エリアトラウトの主流はスプーンやプラグをリトリーブする釣りだが、釣り方はそれだけではない。豆ルアーとも呼ばれる小型の「フロントフックルアー」を使って、感度を駆使して積極的に掛けにいく攻めの釣りが存在する。この釣りのエキスパートである“しもきん”こと霜出朋言さんにその魅力とテクニックを教わった。
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解説◎霜出朋言(しもで・とものり)
写真と文◎編集部
2017年からエリアトラウトを始め、フロントフックルアーでの釣りに夢中になる。フロントフックルアー代表格のバベルを使った大会である第2回バベルキングに初出場で優勝。その後も第3回、第4回と連続優勝して殿堂入りを果たす。今年からトラキンやフリークスにも参戦。
フロントフックルアー(豆ルアー)での釣りは、反応を感じとる攻めの釣り
フロントフックルアーとは何か。聞き慣れないかもしれないが、豆系とも言われるいわゆる20mm以下の小型ルアーのことで、大会での使用は禁止されているほどとてもよく釣れるルアーだ。しかし、そのサイズゆえの軽さで慣れていないと扱いが難しく、釣り方が分からないとかえって釣れないことも。そんなフロントフックルアーを使いこなし、エリアトラウト界隈を席巻しているのが、しもきんの愛称で呼ばれる霜出朋言さんである。
「エリアトラウトはちょっとした違いによる魚の反応の差が分かりやすくてその違いを突き詰めていくことに夢中になりますね。特にフロントフックルアーを使う釣りは魚の反応をいかに感じとってどれだけ掛けにいけるか?といった攻めの釣りになります」
リトリーブして使う一般的なスプーンはリア側にフックが付くが、それだとフォール時にバイトがあっても掛かりにくい。フロント側にフックを取り付けることでフォール時のバイトも掛けやすくしているのがその名の通り、フロントフックルアーの特徴である。
感度重視のタックル設定
霜出さんのタックルを見てみると操作性を重視した張りの強いロッドに伸びの少ないPEラインという組み合わせで、まるでアジングのように感度を重視していることがよくわかる。専用ロッドでなくてもボトムの釣りで使われるような先調子のロッドなら扱いやすい。かなりスローなリトリーブをすることも多いため、リールのギア比はなるべく小さくしたいところだ。ラインはPEの0.15~0.2号で、エステルはまず使わないとのこと。
リーダーはフロロカーボンの0.4~0.6号を1ヒロ。この釣りではスナップを使わず、スプリットリングに直結することになる。ルアーチェンジのたびにリーダーは短くなるので70~80cmまで短くなったらリーダーを交換。PEとリーダーは、タイラバなどでよく使われている柏木ノットをアレンジして結束している。
しもきんさん・タックルデータ
| 項目 | 推奨セッティング |
|---|---|
| ロッド | 操作性重視の張りのあるロッド(先調子) |
| ライン | PE 0.15~0.2号(エステルは不可) |
| リーダー | フロロカーボン 0.4~0.6号(長さ:1ヒロ) |
| 結束 | スプリットリングに直結(スナップ不使用) |
霜出さんが主に使うフロントフック系ルアーは4種類。アクションが大きい順に、メカバベル、バベルWZ、バベルエース、バベルV3(いずれもロブルアー)だ。ほかにも樹脂で作られたバベコンもある。
「状況次第なので絶対にコレがいい!と断言できないのですが、まずは動き・ウエイト・カラーが違うものを3種類ずつ用意してもらえれば、ローテーションしながら一日楽しめると思います。最初はキャストや操作に慣れないと思うので、重めをおすすめします。感覚を掴んできたら軽いものにトライしてみてください。カラーはグロー系、蛍光系、ペレット系の大きく3系統に分けると選びやすいはずです」
基本の釣り方は「縦釣り」でレンジを見つけて、横で留める
フロントフックルアーは縦(垂直)方向に落とす釣りと横(水平)方向に巻く釣りの2つが基本となる。どちらの釣り方も魚やラインの動きを見てアタリを取ることもあるが、手もとに伝わる感度も欠かせない。アタリはラインが跳ね上がるような力強く吸い込まれるものから魚体に触っているような小さなものまでさまざま。アタリから状況を紐解いていくのも面白い。
特に縦方向の釣りではアタリを感じるためにも張らず緩めずのテンションを維持するのが重要。たるませすぎればいくら感度のよいPEであっても手もとにアタリは伝わらないからだ。
レンジサーチの手順
着底するとラインはフッとたるむので、それまでに反応があればそこを重点的に探っていく。着底もしくはヒットレンジを過ぎたらロッドを煽ってルアーを持ち上げ、また張らず緩めずでフォールさせていく。
