海のレンタルボートといえば、手漕ぎもしくは小さな船外機の付いた平船和船がほとんど。 だが、本格的なプレジャーボートを、実にお得な料金で借りられるシステムがある。 会員制のヤマハマリンクラブ「シースタイル」だ。
おすすめ時期:12~1月
つり人編集部=写真と文
海のレンタルボートといえば、手漕ぎもしくは小さな船外機の付いた平船和船がほとんど。だが、本格的なプレジャーボートを、実にお得な料金で借りられるシステムがある。
会員制のヤマハマリンクラブ「シースタイル」だ。
力強いエンジンを搭載したプレジャーボートは、気ままなオフショアフィッシングを強力にサポート。
勝負の早いルアー釣りならシーバス、青もの、ロックフィッシュ、エギングと海況にマッチする欲張りな釣りを実現しやすい。
今回はシースタイルの会員でもある荻野貴生さんと沖田護さんが、晩秋の館山湾でルアー五目を満喫。
この記事は『つり人』2016年1月号に掲載したものを再編集しています。
ヤマハシースタイルとは?


リーズナブルな料金設定で、国内なら北海道から沖縄まで全国約140ヵ所のマリーナ及び、ハワイやパタヤ( タイ) 等の海外でヤマハのレンタルボートが利用できる会員制サービス、それがヤマハマリンクラブ・シースタイル。会員制といっても、入会金が2 万1600 円( 税込)、月会費3240 円(税込)と庶民的な料金設定。あとは、各マリーナが所有しているクラブ艇を利用する時に、艇によって異なる使用料を払い、使った燃料費を払うだけである。たとえば高尾商会が所有する6 人乗りのクラブ艇の料金は、6 時間利用しても1 万1300 円~ 1 万6500 円と、かなり安く設定されている。当然ふたりで乗れば料金は半分、4人なら4分の1で済むわけだ。値段の幅は、季節や休みによる違いである。週末や祭日は利用者が集中してしまうので、早めの予約がおすすめだ。クラブ入会条件は、満18 歳以上( 未成年者は保護者の承認が要) で、2級( 5海里限定) 以上の小型船舶操縦士免許または特殊小型船舶操縦士免許の所得者である。特殊小型船舶操縦士免許は、マリンジェット( 水上バイク)の利用の場合必要となる。
入会金2 万1600 円(税込)
月会費3240 円(税込)
利用料4100 円~ (税込)
問い合わせ先 マリンホットライン
魚の居場所、ヒットパターン。オフショアの釣りを構築する喜び
「ヒラメキとタイミングを活かした自由な釣りを楽しめるのがボートフィッシングの魅力です」
そう語るのは荻野貴生さん。東京都中央区でルアーショップ『GOOBER』を営み、東京湾のシーバス釣りに精通する。また琵琶湖や霞ケ浦といったビッグレイクでブラックバスのガイドサービスも行ない、一方でハゼやカワハギといった江戸前の小もの釣りも得意なオールラウンダー。中でも好きな釣りの筆頭株は、やはり海のボートフィッシングである。
魚探をはじめ、さまざまな情報を頼りに機動力の高いボートを自ら操り、魚の居場所からヒットパターンまでをすべて独力で構築する。そんなゲーム性には格別の魅力と喜びがあるのだ。
今回は釣友のバスプロ・沖田護さんを誘って千葉県館山の海でルアーの五目釣りを楽しむことに。沖田さんは日本一の流域面積を誇る利根川が舞台のTBC(利根川バスクラブ)を中心に活躍するバスプロで、今年度もクラシックを制覇した名手。10月に開催された姉妹誌『Basser』主催のバサー・オールスタークラシックにも選出され好成績を収めた。バスだけでなく、ヘラブナからマダイまでなんでもこなし、レンタルボートを駆使したエギングやシロギス釣りも大好き。
ふたりは5年ほど前にヤマハが運営するマリンクラブ『シースタイル』の会員になった。
「全国各地のマリーナで本格的なプレジャーボートがレンタルできます。ボートフィッシング好きの僕らにとってこんな素晴らしいサービスはありませんよ」
と荻野さんが語るように、シースタイルに入会するとメンテナンスの行き届いたプレジャーボートを格安で利用できる。しかもどのクラブ艇もGPSが標準装備という贅沢ぶり。加盟マリーナは、北は北海道から南は沖縄、ハワイやパタヤ(タイ)などの海外にもあり、文字どおり全国津々浦々でボートフィッシングが楽しめる。これまで2人は館山ではエギングをメインに、福島県小名浜では大型アイナメやソイをねらってシースタイルを活用している。
舞台となる館山は都内から1時間強と至近の距離にありながら、エギングでアオリイカ、メタルジグで青もの、トップウオータールアーでシーバス、海底をワームで探ればカサゴやソイなどのロックフィッシュがねらえ、まさにソルトルアーフィッシングのパラダイス。
館山でクラブ艇を所有するのは『高尾商会』。クラブ艇は2艇あり、今回利用するのはYF -23Fという本格的なフィッシングボート。全長7・5m、4ストローク115馬力エンジンの10人乗り。2人で釣るには余裕すぎるほど広いボートだが、足の速い回遊魚を追いかけるにはパワフルなボートほど有利だ。
乗船場所は高尾商会のすぐ裏にある船形港。ボートの停留所には車を横付けでき、道具の積み込みもスムーズに行なえる。
高尾商会の店主に状況を聞けば「イナダやショゴが回っています。シーバスもいい時期ですし、湾内ではタイラバで1㎏前後のマダイも釣れています。アオリイカはまだコロッケサイズで芳しくないですが、モンゴウイカの良型は高確率で釣れていますよ」と言う。

