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つり人編集部2026年2月13日

【LIMIT1 第1戦】田辺哲男 vs 藤田京弥。芦ノ湖で激突した「1尾」への執念

「デカいの1本でどうだ?」

バスフィッシング界の生ける伝説・田辺哲男が、トップアングラーと「たった1尾の重量」だけで雌雄を決するシンプルな対決企画。それが「LIMIT1(リミットワン)」だ。

記念すべき1st Battleは2022年6月の芦ノ湖。対戦相手として迎え撃ったのは、現在アメリカに拠点を移し世界で戦う藤田京弥。当時は国内トーナメントにおいて驚異的なペースで優勝を重ねていた天才だ。

円熟のレジェンドか、新時代の怪物か。語り継がれる激闘の記録を振り返る。

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田辺哲男(たなべ・のりお)

1958年7月9日生まれ。東京都出身、在住。バスオブジャパンやJBTA(JBの前身)で活躍し1992年よりB.A.S.S.に参戦。 1993年のケンタッキーインビテーショナルで非アメリカ人として初めての優勝を果たす。2000年にはバスマスタークラシックで6位入賞。近年はルアー開発が楽しくて仕方がないという。

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藤田京弥(ふじた・きょうや)

1996年4月2日生まれ。埼玉県出身、山梨県在住。バスプロを目指して河口湖で腕を磨く日々を過ごし、2018年に兄・夏輝とともにTOP50に参戦。 以来、TOP50とマスターズ、JB河口湖と入鹿池を中心に驚異的なペースで優勝を重ねる。2022年よりB.A.S.S.オープンカテゴリーに参戦。

藤田京弥と田辺哲男、世代を超えた共通点とは

開幕ゲームの相手は藤田京弥。現在、国内最強のトーナメントアングラーである。2019、2021年とJB TOP50を連覇し(2020年はコロナ禍でTOP50が開催されていない)、2021年にはJB戦で優勝10回、3シリーズでAOYと次元が違う強さを発揮。

そして2022年はB.A.S.S.オープンカテゴリーに挑戦するため渡米。デビュー戦でいきなり決勝進出を果たしている(最終10位)。さらに渡米直前に強行出場したJB TOP50遠賀川戦は優勝。帰国直後の弥栄ダム戦も11位と好成績でフィニッシュ。今年も年間レースの先頭集団につけている。

試合ではライブスコープまたは肉眼によるサイトフィッシングで釣ってくることが多いが、そのフィッシングスタイルはオールラウンド。時に1cmのソフトベイトでメインパターンを組むこともあればビッグベイトも駆使する。意外と知られていないがカバーフィッシングのスキルも国内屈指である。

そんな藤田と田辺だが、実は共通点が多い。国内のJBで頂点を獲り渡米したこと(かつて田辺はフィネスも得意としていた)。トップウォーターがフェバリットであること。バスフィッシングの未来を真剣に考えていること。そして……無類のビッグフィッシュキャッチャーであること。

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スコアメイクより「マックスウエイト」を狙うスタイル

藤田の試合運びの根底にあるスタイルは「ビッグフィッシュ5尾」である。入れ替えを積み重ねてスコアアップを目指すのではなく、揃った瞬間にマックスウエイトに達するパターンで試合を組んでくることが多い。

だからこそ、TOP50開幕戦の遠賀川で7050g(5尾)という数字を叩き出せるのである。今シーズンのTOP50では2戦連続でビッグフィッシュ賞を獲得している。「でかい魚が好き。もしトーナメントに出ていなかったら間違いなく世界記録をねらっていましたね」と藤田。

田辺の目からは藤田はどのように映っているのだろうか? 「とんでもなく釣る若手だってことはいろんな方面から聞いてるよ。会ってちゃんと話をしたことはないから、今のところはすべて人から聞いた話でオレのなかの藤田像が構築されているよね。河口湖のJB戦でダイラッカでビッグウエイトを出してきているのには驚いた。スコープで魚を探して、そういう強いルアーで食わせるのもアリなんだって。新鮮だったよね。今回の試合、サイトでボコボコにやられちゃう可能性も全然あるわけで、正直怖さもある」

