アユの友釣りにおけるオモリの役割は、急流に沈まないオトリや弱ったオトリを潜行させやすくすること。上手く使いこなせば、ポイント攻略の幅が確実に広がるアイテムだ。基本の所作から応用まで、名手たちのオモリ使いに学ぼう!

写真と文◎つり人編集部
1946年創刊の雑誌「月刊つり人」を始め、数々の釣りに関するコンテンツを作成してきたつり人社の編集部。
軽いオモリならノーマル感覚で使える
オモリ使いの最大のコツは「オトリが元気なうちにセット」することだ。そのほうがオトリの元気度も持続しやすく、オモリの効果も発揮できる。ではどの程度の重さのオモリを揃えておくとよいのか。ビギナーであれば3B(0.3号)、0.5号、1号、1.5号、2号という5つのオモリを揃えておきたい。
ちなみに0.5gの重さの違いでオトリの入り方は格段に変わる。また3Bという軽いオモリであってもオトリの潜行能力はかなり高まる。「月刊つり人」でもお馴染みの廣岡昭典さんは3Bから0.5号のオモリを常用している名手だ。軽いオモリのメリットは根掛かりしにくいこと。廣岡さんいわく「ノーマル感覚で使えて、オトリを泳がせやすい。上飛ばしもできる」と言う。特に解禁初期の小型オトリや高水温期の弱りやすいオトリ使いで威力を発揮する。
野嶋玉造さんに学ぶ軽いオモリの引き上げ操作
また軽いオモリをよく使う名手といえば、激流大アユ釣りのレジェンド・野嶋玉造さんもそうである。
野嶋さんはどんなポイントでもサオを寝かせて探る。その理由は「サオを伏せていたほうがオトリは逃げにくい。それと俺の場合はオトリを下流に落とし込んで探るのではなく、引き上げて上流に探ることが多いから。重すぎるオモリはどうしても石に詰まりやすい。だから小さいオモリを使う」と話す。
流れに合ったオモリの重さを見極める方法
そもそも流れに合った最適なオモリとはどの程度の重さなのか? オモリ使いの名手、瀬田匡志さんの基準はこうだ。
1、流れに立ち、自分がこれくらいと思う号数のオモリをセット
2、オトリは付けずにオモリを付けた仕掛けだけを水面下に入れる
3、穂先の曲がりぐあいを見ながらオモリが水面に出たり入ったりするかを確認する。オモリがずっと沈んでいるようなら流れに対して号数が重い。逆にほとんど沈まず、パタパタと水面で弾かれるような重さでは軽すぎる
なお瀬田さんはこうした基準で適合オモリを見出しても、プラス0.5gくらい重めのオモリを選択してスタートすることが多い。なぜなら大きなオモリのほうが安定してオトリが入るからだ。
オモリは「第2の穂先」として機能する
瀬田匡志さんはオモリを「第2の穂先」と表現する。
「オトリの状態を把握し、安定させるにはオトリに近い場所に支点をつくるほかありません。それこそオモリを『第2の穂先』と呼ぶ理由です」
そう話す瀬田さんは、オモリからハナカンまでは短い水中イトと考える。オモリは第2の穂先となって、その後ろでオトリが尾ビレを振って泳ぐイメージだ。アユザオの標準全長は9mと長い。仕掛けも基本的にサオの長さ分を張る。釣り人から18mも離れた先で生きたオトリを操るのだからコントロールは難しいわけだ。
有岡只祐さんが2.5号の大玉で全国制覇を成し遂げた理由
コントロールとはオトリの自由を奪う「拘束力」とも言い換えられる。この拘束力こそが入れ掛かりを呼び込む「力」となる場面も多い。昨夏行なわれた「ダイワ鮎マスターズ」では高知の名手、有岡只祐さんが大会史上初の3連覇、4度目の全国制覇を成し遂げた。その原動力となったキーアイテムが2.5号の大オモリだった。
大会会場は仁淀川。天然遡上がすこぶるよかった年で、型は小さいものの川中に黄色いアユが充満していた。有岡さんはトロ場に見える黄色いアユをねらうべく、元気なオトリをしっかりと泳がせた。しかし追ってはくるが掛からない。すぐにオトリから離れてしまう。そこで試したのが2.5号のオモリだった。
「普段は使わない重さのオモリです。自分が携帯しているオモリの中でも一番重い。追ってくるのに掛からない黄色いアユに翻弄されて、泳ぎが速すぎると掛からないと思い切って2.5号を付けたんです」と有岡さん。元気なオトリではナワバリを速く通過してしまう状況下、大きなオモリのブレーキ効果が威力を発揮したのである。
チャラ瀬やトロでも戦略的にオモリを使う
アユの密度が濃くなると1尾あたりのナワバリ面積は小さくなる。それに伴い追う距離が短くなるケースはよくある。また活性が高いアユにオトリが追いまくられると逃げやすくもなり、ナワバリに入りにくい。そこでオモリの拘束力の出番である。この威力に目覚めた名手は、流れの強さや水深に関係なく、チャラ瀬やトロであっても戦略的にオモリを使う。大きなオモリであれば水面に出ていてもオトリの拘束力は強い。
オモリとオトリの距離をどう決めるか
その下で360度は動ける。その距離が長くなるほど行動範囲も広くなる。追われても掛からない、オトリが逃げやすいと感じる場合はオモリとハナカンの距離を詰めるとよい。逆にアユの活性が低く、野アユに馴染ませたいと思うシチュエーションは、オモリとハナカンの距離を長くする。またオトリが弱って入りにくい時は「鼻オモリ」と言って、ハナカンのすぐ上に付けるのもありだ。オトリが絶体絶命という時に繰り出すオモリ使いである。
名手たちに共通するオトリ1尾分の距離感
有岡さんは0.5~1号の重さであれば、ハナカンから10cm程度の距離にオモリを打つ。「オモリとオトリを切り離してイメージして操作するのが苦手」と話し、オモリとオトリの距離が近いほうが操作しやすいという。

