北海道では、猛暑により夏から初秋の海釣りは青ものを除いて厳しさを増している。そんななかルアーを果敢に襲うのは港や砂浜で気軽にねらえるハゼ。クランクベイトを使えば手軽に楽しめ、その見た目とは裏腹に引きも侮れない!
エギングの醍醐味やポイント選択の方法、釣り方のコツを名手・川上英佑さんが解説する。さらに餌木の使い分けや、ライトエギングとアオリイカエギングの違いについても紹介。初心者から経験者まで、道内の全エギンガー必読の内容だ。
Text by Eisuke Kawakami(North Angler’s)
North Angler’sとは?:北海道での釣りを満喫するための情報誌。北海道の自然を体感するキャンプの情報や、フィールドを守るための環境問題にも光を当て、多角的な視点からアウトドアライフを提案している。誌面と連動したウェブサイト『つり人オンライン』での記事展開に加え、好評放送中の『ノースアングラーズTV』や公式動画チャンネルである『釣り人チャンネル』を通じても、北海道の釣りの魅力を発信している。
北海道のアオリイカエギング
『YAMASHITAエギングマイスター』として国内外で釣行を重ねている私だが、実をいえば最初からエギングが好きだったわけではない。
振り返ってみると、あれはたしか20歳くらいのとき。初挑戦の1投目で根掛かり、餌木をロスト。出だしの苦い経験から、当時は「もう二度とこんな釣りなどやるものか!」とすら思ったが、ヤマリアに入社して再びエギングと出会い、真摯に向き合ううちにどっぷりとハマってしまった。
私が感じるエギングの最大の魅力は、サイトフィッシングの要素が強いこと。追ってきたアオリイカが餌木を抱くか、はたまた見切るか……その駆け引きを目で見られるのは非常にスリリング。また、魚とは全く異なる、ある種"異質"な引きにも魅了される。しばしばジェット噴射に例えられるトルクフルで力強いファイトは、まさにアオリイカの真骨頂といってもよいだろう。
こうして私のエギング歴はかれこれ25年以上におよぶが、近年は新たなトピックに興味を駆り立てられている。それは、北海道でもアオリイカがねらって釣れるようになったこと。そして私自身、6年ほど前から精力的に北海道に足を運んでいる。

北海道エギングの時期
日本列島の最北に位置する北海道は、当然ながらアオリイカの釣期が本州とは異なる。本州のシーズン開幕は、早いエリアで3月下旬。この時季にねらえるのは「親イカ」と呼ばれるキロオーバーのアオリイカで、北海道の場合は例年6月下旬から、主に江差以南の道南日本海で釣れだす。
本州における親イカのシーズンは通常6月半ばまでだが、北海道では9月に入っても大型が釣れたという話を聞く。つまり「秋イカ(=晩夏に生まれたアオリイカ)」と釣期が重なるのである。北海道の秋イカは早ければ8月下旬からねらえ、シーズンは10月下旬(長ければ11月初旬)まで続く。
秋イカに関しては、道内でも釣れるエリアが比較的広い。津軽海峡をはじめ、日本海側は増毛以南、太平洋側は襟裳岬以西(可能性が高いのは苫小牧〜噴火湾)に分布する。したがって、最初の1パイを手にするには秋季の釣行がおすすめだ。当記事では秋のアオリイカエギングをテーマに、ポイントの選び方や基本的な釣り方を解説したい。
有望なポイントの特徴
北海道の秋イカシーズンに私がよく訪れるエリアは、積丹半島から函館にかけての日本海および津軽海峡沿岸。この一帯は対馬海流による暖水のおかげで、アオリイカのストック量が多い印象を受ける。なお適水温の目安は16℃以上で、これより水が冷たいと活性は著しく低下する。また、アオリイカは急激な水温変化にも弱いため、水温が安定していることが重要だ。
有望なポイントとして挙げられるのは、比較的水深があって潮通しのよい港や磯場。小魚や甲殻類などのベイトが多く、かつアオリイカが身を隠しやすい海藻(とくにアマモ)が繁茂する場所であれば、なおのこと期待が持てる。

ちなみにアオリイカに限らず、イカ類の細胞は浸透圧の調整能力に乏しく、真水が混ざる河口域や流れ込みなどのエリアを嫌うとされる。釣り場を選ぶうえではこの点にも配慮が必要だ。無論、海面の塩分濃度が変わってしまうほどの土砂降りが続いた場合も、その後しばらくは望み薄だろう。
潮回りに関していうと、私が経験上よい思いをしているのは若潮あとの中潮。若潮は文字どおり「潮が若返る(=入れ替わる)」ことから、新しい群れが入ってきやすい。このとき満月回りなら夕方から夜、または朝マヅメがプライムタイム。一方、新月回りであれば日中のチャンスが増える。
ほかにも、北海道ならではの懸念事項について触れておきたい。それはシロザケの存在だ。秋になると港内はもちろんサーフ絡みの磯場などにもサケが回遊するが、このタイミングでアオリイカのアタリが遠のくことが多い。おそらく、アオリイカは本能的に大型魚を警戒するのだろう。近くでサケの跳ねや魚影が見えたら、迷わず釣り場を移動するのが無難である。