そして、藤田にとって田辺は幼少期から強く影響を受けてきた尊敬するアングラーのひとりだという。 「小学生のときにフィッシングショーで一緒に写真を撮ってもらったことがありますよ。僕のバスフィッシング観は田辺さんに強く影響を受けています。釣りビジョンの『Go for it!』を僕はいまだに見ているんですが、田辺さんは必ず出船前に準備したルアーの意図と使い方をひとつひとつ丁寧に紹介しますよね。

僕のなかで、あの説明こそが『バスフィッシング』なんです。『今日はこういう状況だからこうなんじゃないか』って考えて、準備する。『こうねらいます』と言ってその通り釣る。そこに僕は憧れてバスフィッシングをやっています。この試合、田辺さんが驚くような釣りで、驚くようなサイズを目指します」

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LIMIT1 1st Battle舞台は芦ノ湖。トップウォーター炸裂か!?

対決の舞台は神奈川県・芦ノ湖。田辺も、藤田もこの湖で数えきれないビッグフィッシュをキャッチしている。ノーガードの殴り合いを期待しての設定である。

藤田に関しては連載「ALL OUT」で最初に訪れたのが芦ノ湖だった。スタッフが設定した「3尾・5kg」というお題を「それだと目標が低すぎますね」と一蹴。自ら「50cmアップ3尾」に上方修正し、午前中だけでミッションコンプリート。最大魚は57cm・3kg超えのモンスターだった。パターンはサイト。季節が夏だったこともあり、メインになった釣りはムシのチョウチンだった。

一方田辺はマグナムクランクやスピナーベイト、トップウォーター各種、ジグ&ダディーといったパワーフィッシングで芦ノ湖の50cmアップを釣ることが多い。

6月の芦ノ湖、スポーニングシーズンの行方

今戦を組んだ6月上旬の芦ノ湖は例年であればスポーニングシーズンの終盤にあたる。プリ~アフターまでのバスが混在する状況だ。シャローにバスがいることは間違いない時期であり、スーパークリアウォーターのビッグフィッシュを騙すためにふたりはトップをメインにするのではないかと編集部は事前に予想していた。実際、スタート前のふたりのデッキにはトップウォーターが並んでいた。

補足しておくと、「ネストの魚は当然ねらわない」とふたりの意見は一致したため、ネストにロックしたバスをねらうサイトフィッシングは禁止とした。

当日の朝、会場としたおおばフィッシングセンターの桟橋でふたりが言葉を交わす。「目標は55cmアップ。3kgを超えてくる魚」と田辺が言うと、「僕はロクマルを考えています」と藤田が返す。

6月9日午前6時。たった1尾のビッグフィッシュを追って2艇のボートがエンジンを始動させた。

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桟橋では和やかに談笑するシーンも見られたふたりだが、出船時には緊張感が漂っていた

フィールド情報:「芦ノ湖」の特徴

ニッポンのバスのバースプレイス。バンクは「オーバーハング+岩」というロケーションが多い。所どころに浜(シャローフラット)が存在するが、基本的には急深なバンクが多い。もっともバスのストック量が多いのは遊覧船の桟橋下といわれている。50cmアップの生息数は非常に多く、60cmアップの実績も多い。

スタート地点:芦ノ湖フィッシングセンターおおば
25馬力前後のフルリグ艇(魚探付き)を取り揃えるレンタルボート店。食堂も併設しておりワカサギのから揚げなどが非常に美味。
公式サイト:https://www.ashinoko-fc.co.jp/afc/

LIMIT1 1st Battleのレギュレーション

競技時間

・初日6:00~17:00
・2日目6:00~15:00

勝敗の決定基準

・2日間で釣った最大魚のウエイト

その他ルール

・「試合前日から14日間」をオフリミットとする
・アラバマリグ系(ワンルアーアラバマ含む)は禁止
・使用ボートは25馬力フルリグ艇(エレキやバッテリー、魚探など装備の持ち込みOK)
・レンタルボート店の営業桟橋は釣り禁止。観光船桟橋は人が乗っていないタイミングに限りキャストOKとする

