草創期の海サクラシーンを牽引した名作『ショアラインシャイナーSL』シリーズが、フリークたちの熱い要望に応えて復刻。SLに寄せられた信頼と期待を裏切らぬよう内部構造に改良を施し、大幅な進化を遂げた。そのコンセプトに加え、2025年春の釣行時の模様を佐藤博之さんがリポート。『Aiveセミロング』の新色にも言及する。

文と写真◎佐藤博之
協力=グローブライド株式会社
1976年北海道帯広市生まれ。ダイワ トラウト フィールドテスター。20代前半で海サクラマスと出会い、その魅力に取り憑かれる。サクラマスを筆頭に、北海道のフィールドを知り尽くしたエキスパート。
ただの“復刻版”では意味がない。「SaqSas加工」を重心移動機構に応用
海サクラの草創期を支え、多くのアングラーに強烈なインパクトを植え付けた『ショアラインシャイナーSL』シリーズが、ついに復刻を果たす。SLは“海サクラ専用ミノー”という概念が定着する前から結果を残し続けてきたルアーだ。発売されて20年が経った今でも根強い人気は衰えず、再販の要望が絶えなかった。
SaqSas(サクサス)によって進化したポイント
このミノーで何度もよい思いをしてきた私自身も、復刻を熱望していた一人である。とはいえ、単なる“復刻版”では意味がない。SLに寄せられた信頼と期待を裏切らず、現代のタックルバランスにも合うよう、内部構造が大幅にブラッシュアップされている。
最大の改良点は、前後2組のワイヤーオシレートシステム部分(シャフト)に施した「SaqSas(サクサス)加工」だ。元来はフックの貫通性能を高めるために開発されたフッ素系特殊加工技術を、あえて重心移動機構に応用。これにより、わずかな傾きでもウエイトが滑らかに移動することで、以下のような恩恵をもたらす。
一つはアクションレスポンスの向上だ。旧SLは「ウエイトが戻らず立ち泳ぎになったまま帰ってくる」というケースも少なくなかったが、今作は着水後の巻き始めからウエイトが素早く前方に移動する。ジャークやトゥイッチを加えても復元が早く、ねらったタイミングで本来のアクションを引き出せるようになった。
次に、飛行姿勢の安定だ。前作はキャスト面でややピーキー(フルキャスト時にクルクル回転するなど)との意見も少なくなかったが、SaqSas加工の効果でウエイトが確実かつスムーズに後端まで移動し、誰が投げても飛距離が伸ばせるミノーへと進化している。
サイズラインナップは「14LD-S」と「17LD-S」の2機種で、それぞれに明確なテーマがある。14LD-Sは海サクラシーンの万能型。スリムシルエットと独自のうねるようなS字ウォブンロールアクションが効き、遠浅サーフはもちろん、22.5gの自重によって浮き上がりにくいため足場の高い磯でも扱いやすい。
17LD-Sは荒天攻略の切り札。30.5gのウエイトと大型リップが相まって、とにかく波風に強く、大もののヒット率も高い。
前後2組のワイヤーオシレートシステム部分(シャフト)にSaqSas加工を施すことで、わずかな傾きでもウエイトが滑らかに移動。空中姿勢が安定するため飛距離が伸びる。また、着水後の泳ぎだしはもちろん、ジャークやトゥイッチを加えても復元が早く、ねらったタイミングで本来のアクションを引き出せる
ショアラインシャイナーSL LD-S スペック
北海道で海サクラの釣りが定着しだした2000~2010年代、各地で高実績を誇った『ショアラインシャイナーSL 14S-G』と、大型海マスに効果抜群だった『同17S-G』の重心移動システムに改良を加え、『ショアラインシャイナーSL 14/17LD-S』となって再登場。同社独自のSaqSas(サクサス)加工を施した「サイレントダブルオシレートシステムVer.S」により、遠投性能とアクションをブラッシュアップ。トラウト類に有効とされる赤バリ(オーナーばり『カルティバ ST-46RD』)を標準装備。
| モデル | サイズ | 重量 | 価格(税込) |
|---|---|---|---|
| 14LD-S | 140mm | 22.5g | 2,475円 |
| 17LD-S | 170mm | 30.5g | 2,915円 |
カラーラインナップ
アルミッシュオオナゴ
SLシリーズといえばこのカラー。アルミ調のややくすんだ輝きが、食い渋った状況や強い反射を嫌うスレた個体に効く。

