都内のアングラーにとって千葉県の房総半島は釣行しやすいアジングフィールドだ。ひと口に房総と言っても内房と外房では釣り場として異なる表情を見せる。知って得する内房・外房事情をキャスティングイオンモール木更津店の雪下健吾さんに訊いた。
解説◎雪下健吾(キャスティングイオンモール木更津店・店長)
雪下健吾(ゆきした・けんご)プロフィール: 君津市在住。キャスティングイオンモール木更津店店長でライトソルトを得意とする。房総のアジング歴は20年以上。始めたころはアジング専用ロッドもまだなかった。
房総半島アジング:「内房」と「外房」の違い
| 内房アジング | 外房アジング | |
|---|---|---|
| おすすめ時期 | 春〜夏 (4月頃から) |
冬 (11月〜12月など) |
| エリアの特徴 | 浅い東京湾に面している、流入河川が多い | 深い海に面している |
| 釣り場の傾向 | 岸壁・河口部 | 漁港のスロープ |
| 釣果のキーポイント | 潮の干満(流れ) | 風向き・ベイトの有無 |
「内房」と「外房」は面している海の水深が違います。外房のほうが深い海に面していますが、内房が面している東京湾は浅く、アジの行動に違いを生んでいます。また、内房は小規模な河川が多く、これらの河口周辺もポイントになります。
一方、個々の釣り場で見ると、内房は岸壁などのポイントが多く5~6mくらいの水深までねらうことがありますが、外房のポイントは漁港のスロープなどが多く、1~2mのシャローねらいになります。
アジのサイズや個体の傾向
よく釣れるアジのサイズは内房も外房もそこまで違いません。そのうえで尺などの大型のサイズが出やすいのは外房、とくに南房エリアになります。
外房・内房で群れを見つけるためのコツ
内房では釣果が出るときはたいていエリア全体で回遊が始まって一斉に釣れ始める傾向があります。また、内房では小規模河川の存在がエリア的な特徴と言いましたが、春から夏にかけてクルクルバチなどのバチ抜けがあるとアジもそれについて群れが入り、河口部もポイントになりますから、バチ抜けの動向を把握しておくといいでしょう。
外房では、ベイトフィッシュやアミなどマイクロベイトの有無が重要で、これらのベイトとアジがポイントに入っているとライズがあるのでわかります。アジの跳ねる姿など目視できる情報を重視して釣りをしています。
【時期】春〜夏は内房、冬は外房がおすすめ
春夏は内房が釣れやすく、冬場は外房のほうが数を釣りやすいです。季節ごとの釣果に違いを生む要素としては、産卵と適水温ではないでしょうか。6月に産卵をひかえたアジが4月くらいから内房で釣れ始めるようになると、外房の釣果は落ちてくる傾向があります。逆に11~12月は内房が釣れなくなって外房がよくなったりと両者の傾向はリンクしないことを覚えておくとヒントになりますよ。
房総アジングの釣りやすい時間帯や条件
夜かデイかで言えば、外房のほうがデイで釣れるチャンスが多い印象です。おそらく食性やベイトが関係していて、アミ系やマイクロベイトについて回遊しているアジがいて、その群れが釣り場に入っていれば釣れるのだと思っています。
また、ナイトアジングでは常夜灯が定番のスポットなのは外房・内房ともに変わりません。どちらも明暗の暗側をねらうのがいいです。
内房アジングは潮の動き(タイドグラフ)を重視
内房では流れが出ないと釣れません。干満で潮が動いていたほうがアジのやる気が出て港内でなくとも釣れることがあります。ですのでタイドグラフで潮が動く時間帯を確認して釣行するのがいいでしょう。
外房アジングは風向きとベイトの有無を意識
外房では風向きを気にしてください。多少釣りがしにくいくらいの向かい風が当たっている状況では前述したベイトが寄せられるのでイージーに釣れます。とくに漁港のような釣り場で左右にポイントがある場所では、風が当たっているほうを向いて釣りをするのがチャンスです。
シケ後の場合、外房は期待値が下がる
荒れてシケたあと、海がぐちゃぐちゃになっているときは、海藻などが少なく浮遊物に悩まされにくい内房なら釣りが成立する可能性が高いです。外房のポイントは港内にも海藻が多く、荒れた後はフグしか釣れないということになりがちです。
房総アジングで使用するタックルとルアー
タックルのセッティングは基本的に同じでOKで、どちらもメインラインにエステル0.2号を組んだジグ単用のタックルで対応可能です。
私が気に入っているセッティングをお伝えすると、ロッドはテトラワークス・リアクトTWRT-58。5フィート台のロッドが軽量で感度もよく愛用しています。リールはイグジストSF2000SS-Hです。ダイワのスピニングのSFモデルは軽いしドラグ性能がよくて素晴らしいと思います。リーダーはフロロ3Lbを基準に、豆アジがメインになるなら2~2.5Lbくらいまで細く、外房で尺アジも視野に入れるなら4Lbへ太くすることもあります。
ジグヘッドの重さとワームサイズ
ジグヘッドは0.8gが先発です。最初の問いで内房は5~6m、外房は1~2mの水深をねらうポイントが多いとお話ししましたが、どちらも0.8gから始めるのがおすすめです。
そこから食いが渋い、もしくは表層付近をねらうときは0.5gまで落としたり、風が強ければ1.2gまで上げたりして対応しますが、多くの状況で0.8gがメインになります。
ワームはテトラワークスのバーニーというツインテールを愛用していて、サイズは1.8inです。個人的に信頼度が高いので他のワームにローテーションすることはあまりないですが、外房ではフグが多くてワームの消耗がひどいケースも多いので、エラストマー系素材のハリ持ちがいいワームがあると重宝します。
房総で実績の高いカラーは?
カラーはグロー系のオキアミカラーがどこに行っても安パイで、8割これで通してしまいます。バーニーでは「アミっこ」というカラーです。濁りがキツいときには「つぶつぶピンク」などグローピンク系を試すこともあります。
内房と外房で初心者が楽しみやすいポイント
私がポイントを選ぶ際に大事にしているのは、地元の漁業関係者や住民とのトラブルを避けること。ポイ捨てやトイレの問題などは当然として、やはり車を停める場所には気を遣っています。有料パーキングを使ったり、無理して近くに止めず少し遠くても歩いて移動したりしています。
お客さんにポイントを教えてほしいと質問されたときも、問題なく駐車できる場所がある釣り場を案内するようにしています。そこで、駐車場所があってビギナーの方も不安なくアジングを楽しめるポイントを挙げます。
内房では木更津の内港公園とその対岸の鳥居崎海浜公園をおすすめします。いずれも公園内に駐車場とトイレがあり快適です。
外房ならまずは勝浦市の勝浦漁港。勝浦漁港では夕方16時~朝4時まで釣りが許可されていて、ナイトゲーム限定にはなりますがスロープの両サイド周辺がビギナーには釣りやすいでしょう。もうひとつ挙げるなら勝浦から8kmほど西の興津港(西港)です。こちらは広い堤防や足場のよい岸壁があり、先端の堤防の手前に駐車スペースもありますので、停泊中の船に迷惑を掛けないように楽しんでください。
※このページは『つり人 2026年1月号』の記事を再編集したものです。