船形港のすぐ側にある高尾商会で受付を済ます。マリーナによって海のルールや航路などに気を遣わなければならないので、事前に講習を受けることが義務付けられている。これも、安全にボーティングするための基本なので、きちんとレクチャーを受けたい。なおクラブ艇の利用時間はマリーナによって異なるので注意。高尾商会の場合は10~5月は8時30分~18時、5~9月は7時30分~18時が通常の利用時間になっている。が、独自のサービスとして早朝出港も可能。このため朝マヅメの最高の時合もねらえるのがうれしい。



トップシーバス、メタルジグでイナダ
6時30分、朝日で黄金色に染まった海面をボートが滑り出した。ハンドルを握るのは沖田さん。港を出るまで徐行運転。そして港口を出てからはエンジンの回転数を一気に上げた。

館山のこの日の潮回りは長潮前の小潮。干潮が午前5時5分、満潮が12時46分。
「午前の上げ潮しか効かないと思いますんで、昼までが勝負です」
とは荻野さんの潮読みだ。さて、何をねらうか。
「沖のテトラ帯を回ったところで鳥山があれば、まずはシーバスですね」
そう言う沖田さんの予想どおり、朝の斜光で照らされたテトラ帯の陰に鳥山ができている。シェードにベイトが密集し、それをフィッシュイーターが追いまわす。

東京湾のシーバスは初冬、産卵に向け湾口部に集まる。温暖で水温の安定しやすい館山沖は絶好の産卵場。産卵前のシーバスは高活性で、ポッパーなどのトップウオーターにアグレッシブに反応するのだ。
13㎝のポッパーを結びつけた荻野さんがキャスト。引っ張りすぎないよう小刻みなタッチでポッパーを踊らせる。低速で妖艶に誘えば、すかさず「ボゴッ」と目の覚めるようなバイト。

「気持ちイイね~」
と会心の1尾目を沖田さんがランディング。続けざまに沖田さんもテトラ際にポッパーを投げ込む。同じくバイト。ロッドが軋む痛快なファイトを楽しんで寄せ、今度は荻野さんがランディング。いきなりのダブルヒットにふたりはがっちりと握手した。


一目達成の後で向かったのは「バラ根」と呼ばれる根周り。受付時にボーティングマップで説明を受けたマダイのポイントだ。GPS魚探で海底を見れば水深14~50mまで一気に落ち込む高根がそびえる。乗合船がマダイ、ワラサ、イサキをねらう一級釣り場。ここではタイラバに挑戦する。「はい、どうぞ。水深14mからスタートして50mまでどんどん深くなります。起伏があるので根掛かりに注意してくださいね~」と沖田さんが乗合船の船長を真似てアナウンス。すると荻野さんが「船長~、ほんとにここマダイがいるの~」とわがままな釣り客よろしくブーイング。
タイラバは一定速度でゆっくりとリーリングし、アタリが合っても巻き続ける。ドラッグもゆるゆるに設定しガツガツといった細かいアタリが出ても一定速度で巻き続けて追い食いを誘うのがキモ。前方のコマセマダイの乗合船で小型のマダイを取り込むようすが見て取れた。本命はそこにいる。だが、根際のピンポイントに何度も沖田さんが入り直すもタイラバには食ってこない。
「もっと潮が通す場所じゃないとマダイはやる気になんないのかね」
そんな沖田さんの一言で潮通しのよい大房岬の先端付近へボートを疾駆。

