方で、ハイギアリールにもメリットがあります。それはローギアリールには不可能な高速リトリーブができること(ローギアリールでいくら速く巻こうとしても限界がありますが、ハイギアリールでゆっくり巻くことは可能)。
クランクベイトの使い方はボトムノックだけでなく、障害物のない中層を一定のスピードで巻いてくるという方法もあります。この中層リトリーブでは、バスに捕食のスイッチを入れたり、警戒心を抱かせる間もなく口を使わせたりするねらいで、クランクを速巻きで使うケースが多いです。そんな状況でハイギアリールが活躍してくれます。
ただし、クランクベイトの釣りではフックがバスの口の際に薄くかかっている状態でやり取りすることもよくあります。その際にハイギアリールで強引に巻こうとしてしまうと、口が切れてバラしてしまうリスクが大きいので注意が必要です。
★その他、ローギアとハイギアのメリットは「シャロークランク編」にて。
クランクベイト・ミドルダイバーに適したラインは? ナイロン、フロロ、それともPE?
ミドルクランクに合わせるラインとしてはフロロカーボンラインが最も人気です。障害物に接触しても破断しにくい耐摩耗性、バイト時に深く食い込ませやすいクッション性をバランスよく備えている素材です。
ナイロンラインも扱いやすいです。フロロカーボンほど耐摩耗性は強くないと言われていますが、クッション性に優れているため根強い人気があります。また、フロロカーボンラインより比重が小さいので、クランクベイトの泳層が浮き気味になる傾向があります。
太さはどちらも10Lb~16Lbくらいまでが適しています。ラインの太さによって水の抵抗が違ってくるので、同じクランクベイトでも細いラインを使うとより深くまで潜らせることができます。クランクベイトの使い手で長年米国トーナメントで活躍していた清水盛三さんは、同じクランクベイトに同じロッドとリールの組み合わせで、ラインの太さを変えただけのタックルを複数本準備して、ねらう水深に応じてタックルをスイッチするという方法を実践していました。
私たち一般のアングラーは同じタックルを複数用意するというのはあまり現実的ではないですが、たとえば浅い河川や沼系のフィールドに行くときは太めを、リザーバーなど水深の深いフィールドには細めを巻いていけば釣りの幅が広がるでしょう。
PEラインは「ドラッギング」という特殊な釣り方で使われます。ドラッギングとは、リールを巻くのではなくボートを一定のスピードで進めることでルアーを泳がせるテクニックです。キャストするより何倍も長い距離を泳がせることができるので、クランクベイトをスペック値以上の深い水深まで潜らせることができます。この場合、同じ強度ならフロロやナイロンより圧倒的に細いPEラインを使うことでより効果的な使い方ができるというわけです。
クランクベイト・ミドルダイバーの使い方
ミドルクランクも、その他の巻き物と同様に、キャストして一定のスピードで巻いてくるのが基本です。クランクベイトはモデルによって潜行深度の違うものがさまざまラインナップされていますから、ボトムまでの水深やその日バスが活動している水深に合わせて使うクランクベイトを選ぶといいでしょう。
その際、手持ちのクランクを自分のタックルで扱った時にどのくらい潜るのか(ラインの太さなどによってスペック上の数値と差異が出てくるため)を把握しておくと、ルアーセレクトに役立つだけでなく、「ハンドルを何回転させたときにボトムにタッチした」という情報からそのエリアの地形をイメージすることもできるようになります。
クランクベイトをボトムにタッチさせながら巻く方法が「ボトムノック」です。土煙でバスの興味をひいたり、石などにぶつかったときの挙動でバスに口を使わせたりすることができる使い方です。ボトムノックが有効なエリアは、ゴリゴリと硬い感触が伝わってくるハードボトム。泥やゴミが堆積していないハードボトムは、水通しがいいエリアである証左。酸素がよく供給され、バスのエサも集まってくる好ポイントです。
ボトムノックの際に注意したいのが根掛かり。クランクベイトはリップがある分、根掛かりを回避しやすいルアーでもありますが、底を釣っているとスタックはどうしても発生してしまうもの。そのときに心がけたいのは「慌てて引っ張らない」こと。根掛かりの初期はリップが障害物に突っかかっているだけの場合が多く、このときに慌てて引っ張ってしまうとフックまで刺さってしまい、回収が難しくなってしまいます。「ん?」と思ったらまず巻くのを止め、それが魚ではないなら糸を緩めます。糸が緩んだ状態で軽くゆすってあげれば、自らの浮力で障害物から浮いてくることが多いです。
根掛かり回収機は必携アイテム
あまり激しくボトムノックさせてしまうと、そのぶん根掛かりのリスクが大きくなってしまうので、1回のキャストの中で2~3回ボトムにタッチするくらいの巻き方をするといいでしょう。
クランクベイトにはボトムにタッチさせずに何もない中層を一定のスピードで巻いてくる使い方もあります。バスのなかでも、障害物に依存せず沖の小魚を追いかけて回遊している個体はコンディションがいいビッグサイズである傾向があります。こういった個体をねらっていくにも有効な釣り方です。この釣り方は、クランクベイトを駆使してBasserAllstarClassicを優勝した北大祐さんや吉田幸二さんといったアングラーが得意としているものです。
クランクベイトが真っ直ぐ泳がないときは「トゥルーチューン」を行なって軌道を矯正してあげることが大事。プライヤーなどを使い、アングラーから見て右に進んでしまうときはラインアイを左に、左に進んでしまうときは右にひねる。少しずつ調節するのがコツ
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ミドルダイバーのクランクベイトはオールシーズン活躍してくれるルアーです。春(2月下旬~4月ごろ)は産卵を控えたビッグバスがシャローに上がってくる季節。その魚がシャローに上がりきる前には、ディープからシャローへの通り道(シャローフラットの両サイドなど)で一時的に待機しているタイミングがあり、そんな魚をねらうのに活躍してくれます。
夏場は産卵の疲れや高水温の影響で、ゆっくり落ちてくるものにしか反応しない状態になるバスが増えますが、いち早く回復したバスをねらうときにクランクベイトの出番があります。
秋はクランクベイトが特に有効な季節。夏場の高水温から解放され、バスが浅場から深い場所までどこにでもいられるので、クランクベイトを効率よく巻いていろいろな場所をサーチしていく釣り方が効果的です。またこの時期は小魚を捕食しているケースが多く、横方向の動きで誘えるクランクベイトに反応がよくなります。
水温の低い真冬はさすがに反応が乏しくなる季節ですが、それはどのルアーでも同じ。深い場所のないフィールドではミドルクランクの射程圏内で越冬するバスも多く、水温が暖まりやすいハードボトムのエリアで、ゆっくりボトムノックさせていると特大サイズが反応することがあります。
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