渓流釣りの釣果は「エサ」で決まる! ヤマメやイワナの主食である「川虫(キンパク、ヒラタ、クロカワムシなど)」の種類と採取法を徹底解説。現地調達のコツから、保存法、イクラやブドウ虫など市販エサとの使い分け、さらに名手4人のノウハウまでを一挙に公開する。

まとめ◎つり人編集部
1946年創刊の雑誌「月刊つり人」や別冊「渓流」など、数々の釣りに関するコンテンツを作成してきたつり人社の編集部。
渓流釣りの代表エサ:川虫5種類の特徴を紹介
渓流魚が普段食べている川虫。したがってよく釣れるエサなのは当然だ。しかし一部地域を除いて、生きた川虫を販売している釣具店はあまり多くない。自分で採集するケースがほとんどだが、ではどこを捜せばいいのか……。
まずは主な川虫の種類と、それぞれの生息場所について、水生昆虫研究家の刈田敏三さんに挙げてもらった。
春の定番エサ!『キンパク』

[分布]全国
[生息域]水のきれいな山地渓流から平地渓流
[特徴]黄金色の柔らかなカワゲラの幼虫(コグサヒメカワゲラなどアミメカワゲラ科)。体長12~14mmで使いやすく、エサ持ちもよい。採り方は「石起こし」
[問題点]水質、底石の状態など、河川環境に敏感なためキンパクのいない川もある。また、初夏が羽化シーズンでそれ以後は全く採れなくなる
たくさん採れる場所
本流大物の特効エサ『クロカワムシ』

[分布]全国
[生息域]山地渓流から平地流
[特徴]ヒゲナガカワトビケラの幼虫。大型魚の実績もある。シーズン中ずっと大きなサイズが採れる。採り方は「石起こし」。ただ、クロカワムシが多く棲む大石はクロカワムシが張った網で固着して動かず、起こすのが難しい場合がある。そんな時には、バールなどを使ってテコの原理で起こすような工夫が必要
[問題点]流砂が多いような荒れた川などでクロカワムシの棲まないエリアもあり、そこでは効果が薄い。川にもよるが春以降のほうが、エサとしてより効果的な傾向がある。
たくさん採れる場所
食いのよさに定評あり『チョロムシ(ヒラタ)』
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[分布]全国
[生息域]山地渓流から平地渓流、平地流
[特徴]ヒラタカゲロウの幼虫。釣り人は「ヒラタ」と呼ぶことも。テールが2本から3本ある。たくさんの種類がいるので、シーズン中ずっと採取が可能。エサとしても、魚の食いは非常によい。このチョロムシには、早瀬の大石に張り付いている「ナデムシ」系と平瀬で這い回る「オコシムシ」系の2系統がいる。エサとしてはどちらも優秀で、むしろその採集時の大きさが価値を決める。早春には、最大17mmにもなるタニヒラタがいるが、通常は12~14mmのサイズを使う。
[問題点]エサ持ちはあまりよくない
たくさん採れる場所
動きで捕食スイッチをオン!『ピンチョロ』

[分布]全国
[生息域]山地渓流から平地流まで
[特徴]大型のピンチョロ(体長20mm)は、水溜まりなどに棲むフタオカゲロウの幼虫。早春~春に大型が採れ、一網で10や20匹もまとめて採取できることから、トータルでみて使いやすいエサである。ただし、魚のように群れ泳いでいるので、不用意に近づくといっせいに逃げてしまう。中型のピンチョロ(体長12mm)は、ヒメフタオカゲロウの幼虫で渓流の平瀬に棲む。
[問題点]どの水系にも生息しているけれども、止水に近いような水溜まりや淀みなど限定ポイントにしかいない。初夏以降は全く採れなくなる
たくさん採れる場所
大イワナねらいに効果大『オニチョロ』

[分布]全国
[生息域]山地渓流から平地渓流
[特徴]キンパクと同じくカワゲラの幼虫のことだが、特に大きなカワゲラ(最大30mmくらい)のことを指してオニチョロと呼ぶ場合がある。イワナやニジマスなどの大型魚ねらいに効果的で、エサ持ちもよい。採り方は「石起こし」。
[問題点]水のきれいな流れにしかおらず、大型を数多く採るには時間がかかる
たくさん採れる場所
川虫を採る道具と採り方
同じく刈田敏三さんに、川虫採集に使っている道具類を教えてもらった。いずれも釣具店や、あるいはホームセンターなどで購入できるので試してほしい。(Photo by Toshizo Karita)
川虫網
「石起こし」採取
D型ネット(ガサガサ網)
洗車スポンジ
川虫の保存方法
釣りで使い切れなかった川虫。もし近い内に釣行の予定があるなら、活かしたまま保存する方法もある。
ミズゴケを使う
川砂を使う場合
ミミズ・ブドウムシ・イクラなどの市販エサも用意
現地調達の川虫は強力だが、自然相手ゆえに時期や場所によっては川虫が採れないこともある。そんな時のために、市販のミミズやブドウムシ、イクラなども用意しておくと万全だ。これらのエサは、川虫でアタリがないときに目先を変える目的でも重宝する。
ミミズ

