連発ヒットへ導くのは、まさにエリアトラウトの醍醐味だ。そのためには、ただ漫然とルアーを投げるだけではダメ。各ルアーの特性を理解し、状況に応じて使い分けながら「釣りやすい魚」を探すことが重要になる。『エリアトラウト独習法』の筆者・駒﨑佑典さんが行なう、朝1時間のサーチに学ぶ。

解説◎駒﨑佑典
写真と文◎松本賢治
ルアー専門店「アングラーズショップmaniac’s」代表。注力するエリアトラウトでは、来場者4000 人超という業界最大規模のイベント「マニフェス」を主催。2025 年からはエリアトーナメントの新団体「Freex」の代表も務める。『エリアトラウト独習法』著者。
漫然とルアーを投げるだけでは釣れない。「サーチ」の重要性
12月1日、駒﨑佑典さんが訪れたのは、中部地方で最大級のポンドを構える三重県いなべ市の『フィッシング&カフェサンクチュアリ』。11月29日・30日には「トラウトキング選手権」のオープンダブルスとオープンシングルス第2戦が行なわれ、駒﨑さんはその運営にも携わっていた。
「サンクチュアリさんには年に数回、大会で訪れます。魚影は濃く、スレている魚も少ない。どんな釣り方でも素直に食ってくれる、大好きなエリアです。前日に大会でさんざん叩かれていますが、朝イチは活性が高い。反応のよい時間帯にさまざまなルアーを使い、チェイスや食い方を見て魚のコンディションを探っていきます。私の場合、朝の1時間はストロングパターンを見つけるための集中したサーチ時間です」
エリアトラウトは限定された立ち位置で釣りを楽しむ。そのキャスト範囲内でどんなコンディションの魚がいるのかを確かめ、ストロングパターンを見出すと駒﨑さんは言う。そして魚の活性が高いオープン直後の1時間は「本日の食わせやすい個体」を絞り込みやすい。1つのルアーを2、3投し、ローテしながらテンポよく反応を確認していく。まずは高活性な魚のいるレンジ、バイトの多いルアー速度、動きの強さ、カラーなどを見るのだ。爽やかな朝、静かなポンドの前で和やかな表情ながらも、駒﨑さんはトーナメントさながらの張り詰めた空気でスタートした。
魚のコンディションを知るためのルアーとローテ例
それでは駒﨑さんの初手からのルアーセレクトや考え方を追ってサーチの方法を見ていきたい。
| ルアー名 | カラー | 狙い・役割 |
|---|---|---|
| ドーナ2g | オレ金 | 【強波動・速巻き】放流魚狙い。強い釣りでレンジを把握する。 |
| ノア1.8g | チャート金 | 【強波動・速度ダウン】活性の残る個体を少し速度を落として探る。 |
| ウッサXS | - | 【クランク・強波動】スプーンよりスローに引ける強波動ルアー。 |
| ワウ37F | - | 【表層特化】水面直下をデッドスローに引いて反応を見る。 |
| イーグルプレーヤー 50スリム/GJ |
- | 【マジックジャーク】縦の動き(浮上)でリアクションバイトを誘う。 |
| さかさにょろ60SF | - | 【ニョロ系】細長シルエット&スロー引き。独特なアクションに、反応する魚をチェック。 |
| グラビティ | 黒金→シルバー→ピンク | 【スライド系スプーン】レンジを下げ、アクション変化とカラーを弱めていく。 |
| ハント0.9g | 表チャート/裏黒 | 【マイクロスプーン】1gアンダーでシルエットを嫌う魚に対応。 |
| シャインライド | - | 【ボトムミノー】弱い波動でボトムに張り付く個体を狙う。 |
第1フェーズ:強い釣りから入る(スプーン展開)
ドーナ2g(オレ金)
「朝イチは、釣れなくても強い釣りから入ります。前日の大会では放流も入っていますから、まずは波動が強い重めのスプーンを速巻きしてチェック。ドーナ2gのオレ金は放流ねらいの代表のようなスプーンです。釣れなくてもバイトが出ればレンジ感が掴めますからね。その状態で次の弱波動へ繋げていきます」