無駄撃ちをなくしテンポよく探る
港の釣りでは、とにかくテンポよく探ることが重要だ。決して同じコースに何度も餌木を通す必要はない。秋のアオリイカは育ち盛りで積極的にエサを捕食するため、広範囲を手早くチェックするほうが効率的。いかに無駄撃ちをなくしてキャストの回数を増やせるかが、釣果に直結するといっても過言ではない。
極端な話、1投ごとに10mずつコースを変えてキャストし、チェイスがなければそのポイントは見切ってしまってよい。ただし、堤防の先端や潮目ができているような場所は要注意。とくに潮目はアオリイカの通り道になり得るため、少なからずねばる価値はある。
磯場の場合、アオリイカが好むのは湾状の地形。または磯どうしが形成するスリット(谷)にも溜まりやすい。このようなポイントは積丹半島以南の日本海側に多く、釣れる可能性はどこも充分にある。スマホアプリの航空写真などでエントリー地点を確認し、新規開拓するのも面白い。

エギは3タイプを使い分け
基本的には港、磯場ともに使用する餌木は同じ。3号を基準にフィールドの水深や潮の速さ、海の荒れぐあいなどに合わせた号数の選択こそ必要だが、釣り方に大きな変わりはない。一方で、命題ともいえる「テンポのよい釣り」を実現させるために重要なのが、タイプ別の使い分けだ。
北海道に限らず、全国どの釣り場でも私が最初に投入する餌木は、強いヒラ打ちアクションとラトルの効果で遠くのアオリイカにアピールする『エギ王SEARCH』。前述のとおり秋イカは積極的にエサを捕食するため、餌木に気付けば寄ってくるはず。要するに"答えが早い"ということ。それに加えてフォールスピードが速い点(3号:約3.2秒/m)も、効率的なサーチに貢献する。
『エギ王SEARCH』で反応が得られないときに、次の一手として選ぶのは、ラトル非搭載の『エギ王LIVE』。こちらはダートに特化したモデルで、横方向への動きの幅が広い。アオリイカはラトルの有無で反応が変わることも多々あるため、音(ラトル)ではなくキレのあるダートで誘ってようすを見たい。
どうしてもアタリがなく、シビアな状況なら『エギ王K』の出番。低活性時にアオリイカが釣れない原因として「不安定なフォール」や「大きすぎるアクション」が考えられる。『エギ王K』はベリー後方の「ハイドロフィン」が船でいう舵のような役割を果たし、フォール時のブレを抑制。また、左右にそれほど大きくはダートせず、レンジキープ力の高いアクション設定になっている。まさにタフコンディション専用といえるモデルだ。

ライトエギングとの違い
最後に、読者の皆さんが気になっているであろう、マメイカをねらったライトエギングとアオリイカエギングの違いについて説明しよう。
ライトエギングでは主に2号以下の餌木を使用し、強くシャクって派手に動かすことはあまりない。むしろマメイカの場合は、餌木を自然に泳がせて一定層を引いてくるような誘い方を重視する。一方、アオリイカエギングは餌木が動くときの”初速”と、そのあとのフォールが重要だ。2.5号以上の体積の大きい餌木にキビキビとしたアクションをつけるため、必然的にシャクリの動作は速く、振り幅も大きくなる。
また、アオリイカはマメイカよりも餌木の上下運動に好反応を示す傾向が強い。追ってきたのが見えても抱かないのであれば、一旦ボトムまで餌木を落とし、一気に跳ね上げて止める。そうすると活性が高まり、ヒットにつながることが多い。
いずれにせよ、北海道のアオリイカエギングは過渡期の真っ只中にある。今後ますますフィールドが開拓され、有効メソッドも増えてくるだろう。そんな前途有望な釣りを盛り上げていくためにも、まずは安全第一で存分に楽しみたいもの。ライフジャケットを必ず着用し、磯場の釣りではスパイクシューズを忘れずに。
動画でさらに詳しく!北海道の秋エギングを徹底解説
記事と併せて、川上英佑さんによる解説動画もぜひご覧ください。
北海道の秋エギングを成功させるためのコツを、実際のエギングシーンを交えながら、詳細にレクチャーしていただいています。