Day1 6:00-12:00:予想外のタフコンディション

藤田京弥 困惑の朝

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藤田の先発はトップウォーター多め。スイングマイキー(水面ただ巻きで使用)やRVクローラー、キックノッカー、3Dインショアペンシル、ジョイントフカベイト、タイニークラッシュ、ジョイントゾーイなどのキャスト機会が多かった

スタート直後、藤田は桃源台桟橋に入りバラム245を際で高速リトリーブ。その後スイングマイキーとRVクローラーをただ巻きしながらキャンプ場~早川水門までを流す。シャローとやや沖にルアーを通しながらかなり高速でボートを流し、視線はシャローの見えバスを探している。岬の沖ではブレイクに沿ってフットボールジグ(ナカタジグ3/8oz+ワイルドダディ)を撃ちフォールで食ってくるバスをねらった。

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ブレイクに沿って高速でボートを進めながらキャストし、目線はシャローへ。藤田はこのスタイルで芦ノ湖全域をサーチしていった。「どうした芦ノ湖……。シャローにバスが少なすぎるし、いても反応が悪すぎる……」

開始まもなく、藤田は芦ノ湖の異変を感じ取っていた。 「思った以上に産卵モードのバスが多いうえに減水が激しい。それに前日の雨で水温が急降下して16~17℃しかない。シャローでエサを追っている魚が少なすぎる。困った……」

時おり見える50cmクラスの見えバスも難攻にして不落。ジョイントフカベイトのデッドスロー引きとバグドッグのチョウチンに反応する魚はいたが最後の一線を越えさせることができない。

9時10分に白鳥ワンドに入ると見えバスが多数いたが、トップウォーターやスモラバにも反応は鈍い。 「バスが何を食っているかわからないからルアーが決められない。こんなに難しい芦ノ湖ははじめてかもしれない……」

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要所でスモラバ(Dジグ/トレーラーなし)やバグドッグ、ジョーダンといったフィネスも入れたがバスの反応は薄い。「食わないし、これで釣っても田辺さんを驚かせることはできないですよね」とスピニングを握る時間はどんどん減っていった

田辺哲男 6月に水深10m!ミドル~ディープのスローローリング

早川水門周辺の岬に入った田辺の第1投はヒラトップ。スローテンポのドッグウォークで沖のオープンウォーターを転がしていく。

しかし、田辺は早々に「トップは厳しい」という雰囲気を感じ取っていた。 「肌寒いし、水温も相当落ちてるだろ。それに思った以上にミッドスポーンの空気が濃い気がするんだよな」

田辺はこうした感覚的なことを大事にするアングラーである。これには理由がある。 「バスマスターに出ていたころ、リック・クランとよく話をしてたんだけど、ある日こう言われたんだよ。『ノリオ、お前毎度ジェットラグ(時差ボケ)を食らってるのによく釣ってくるよな』って。この言葉には本当に驚いた。『え、見てるとこ、そこなの!?』って」

リック・クランもまた感覚を非常に重視するアングラーとして知られている。試合の際モーテルに宿泊しないスタイルを貫いていたのは、自然の変化を察知する五感の働きを妨げないためだ。そんなリック・クランにとって、時差ボケという感覚の大敵をハンデとして背負いながら釣ってくる田辺はリスペクトの対象として映っていたのだろう。

「この言葉でハッと気付いたんだよね。ああ、いろんな自然の変化を『感覚』で捉えて、そのうえで考えるのがバスフィッシングなんだって。そのことをクランが最初に教えてくれた。それからはオレも夏に冷房をつけずに頑張って寝たよ(笑)」

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深良水門前に入った田辺は水深5~6mのスローローリングに時間を割いた。「スーパービッグフィッシュはトップっていう雰囲気じゃない。ディープネストのさらに沖側にいるスーパープリを食わせたい」

6時26分、そんな田辺が深良水門前のワンドに入ったのは当然のことだった。バンクにサギが2羽いる。水面にも小魚のざわめきがあり、ボイルが発生していた。

「サギがいて、ベイトがいて、バスもいる。水門からのカレントもウイードもある。完全に『オレの場所』だな」

田辺はヒラトップをシャローに数投だけすると意外な釣りに舵を切った。手に取ったのはディーパーレンジ3/8oz。ねらう水深は4m以深。伝家の宝刀・スローローリングである。

