川虫はどこにいるの? 保存方法は?名手はどんな風に使い分けているの……?魚に食べてもらうエサは、釣りにおいてとても重要なもの。エサにまつわるQ&Aをまとめてみた
サカナに近付くための、エサQ&A
まとめ◎編集部
こちらの記事は月刊『つり人』2019年4月号に掲載したものをオンライン版として公開しています。
川虫はどこにいるの? 保存方法は?名手はどんな風に使い分けているの……?魚に食べてもらうエサは、釣りにおいてとても重要なもの。エサにまつわるQ&Aをまとめてみた
目次
Q.01:川虫の種類
Q.川虫の種類を教えてください。また、それぞれいる場所は違うのでしょうか?
A.種類によって、生息場所は異なります。
渓流魚が普段食べている川虫。したがってよく釣れるエサなのは当然だ。しかし一部地域を除いて、生きた川虫を販売している釣具店はあまり多くない。自分で採集するケースがほとんどだが、ではどこを捜せばいいのか……。
まずは主な川虫の種類と、それぞれの生息場所について、水生昆虫研究家の刈田敏三さんに挙げてもらった。
◆春の定番エサ!
キンパク(コグサヒメカワゲラなどアミメカワゲラ科の幼虫)
[分 布]全国
[生息域]水のきれいな山地渓流から平地渓流
[特 徴]黄金色の柔らかなカワゲラ。体長12~14mmで使いやすく、エサ持ちもよい。採り方は「石起こし」
[問題点]水質、底石の状態など、河川環境に敏感なためキンパクのいない川もある。また、初夏が羽化シーズンでそれ以後は全く採れなくなる
たくさん採れる場所
日当たりがよくリンゴ大以上の浮き石が連なる平瀬。水質のよいことが絶対条件
◆本流大ものの特効エサ
クロカワムシ(ヒゲナガカワトビケラ幼虫)
[分 布]全国
[生息域]山地渓流から平地流
[特 徴]大型魚の実績もある。シーズン中ずっと大きなサイズが採れる。採り方は「石起こし」。ただ、クロカワムシが多く棲む大石はクロカワムシが張った網で固着して動かず、起こすのが難しい場合がある。そんな時には、バールなどを使ってテコの原理で起こすような工夫が必要
[問題点]流砂が多いような荒れた川などでクロカワムシの棲まないエリアもあり、そこでは効果が薄い。川にもよるが春以降のほうが、エサとしてより効果的な傾向がある
たくさん採れる場所
平瀬ならどこででも採れ、底石が大きければなおよい。砂が溜まっている瀬はよくない
◆食いのよさに定評あり
チョロムシ(ヒラタカゲロウ幼虫)
[分 布]全国
[生息域]山地渓流から平地渓流、平地流
[特 徴]釣り人は「ヒラタ」と呼ぶことも。テイルが2 本から3 本ある。たくさんの種類がいるので、シーズン中ずっと採取が可能。エサとしても、魚の食いは非常によい。このチョロムシには、早瀬の大石に張り付いている「ナデムシ」系と平瀬で這い回る「オコシムシ」系の2 系統がいる。エサとしてはどちらも優秀で、むしろその採集時の大きさが価値を決める。早春には、最大17mm にもなるタニヒラタがいるが、通常は12 ~ 14mm のサイズを使う
[問題点]エサ持ちはあまりよくない
たくさん採れる場所
落ち込みなどにある、ツルツルした大石には、たくさんのチョロムシが張り付いている。ここにいるのはナデムシ系で、大型が揃うし、エサとして良質な赤いチョロムシもいる。ここでは、スポンジやブラシで「なでこすり」採集をする。このナデムシ系チョロは、白泡の立つ岩盤やコンクリート壁にもいる
◆水溜まりによくいる
ピンチョロ(フタオカゲロウ幼虫)
[分 布]全国
[生息域]山地渓流から平地流まで
[特 徴]大型のピンチョロ(体長20mm)は、水溜まりなどに棲むフタオカゲロウの幼虫。早春~春に大型が採れ、一網で10 や20 匹もまとめて採取できることから、トータルでみて使いやすいエサである。ただし、魚のように群れ泳いでいるので、不用意に近づくといっせいに逃げてしまう。中型のピンチョロ(体長12mm)は、ヒメフタオカゲロウの幼虫で渓流の平瀬に棲む
[問題点]どの水系にも生息しているけれども、止水に近いような水溜まりや淀みなど限定ポイントにしかいない。初夏以降は全く採れなくなる
たくさん採れる場所
河川敷の大きな水溜まりには、たくさんいる。ただ魚のように群れ泳いでおり、人影を感じるとすぐに逃げ去る。柄の長い大きなD型ネット(ガサガサ網)などを使って、足や棒で追い込むようにしてつかまえる。ネットを2 本使ってはさみ打つように採るか、ふたりがかりで追い込むと採りやすい
◆大イワナねらいに効果大
オニチョロ=カワゲラ幼虫
[分 布]全国
[生息域]山地渓流から平地渓流
[特 徴]カワゲラ幼虫のことだが、特に大きなカワゲラ(最大30mm くらい)のことを指してオニチョロと呼ぶ場合もある。イワナやニジマスなどの大型魚ねらいに効果的で、エサ持ちもよい。採り方は「石起こし」
[問題点]水のきれいな流れにしかおらず、大型を数多く採るには時間がかかる
たくさん採れる場所
浮き石とは、砂にはまったり埋もれていない石のこと。石の下には隙間があり、ここには何種類もの川虫が棲み付いており、より大きな石には大きなオニチョロが棲む
Q.02:川虫を採る道具と、採り方
Q.川虫を採る道具と、採り方を教えてください。
A.道具と採り方は、以下を参考にしてください。
同じく刈田敏三さんに、川虫採集に使っている道具類を教えてもらった。いずれも釣具店や、あるいはホームセンターなどで購入できるので試してほしい。 (Photo by Toshizo Karita)
川虫網
枠を折りたたみ可能な網は、川虫採集用に売られているもの。携行に便利で、「石起こし」採集や「なでこすり」採集に使える。ただ大きなピンチョロを採るには、柄が短すぎる
「石起こし」採取
ネットを川底にしっかりと押しつけて流されないようにしておいて、その上流の石を手や足で転がして川虫をネットに流し込む
D型ネット(ガサガサ網)
携帯用にはならないが、大ピンチョロを追い込んで採るにはこのネット(柄の長いタイプ)を使う。川虫を急いでまとめ採りするにも便利。網目は3mm くらいが標準
洗車スポンジ
柄の先にスポンジが付いたもので、大石に張り付いているチョロムシ(ナデムシ)を採る時には、この手のアイテムがないと採れない。スポンジ以外でも、柄付きブラシなどでも使える
次回は川虫の保存方法やエサの使い方をご紹介します!
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