北海道上川郡上川町に位置する『層雲峡オートキャンプ場』。すぐそばを石狩川が流れ、大雪湖もほど近いこの場所は、釣りキャンプにも最適な環境だ。この記事では、このキャンプ場の魅力を紹介する。
夏休みの川遊びに「カジカの見釣り」はいかが?箱メガネで水中を覗き、石に化けた魚を探し出す冒険は、子どもも大人も夢中になること間違いなし!北海道のきれいな川を舞台に、親子で楽しめる、夏の思い出作りに最適な釣りを紹介。
Photo & Text by Hiroki Hirasawa(North Angler’s)
North Angler’sとは?:北海道での釣りを満喫するための情報誌。北海道の自然を体感するキャンプの情報や、フィールドを守るための環境問題にも光を当て、多角的な視点からアウトドアライフを提案している。誌面と連動したウェブサイト『つり人オンライン』での記事展開に加え、好評放送中の『ノースアングラーズTV』や公式動画チャンネルである『釣り人チャンネル』を通じても、北海道の釣りの魅力を発信している。
川でのカジカの見釣り
道民ならカジカといえば海を連想するが、川にもカジカは棲んでいる。頭デッカチで口が大きく、唇が厚いという、どこか愛嬌を感じる風貌は変わらない。道内の川に生息するのは、主にハナカジカ、エゾハナカジカ、カンキョウカジカ、カジカの4種。カジカは水のきれいな流れを好む魚であり、平瀬の石礫底に潜んでいる。豊かな自然環境が残っていることを象徴する魚でもある。
道内で川のカジカ釣りは一般的ではないが、栃木県などでは人気があり、漁協が管理して遊漁券が必要な川もある。片や、道内ではカジカを漁業権の対象魚種にしている川はなく、誰もが気軽に釣りを楽しめる。本格的な釣りは難しい、家族キャンプでの遊びとしてもピッタリだ。

カジカ釣りで用意する物
カジカの見釣りをするにあたり、用意するものは以下の通り。
箱メガネ&サオ
写真の箱メガネの商品名は『たこめがね』。サオは1m前後が最適。左は不要になったルアーロッドのトップセクション部で、トップガイド以外を取り外した物。右はノベザオの穂先と第2節を抜いた物。硬めのほうが操作性は高い

ハリス付きハリ
仕掛けは最初からハリスが付いているハリが手軽。写真の渓流やヤマメ、マスのほか、ハゼ用のハリも使える。サイズは6~7号がベター下/ハリスの長さは5~15cm。底のほうにエサを届けやすいよう、B~2Bのガン玉を付けるのもアリ。実釣時は穂先ごと水中に差し入れ、カジカの近くにエサを置けばOK。

エサ
イクラは硬めのハードタイプだとエサ持ちがよい。カジカの食いがよいだけでなく、赤色だけに水中で目立ち、エサのある場所が分かりやすいのが利点。ミミズは細めがベター。

カジカの釣り方
8月、カジカ釣りにチャレンジしたのは、札幌市の山辺孝彦さん、航太郎くん親子。お父さんはウエーダー、航太郎くんはスキューバで使っているウエットスーツにライフジャケットを着用して臨んだ。2人が目指したのは、山間にある砂防ダムの上流域。透明度の高い平瀬が続き、水深は深いところで大人の膝くらい。
ポイントの目安はサッカーボール大の岩
ポイントを探す際は、サッカーボール大の石が目安になる。その周辺でカジカが隠れていそうな石の隙間や穴を、箱メガネを通して覗いてみよう。もし箱メガネが用意できないなら、透明なプラスチック製の虫かごを代用する。
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さっそく、お父さんが箱メガネで水中を凝視すると、対岸のササヤブが覆う深場で「いたいた、カジカ!」と興奮気味に声を上げた。体の色も形も石とそっくり。“石化け"しているが、間違いなくカジカだ。魚を発見するや、箱メガネを息子に渡してサオを持たせる。
「うわー、でっかい!」と航太郎くんも魚を確認できたよう。石と石の間から、愛嬌のある顔だけを出してようすをうかがっている。サオを静かに水中に差し入れ、イクラを魚の前に投入。まさに“見釣り"。すると突然、大きな口を開けてパクッ!「ヤッター!」航太郎くんの歓喜の声が渓に響き、15cmほどのカジカが水面に躍り出た。

カジカ以外の魚も狙える
幸先よくヒットさせたが、この後は少々苦戦。よさそうな石の周りを覗くも、カジカの姿は見当たらない。
「この石の隙間にはいるでしょ」そう思った場所では、姿がなくてもエサを入れてみる。しかし魚からの反応はない。この釣りはやはり、カジカを探してねらう見釣りがよいようだ。そんななか、航太郎くんが「あっ、カジカだ!」と声を上げる。サッカーボールよりずっと小さな石の周りだが、たしかにいた。この魚も航太郎くんは見事ゲット。
少し上流に歩くと、いかにも魚が溜まっていそうな淵があった。じっくり観察していた航太郎くんが、「でっかい!ヒゲがあるけど」と驚いた表情で言う。ドジョウだろう。ターゲットはカジカだけではなく、川によっては数種の魚に出会える。
次に倒木が横たわる深場をチェックすると数尾のカジカがいた。この頃にはすっかり、お父さんも夢中。真剣な面持ちで魚を探しながら、「童心に帰りますね」と笑顔を浮かべる。このポイントでは良型を3尾キャッチした。
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航太郎くんはよほどうれしかったのか、「持ち帰って飼いたい!」と駄々をこねる。それを「可哀そうだから逃がしてあげよう」と諭す父。河川改修などが原因で、カジカの個体数は減少傾向にある。最後は航太郎くんも納得して川に放すと、カジカは尻をフリフリ泳ぎだし、すぐに石と同化して見えなくなった。きっと大人も夢中になるカジカの見釣り。箱メガネを片手に親子で楽しもう。
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