編集部2019年12月4日

船釣り超入門 アオリイカ・ティップランエギング編【船の乗り方・道具解説・釣り方】

アオリイカ 船の釣り PICKUP 魚種別釣りガイド

ルアータックルでアオリイカをねらえるエギング。それをボートから行なうボートエギングのひとつがティップランです。先行者のプレッシャーを気にすることなく楽しめる、沖のエギングに入門してみよう!

ティップでアタリを捉える醍醐味

つり人オンライン=写真と文



 ルアータックルでアオリイカをねらうエギング。岸からだとアタリに恵まれないこともあるアオリイカの釣りですが、ボートから探る「ティップラン」スタイルのエギングなら1日10パイ以上も夢ではありません。ポイント選びも船長にお任せでOK、先行者のプレッシャーも気にすることなく楽しめる、沖のエギングに入門してみよう!



ティップランエギングの概要

 日本の伝統的な疑似餌である餌木を、ルアー用のタックルで操って主にアオリイカをねらう釣り方をエギングといいます。餌木はエビのようなボディーのお尻に、傘状にセットされたカンナと呼ばれるハリのある疑似餌です。魚のように口にハリをかけるのではありません。アオリイカはエサを食べるときに腕で抱き着いて襲い掛かるので、その腕にカンナを引っ掛けるのです。

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魚と違い、ジェット噴射で竿先を引き込むファイトはとてもエキサイティング

  ボートからアオリイカをねらうエギングのひとつがティップランというスタイルです。一般的なエギングと違い、キャストせずにボート直下の深場を探ります。シャクリとステイを繰り返しながらアオリイカを誘うのですが、ステイの最中にロッドの穂先(=ティップ)が入ったり戻ったりするアタリが出るのがその名前の由来です。

 ねらう水深は15~40m前後。アオリイカが岸沿いから離れて深場に落ちる晩秋から早春までが盛期です。

 岸からのエギングでありがちなポイント開拓や先行者のプレッシャー対策など、釣り以外の部分で頭を悩ませる苦労もボートなら関係なし。乗合船のティップランならポイントも船長任せでOK。アオリイカをまずは1パイ釣ってみたい、というビギナーにもおすすめの釣り方です。

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ボートから餌木でアオリイカをねらうスタイルなら、誰でも気軽に入門できる

エギング超思考法
「イカ先生」のニックネームで多くのファンをもつエギングの第一人者・富所潤さんが、中級前後レベルで足踏み中のアングラーに上達のアドバイスを贈る思考と技術の解説書。オカッパリの春の釣り、秋の釣り、そしてティップランエギングの3章から成るその内容は、「今イチ釣果が伸びない、安定しない、だけど理由が分からない」アングラーにとって、まさに目からうろこが落ちること請け合いです!

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ティップランエギングに適した竿とリールの選び方

 ティップラン用のタックルはティップでアタリを取る都合上、穂先に繊細さが求められるため岸釣りのエギングタックルを流用するのは難しいです。この釣りではティップが入り込むアタリだけではなく、ティップが戻るアタリが出ることも多く、手元に伝わってこないこともしばしばあります。ティップランに使われるロッドには、そのラインテンションの変化を視覚として伝えてくれる穂先と、シャクリを入れたときにしっかり餌木をダートさせられるパワーをもつベリー~バットが必要なのです。ほかのロッドではひとつテンヤ用などに近いですが、専用ロッドを選んでおくのがやはり安心です。専用ロッドの一般的なスペックは6ft~6ft台後半の長さで、L~Mパワーのスピニングモデルが多いです。

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ロッドには繊細なティップと、しっかり餌木のウエイトを乗せてシャクれるパワーも要求される

 合わせるリールは、ソルトウォーター対応のスピニングリール。大きさは3000番クラスがよいでしょう。

 メインラインはPEラインの0.6号が一般的。着底のタイミングを素早く察知するのが大切なので、10mおきに色分けされているタイプがおすすめです。これを200m巻いておきましょう。リーダーはフロロカーボン2~2.5号をひとヒロ前後接続しておけばOKです。

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リールは3000番クラスが扱いやすい



ドリーム・オブ・エメラルダス
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20世紀後半に突如として誕生した日中エギングという楽しすぎる遊び。 以前からあったナイトゲーム、そしてオフショアゲームなども含めて エギングは細分化と進化を続けながら裾野を大きく広げ、 その盛り上がりはソルトの顔であるシーバス以上にまで成長しました。 そんなアオリイカのエギングという世界を常に牽引し、 飛躍的に進化させてきたのがダイワのエギングブランドであるエメラルダス。 エメラルダスユーザーはもちろん、 すべてのエギングファンにエメラルドグリーンに輝く夢の一冊を捧げます。



