ガイドとスーパーロコが実践する、冬の一発大ものパターン 第8回
ガイドとスーパーロコが実践する、冬の一発大ものパターン 第8回
小林知寛=文
解説=小林知寛(こばやし・ともひろ)JB TOP50や同マスターズなどで活躍するトーナメントアングラー。旭川ダムの至近で生まれ育ち、ここで磨いたパワーフィッシングでTOP50でもキラリと光る存在。マスターズでは2012年に年間1位を獲得。2013年のJB旭川で年間優勝。2014年JB TOP50年間優勝。2016年はJB全日本バスプロ選手権河口湖優勝、チャプター岡山第3戦高梁川優勝。
「冬は黙ってジャーキング」記事では、高梁川を舞台に小林さんのジャークベイトのテクニックを紹介した。「使うフィールドを問わない」という解説のとおり、旭川ダムでも冬バスねらいに使うのはフェイスだという。今回は急深のリザーバーならではの使い方を紹介したい。
冬の旭川ダム攻略に欠かせないルアーとチューニング
小林知寛です。12月末の旭川ダムでは、雪がチラつき水温も一気に下がります。水温はだいたい9℃前後。
旭川ダムは川を堰き止めて造られたダム湖なので、全体的に流れが利いていることが多く、その流れを読むことでバスが口を使うタイミングがわかってきます。が、水温が下降中のこの時期は、ほとんどの人がノーフィニッシュを食らいます。大切なのは、有効な釣りを信念を持ってやり切ること。やり続けることで一日に何回かタイミングが合い、それができればデコはないでしょう。
そこで僕が使うのがフェイス(Faith=信念)。このルアーは冬の絶対的な存在です。フェイスは万能で、よく飛び、アクションもつけやすく、何よりとにかくよく釣れます。スローフローティングで設計されているので、チューニング次第でレンジを変えることもできますし、アクションも変えることができます。今のところどんな状況にも対応できて、僕にとってかなりの武器になっているルアーです。
ノーマルのフェイスは、だいたい水深1m前後のレンジをねらいやすいので、シャローに見えバスがいるときに有効です。では、ここからはフェイスのレンジ別のチューニングとその使い方を紹介していきます。
バスの動きが鈍くなってくるこれからの時期はサスペンドチューンが有効です。理由は、なるべくバスの目の前から離れないようにすることがバイトを得るために重要になってくるからです。
潜行深度やルアーの動きを変えずにサスペンドさせたいときは、板オモリをセンターフックのアイの後ろに貼ります。
潜行深度をプラス50cm 深くしてサスペンドさせたいときは、板オモリをセンターフックのアイのすぐ前に貼ります。
さらに、もう50cm 深く潜らせて(ノーマル比でプラス1m深く潜らせて)サスペンドさせたいときは、板オモリをリップの付け根に貼ります。
■フェイス(エバーグリーン)・フェザーフックチューン
ロッド:ヘラクレスHCSC-64Mマニピュレーター(エバーグリーン)
リール:メタニウムMg(シマノ)・ZPI”チューン
ライン:バスザイル・マジックハードR14Lb(エバーグリーン)
フック:フロントとセンターはトレブル13NS#5(がまかつ)・リアはフェザーの質感が気に入ってシャワーブローズから移植している。自分でタイイングする場合は、トレブルマジック♯4(エバーグリーン)に、柔らかいフェザーを長めに巻くといいだろう
■潜行深度プラス50cmのサスペンドチューン
センターフックアイの前に板オモリを貼って調節すると、ノーマル比でプラス50cm深く潜るサスペンド仕様にすることができる
■潜行深度プラス1mのサスペンドチューン
リップの根もとに板オモリを貼って調節すると、潜行深度がノーマルに比べて1mほど深いサスペンド仕様になる
要は、前傾姿勢を深くしていくことで、ひとつのルアーで水深1~ 2.5 mをカバーできるわけです。ピタッとサスペンドさせるための比重は水温によって変わりますので、現地で当日の水温に合わせて微調整してください。
そして、もうひとつ、低水温期に欠かせないのがフェザーチューンです。低水温によってバスのルアーを追いかけるスピードが遅くなり、ルアー後方からのバイトが増えて、ルアーを吸う力も弱くなるので、リアをフェザーフックに交換します。フェザーを付けて水の抵抗を増すことで、サスペンド時の水中で、フックがボディーから垂れ下がった状態になるのを遅くすることができ、後方からのバイトに対してフックアップ率が上がります。また、この時期のバスの弱い吸い込みに対しても、フェザーの抵抗がある分、フックが口の奥にしっかり掛かりやすくなり、ノーマルフックで外掛かりや浅掛かりしたときとはキャッチ率が大きく異なります。
岩盤や立木にサスペンドする旭川ダムの冬のビッグバス
フェイスの基本アクションは2ジャーク&2秒前後のステイ。当日のフィールドコンディションやバスの状態、反応の有無から、タフだと感じたらをステイの時間を長くしていきます。
アクションをつけるコツは、サオでルアーを動かすのではなく、たるませたラインをロッドワークで軽く弾くようにすること。そうすればフェイス本来のアクションがでます。ルアーを動かそう動かそうとしてロッドで引っ張ってしまうと、テンションが掛かりすぎることでラインの自由度が下がり、逆にダート幅が狭くなってアピールが落ちてしまいます。また、ルアーのアクションがぎこちなくなり、バスが違和感を覚えて途中でルアーを追うのをやめてしまったりする場合もあります。
