ようやく渓流に立てるのは無上の喜びだが、魚の活性はまだ低い。 寒さは厳しいし、雪が多いと歩きづらいし、せっかく日が差しても雪代が入ってしまうし……。盛期とは違い、それなりに苦労することもあるが、だからこそそれを乗り越えて手にした1尾はうれしいもの。早春の渓流で困ったら、まずはこちらをどうぞ。
名手に聞く、初期の重要ポイント『淵』はこう釣るべし!
文◎井上 聡 まとめ◎丸山 剛
こちらの記事は月刊『つり人』2020年4月号に掲載したものをオンライン版として公開しています。
ようやく渓流に立てるのは無上の喜びだが、魚の活性はまだ低い。
寒さは厳しいし、雪が多いと歩きづらいし、せっかく日が差しても雪代が入ってしまうし……。盛期とは違い、それなりに苦労することもあるが、だからこそそれを乗り越えて手にした1尾はうれしいもの。早春の渓流で困ったら、まずはこちらをどうぞ。
井上聡
1960年生まれ。群馬県高崎市在住。渓流釣り歴はおよそ45 年。『奔流倶楽部渓夢』会長。渓流魚が大好きで、各地の本流で大ものを求める。オフシーズンにはワカサギ釣りも楽しむ。
目次
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早春は淵も見逃せない
解禁初期は魚の活性が低く、流下するエサも乏しい。盛期には元気に瀬に出て捕食している魚も、この時期には水深のある淵にいることが多い。また解禁時に放流された成魚も、淵に集まる。そのためこの時期は、淵の攻略が不可欠だ。
淵の中は流れが緩やかで、底に湧水があれば周辺の水温も高い。そのような場所では、大ものも潜んでいる。
雪にも負けず、サオを振る井上さん。日本各地はもちろん、世界の川でサケ科魚類をキャッチしてきた
中層にも魚がいるのでアプローチは慎重に
淵頭は流速があって、底の起伏や岩などの障害物によって流れは影響を受ける。流れの向き、強弱が見た目で分かりやすいので、ポイントを見極めやすくなる。水深があるので不用意に近づきがちだが、中層の魚を脅かさないようにアプローチを考える。いきなり底をねらわない配慮をしながら、的を絞って釣る。
一方で淵尻は流れが緩やかで、つかみどころがないように見える。カケアガリや岩盤の切れ目など、波立ちに変化があるところを見つけるのがコツだ。長い距離を丁寧に流すことを心掛ける。川底をエサが這うように流すとよい。
遠方に目がいきがちだが、手前から探るのが基本。
水面の波を観察すると底のようすが見えてくる
水深がある淵の場合、上へ吹き上がる流れは川面に広く現われ、鏡のように見える。流れが川底の障害物に当たった後方に発生することが多い。流れが速いほど、後になって形が崩れてゆく。流れを止めるような岩盤や大岩がある場合、その手前や上部に現われることもある。
淵のポイントの目安として、この吹き上がりに注目するのも手だ。ゆっくりと現われた吹き上がりの流れが、徐々に崩れ去るような場所は、探ってみる価値がある。表層にそのような流れが現われる場所は、エサが集まりやすく、魚が身を隠す大岩や岩盤のエグレがある。流速と底石の大きさや形状が、魚に適していることを意味している。
波立ちの方向や高さ、長さを見ていると、水中の障害物がある程度想像できる。丸みを帯びた石などが沈んでいる場合は表面の吹き上がりも滑らかで、尖った石が重なり合えば、波は乱れる。
岩盤底の場合、吹き上がりの流れが出ている場合は、底が複雑な形成になっているか、溝に石がある可能性がある。
ちなみに川面に見える吹き上がりの流れの面積は、障害物の大きさと比例するわけではない。流速や形状などを加味しながら、底のようすを考察するとよいだろう。
次回は淵で効果的な「止め釣り」についてご紹介します。
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