「6月だからシャローを流したくなるけど、たぶんこの状況で55cmアップはシャローじゃ出ない。だから4~6mでスローローリングを試してみる。仮に水深3~4mにネストができるとして、そのさらに沖にプリの巨メスが控えてるかもしれないだろ? 水深だけを見ると3/4ozって思うかもしれないけど、あえての3/8oz。カーブフォール軌道でゆっくり引いて小さいブレードを回してあげないと食わないコンディションかもしれないからね」

デッキに目をやると、田辺はディーパーレンジだけで3タックルを並べていた。3/8ozと1/2oz、3/4ozだ。水深によって使い分けるのではなく、すべてを試してバスの反応をうかがう意図である。

「ウエイトとブレードのちょっとした違いで反応に差が出るか知りたいよね。少なくとも先週の相模湖では差が出たんだよな……」

おそらく遠目に田辺のスローローリングを見るとジグを引いているように見えるのではないだろうか。リーリングだけでなく、ロッドワークも駆使してスピナーベイトを引くからだ。

この日はウイードトップをかすめ続けることを意識し、水深変化などでスピナーベイトが浮きすぎたと感じたらロッドワークによるスロー引きでカーブフォールさせてレンジを戻す作業を欠かさなかった。レンジを下げる際にカーブフォールさせるのはブレードを常に回し続けるためだ。もちろん、リーリングを緩めることで同じことは可能だが、スローロールし続けて40年の田辺の身体に染みついた感覚があるのだろう。そして、「完全にオレの場所」と言い切ったエリアだけに、狭い範囲にかなりしつこくスピナーベイトを通していた。

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田辺はスピナーベイトだけで3タックルをデッキに積んでいた。ディーパーレンジ3/8ozと1/2oz、3/4ozだ

田辺哲男 開幕のビッグフィッシュをキャッチ!

そよ風が吹いてきた6時45分のことだった。ディーパーレンジ3/8ozにバイトが出なかったため3/4ozにシフトし、ベイトの反応が出た水深5mのボトム付近を引くと、これまで何百回と捉えてきた感触が手元に伝わった。

ゴン!とハッキリしたバイトにアワセを入れると、間もなくビッグフィッシュが水面を割って首を振る。まだ霧が晴れ切っていない静謐な芦ノ湖にVブレードの接触音が重く響いたが、田辺の張る声がそれをかき消す。「満点のエリアでスローローリング! 完全にオレのゲーム!」

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6:45 オープニングフィッシュは48cm、1730g!「満点のエリアでスローローリング! 完全にオレのゲーム!」

ハンドランディングを決めたのは「リミット1」の開幕魚にふさわしい文句なしのビッグフィッシュ。50cmに迫る1730gのパーフェクトボディーだ。新企画のオープニングゲームである。新進気鋭の天才を相手に、デコの恐怖が田辺にもあったのだろう。田辺はこの1尾を手に「安心したよ」と顔をほころばせた。

「アタリの遠いこのスーパークリアレイクでもスローローリングで食ってきてくれる。励みになりますよ」 この1尾のあと、田辺はスローロールを釣りの軸として湖の各所をラン&ガン。意外だったのは、ねらうレンジが6m、7m、9m……とどんどん深くなっていったことだ。なぜ釣れた5m前後に固定しないのか。

「最高に嬉しい1尾目だったけど、ねらっているサイズじゃない。深くしたらでっかくなるかもしれないだろ?」 最終的に田辺は水深10mにもディーパーレンジ3/4ozを多投した。6月にこんな釣りを見ることになるとは……。

「6月にこんなにスローロール一生懸命やったのは生まれて初めてだよ。もっと速い釣りで攻めたいけど、それだと食う感じがしないんだよ。そういう意味でいうと、フットボール&ダディーは絶対に効くはずだけど、もう少しスローロールの可能性を追求してみたい。何か突破口があればヤバいことになるかもしれない。ジグも投げるけど、それは泣いた後に投げる。まだ泣いてない。オレはジグも大好きだけど、ジグで釣った55cmアップって忘れてたりするんだよ。スピナべやマグナムクランクの魚は鮮明に覚えてるのに。この試合、しっかり釣ることにもこだわるけど、みんなに見せたい釣りを見せることも大事にしたいよ」

Day1 12:00~17:00:藤田京弥の反撃

藤田京弥がビッグフィッシュパターンを捕捉!