「レンジサーチにはうってつけの釣りなんです。スプーンの釣りをするとしても、最初にフロントフックルアーを投げるとすぐにレンジが分かりますよ」
軽く持つことでアタリを感じやすくなる
「巻きバベル」の極意
反応の多いレンジを見つけたら水平方向の巻きの釣りに移行することでボリュームゾーンにルアーを留め続けることができる。ゆっくり巻くことで横に動かすだけ。言うのは簡単だが、時には0.5gを下回るルアーのフォール速度を相殺するリトリーブ速度を維持するのはとても難しい。実際に使うルアーを見ながら速度感を体に覚えさせるしかない。
スプーンの巻きの釣りはルアーを動かすために巻くが、巻きバベルと呼ばれるこの釣り方は漂わせるイメージで巻くことが肝要となる。応用すれば巻き速度を調整することで斜めに巻き上げ、巻き下げるように漂わせることも可能だ。
ルアーローテーションは、軽ければ釣れる訳でもない
この日訪れたのは栃木県矢板市にある308club。クリアな水質の小規模ポンドにはレギュラーサイズのニジマスだけでなく大型のロックトラウトやサクラマスなども放流されている。
霜出さんはバベルエースの1.1gからスタート。まずは遠投し、ボトムまでフォールさせる「縦釣り」で反応をチェックする。ルアーに気付いた魚が周囲から集まってくるもののバイトはない。表層の水温は7℃台とのことで、魚の動きはだいぶ鈍いようす。フォールしていくルアーを鼻先で押したり、ほぼゼロ距離で足もとまでずっとチェイスしてきたり、もどかしい時間が続く。「まるで焦らし合い(笑)」と霜出さんも苦笑い。よりスローに落ちるバベルV3の0.38gを投げると、魚は先ほど同様にルアーに寄ってきたが、心なしかその数は減り、動きも遅くなったように見える。
ルアーローテーションの考え方
| 優先順位 | 調整のポイント |
|---|---|
| 1. 重さと形状 | まずはここを変える。軽ければ良いわけではないため、反応する速度を探る。 |
| 2. カラー | 微調整の役割。グロー系、蛍光系、ペレット系の3系統を用意する。 |
「軽すぎると見切るみたいでダメですね。軽ければいいというものでもないのがこの釣りの難しいところであり面白いところです。ルアーチェンジの基本的な考え方としては、まず重さと形状を変えてみます。カラーは二の次で、微調整の役割が大きいです」
そう言って0.55gのバベルWZの同色をキャストするとついにアタリが出始めた。アワセが決まって無事に1尾目をキャッチ。その後もルアーローテとキャスト位置を変えて次々にアタリを引き出していった。
釣れ続けるコツ:早めの交換でスレ切らせない
小型軽量のフロントフックルアーを使う釣りは風が吹くと難しくなるが、霜出さんいわく「楽しむしかない」とのこと。キャスト方向でかわしたり、時には利用してフォール速度を落とすなど、うまく付き合うのが大切だと話す。この日も時折強い風が吹いていたが、サオ先を下げたりして風に当たるラインの量をコントロールしていた。
スレ切らせないことも釣れ続けるためのコツだそう。早めのルアーチェンジや投げる場所を変えるだけでも効果はあるそうだ。また、フックがラインに絡んだり、ルアーの穴に挟まっていることがある。気付きにくいのでよくルアーを確認してから投げたい。この日は午後になると魚の活性が上がり、ワンキャストワンヒット状態になることもあった。
「こうなると手返しがいい分、フライよりも数釣れるのがフロントフックルアーの強みです!」
魚たちのエサであるペレットを模した反則ルアーと誤解されることもあるフロントフックルアー。しかし、決してそんなことはなく、五感を研ぎ澄まして行なう繊細なアプローチと多彩なアタリ、それを読み解いて積極的に掛けにいくゲーム性が魅力の釣り方なのである。
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レンジが上がったら超小型プラグと使い分けるのもおすすめ
取材時に霜出さんがフロントフックルアーと併せて投入していたのは、自身が監修した「JACCO SF(ロブルアー)」だ。16mmと超小型ながら巻けばクランクベイトのようなキビキビとしたウォブリングを見せる。一方、ジャークすればポップ音と泡でアピールするトップウォータープラグとしても使える唯一無二のプラグだ。この日も水面にライズリングが多数広がったタイミングで、クリアカラーを使うとミスバイトも少なく連発ヒットとなった。
※このページは『つり人 2026年2月号』に掲載した記事を再編集したものです。

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