岡山県・宇野港　晴れの国で味わうタイラバ＆観光プランは決まり！　後編

瀬戸内フィッシングツアーズでマダイ尽くしの旅

写真と文◎編集部

　瀬戸内海で最も簡単に釣れる魚は何か？　それはタイラバで釣るマダイかもしれない。岡山県宇野港を拠点にすれば、観光がてらのタイラバ釣りも素晴らしく気軽に味わえる。

この記事は月刊『つり人』2022年6月号に掲載したものを再編集しています

レンタル充実、手ぶらの釣行も可能

　４月上旬、宮原さんが自らマダイ尽くしの旅を見せたいと瀬戸内フィッシングツアーズに乗り込んだ。同船するのは３年前にこの船でマダイを釣って以来、とことん釣りにのめり込んだ黒山敦美さん。

「初めてのタイラバで３尾のマダイが釣れたんです。それがきっかけで釣りのことばっかり考える毎日です」

宇野港出船のタイラバ釣りがきっかけで、釣りにどっぷり魅せられた黒山敦美さん。この日も50cm のマダイを見事ヒットさせた

「UNO HOTEL」と「瀬戸内温泉たまの湯」のオーナー、宮原一郎さんも鮮やかなマダイをキャッチ

　兵庫県西宮市に住む黒山さんは明石でマダコ、京都宮津でアマダイやマダラ、和歌山でイサキ、鳥取ではオモリグでケンサキイカを釣るなど、週一ペースで四季折々の多彩な船釣りを楽しんでいる。それもほとんど一人で釣行する筋金入りの釣り好きだ。

　前日、黒山さんはUNOHOTELに宿泊。目の前の港から７時に出船した。タックルも仕掛けもライフジャケットもレンタルできるため手ぶらの釣行も可能だ。実際、初心者のお客さんはとても多いそうだ。

　ポイントは近く、宇野港のすぐ前も釣り場になる。水深は概ね40~60ｍ。この日の水温は11・３℃。「あと２℃上がれば乗っ込みの最盛期になります」と南野貴有船長は言う。このエリアで使用するタイラバはヘッド60ｇを基本に、カラーはオレンジの実績が高い。濁りが強い時におすすめのカラーは赤という。

岡山で生まれたSTARTのタイラバは大人気。黒山さんは「アシスト工房」のワームを取り付けて良型を釣りあげた。ヘッドやスカートの組み合わせを考えるのもタイラバの楽しみ

瀬戸内のタイラバは60ｇのヘッドがあれば事足りるシチュエーションが多いという

　瀬戸内フィッシングツアーズでは、船を横に流すドテラ流しではなく船下の釣りを基本にする。底から10ｍまでのタナを繰り返し落として巻くため、一巻き50㎝のリールであれば、底から20回巻くのが目安になる。宮原さんは

「速やかに落として速やかに巻く。それがこの辺りのタイラバでは大切なことです」と話す。

　現代アートの島として国際的に人気を集める直島のすぐ側に船が来た。「ここは釣れると思いますよ」と宮原さんの宣言どおり、ひと流し目でアタリが出た。宮原さんは「離すな、離すなよ」とタイラバに噛み付く魚に念じながらリーリングを続ける。と、ガツンとティップが入り込む本アタリ。三段引きを楽しみながら巻き上げると、桜色の魚体がゆらゆらと浮上した。

　ほどなくして黒山さんにもヒットしたが、可愛いサイズである。ポイントを移動し、河合船長の操る瀬戸内フィッシングツアーズの一号船と同じポイントを流す。すると「当たりました！」と黒山さん。ドラグが滑るほどの引きを柔軟なタイラバロッドが吸収する。幅広の魚体が水面を割ったところで南野船長がタモに入れた。サイズは50㎝ジャスト。王者の風格が漂うマダイだった。

　３尾の釣果を瀬戸内温泉たまの湯に持ち込んだ。釣り＆温泉のまんぷくパックは１万７６００円。料理ができるまで２時間ほどかかるため、その間は温泉に浸かってのんびりとすごす。爽やかな潮風が吹き込むたまの湯の露天風呂でリフレッシュしたところで、空腹もピークになった。

「自分で釣った新鮮そのもののマダイを本格的な懐石料理で味わえます。ほんと素晴らしいサービスですね！」　

と、黒山さんは満たされて帰路についた。新幹線利用であれば大阪は近い。都心周辺にお住まいの方でも19時までの宇野駅発の列車に乗れば間に合うだろう。もちろん、素敵なホテルでもう一泊してのんびりと宇野の夜を楽しむのもよし。

　4月の末ごろからは乗っ込みの荒食いも期待できれば、産後の荒食いも期待できる好機となる。やわらかな初夏の日差しに包まれて穏やかな瀬戸内のマダイ釣りをぜひ、楽しんでいただきたい。

黒山さんが釣りあげた1 尾目。「可愛いですね。このままでは終わりませんよ」との言葉どおり、2 尾目は文句なしの大型魚

瀬戸内温泉たまの湯
TEL0863・31・1526［営業時間］10～22時、最終受付21時）

潮風が爽やかな瀬戸内温泉たまの湯の露天風呂。泉質はカルシウム・ナトリウム塩化物泉で保湿・保温効果が高い。源泉かけ流しの一人風呂もある

たまの湯の横にはオートキャンプが楽しめる「たまの湯キャンプ場」がある

UNO HOTEL

TEL0863・33・0551（代表）
TEL0863・33・1172（宿泊予約専用＝［受付時間］9～19 時）

JR宇野みなと線の終着駅「宇野」を降りれば目の前が港。ごらんのとおりUNO HOTEL は駅のすぐ側。駅前ですべてが完結するアクセスのよさは新幹線利用の遠征釣行もしやすく瀬戸内観光の拠点にもってこい。

多彩な宿泊プランがあり、朝食付のスタンダード料金は7200円～。写真の瀬戸内海ビュー、バルコニー付き客室は瀬戸内の朝日、夕日、夜景も楽しめる（2万800円～）

①日本料理の名店で腕を磨いた料理長が釣った魚を調理してくれるのが瀬戸内フィッシングツアーズの「釣り＆温泉まんぷくパック」。ひとり1 万7600 円で利用できる

②桜の花を添えた春らしい盛り付けの姿作り

③煮下ろしはマダイの繊細な滋味を楽しめる

④前菜はタイの手毬寿司、味噌田楽、梅霙和え

⑤木の芽焼きも滋味深い

⑥タイの風味を味わえる炊き込みご飯

交通：電車利用はJR岡山駅からJR瀬戸大橋線・宇野みなと線でJR宇野駅まで約50分。車利用なら岡山ICからR30を経由して約1時間

後編「レンタル充実、手ぶらの釣行も可能」へ続く……

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大阪湾、播磨灘、和歌山沖、若狭湾など、関西の主な海域を舞台に、大人気の「船テンヤタチウオ」「タイラバ」「落とし込み」など12の釣りの基本と実践を詳しく紹介。ほかに「メバル」「イサギ」「キス」「鬼アジ」「マダコ（船タコエギング）」「カワハギ」「マダラ」「深海釣り」「イカメタル」も紹介しています。