桜ピンク
アルミッシュオオナゴと並んで歴史が古く、愛用者の多かったカラー。蛍光ピンクバックとウエーブホロを採用したアピール色で、マヅメ時や濁りに強い。

レーザーマイワシ
配色の濃淡とシルバーの縦ホロが明滅効果を発生させる。マイワシやニシンなど、ウロコがギラギラしたベイトフィッシュを見つけたら即投入すべし。

HITグリーン
テスト段階からヒット率が高かったカラー。やや青みを帯びたグリーンバックはとくに日本海の潮になじみやすく、ウエーブホロによる存在感も確保。

レーザー北海カタクチ
カタクチイワシ特有の、うっすら紫がかった体側と深緑色の背中を再現。どんな状況でも万能に使える美しいカラー。

スケミラー
トレンドのメッキ系カラー。角度によってギラっと反射したり、光を透過したりする「ハーフミラーホロ」を採用。周りと差をつける一手として最適。

「バーティス」との棲み分け・使い分け
既存モデルで海サクラの釣果もよく聞く『ショアラインシャイナーZ バーティスR』シリーズとの使い分けについても述べておこう。
まず双方の違いは、いわずもがなボディー形状にある。SLはバーティスよりもスリムだ。アクションに関しては、後者のほうが多少タイトな印象を受ける。
SLの泳ぎは、前述のとおりウネリを伴ったS字ウォブンロール。だが私としては、ヘビが動いているようなスラロームアクションにも見え、これがサクラマスにかなり有効だと思っている。
SLとバーティスの使い分け目安
| ルアー | アクション特性 | 有効なベイト |
|---|---|---|
| SL | S字ウォブンロール (スラローム系) |
カタクチイワシ、オオナゴ (細身の小魚) |
| バーティスR | タイトなウォブンロール | マイワシなど (コロンとした魚) |
どちらも基本的な使い方はタダ巻き。それでも充分に食わせられるのが、ショアラインシャイナー・シリーズの凄さだと感じる。強いていうなら、マイワシなどのコロンとしたベイトが捕食されているときはバーティス、カタクチイワシやオオナゴなど細身の小魚がエサとなっている場合はSLがマッチするだろう。
ちなみにSLはリーリングの強弱でスラロームの幅をコントロールできるため、そのときどきのサクラマスの活性に応じて操作を変えてみるのも効果的だ。
実釣テストでもサクラマスに威力を発揮
4月に『ショアラインシャイナーSL 14LD-S』のプロトが届いたので、道南日本海にテストへ向かった。全体の状況を把握すべく各ポイントを回ってみたものの、どこも釣れているようすはない。そこで河口近くの磯場にエントリー。最初は使い慣れている『Aiveセミロング-H』で広範囲を探り、手前でヒットさせたが、その後は反応が途絶えてしまった。
次はSLに結び替えてキャストすると、気持ちよく飛んでいく。昔の印象では10回中3度はブレることがあったが、今作はそれがまったくない。キャストが決まった瞬間の伸びが心地よく、重心移動システムのシャフトに施したSaqSas加工だけで、ここまで変わるものかと驚かされた。
着水後も巻き始めからしっかりと潮をつかんで泳ているのが手もとに伝わり、釣れるイメージが浮かんでくる。かつてSLを使っていた頃の感覚が一気に蘇り、「海サクラにはやっぱりコレだ!」と、どこか懐かしさすら覚えた。
そのままタダ巻きで探っていると、わずか数投でヒット。これまでジグをいくら通しても反応がなかったのに……。さらにキャストを続けると、サクラマスが何度も追ってくる。SLのアクションとスリムなシルエットが海サクラに有効であることを、あらためて確信した瞬間だった。
海サクラマス専用ジグ「Aiveセミロング」との使い分けも有効
5月上旬、撮影で再び道南日本海へ。正直なところ「今年の釣れていない状況で撮影は厳しいぞ……」と思いながら出発した。
最初に島牧方面へ向かったが、前情報どおり釣れていない。そもそも釣り人の姿が見当たらないほどだった。嫌な予感を抱えつつ磯場でサオをだしたものの、追いも反応も得られないまま初日は終了。
翌日は釣果が聞かれていた留萌まで行く案も浮かんだが、宿泊先の黒松内町から遠すぎて撮影スタッフの表情が曇る(笑)。そんなとき、せたな町の友人・丸谷さんから「こっちでもポツポツあがっていますよ」とありがたい連絡が。迷わずせたな町の磯場を朝イチで目指した。
そのエリアは水深が浅いため、今季発売のAiveセミロング-H 35gアルミ貼り仕様・アルミピンクゴールドを選択。周囲を見渡しながらキャストしていると、サクラマスの跳ねが見えた。そこに向かって投げ、一発でヒット。しかし強いウネリのなかでタモ入れを焦り、痛恨のバラシ。「やってしまった」と落胆したものの、魚がいることは分かったので、すかさず気持ちを切り替える。予想どおり再びアタリがあり、今度は無事にランディング成功。
ゴールドは水中での視認性が高く、Aiveセミロングのピンクは蛍光塗料で紫外線を吸収して発光するため、両者の相乗効果でアピール力がさらに増す。サクラマスの少ない時期にルアーを見つけてもらううえで、このカラーは理にかなっているといえる。
その後も跳ねは見られたが、しだいにウネリが強まってきたのでゴロタ場へ移動。ここも浅いポイントゆえ、同じジグの35g・アルミオオナゴを結んだ。そしてリトリーブ中にガツンとヒット!朝イチに先行者が入っていたことから魚もスレ気味かと思い、ナチュラル系カラーに変更したのが正解だったようだ。アルミはホログラムよりも鈍い輝きになるため、食いが渋いときに最適。また、日中のアピールを抑えたい場面にも向く。
ベイトのカタクチイワシに合わせSLでヒット
昼食後はミノー主体の釣りを展開すべく、再び磯場へ。目的の磯にはカタクチイワシが打ち上がっており、沖ではイルカの群れが200mほどの距離を回遊していた。なるほどカタクチイワシがイルカに追われて逃げ込んできた状況で、さらにワンド地形が絡む好条件が重なり、サクラマスが溜まっている可能性が高い絶好のタイミングだった。
さすがにミノーでは届かなさそうな場所で跳ねがあったので、『AiveセミロングTG-H』35gのアデルグリーンゴールドをセレクト。130mほど飛ばして、巻き始めに当たった。鉛製のジグでも攻略が難しいときこそ、タングステン製の出番だ。
続いて近くで跳ねたため、SL 14LD-Sのアルミッシュオオナゴに替え、約35m先のサクラマスが回ってきそうな根と海藻帯の周りをタダ巻きで通したところ、手前までチェイス。再度同じコースを引いてくると、コツンと当たった後に追い食いしてきた。やはりサクラマスもイルカに追われてワンドに入っていたようだ。
ミノーの射程圏内にサクラマスがいる状況では、SLの強さが際立つ。この美しいS字ウォブンロールアクションは、もはや“サクラマススペシャル”といっても過言ではなく、魚もアングラーも魅了する。



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