一方、藤田にとっては苦しい午前だった。唯一のキャッチは11時20分。箱根湾のシャロー(アシ)でスイングマイキーにバイトが出たため、放流かネイティブか確認する意図もありスモラバをキャスト。食ってきたのは1200gはありそうな放流魚だった。「この魚はノーカウント。計測も写真もいりません」

釣り方や魚体も納得の1尾にはほど遠いということだろう。そんな藤田の視界が開けたのは12時30分のことだった。雲が厚くなり風が吹いてきたタイミングで「スピナべよさそうだな」とひと言。遠く離れたふたりが同じルアーに勝機を見出したのだ。

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「雲と風……。スピナべよさそうだな……」このあと、藤田の試合が一気に動き始める

このあと、九頭竜~湖尻の急深なストレッチをスティーズスピナベで流す。岸際に投げてレイダウン周りをチェックし、さらにブレイクに沿って巻き落とす繊細な釣りだ。

「かなり神経を使う釣りです。ライブスコープで見てるとわかるんですが、スピナベって動きがぶれたりすると魚が追うのやめちゃうんですよ。だからロッドワークは一切使わずにリーリングの緩急でカーブフォールさせていく。経験上、物に当てるのもNGなことが多いです」

強い可能性を感じながらスピナーベイトゲームを続行。14時、深良水門があるワンドのひとつ南側のワンドへ入り、浜を流していると泳いでいるバス(ネストではない)に遭遇。

スピナーベイトをカーブフォール軌道で口元に近づけるとためらわず食ってきた! フッキングに成功し、ロッドを立ててゴリ巻きするもルアーが宙を舞う……。

「うわぁ! コースはいったら完全に食ってきましたね。デカかった……。50cmくらいあったかも」

バラシには終わったが、藤田は「スピナべサイト」と「ワンドの浜」というふたつのキーワードに到達。田辺がスローローリングを行なっていたミドル~ディープの反対側にもスピナーベイトのビッグフィッシュパターンが存在していたのだ。

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「スピナーベイト」と「スポーニングエリア付近の浜」というキーワードを掴んだ藤田。午後にビッグチャンスが続いた

このあと西岸にある同条件のエリアをラン&ガン。最後の一線こそなかなか越えないものの、やはりシャローの魚はスピナベには反応する。

この日最後のビッグチャンスが訪れたのは16時36分のことだった。シャローに見つけた魚影は余裕の50cmアップ。進行方向の先に無音でスピナーベイトを入れ、スムーズなカーブフォールをさせると本気食い! しかしその直後、早熟の天才がデッキに大の字を描く。

「何でだ! 完全に食ったのに。スカートの部分が完全に口の中に消えましたからね。何で……」

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帰着間際、スピナべサイトで50cmアップの本気食いを誘発! ハリが口の中の硬い部分に立ったのかバラシ。完全に2kg超えだった……「何でだ! 完全に食ったのに。スカートの部分が完全に口の中に消えましたからね。何で……」

Day1結果:明暗を分けた1尾

田辺哲男◎最大魚1730g(ほか1200gクラスをキャッチ)
藤田京弥◎計測なし(1200gクラスを1尾キャッチ)

DAY 1 MOVIE

Day2 6:00-15:00:芦ノ湖フットボールバトル

フットボールジグへの一致

初日を終え、田辺の最大魚は1730g、藤田は計測なし。途中経過は発表していないので、ふたりはお互いのスコアは知らない。 そのためリードしている田辺にも余裕はまったくなかった。 「藤田は50cmアップを100尾くらい釣ってるかもしれないって思わせる怖さがあるよね。一方オレは昨日あれだけスローロールをやり倒してたったの2バイトだろ? 間違いなくハマってはいない。今日はスローロールだけじゃなくてフットボールジグもきっちり入れるよ」

