この記事では、ヤマメ釣りの仕掛けや釣り方のコツ、使う道具などについて解説します。
美しい見た目と心地良い引き味が人気のヤマメは、エサ釣りやルアー釣り、フライフィッシングなどさまざまな釣り方で狙うことができます。
今回はその中でも、エサ釣りにおける釣り方のコツや仕掛けを詳しくご紹介。
ルアー釣りやテンカラ釣りでのヤマメ釣りについて知りたい方は、下記のリンクをご覧ください。
目次
ヤマメ釣りの基本解説
まずはヤマメについて、その基本情報から釣れる時期、ヤマメ釣りで使う主な道具などを解説します。
ヤマメ釣りを楽しむためには欠かせない情報をご紹介していますので、参考にしてください。
▼【手堅く釣る!】渓流釣り入門。仕掛けや道具、流し方を解説!
- ヤマメとはどんな魚?
- ヤマメ釣りの時期・シーズン
- ヤマメ釣りで使う主な道具
ヤマメとはどんな魚?
ヤマメとは、北海道から九州までの渓流に生息している、パーマークと呼ばれる美しい斑点模様が特徴的な魚です。
サケやマスの仲間であり、動きが俊敏で、塩焼きやムニエルなどにして食べると美味しいことが特徴。
そして、ヤマメは一生を川で過ごすものが大半ですが、なかには川を下って海へ出て大きくなるものがおり、そうした個体はサクラマスと呼ばれます。サクラマスは高級魚としても知られています。
ヤマメは水生昆虫や落下昆虫、甲殻類などを捕食している肉食性であり、エサ釣りのほか、疑似餌を使用したルアー釣りなどの釣り人からも人気も高い魚です。
ヤマメ釣りの時期・シーズン
ヤマメ釣りは、3月から9月、少し暖かくなってきた春先から秋までが主なシーズンです。
ヤマメが生息している河川の多くには禁漁期間が設けられており、禁漁期間にあたるシーズンは釣りをすることができません。これはヤマメが産卵期が秋であることが理由です。産卵期の釣りを避けることで、増殖(子孫が生まれて増えること)の助けになるように設定されているのが禁漁期間になります。
禁漁期間は多くの河川で10月から2月となっており、3月1日が解禁日となっている場合が多いです。
しかし、ヤマメ釣りが開始される解禁日は河川によって異なる場合もあるため、自分が行きたい河川の解禁日はしっかりと確認しておかなければいけません。
ヤマメ釣りで使う主な道具
ヤマメのエサ釣りでは、主に延べ竿と呼ばれるリールを使用しない釣り竿を使います。
延べ竿の先端には「リリアン」と呼ばれるヒモが付いており、このリリアンに仕掛けを結びつけることで釣りが楽しめます。このほかに、モデルによっては、先端が釣り糸を結ぶための金属のパーツになっている場合もあります。
ヤマメ釣りの仕掛けは自作することもできますが、初心者は市販されているヤマメ釣り用の仕掛けを使うのがおすすめ。
延べ竿と仕掛けの他には、エサを入れておくためのエサ箱、釣った魚を保管しておくためのビク、美味しく持ち帰るためのクーラーボックスなどがあれば良いでしょう。
ヤマメ釣りの釣り竿と仕掛けの選び方
以下では、ヤマメ釣りで使う釣り竿や仕掛けの選び方について解説します。
ヤマメの生息域は水温の低い川の上流部です。一般的にやや下流の山里付近にヤマメは多いです。渓流釣りと一口に言ってもねらう水域によって「源流釣り」、「渓流釣り」、「本流釣り」と呼び名が変わり、装備や道具立ても異なります。ここで解説するのは川幅が5~10m程度の沢登りなどの装備がいらない、いわゆる渓流域のヤマメ釣りです。
- ヤマメ釣りの釣り竿
- ヤマメ釣りの仕掛け
ヤマメ釣りの釣り竿