ティップランエギングの餌木の選び方

 ティップランには専用の餌木が発売されています。一般的な餌木はボディーの鼻先にラインアイがありますが、ティップラン向けに販売されている餌木はおでこの位置にラインアイがつけられているものが多いです。これはねらう水深まで素早くフォールさせるためにウエイトをヘッドに集中させつつ、イカを誘うステイ時の姿勢を安定させるための設計です。

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写真はヤマシタのティップラン専用餌木「エギ王TR」。お尻につけられたフィンの効果で安定性が高い

 餌木のウエイトはねらう水深に加え、潮の速さや風の強さを考慮に入れて、必ずボトムがとれる重さを選ぶようにしましょう。フォール中から餌木に興味を抱いているアオリイカをヒットに持ち込むためには、着底直後に誘いを入れることが重要です。誘い方は後述しますが、着底を感じられない餌木ではアクションが遅れてイカに見切られてしまいます。そればかりか、根掛かりやオマツリの原因になってしまいます。

 初めにそろえるなら3~3.5号(25~50g)のものを各ウエイトにつき3色くらいずつ用意しておくのがよいです。また、餌木のヘッド部分に着脱できるオモリ(マスクシンカー)も販売されていますので、釣り場に持参すれば対応できる幅が広がります。

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「エギ王TR」にベストマッチの専用マスクシンカー。ウエイト各種にパープル、ホワイト、レッドのカラーがそろっているので餌木のカラーにあわせて選ぶことができる

 最後にカラーについて。餌木には豊富なカラーバリエーションがラインナップされていて、ビギナーは迷ってしまいがちです。地域によってとくに実績の高いご当地カラーもあったりするので、船宿に予約を入れるときにおすすめカラーを聞いておくのがよいでしょう。アタリが遠いときはカラーローテーションが有効です。釣りエサについて科学的に考察した書籍『釣りエサのひみつ』によれば、アオリイカは色彩を見分けることができないそうですが、その分明暗やコントラストを識別する能力が発達しているとのことです。ですから、餌木のカラーを選ぶときは、色の濃さの違いで水の色や濁り具合に応じたローテーションをしたほうが結果につながりやすいと思われます。

◆関連記事
魚の視覚と釣果の関係にせまる:アオリイカの餌木とクロダイの練りエサからわかること


釣りエサ(ルアー・エギ・毛バリ・生エサ)のひみつ
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釣りエサメーカーで長年エサの研究開発に携わってきた著者が、生エサ、加工エサ、配合エサ、さらにはルアーまで、あらゆる釣りのエサ・擬似餌を対象に、さまざまな視点・角度から釣り人のヒントになる事柄を解説。ユニークな実験等を交え、科学の力で「釣りエサのヒミツ」を分かりやすく、面白く解き明かしていきます。またエサそのものだけではなく、魚の摂餌を理解するうえで欠かせない魚の視覚、聴覚、嗅覚等の感覚にも詳しく触れています。 「やっぱりそうだったのか!」と納得することから、「目からウロコ」の真実まで、衝撃&超充実の内容。エサ釣り、テンカラ、バサー、ルアーアングラー、フライフィッシャー、ジャンルを問わず全釣り人必読の一冊!




基本の釣り方

 ティップランエギングの基本操作はフォール→着底→シャクリ→ステイの繰り返しです。それぞれ詳しく解説していきます。

フォール

 餌木についての項でも説明したように、フォールでは確実に着底の瞬間を察知しなければなりません。そのためには適したウエイトの餌木を選択することに加えて、フォール中のラインの挙動を注意深く見ておくことが重要です。

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フォール中はラインの動きをよく見ておく

 船は風で押されて流されていますし、海中は潮が流れています。ラインは流れに引かれるので着底と同時に糸の出が完全に止まることはほとんどありません。海中に引き込まれていくラインをよく見て、そのスピードが緩むタイミングを見つけてください。それが着底です。10mごとに色の変わるPEラインを使っていれば、見当をつけやすくなります。

 また、フォール時に余分なイトフケを出してしまうとオマツリしてしまったり、不意にティップに絡みついてシャクったときにロッドを破損させてしまう原因になってしまったりもします。フォール中は指でラインを軽く押さえて適度にブレーキをかけるようにしましょう。