雨による増水や「濁り」が入った時に強力なエサ。雨によって流れ込むミミズを魚が意識しているため、川虫よりもアタリが頻発することがある。
ブドウムシ

川虫の代用として優秀。白く膨張して見えるため視認性が良く、朝夕のマズメ時や、木が生い茂る暗い沢で効果的な場合も。
イクラ
イクラは特に解禁初期などの放流された魚に効果的な場合が多い。養殖場でペレットを食べて育っているためか、高タンパク・高脂質なイクラに好反応を示す。
名手が教えるエサの使い分け
最後に、4人の渓流釣り名手に、普段使っているエサの種類を聞いてみた。それぞれのエサを使う時期、状況など、その使い分けについても教えてもらったので、参考にしてほしい。
井上聡さんの回答

春先はイクラとブドウムシは冷蔵庫に常に保管している。ミミズは大きい天然ものが採取できる牛舎へ出かけて、発泡スチロールの箱に入れ、夜は逃走しないようにフタをしている。川虫の少ない時期だが、キンパクは日持ちがよいので、ミズゴケに入れて保管する。
エサは、魚の活性によって使い分けている。4月以降の渓流ではヒラタも使う。雪代の時にはミミズを多用して、澄んでいるようならブドウムシを使う。秋はコオロギやバッタなどがいるので、イワナの場合はこれらも使用する。
高橋宗久さんの回答

普段はキヂ(ミミズ)がメインで、ブドウムシもたいてい携行している。また、キンパク(春)、ヒラタやピンチョロ(初夏以降)、クロカワムシ(夏)、オニチョロを必要に応じて使う。
ニゴリが入れば、ほぼキヂだけ。雪代が澄んだころから梅雨時までは川虫をメインに使うことが多い。また大場所で大型のイワナをねらう時は、大型のドバミミズが特効エサになることもある。
ヤマメの大型ねらいでは、ほぼキヂを使う。ただし目先を変える意味で、クロカワムシやブドウムシも使う。ちなみにクロカワムシやブドウムシは、サクラマスでも実績がある。
季節や場所によってはそのエサ以外は反応しないというくらいの選り好みをすることもあるので、好ポイントなのにアタリがない時はいろいろなエサを試す。あとはアマガエル、バッタ、トンボなどでもよく釣れることがある。アタリやアワセのタイミングなどが独特で面白い。
千島克也さんの回答

普段使うエサはキンパク、ピンチョロ、クロカワムシ、ブドウムシ、ミミズ。
初期によく使うエサはキンパク、ピンチョロ、クロカワムシ、ブドウムシ。渓流でも本流でも使用している。キンパクは、水温が低い時(解禁から1ヵ月)によく使用する。キンパクが採れなくなるタイミングでピンチョロが採れるようになる。ピンチョロが採れない河川ではクロカワムシを使うことが多い。どちらも採れない場合のために、予備エサとしてブドウムシを使っている。
水温が上がり、水が少し色づきだしたらミミズに変える。ミミズは本流なら市販されている大きめのものを使用している。渓流の場合は小さめのミミズを選んでいる。
どのエサについても、クリアウオーターならエサは小さめにして、ニゴリがあるなら大きめにしている。また、水量が少ない場合は小さなエサ。増水等で多い時は大きめのエサを使う。これはシルエットを考えてのことだ。
あと、本流では朝はミミズで日中はクロカワムシを使うケースが多い。日差しにより、水中での色は変化すると思う。赤系に見えるミミズも、日中は逆光になれば黒い物体にしか見えていない気がしている。そんな時は小さいシルエットのクロカワムシのほうが警戒心を与えないような気がするからだ。あくまでも想像の世界ではあるが……。
白滝治郎さんの回答

僕が使うエサの種類は、川虫がメインだ。それもその時期その川で生息する種類を中心に使用している。
長良川の場合だと、シーズン初期はキンパクとヒラタ(オコシムシ)、その後3月中旬ごろからはヒラタ(ナデムシ)がメインになる。本流域を中心にクロカワムシは年中使用するし、オニチョロを使うこともある。川虫以外では予備エサや大もの用としてミミズを使用する程度だ。
エサは鮮度が命。特に気温が高くなってからは、その扱いにも注意を払う。エサ箱は保冷効果のあるクールベイトに保冷財を入れたりもするし、川虫の脚がもげたりするのを防ぐため、エサ箱自体も大きく揺らしたり衝撃を与えたりしないなど、細心の注意を払って取り扱う。
その他、サツキマスなどの大もの釣りの場合は朝夕のマヅメ時にはミミズを使用し、日中はクロカワムシを使用するなど、釣り場の条件に応じて魚の目先を変えたりもする。
また、エサの大きさに応じたハリのサイズをチョイスすることも重要だ。大バリに小さなヒラタというのはアンバランスである。
同じような意味で、エサが小さいからといって2匹刺しなどしてはいけない。自然界では川虫が2匹くっついて流れるなどということはあまりない現象で、かえって不自然になる。渓魚の視覚はよいので、小さな川虫の1匹掛けでも充分見つけて反応してくれる。
逆に、魚の反応はあるがハリに乗らない時などは同じ種類のエサで、サイズを落としてやることによってハリ掛かりしてくることがある。
※このページは『つり人 2019年4月号』に掲載した記事を情報更新・再編集したものです。