ヤマメが生息する渓流域を想定した釣り竿の全長は5.3~7.1m。仕舞寸法がコンパクトな小継ぎとやや節の長い中継ぎがあり、2段、3段と長さを換えられるモデルが多いです。最初の1本を選ぶなら6m前後の全長で仕舞寸法が50cm前後の小継ぎ竿がおすすめ。
竿は先調子と胴調子に大別され一般的に先調子のほうが操作性は高いといわれます。しかし購入の際に注意して見たいのは、調子よりも適合ハリスの表示です。対応する糸の号数に応じて竿の調子の硬軟は判断できます。たとえば「適合ハリス0.1~0.6号」とあれば柔軟な竿。「0.4~0.8号」とあればシャキッと硬く張りが強いモデルです。取り回しがよいのは適合ハリス0.2~0.6号です。
ヤマメ釣りの仕掛け
ヤマメ釣りの仕掛けはシンプル。穂先からハリまで1本の糸を通しで使い、目印とオモリを付けても問題なし。ただし天井糸、水中糸、ハリスとパーツをいくつか分けたほうが根掛かりや頭上の木に仕掛けを引っ掛けた時に糸の無駄を少なくできます。
糸は0.2 号を基準にその前後を用意しておくとよい。根掛かりで仕掛けをロストばかりしているようなら少し太めを張ったほうがストレスなく釣れる天井糸は穂先付近に使う水中に入れない糸です。長さを調節できるように作ると便利ですが、「編み付け」という初めての人にはやや面倒な作業をしなくてはなりません。単純に水中糸よりもやや太い糸を使えばよく、たとえば0.2号の水中糸であれば0.4~0.6号の天井糸をセットします。6mの釣り竿に対して長さは2〜3mが一般的。ナイロンの視認性の高い糸がよいです。
水中糸は名のとおり水中に入れ込む糸です。細いほど水の抵抗は少なく、ヤマメに見破られにくい。0.2~0.3号がおすすめ。素材はナイロンとフロロカーボンどちらでもOK。なお、水中糸とは別にオモリ~ハリをセットする1mほどのハリスを結びつけてもよいでしょう。
解禁初期は手がかじかんで仕掛け作りが難しい。あらかじめ用意した仕掛けを仕掛巻に巻いて携帯しよう【目印】
渓流の餌釣りは主にミャク釣りです。ウキを使わず流れに合わせて仕掛けを送りアタリを取ります。糸の位置やアタリを確認するために目印を付けます。オレンジ、ピンク、グリーンといった色がよく用いられ、太く大きいほど風の抵抗を受けやすいです。視認できる最低限の大きさにカットして使います。
【オモリ】
オモリはガン玉の3~4Bを用意し、流速や風の強弱に応じて使い分けます。渓流魚は主に底付近の流れに泳ぎます。餌をきちんと沈めることができて、かつ流れを切らないような重さをセレクト。ガン玉の選び方は釣り方の項で後述します。
ガン玉は仕掛けを飛ばし、餌を沈める重要なアイテム。3~4Bまでを用意しておこう
【ハリ】
ヤマメと表記されたハリだけでも非常に多くのバリエーションがありメーカーによってサイズもばらばら。選ぶ基準は餌の大きさがひとつ。一例として川虫を使うなら1~4号、キヂやブドウムシなら5~7号といったぐあいに用意します。また「イクラ」、「川虫」など餌の名前が表記されたハリもあります。
ヤマメ釣りの餌は数種類を用意
ヤマメが常食しているのは川虫です。下流にタモを構えて川底の石を起こせば、さまざまな虫が入るでしょう。中流域ほど虫は多く、源流域ほど少ないです。流域によって食いのよい虫と悪い虫がいて、いくつか使い分けると当たり餌が分かります。
解禁初期はキンパクがよいです。ヒラタは、まだオコシムシと呼ばれる小型が多く餌持ちが悪いです。3月下旬から4月に大石の縁などで採れるヒラタ(ナデムシ)は大型で使いやすい。クロカワムシはニゴリが出た川や、中下流域で効果があります。東北・関東地方では4月以降に採れやすいピンチョロが人気です。時期によって採れる虫は異なるので前頁の図を参照してください。