奇しくも藤田も同じルアーに強い可能性を見出していた。 「あれだけシャローにバスが少ないってことはブレイクをもっとやったほうがいい。スピナーベイトのスローローリングとサイト、もしくはフットボールのフォールに一番可能性を感じます」

結果的にこの日はふたりともフットボールジグ+ポークのコンビネーションをキャストする時間がもっとも長かった。もちろん示し合わせたわけではない。しかし、藤田は19歳のころ河口湖に引っ越してきてから夏のビッグフィッシュパターンの主役としてフットボール&ダディーのフォールで数えきれない50cmアップを獲っており、田辺もまたスローダウンの要として厚い信頼を寄せている。この一致は必然だろう。 だが、その釣りはむしろ真逆のものだった。

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田辺のガンターオーバル3/8oz+ビッグダディー 普段は5/8ozでリアクションバイトを引き出すためのスピードを重視する田辺だが、今回はウイードのあるボトムに埋まりすぎないよう3/8ozと軽めにした

藤田京弥の「動」:ハイスピードラン&ガン

藤田のフットボールは極めて動的。80Lbのエレキのダイヤルでいうと60~70とかなりのハイスピードでブレイクに沿ってボートを進め、進行方向15~20m先にフットボールをキャスト。決してラインを張らずにフリーフォールさせ、着底後はスッとワンストロークだけズル引きして回収。1投にかける時間は10秒ほど。巻き物と変わらないペースでサーチしていく。この日も芦ノ湖を午前中だけで半周する勢いで次々とラン&ガンを繰り返した。

「河口湖でさんざん50cmアップを釣りました。フォールのときは絶対にラインを張っちゃダメ。バイトが出るのは着底の直後か、短いズル引きを入れたタイミングがほとんどです。たぶん、落ちるジグにバスが着いてきてボトムで吸い込むんでしょうね」

ジグのウエイトは3/8oz。自分の経験と周りの話を総合し、自信をもって一番食うと言い切れるのがこの重さだという。 「できれば岬の先端で釣りたい。アフターの60cmクラスがジグを吸うとしたらこういう場所だと思うんですよね」

田辺哲男の「静」:確信のエリアでスローダウン

一方、田辺のフットボールは「スローダウン」と呼ぶにふさわしいペース。まずエリアについて。2日目の田辺は完全にエリアを絞り込んでいた。「ベイト」と「流れ」、「ウイード」の三拍子が揃った深良水門前と、早川水門周辺のフラットである。スポーニングエリアの一段下で待機するプリスポーナーをねらうという点ではねらいは初日から変わっていない。

積極的に「流す」操船をした藤田に対し、田辺はボートを止め360度にパラレルキャスト。 「確信をもってできるエリアがこの2ヵ所しかない。このスローダウンが泣きのスローダウンなのか、イケてるスローダウンなのかは釣れた魚のクオリティーでわかりますよ」

アクションは着底後数回トントンして、そこからはズル引き。操作時はラインとティップが直線に近い角度で、まったくティップを曲げていないのが印象的だった。ロッドワークだけでなく、時にはエレキを踏みながらショートドラッグ気味にズル引きする。 ジグのウエイトは5/8ozをメインにしてリアクションバイトを引き出すのが田辺の常とう手段だが、この日はウイードボトムに埋まりすぎないことを意識して3/8ozを用いた。

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「今日はスローダウンするよ」と田辺。ボートを流すのではなく、確信のスポットの周辺をくまなく探った

ビッグバイトを巡る明暗

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「フットボールに可能性を感じる」とスタートして間もなく、岬の先端でラインが走る! 藤田が思い描いたとおりのバイトだったが……

2日目の試合展開に話を戻そう。コトが起きたのは7時15分。最初のチャンスは藤田に訪れた。 藤田は、深良水門沖でスローロールする田辺を視界に入れながら、そのすぐ南側のワンドマウスにある岬の先端に入った。ワンドのなかでプリスポーナーを待ち伏せる田辺に対し、藤田は産卵を終え岬の先端に出たアフターをイメージ。両者ともボトム付近をクルーズする魚をねらっていた。

