ガイドとスーパーロコが実践する、冬の一発大ものパターン 第3回
ガイドとスーパーロコが実践する、冬の一発大ものパターン 第3回
竹内三城=文
解説=竹内三城(たけうち・みつしろ)スモラバの名品「ケムケム」を手がけたルアーデザイナーで、「NOIKE」ブランドでフックやソフトベイトをプロデュースしている。また、大阪府のプロショップ「ナイル京橋店」の店長として多忙な日々を送る。JB TOP50に発足時から2014年まで参戦していた経歴も持ち、主な戦績は2005年亀山湖戦優勝など。2016年は「淀川大明解MAP」も監修。
この記事は2013年2月号「宝クジ的ジャンボバスパターン」に掲載されたものを再編集しています。
琵琶湖から注ぐ、関西最大級の大河
関西最大級の河川「淀川」はバスフィールドである宇治川・桂川・木津川の3河川が合流して形成された大河であり、そして元を辿れば琵琶湖に行き着くため、ビッグバスの可能性を秘めたフィールドとして関西のアングラーに古くから親しまれています。
「淀川」といえば「ハイプレッシャー」のイメージが定着しています。が、実は、しっかりとエリアを把握することで確実にバスを手にすることができるほど素直なフィールドです。フィールドの規模も大きく状況に合わせて釣りを組み立てることのできる、ゲーム性の高い魅力溢れるフィールドというのが個人的な見解です。
12月以降の淀川
淀川は河口堰の開閉によって流れが変わるため、「流れの変化」を見極めることが重要です。地形変化とマンメイドストラクチャーは流れの変化を生み出すためねらいどころとして非常に重要な要素といえます。
例年の淀川本流の水温は12月になるころ12~13℃になります。このタイミングの水中の季節感はまだまだ秋を引きずっており、バスは回遊性が強い状態です。居場所が固定されることがなく、エサを求めて泳ぎ回っており、小~大型のバスがまだまだ元気に捕食しています。
そのため、ねらいが絞りづらく一時的に釣りにくい状況になります。当たれば連発ですが一歩間違うと何もない、といったことが頻繁に起こります。晩秋の河川の典型的な例ですね……。
そこから水温が10℃以下に下降していくに従いバスも越冬のため居心地のよい場所を求めて固まり始めます。この状況が例年12月中旬以降。まさに水中の季節感が冬になったと感じるころです。
こうなるとエリアとねらい方を絞ることができるようになります。そして釣れれば大型サイズであることが多く、まさにビッグチャンス到来といった感じです。
また例年であれば淀川本流が最低水温をマークするのは1月下旬から2月にかけて。6℃といったところです。最低水温に近づくほどバスの動きも鈍くなりますが、それまではまだまだヤル気のある状態と考えてOKですよ。
大型ねらいはヘビースピナーベイトで
ここまででフィールド状況を理解してもらったうえで、個人的に実践していることをお伝えします。
河川では、「流れ」が冬場の低水温期でもバスの行動を支配しています。そのため、基本的にはオールシーズン流れを意識してエリアを選びます。具体的には旧チャネルも含めたベンドのアウトサイドを重点的に探ることです。アウトサイドといっても大きく見て上流側と下流側では見た目は同じでもボトムの起伏のようすは大きく違っていることがほとんどです。そのなかで流れが複雑になる要素があるところを探すことが重要と考えています。消波ブロックや旧護岸跡(石積み)、水中堤防がその代表です。
流心に絡む水中堤防や石積みが低水温期のビッグフィッシュ場。イラストのように水深4m前後のフラット(ベイトフィッシュが溜まる)に石積みがあり、水深6mまで落ちるブレイクが絡んでいたら理想的。流れに変化が出る石積みの周辺でスピナーベイトを巻こう。淀川に多く見られるシチュエーションだ
そして、どういった個体をねらっていくのかということを決めるのですが、「冬の一発大ものパターン」ということで大型サイズに絞るのであれば、季節に関係なく、やはりエサを求めて延々と泳ぎ回る個体を探すのが断然有利で実績も大。
川の真ん中に存在する旧護岸跡や、連続した水中堤防の石積みには体力のある大型サイズのみが生息できる環境となっているようです。プランクトンの減少で水質も比較的クリアになっている季節なので、これらの個体は視覚も発達してきているようにも感じます。ルアーセレクトも重要。淀川など河川では流れに負けないだけのパワーがある波動を出すことが重要と考えています。流れに負けてしまう程度の波動は効果半減なので要注意です。そのため「視覚」と「波動」で遠いところからアピールでき、なおかつリアクションの要素も持ち合わせているヘビースピナーベイトをセレクト。流心に沈むハードストラクチャーにうってつけのルアーです。リトリーブはブレードの回転を感じ取れるスローリトリーブを心がけます。明確なバイトが出ることもあればブレードの回転の変化だけのバイトもあるので集中してリトリーブしてください。
抑えのテトラ撃ち
抑えのパターンはテトラ撃ち。テトラには越冬で集まってきている小~中型のバスが多いです。また、通常の流れの場合、テトラの下や隙間でサスペンド状態のバスが多く釣りづらい状況になります。流れが強くなり、バスがテトラに寄り添っているときがソフトベイトでバタバタと釣れるイメージです。
また、低水温に向かう段階で個人的に強く思うことがあります。使用するソフトベイトのボリューム感が非常に重要になる気がするんですよ。水温が下がりつつある段階では細長いソフトベイトに反応が多くあるのですが、バスの動きが鈍くなるにつれコンパクトでボリュームのあるソフトベイトに反応がよくなってくるように感じます。「少ない捕食回数で高い栄養価」をバスが本能的に求めるからかもしれません。そんな気がします。
低水温期の淀川で高確率にバスを手にするのであればこの手段が王道です。もともと釣りにくい季節ですが、マクロな視点で「流れの変化」を考慮することでキャッチ率が上昇するはずです。
西風時の対処法
最後に淀川ワンポイントアドバイスを。冬に限らず、淀川釣行で一番厄介なのが「西寄りの風」。午後から吹くこの風のなかでの釣りは困難を極めます。流れに逆らう下流からの風で白波が出ることもしばしば。釣りの動作も大変になります。
こんな風が釣行日と重なると心が折れそうになります。バスたちも居場所を固定するのが大変なのか、捕食どころではない雰囲気……。そんなときは食性に頼る釣り方ではなかなかバイトに繋げることができません。水深があるテトラ帯で、古くから関西に伝わるメタル系ルアーを投入するのがオススメです。
沖のテトラの切れ目をねらう場合にはメタルバイブをリフト&フォール。フォール後のリフト時にロッドティップに重みが乗るバイトが出ます。また、目に見えるテトラの穴撃ちにはワサビー8gなどのメタルジグを投入。フォール時の小さなバイトに注意してください。テトラの釣りになるので大アワセは禁物です。ラインブレイクを減らすためにも巻きアワセを心がけてください。
淀川では冬場といってもハイシーズンとねらいどころは大きく変わりません。冬はアングラーの忍耐と少しの運で釣果が変わるので、「チャレンジし続けること」が大事です!
■Dゾーン3/4oz(エバーグリーン)
ロッド:セイテンNSC-70H(ノイケ)
リール:カシータスMGL(シマノ)
ライン:シューター・FCスナイパー16Lb(サンライン)
■マイティーママ(写真)またはウォブルシャッド3+トラップフック#1 +タングステン・ドロップショット(すべてノイケ)
ロッド:セイテンC-611MH(ノイケ)
リール:メタニウムHG(シマノ)
ライン:シューター・FCスナイパー12~14Lb(サンライン)
2016/12/05