周辺にはウツボ根、シマ出シ、白根と呼ばれる根が連続している。ボートを白根の頂点に移動し潮下に流していく。40mラインに来たところで魚探にベイト反応がびっしりと映った。「真赤だな~、真赤だな~」 と濃厚なベイト反応に童謡の「真赤な秋」を口ずさんではしゃぐ荻野さん。40gのメタルジグをキャストして鋭いジャークでアクション。すると、バットが殴られるような衝撃が走った。スピード感あふれるファイトに荻野さんの目尻も下がる。側線にイエローラインが走るイナダが浮上。ランディング後にすぐさま打ち返せば連発ヒット。


一方の沖田さんはあえてボトムねらい。6gのバレットシンカーを装着したチェリーリグにクロー系ワームをセットしてリフト&フォール。そのうちゴンとバイト。一間置いて合わせるとズンと衝撃。走らないけどトルクが強い。カサゴやソイのようにすぐには諦めない抵抗力。紺碧の海から浮上した深紅の魚体は、なんとアカハタ。

「館山でアカハタを釣ったのは初めてです(笑)」
このエリアはその後もベイト反応が出続ける。岬付近の根を広く探るためにパラシュートアンカーを投入する。しかし北風が強くなり、沖はウサギが飛ぶほどのシケ模様。船があっという間に流されそうな強風だが風向きと真反対の方向から潮がかっ飛んでいる。風と潮がせめぎあう船は位置がほとんど変わらない。これだけ潮が利いていれば魚たちの活性も上がる。そこで餌木、メタルジグ、ワーム、タイラバとさまざまなルアーを投じてみる。ちなみにタックルはエギングロッドが1本あれば取り回し可能。ラインはPE0・8号、リーダーに12ポンドのフロロカーボンが適当。ワームを使用したボトムの釣りにはミディアムヘビーのベイトロッドにフロロカーボン14ポンドを組合わせると操作性と感度が高まる。




最高の時合に期待したもののドラマは起きず。バシャバシャと波をかぶる状況に閉口する。予報はナギになる北東風だったので、おそらく潮変わりで風向きが変わると踏んで、穏やかな湾内へフルスロットルで走った。
潮止まり直前、砂地でワームをズル引けば
潮止まりまで沖テトラの際でカサゴでもねらおうとテキサスリグを打ち込む。が、フグの猛襲。
「砂地でヒラメ、マゴチのフラット系もありですよね」
と沖田さん。4インチグラブにフェロモンピックを組み合わせたリグを組んで1投目。着底からズル引くと即バイト。力強く合わせると暴力的首振りでバットを叩く。激しく魚体をくねらせて水面を割ったのは40㎝クラスのマゴチである。

「やったぜマモちゃん!」
「おっしゃ兄貴~」
天高い秋空に向かって沖田さんは良型マゴチを突き上げた。


潮止まりを境に風は弱くなったものの、潮の流れも緩くなる。途端にベイトも浮かなくなった。荻野さんの「午前の上げ潮が勝負」との予想は的中。午前とは打って変わったベタナギの海が西日に照らされる16時に帰港。「いやあ癒されました(笑)」 と口を揃えるふたり。ポイント選びからヒットパターンまでのすべてを構築できるハイクオリティーな展開は、高速かつ快適なボートを利用できるシースタイルだからこそ味わえるもの。そして勝負の早いルアー釣りだからこそ、欲張りなドラマを演出しやすい。自分船頭で得られた釣果。その喜びはやはり大きいのだ。
こんなドラマチックな釣行をシースタイルは全国の海でサポート。小誌発売のころはまだ水温い海域も多く、フィッシュイーターが騒がしい好機といえる。
2017/1/8