そう話すとすぐに1尾目をキャッチ。ヒットレンジは水面下50〜60cm。もう1投すると触りはあるが食い切らない。2投でルアーをチェンジした。
ノア1.8g(チャート金)
「先発でヒットのあったレンジを回遊している個体をねらいます。活性が残っているうちに、できるだけ多くの情報を得たい。次はノア1.8gで、巻き速度を落として探ります」
カラーはチャート金。強めの色ではあるが、オレ金よりは弱い。これも食ってくるが、連発ヒットには至らず。「この重さのスプーンの速度域では、魚に寄り添えていないかも」と今度はクランクに交換する。
第2フェーズ:クランク&ミノーで表層を攻略
ウッサXS
「スプーンをさらに軽くすれば釣れるでしょうが、それよりクランクで簡単に釣れる魚がいるかどうかをチェックしたい。オーバーリップタイプのウッサXS(エクストラシンキング)は強波動だけどスプーンよりスローに引けます。アピール度は強くドーナに触ってきたタイプの高活性魚も反応しやすい。レンジも調整しやすいです」
水面下50cm以内を探ってたちまちヒットした魚はフロントフックに掛かっていた。
「フロントフックに掛かるのは、下から食い上げている可能性が高いんです。上のレンジでの反応がよさそうですね」
そして同レンジで立て続けに2尾がヒットした。
ワウ37F
「今度はさらに上の表層でゆっくり引くとどうなるかをチェックしたい。ワウ37Fは表層特化型で水面直下をスローに引けます」
スローなリトリーブでは1投目でヒットした。キャスト数を抑えるため、2投目は沖めに投げて速度を変化させたりチョンという誘いのアクションも加えて反応をうかがう。寄ってはくるが食いつかない。今度は表層付近の魚がタテの動きで反応するかを確認していく。
イーグルプレーヤー50スリム/GJ
セットしたのはイーグルプレーヤー50スリム/GJ。巻いて、止めて、浮かせる。タテの動きでリアクションバイトを誘うメソッド「マジックジャーク」特化型ミノーである。これも1投目からヒットした。
「巻いて潜らせてから水面下20cmほど浮上したところで食いましたね」
さらに同じパターンで2尾を追加したことから表層付近の高活性魚は充分に反応をもらえるルアーだと分かる。
さかさにょろ60SF
「これまで使った小粒のクランクとは異なる細長いシルエットのニョロ系クランクでよりスローに引いたらどうなるか?マジックジャークとは対極のさかさにょろ60SFに替えます。よく飛ぶルアーなので沖の魚のコンディションも確かめやすい。ただ当たれば大当たりだけど、外れると全くダメという両極端なアイテムです」
これも1投目でヒットした。ここまで水面下50cmまでの表層域を多彩なルアーで探り、スレさせずに釣ってきた駒﨑さん。しかし同レンジの活性は落ち始めていると判断した。次はレンジを下げてスローな釣りを試していく。
第3フェーズ:レンジを下げて「食わせ」と「ボトム」へ
グラビティ1.65g(黒金)
「サンクチュアリさんは水質がマッディーです。黒でシルエットを強調するとアピール度は高いです。グラビティはスライドアクションも特徴のスプーンです。サイズを落とし切る前にアクションの変化で食うかチェックします」
と1投目はヒットしたが2投目からはサワリはあっても乗らず。ここで深追いはしない。
グラビティ1.35g(シルバー→ピンク)
さらに弱い釣りへグラビティ1.35へチェンジ。ウエイトを軽くし、カラーもシルバーへ。「思ったより高活性が残っていない感じですね」
今度は着底から巻き上げては落とす操作を繰り返してみるとヒットするがバラしてしまった。「ボトムへ逃げている個体が食っているので色を弱くしてみます」
食わせカラーであるピンクへ替えるとヒット。ただし、状況は確実にスローに傾いていた。