この時期、バスはディープの冷たい水と、夜から朝にかけて冷たくなった表層の水を嫌がり、立ち木や岩盤などの縦ストラクチャーに添って中層にサスペンドしていることが多くなります。このサスペンドしているバスは、やる気があるデカいバスの確率が高く、冬はこのバスをねらわなければビッグフィッシュは出ないといっても過言ではありません。
そして、この厳しい冬の旭川ダムで僕が実際にねらうのは、中~下流域の立ち木&岩盤帯。そこで釣りをしながら私が絶対に見るのはベイトフィッシュの有無です。いるときは立ち木の枝や岩盤にベッタリついているのが見えます。ベイトフィッシュが見えたエリアがその日に釣れる場所です。
ベイトフィッシュの有無は必ず確認したい要素ですが、エリアに着いていきなり見に行くのではなく、まずは釣りをしてから確認するようにしてみてください。立ち木や岩盤といったキースポットを自分で潰してしまうのはもったいないですから。
ちなみに僕は、ほぼフェイスで押し通しますが、岩盤や立ち木についているベイトフィッシュにルアーのサイズを合わせないと、どうしてもバイトが得られないときがあります。そんなときだけスーパースレッジを投入します。ねらいや使い方はフェイスと同じです。
■スーパースレッジ(エバーグリーン)
ロッド:ヘラクレスHCSS-65L UTスピン(エバーグリーン)
リール:ステラ2500(シマノ)
ライン:バスザイル・マジックハードR4Lb(エバーグリーン)
立ち木や岩盤のねらい方はたくさんありますが、自分的には下流から上流へキャストしてねらうのが基本です。また、風の向きによっても通すコースが変わってきますが、こちらも風下から風上へキャストするのが基本です。ただし、立ち木、岩盤ともに、その日その日でバイトしてくるルアーの引き方があるので、ワンスポットを釣るにしても、ひとつのボートポジションからねらうだけではなく、最低4方向からルアーを通してみてください。そうは言ってもバイトはなかなかないので、スポットの見極めとタイミングが重要になってきます。スポットに関しては前述のとおりベイトフィッシュがいることが大事。いいと思った場所には、状況変化が起こったタイミングなどで何度か入り直してみてください。
中・下流域を中心にいいと感じたスポットには手数と時間を注ぎ込もう
冬にバスが多い場所はベンドのアウトサイドに絡む立ち木と岩盤帯で、そうしたストラクチャーが多いのが江与味、栃原、そして最下流です。江与味は崖崩れ跡に立ち木が多く、岩盤もあります。栃原は立ち木は少ないですが、アウトサイドに実績の高い岩盤帯が多数あります。最下流は全体的にいいスポットが多く、バスがつく立ち木と岩盤帯があります。
立ち木はなるべく枝っぷりのいい木のほうがよく、幹も太ければ最高です。僕のねらい方としては、まず下流側から立ち木の左右にフェイスを通し、その後ボートポジションを立ち木のサイドに移して、立ち木の上流側と下流側にもフェイスを通します。何かしらの反応があったり、ベイトフィッシュがついていて有望だと感じたりした立ち木であれば、2、3周してさまざまなコースとレンジにフェイスを通していきますし、絶対に何回か入り直します。
岩盤はなるべく垂直に落ちている場所がよく、なかでも途中にエグレがある岩盤はとくにねらい目です。岩盤帯では、まず岸と平行にフェイスを引き、その後エグレの深さに応じて岩盤から意図的にルアーを離して引きます。狭くて深いエグレに入り込んでいるバスは、至近距離の視界が狭くなっているので、岩盤ベタベタを引くだけではルアーがまったく見えていない可能性があるからです。見えていなければ、ステイの時間を長くしてもムダなので、確実にバスがルアーを認識できるコースにもルアーを通す必要があるわけです(図)。
エグレから距離を離すことで、Aと同じレンジを引いてもバスに確実にルアーを見せることができる。ただし、エグレ(バスがいる場所)からあまり遠くにルアーを通しても、低水温で活性が低いバスはそこまで寄って来てくれない。「バスからルアーが見え、かつ寄って来てくれる距離」の感覚と、当日のステイの時間を掴むことが重要だ
ただし、低水温でバスのストライクゾーンが狭くなっているのをお忘れなく。バスがいる岩盤やエグレから遠くを引きすぎてもバイトはなくなります。逆に言えば、その距離感が掴めればバイト数は明らかに増えてきます。この釣りはイメージが大切なので、旭川ダムに通って五感を鍛えてください。
このように、冬の旭川ダムの釣り方はシンプルですが、釣るレンジや引くコースを間違うと一日やってノーバイトもあり得るほどです。そんな厳しいなか、自分の経験や知識からイメージを絞り出し、たった1回でもそのとおりにバイトを得たり、1尾でも釣ったりした喜びを知ることは、大きな財産になって今後のバスフィッシングに繋がっていくはずです。
ノーフィッシュを怖がらず、攻め続ける気持ちでキャストを繰り返すことが、実は冬の1尾への近道だと思いますし、自分なりの武器をもつことにもなると思います。釣りたいなら、やり続けることです!
Basser Allstar Classic 2016で5位に入賞した沖田護選手がプラクティス時から追いかけたのがジャークベイトパターンでした。冷え込みによる状況変化で競技中はうまく機能しなかったものの、ハマったときは1300g以上のキッカーのみが反応したといいます。詳しい釣り方は発売中のBasser2017年1月号でレポートしています。
夏、秋、冬のリザーバーを舞台に、菊元流ハードベイトの使い方をレクチャー。
冬の丸山貯水池での「釣れるジャークベイティング理論」解説を見逃すな!
2016/12/16