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つり人編集部2026年5月23日

アジが一番釣れる時間帯は?電子タグ調査が明かした「科学的な最適解」

堤防のアジ釣りにおいて、最もねらいやすい時間帯は一体いつなのか。マズメ時、潮が動くタイミング——釣り人の経験則は数あれど、「なぜそうなのか」を知ることでより釣果に繋がるはずだ。実は近年、電子タグを用いた最新の「バイオロギング」技術や海洋調査が進み、アジの一日の行動パターンが科学的に解明されつつある。本記事では、つり人社が長年蓄積してきた取材データと、これら最新の海洋科学研究をクロスオーバー。経験と科学の両面から、堤防からアジを攻略するための「最適な時間帯」をひも解いていく。

つり人オンライン編集部

まとめ◎つり人オンライン編集部

1946年創刊の雑誌「月刊つり人」を筆頭に数々の釣りに関するコンテンツを作成してきた「株式会社つり人社」のWeb編集部。現場を知り尽くした編集部員・プロアングラーのネットワークを活かし、確かな情報をお届けします。

堤防からアジをねらいやすい時間帯は夜?

アジは夜に眠る昼行性の魚だと考えられている。実際に、常夜灯の灯る堤防や浅場のアマモ場などを観察すると、豆アジや小アジが海底付近でじっと休む姿を夜間に見かけることがあるだろう。

しかし、元神奈川県水産技術センター主任研究員の工藤孝浩さんによると、実は成長するにつれてその生態は大きく変化するという。成長したアジの行動はマグロ類などと同様に泳ぎながら短時間眠ると考えられており、単純に昼行性とは言い切れない行動パターンに変化するそうだ。

最新の電子タグを用いた東京湾でのマアジの行動記録調査によっても、アジが夜間に行動することが確認されている。アジは夜間に浅い水深へ移動し、日中はより深い水深へ移動する「日周鉛直移動(にっしゅうえんちょくいどう)」と呼ばれる明確な行動パターンを取っていたのだ。

この行動は、視覚に頼って捕食を行う外敵から身を守るためや、エサとなるプランクトンが同様の移動を行うためなどと考えられている。つまり、アジは昼間に活動を停止しているわけではないが、昼間は沖合の深場に待機しているため、沿岸の浅い堤防からはねらいにくい時間帯になっているというのが事実だ。

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アジは昼は深場に移動し、夜は浅場に移動する一日の行動パターンを持つ

「マズメ」と「満ち潮」がチャンス

アジ釣りをするアングラーなら朝夕のマズメ時がねらい目なのはご存知だろう。アジの行動パターンを考えると、マズメ時にアジがねらいやすいのはアジが活発に沿岸を移動する時間だからと言える。夕方ならエサを求めて浅場へ、朝方なら浅場から深場へ移動する時間なので、堤防でもねらいやすいということだ。

また、時間帯だけでなく「潮の動き」も極めて重要なファクターになる。

千葉県館山湾で行われた海洋観測と漁獲調査では、マアジの釣獲割合が引き潮時よりも満ち潮時(潮位上昇時)において圧倒的に高いことが実証されている。調査によると、満ち潮時の沖合からの潮流に乗ってアジの魚群が湾内に接岸してくることが明らかになった。

上げ潮がいいか、下げ潮がいいかは釣り場の地形にもよるが、満潮前後でよく釣れるというアングラーの経験則とも一致する結果と言えそうだ。

デカアジほど深場へ?大型ねらいなら「夜」が有利な理由

大型アジに出会いたい場合も、夜の時間帯をねらいたい。その理由は、アジのサイズと生息水深の関係にある。

魚は体が大きくなるほど遊泳力が高まり、より広範囲を移動できるようになる。日中の釣行では、豆アジばかりで良型が出ないというのもアジ釣りではよくあるパターンだ。これは、アジも大型になるほど遊泳力が増し、日中は深い水深に落ちてしまうためだと考えられる。

東京湾周辺で行われた最新の追跡データでも、マアジの平均遊泳水深と魚体のサイズ(尾叉長)には有意な相関関係が認められている。秋から冬にかけて、遊泳力の低い小型のアジは浅い湾奥などの沿岸部に留まりやすいのに対し、大型のアジは湾口部のより深いエリアへ積極的に移動する傾向があったそうだ。放流した中で最も大きな個体は、水深約350mまで移動していたという。

船のアジ釣りを見てもこの傾向は顕著だ。例えば東京湾では水深20〜30mを攻めるライトアジと、走水沖などより深い水深をねらうビシアジ船がある。ライトアジでは40cm級が釣れることは稀だが、深場をねらうビシアジ船では特大サイズが頻繁に顔を出す。

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日中に深い水深をねらう船のアジ釣りでは堤防に比べて良型が出やすい。さらに深場になるほどサイズが良くなる傾向もある

陸っぱりから大型を釣るなら「深場隣接エリア」

その上で、陸っぱりから大型アジをねらうならどうするのが正解だろうか。アジは日が沈むとエサを求めて浅いタナへと浮上してくる習性がある。しかし、大型アジはベースとなる生息水深が深いので、夜間に浮上したとしても極端な浅瀬までは入り込みにくい。

これを考えると、深場に隣接した釣り場が良型をねらう好条件となる。実際、陸から40cmを超える大型アジが飛び出すのは、沖合から急激に深くなっているサーフなど、その条件を満たした釣り場が多い。

また、魚は全般的に大型になるほど警戒心が強まり、暗くなってから口を使いやすい魚種も多い。アジも例外ではなく、その点でも良型・大型をねらうなら夜のほうが高確率だ。

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大型アジが釣れるポイントは深場が隣接しているなど一定の傾向がある。また夜のほうが確実に釣れやすい

昼間でもアジは釣れる。「日周鉛直移動」を逆手にとる攻略法

日中に大型のアジをねらうのは難しいものの、アジ自体が全くねらえないかといえばそうではない。昼間でもエサを追ったり、潮に乗って回遊したりすることもある。とくに昼間の場合は、満潮へと向かう上げ潮の流れに乗って回遊してくることが多いので、事前に潮時表をチェックしておきたい。

また「日周鉛直移動」を行う習性上、沖合の深場をねらうほうが確率は高い。朝マズメが終わり日が昇ってから、堤防の足元のサビキでは釣れない状況でも、ウキを用いた投げサビキや、底をダイレクトにねらうブッコミサビキで沖の深場へ遠投すると釣果が出るケースもよくある。状況の変化に対応できるよう、複数の仕掛けを用意しておくといいだろう。

【出典・参考資料】
Kinoshita, J.ほか(2026)「Vertical habitat use by Japanese jack mackerel Trachurus japonicus inferred from a biologging study in Tokyo Bay(PDF)」 Fisheries Oceanography
根本雅生ほか(2017)「千葉県館山湾におけるマアジの魚群行動と海洋構造(PDF)」La mer 55巻 1-10頁

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