「キラキラしたカラーは高活性な魚には効果的ですが、活性が落ちてきてそれを嫌う魚にはピンクやホワイトや蛍光系が強くなってくる。キラキラまでいかないけど派手目のカラー。地味な茶色やカラシなどの食わせ色を使う前に試してほしいカラーです」と今度はカラーローテでようすを見た。
ニュードロワー ハント0.9g(表チャート/裏黒)
「目の前の魚たちは大きいシルエットや派手なカラーを嫌っています。1gアンダーのスプーンに替えてみましょう」
波動の強いマイクロスプーンのハント0.9gを投入すると白っぽい小型のニジマスがヒットした。
「ボトムで動かず、カロリーを使わずに食いたい残存個体(放流後長く時間の経った魚)ですね。こういう個体が多いことも事実。どの個体にねらいを絞るかを見出すためのサーチですから、キャッチできれば間違いではない」
シャインライド
最後はボトムの釣り。マイクロスプーンよりも弱い波動を出せるリップレスボトムミノーのシャインライドに交換すると1投目から答えが出た。
「これも白い残存個体ですね。スローで弱い波動の食わせやすいルアーで無理やり掛けていくイメージの釣りです」
ボトムシェイク×スローリトリーブで明快な反応が得られる。「大切なのは今どのコンディションの魚をねらっているのかを自覚すること。それが分からないと、ルアーもカラーも選べません」
釣れない時こそ「魚に寄り添う」選択を
上層から下層へ。重さ、速度、波動を変えながら各セクションでデータを収集する。この段階では釣果を深追いせず再現性を求めない。とはいえ驚くのは、サーチ中にも駒﨑さんが周囲より多く釣っていることだ。スレさせないようにルアーをローテしていることも要因だが、何よりさまざまなタイプのコンディションの「魚に寄り添えている」証だろう。釣れないアングラーは「たまたま釣れた1尾」の再現性を求めすぎ、負のスパイラルに陥っているともいえる。
エリアトラウトは数を釣るだけが楽しみではない。多彩なルアーを使って魚がどんな反応を示すかを確かめていくのも面白い。何せ答えはすぐに出る。駒﨑さんのルアーボックスには膨大なルアーがあるが、ひとつひとつの特性を深く理解している。だからこそ、魚に寄り添うための一手が可能になる。そして朝の高活性な時間帯は、ルアーの持つチカラを確かめるのに最適なひと時なのだ。
釣り場ガイド:フィッシング&カフェサンクチュアリ

三重県いなべ市にある今年で21年目を迎えるフィッシング&カフェサンクチュアリ。第1ポンドが大きく、入っている魚のサイズも大きい。25 〜40cm のニジマスや60cm 後半のロックトラウトがメインで放流されている。桟橋からの釣りもできる。水深は最深部で4m。第2ポンドはニジマスのアベレージは25cm、30cmほどのブラウントラウトも入っている。トーナメントはこちらで行なわれる。最深部で2m。今回の釣り座は写真の右端の影の面。陽が当たらずにこの時期は寒いが釣果は期待できる。ショップもカフェも充実している
- 住所:三重県いなべ市藤原町山口1872
- 公式サイト:https://go-sanctuary.com/
- 営業時間:午前7時30分〜午後5時
定休日:毎月第3木曜日(カフェは毎週木曜定休) - 料金:
- 【大人】1日券5500円、半日券4500円
- 【女性・中学生以下】1日券4500円、半日券4000円
- 【ファミリー】1日券6000円
- レンタル:ロッド1本2500円、ルアーセット1000円、タモ100円
- アクセス:新名神高速道・新四日市JCTから東海環状道方面、終点大安へ。東海環状道・いなべICを降りて鎌田交差点を右折。しばらく走ると看板あり。
※このページは『つり人 2026年2月号』に掲載した記事を再編集したものです。

%20(2).jpg)