市販のイクラやブドウムシ、キヂが効果的な場面もあります。しかし解禁から数日が経ち、魚がスレてくるとアタリは遠くなりがち。魚の目先を変えるためにも餌は数種用意したほうがよいでしょう。
ヒラタ(チョロムシ)も尻穴かラ刺して腹の横から出す
クロカワムシは写真のように尻の横からハリのフトコロを隠すように刺す
キヂはミミズ通しを使ってハリスまでこき上げるか、ハチマキにチョン掛け
イクラは細軸のハリを使って刺すと潰れにくい
関東や東北で人気のピンチョロ。他の川虫と同じく尻穴から刺す
ブドウムシはハリのフトコロが隠れるくらいに通し刺し
川虫は乾いたミズゴケを餌箱に入れておくと長持ちする
下流にタモを構えて足で石を転がすと、多彩な川虫が採れる。膝下くらいの瀬で採ってみよう
ヤマメ釣りのポイントの見方
ヤマメ釣りの基本は上流に釣り上がる。流れに対し魚は頭を上に向ける。釣り下れば釣り人や竿の影、物音に警戒しやすいです。
川の流れを大別すると瀬、淵、トロとなります。解禁初期のポイントは流れの緩い深みに多いです。目安にするのは膝上以上の水深で見た目に水色が濃くなっているスポット。瀬の中にもこうした深みは点在するので、流れを細かく見ていきたい。ポイントはいくつかのパターンに分類できます。
1. 流心
白泡が立ち流速が速い。初期のポイントにはなりにくいですが、大石底の川であれば話は別。流心の下にヤマメの定位しやすい流れの緩いスポットができます。石の前に魚は付きやすく底の流れにきっちりと餌が入れば釣果は有望です。
2. ヨレ(モミアワセ)
流れが揉み合うような感じにシワができた部分がヨレ。流速が緩くヤマメが定位しやすいスポットです。流れが揉み合うように見える「モミアワセ」です。石にぶつかった流れは分かれ、石裏で流れは淀みます。その下流で分かれた流れが合わさるヨレができます。英語の『Y』をイメージして流れを見ると分かりやすく、この2つの流れのモミアワセを意識して釣るとよいでしょう。
水色が濃く見える深み。目を凝らすと反転流と流心の流れのモミアワセがある3. 反転流
石裏や流心の脇には流れが逆巻く反転流が生じます。その反転流に魚が定位していることも多々あります。ここでも注目したいのはヨレです。反転流と流心の境目にも流れが揉み合うヨレが生じます。餌が流れてきやすいモミアワセスポットで魚も付きます。
4. 落ち込み
落差がある川相では落ち込む流れと、壺状の深みがあります。いかにもヤマメが付きそうな分かりやすいポイントで堰堤や滝もそうです。大きく深い落ち込みほど複雑な流れが生じ、下流に払い出す流れもあれば落ち込み直下に戻るような流れもあります。表層の流れの押しが強いため、大きなオモリでしっかりと底付近を探ることが大切です。
5. カケアガリ(ウケ)
前述の落ち込みなど、淵および深みがあれば必ずカケアガリがあります。このカケアガリの前に魚は定位しやすく大型魚が付きやすいポイントです。カケアガリや石の前など、流れがぶつかる部分を「ウケ」と呼ぶ名手も多い。
流れの中のどんなポイントで当たるかはシーズンによっても変わる。解禁初期ならヨレに着目渓流釣りの盛んな岐阜県長良川郡上の名手は、ヤマメが捕食しやすい流れを「食い波」と呼びました。そのスポットは「ウケ」や「モミアワセ」が絡みます。図示したので参考にしてください。
ヤマメ釣りの仕掛けの流し方