藤田は岬の先端のブレイク上にフットボールを投じフリーフォールさせる。するとラインが明確に横走り! トーナメントアングラーとして修業を積む過程の河口湖で何百回も見てきた光景だ。慌てるはずもなくフッキング態勢を整える。 「よし、理想の場所で食った。これ、でっかいですよ」

しかし、ロッドがバスの重みを受け止めたのは一瞬だった。回収したジグをチェックするとハリ先がわずかに開いている……。 「なんで……! 田辺さんの目の前で釣るチャンスだったのに……。これまでナカタジグで50cmアップを数えきれないくらい釣ってますけど、ハリ先が開いたことなんて一度もなかった。きっと55cmとかそういう魚で、よっぽど硬いところにハリ先が立っちゃったんだと思う……」

よく見るとフックを注視する藤田の手が震えている。 「釣ったときよりバラしたほうが手が震えるんですよね。仕方ない。バスフィッシングはミスがあるから面白い。それに今日は昨日とは雰囲気が違う。暖かくなって魚が動いてる気がしますから、これから釣りますよ」

8時には百貫の鼻の南側でミスバイト。明確なバイトが出たがフッキングしようとするとすでに重みは乗っていなかった。 「吸い込みに失敗したかな。でも楽しくなってきた。このパターン、いいかも! たぶん5~6mに魚が多いですね」

そして8時53分には3度目のバイトを捉えこの日の1尾目をキャッチ。初日に釣って計測しなかった魚と同じサイズの放流魚だったが、藤田は丸のみされたフットボールを眺めながら「昨日の魚と同じサイズで、これで勝てる魚じゃない。けど、パターンを追った結果キャッチできた1尾。この魚は測ってもいいかな」とつぶやいた。ウエイトは1210g。ナイスフィッシュ!

藤田2日目の1尾目
8時53分、ブレイクをフットボールで撃ちまくりこの日の1尾目をキャッチ

しかしこのあとフットボールへのバイトは途絶えてしまった。代わりに機能したのはシャローフラット上のサイトフィッシング。フィーディングモードに入ったバスであればチャンスがあると踏んだ藤田は成蹊に広がるシャローフラットに何度も入り直した。

ここではスピナベサイトとジョイントフカベイトで50cmアップのバイトを引き出したがどちらも乗らない。いずれも2kgを超える魚だったのだが……。結果、15時の帰着までにスコアアップすることはできなかった。 「こんなに難しい芦ノ湖は初めて。2日間でチャンスは10回はありましたけど、乗らなかったりバラしたりするっていうことはハマっていないということ。田辺さんの結果はわかりませんが、少なくとも芦ノ湖に完敗です」

一方、スローダウンを組み入れた田辺の展開も苦しかった。「一段下のプリスポーナー」をねらうがスタートからノーバイト。水深3m前後のウイードに意識をシフトし、その前後のレンジをクルーズする魚がウイードの中にジグを見つけてつまみ食い……と、イメージを微調整しながらキープキャスティング。

最初のバイトが出たのは12時40分。フッキング後に水面を割った魚は初日の1730gを超えるサイズではない。勝敗という意味で言うと、釣っても釣らなくても結果は変わらない魚である。 しかし幅広の魚体を見た田辺の喜びは深かった。 「スローダウンゲーム! この体型の魚だよ! オレが釣りたかったのは!」

田辺はそのプリスポーナーを船べりに寄せると、左手で魚体を抱き、その感触をじっくりと噛みしめながらデッキに誘導。決して急がないその動作からは、マイゲームを結実させた充実感とバスへの愛情が溢れ出していた。

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フットボールジグでキャッチしたこの魚は1380g。「スローダウンゲーム! この体型の魚だよ! オレが釣りたかったのは!」
DAY 2 MOVIE

LIMIT1 初戦、決着!

LIMIT1 オープニングゲームのウイナーは田辺哲男! 1730g

決まり手はディーパーレンジ3/4ozの5mスローローリング。日本を代表するスローローラーがスーパークリアウォーターに怯むことなく自分の技を押し切った。その先に待っていた1尾だった

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