シャクリ

 着底したらすぐにシャクり始めます。アオリイカに餌木を見切らせないためと、根掛かりを防ぐために、餌木がボトムについている時間はなるべく短くしましょう。着底したらその瞬間に余分なイトフケを巻き取ってシャクっていきます。

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イトフケを巻き取ったら……

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餌木の重さを感じながらシャクり上げる

 ティップランでは、オカッパリのエギングのような激しいジャークは必要ありません。海中の餌木を無理にダートさせる必要はなく、素早く上方向へ持ち上げるイメージ。ロッドで餌木の重さを感じながら3~5回前後シャクリを入れればOKです。

ステイ

 アオリイカのアタリはシャクリ後のステイ時に出ますので、ここがいちばんの集中しどころです。

 シャクリがアオリイカの興味を引くための演出だとすれば、ステイは無防備なエサの演出といえるでしょう。3~5回のシャクリが終わったらラインを張ったままロッドワークを止めてステイ。このときに餌木は水平方向へ移動している状態になります。

 ステイ時に餌木の頭が上を向いたり下を向いたりふらふらしてしまうとイカは警戒して離れていってしまいます。海中の餌木をどれだけ安定させられるかがヒットに持ち込むためのキモなのです。

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餌木をなるべく安定させることがアタリを出すキモ

 大事なのはシャクった後にイトフケを出さないことです。出してしまうとシャクリで上を向いた餌木がお辞儀をしてしまうので、シャクった後はすぐに余分な糸を巻き取ってステイさせましょう。また、ステイ中のコツはロッドをがっしりとホールドしないこと。船の揺れがティップまで伝わってしまうと餌木も上下に動いてしまうため、自分の体でうねりを吸収するようにロッドは軽く持ちます。

 ステイがきちんとできていれば、たいていは5秒以内にアタリが出ることが多いです。渋いときでもステイは最長10秒くらいでOK。ティップの変化に集中しましょう。

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アタリは穂先に出ます。目で見て微妙な変化を捉えましょう

 アタリは手元まで伝わってこないことがあります。イカが上から餌木にアタックしてくればティップは下に引き込まれるのでわかりやすいですが、実は下から突き上げてくることも多いのです。その場合はラインテンションが抜けるだけなので手で感じることは困難です。このアタリが出ると、通常時は餌木の抵抗で少し曲がっているティップが戻ります。そのようすを目視で確認して即アワセを入れましょう。

 気をつけないといけないのは、パチン! といういわゆるパンチ系のアタリが出たとき。この場合は触腕の吸盤にカンナが掛かっていることがあり、その状態で無理にファイトをしてしまうと吸盤が取れて逃げられてしまいます。ドラグを緩めて焦らず慎重にやり取りをしましょう。

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ヒットしたイカはスミを吐きます。体にかけられないように水面で吐き出させてしまいましょう


DVD『ティップエギング徹底講座』
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あらゆるイカ釣りをマスターしているイカ先生こと富所潤さん。今回のお題は、キャスティングによるエギングでは手が出なかった水深30m以深を回遊するアオリイカを釣るために生まれたメソッド「ティップエギング」。ロッドディップの微かな動きでアタリを取る繊細かつスリリングなこの釣りの第一人者である富所さんが、タックルセレクトから基本の釣り方、アタリの取り方など、初心者にもわかりやすいようにイチから解説。もちろん、中、上級者が観ても目からウロコのイカ先生直伝のテクニックも満載の内容だ。  なかでも注目なのは水中カメラを使った水深40mの映像。着底からシャクリ上げ、ステイ、そしてイカがエギを抱きつく瞬間まで映像に収めることに成功。富所さんの解説が水中映像によって証明されるようすは必見!




予約、受付~出船の流れ


 ティップランもその他の船釣りと同じように乗合船が利用できます。はじめて乗合船を利用するときの予約方法や注意点はカワハギ釣りの入門記事でも紹介していますのでそちらもチェックしてください。

 ティップランの場合、アングラーは船の片側に並んで釣りをするケースが多いです。1隻で釣りができる人数がほかの船釣りよりも少ないため、かならず予約をするようにしましょう。

 予約の際は料金、駐車場所、集合時間、出船時間など一般的な確認事項に加えて、用意すべき餌木のウエイトやカラーも確認しましょう。またPEラインの太さも決められていることが多いです。

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ティップランは乗合船のほか、仲間を集めて1隻を貸切るチャーター(仕立て)船も人気。ひとりでも出船してくれる船宿もあるのでウェブサイトや電話で確認してみよう

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