ポイントへのアプローチは立ち位置が重要です。下流から上流に釣り上がるのですが、ポイントの正面に立てると理想的。というのもミャク釣りは流れに合わせて仕掛けを通します。穂先の真下付近を釣ったほうが流れの筋から外れにくいです。仕掛けを上流に振り込んで正面で底付近に馴染ませてアタリを出します。餌が底付近を流れているかどうかは目印を見ます。
オモリと餌が底付近の流れに馴染むと、目印が表層の流れよりもゆっくりと流れます。川の流れは表層ほど速く、底層ほどゆるやかです。目印がサーッと素早く流れてしまう場合は、底流れをとらえていません。ここでオモリ選びが重要になります。仕掛けが底に馴染むまでオモリを重くするのですが、根掛かりが頻発するオモリでは重すぎます。仕掛けの太さもまたオモリを選ぶうえで考慮したい要素です。糸が太いほど水切り抵抗が強いため重いオモリが必要です。
ヤマメは基本的に流下する餌を食べるといわれます。川底に落ちている餌を吸い込むようなことはありません。理想のアタリは目印が止まりモゾモゾと震えるような感じで出ます。これは魚の正面に餌が流れ、違和感なくくわえた証拠です。鋭くツンと引き込まれたり、スーッと横にずれるアタリは、渓魚の定位する筋から餌が外れて流れています。よって食い込みが悪くフッキングしにくいです。
餌をしっかりと食い込んでいる理想的なアタリパターン
掛かりにくい悪いアタリのパターン
大もののアタリ
ヤマメは竿の弾力をしっかりと効かせていれば浮いてくる
アワセ方は竿を真上に抜くような感じで行ないます。使う餌によってもアワセのタイミングは違います。川虫などの小さい餌であれば即アワセ、キヂのように大きめの餌を使う場合は一拍置いてから合わせるとよいでしょう。
掛かった魚は重みや引きでサイズを測ります。魚が暴れないようにするには上流側に竿を倒して思いきり絞り込みます。抜けると判断できるならポイントを荒らさないためにもすぐさま抜き上げたほうがよいです。大型魚であれば緩い流れに導いて取ります。
ヤマメの渓流釣りは入漁券を購入しよう
ヤマメを渓流で狙う場合、ほとんどの河川では入漁券(遊漁券や遊漁証とも呼ばれます)を購入する必要があります。入漁券はその川を管轄する漁業協同組合(漁協)が発行しており、一般的には、釣りをする当日分の一日券(日釣り券)を購入します。
入漁券を購入することなくヤマメ釣りをしてしまうと、密漁となってしまい、罰金などの罰則が設けられている場合もあるので注意してください。
自分が行きたい河川について事前にネットで調べる、漁協に電話するなどして、入漁券をスムーズに購入できるようにしておきましょう。
入漁券は管轄漁協の事務所で購入できるほか、川の近くにあるコンビニ、デジタル入漁券の販売サービスなどでも購入できます。多くの場合、漁協のホームページに入漁券販売所の案内が出ているので確認しましょう。また、入漁券は釣りをする前に購入するのがおすすめで、河川の見回りをしている管理者から購入した場合は、現場売りといって手数料を加算された額の支払いを求められます。
入漁券は一日あたり1000円前後の河川が多く、その収入は放流事業や河川管理のための資金などに当てられます。
なお、シーズン中に同じ河川で何回も釣りをすることが確実な場合、一日券よりも年間券(年券)を購入するのがお得。年間券は発行部数が限られている場合もあるので、こちらも事前に管轄する漁協の情報を確認してみてください。
川によっては、自動販売機で入漁券が購入できることもある。こちらは上野村漁協の券売機 入漁券を取り扱っている場所では、のぼりや看板が出ている。漁協の組合員が自宅で販売していることもあるので、ごく普通の民家で買えることもある