この考えは廣岡昭典さんも同じだ。特に軽い3Bは鼻に近い位置に打つ。瀬田匡志さんのオモリの基本セットはハナカンからオトリ1尾分離した位置だ。このオトリ1尾分の距離感は瀬田さんだけでなく、多くの名手が基本にしている。有岡さんも2.5号と重いオモリを使う時は、オトリ1尾分離す。
根掛かりの外し方と予防のコツ
オモリを使うと怖いのは根掛かりである。オモリの重さを常に感じ続けることが根掛かりを防ぐ第一歩。まずは緩い流れで感覚をつかんでいくとよいだろう。
もうひとつはなるべくサオを立て気味に操作する。特に重い号数を使うのであればサオは寝かせ過ぎずに45度から真上方向にオモリを吊り上げるようにする。穂先が下がらないように保持しないとたちまち根掛かりしてしまうので注意が必要だ。しかしどれだけ集中していてもオモリが石に詰まってしまうケースはある。瀬田さんの外し方の手順を紹介しよう。
瀬田さん直伝・根掛かりを外す3つの手順
1、根掛かったなと思ったらサオを下流にあおる。引き上げている最中の根掛かりであれば、この方法だけで概ね外せる。
2、上下に動ける釣り場であれば根掛かりポイントの真正面に立ち、サオを下流にあおる。
3、テンションをスッと抜いて瞬間的に下流へあおる。
オモリが根掛かりしているとサオをあおった時にガクンガクンという感触があるが、ハリが根掛かりしている場合はギューンギューンと穂先が伸びる。ハリがゴミなどに掛かった時には前に出に出て外しに行かざるをえない場面もある。
2段オモリでオトリをアシストする応用テクニック
オモリを1点で打つよりも2段、3段と意図的に分散して打つ方法もある。瀬田匡志さんが多用するオモリ使いだ。
「オトリが弱ってどうしても浮くという時には、ハナカンから1cmほどの距離に鼻オモリを打って、その上にさらに重めのシンカーを付ける。上のシンカーは管理するための物で、下はオトリを安定させるための意味があります」
大アユねらいでオモリを使いこなす
通常の河川であれば上が3号、下が1号程度でも入るだろうが、球磨川のような激流の大アユ釣り場は上が5号で下は2号といったぐあいに重めのオモリで対応する。大アユねらいではオモリを使ったほうが掛かるシチュエーションが間違いなく増える。なぜなら型のよいアユはサオ抜けに残るからだ。瀬に付いた良型魚の痛快な手応えを味わうために、オモリを使いこなしていこう。
※このページは『つり人 2026年7月号』に掲載した記事を再編集したものです。

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