大山さんもオーバーハングが浸る高水位の時間帯にアタリが連発したが、そこはまだ係留船や係留ロープが多く残るエリアで、なおかつ大山さんはハリス1号だったこともあり、無理が利かずに何度か巻かれたり切られたが、最後に大型を追加して5尾をキャッチ。
オーバーハングが浸る水位でアタリが連発
写真・文◎編集部
街中の汽水域に潜む好敵手。そんなクロダイの本領がいま各地で発揮されている。幕張のオフィス街の小さな都市河川で満潮までの上げ潮数時間をねらい3人で12尾。もはやこれは穴場ではなく本場というべきかもしれない。そしてそんな新たな本場はあちらこちらに誕生している。
この記事は月刊『つり人』2021年7月号に掲載したものを再編集しています
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目次
- 第1回:違法係留船が減って釣りやすくなった浜田川
- 第2回:カニエサが有効
- 第3回:オーバーハングが浸る水位でアタリが連発
オーバーハングが浸る水位でアタリが連発
釣り開始早々、大山さんが52cmの大型をキャッチ。これを皮切りに郡さんも連発していく。
「ここは面白いよね。沖に向かって走るし、浅いけどタナでも食ってくる。壁面も変化があってオーバーハングしているし土管はあって杭もある。沈船周りにも魚が多い」
もともと水深が浅く潮位がまだ高くない時間帯だったので魚は底に行くことができずに真沖へ走ることが多かった
大山さんは右岸の東関道下で明確なアタリを連発させたが、この辺りは沈み物が多く、ことごとく巻かれてしまった
ベテランの郡さんも、このテクニカルなフィールドがすっかり気に入ったようす。一方、片野さんは苦戦中で最初の数時間は釣果ゼロだったが、時間の経過とともに水位が上がり、オーバーハング部分がピチャピチャと洗われるタイミングでヒットを連発し、良型2尾をキャッチした。
潮位がまだ低い時間でも郡さんが連発したのはカニエサを垂直に落とし込むのではなく、一度沖に振り込んでから、オーバーハングの奥側まで振り子の要領で送り込んでいたからだ。
「実はこの周辺の商業ビルに勤務していたこともある」という片野さんも浜田川でのクロダイ釣りは初めて。オーバーハングと水面に隙間がある間はアタリが少なく苦戦していた
「オーバーハングが浸ったら奥には振り込めないのでヘチ際を垂直に落とせばいい。基本的に岸に寄るクロダイは潮位が高い時間帯に食い気も高まるから、満潮前後を楽しむ釣り場だろうね」
と言って13時の満潮までに5尾をキャッチした。
大山さんもオーバーハングが浸る高水位の時間帯にアタリが連発したが、そこはまだ係留船や係留ロープが多く残るエリアで、なおかつ大山さんはハリス1号だったこともあり、無理が利かずに何度か巻かれたり切られたが、最後に大型を追加して5尾をキャッチ。
「近くに大型商業施設もあるし、周辺で働くビジネスマンも多いから穴場でもなんでもなく、たくさんの人の目に触れている川ですが、思いのほかクロダイ釣りの人は多くありません。係留船が減ったおかげで探れる範囲は増えましたしクロダイも圧倒的に増えました。それでもクロダイはクロダイですから、人の気配を察知すればすぐに逃げますし、不自然なエサは見破りますからゲーム性は高いです」
結局、13時の満潮を待たずに大満足で納竿した。3人で12尾なら文句なしだろう。
街中の川のクロダイは釣れる。そう確信したのだった。
「実は取材ということで下見に来ていたんですが、GW中は本当に魚が薄くてどうなるかと思っていました」と大山さん。幸先よく釣れたこの1尾は52cmもありこの日の最大魚になった
大山さんの撮影が終わるとそのすぐ下流で郡さんも1尾目をランディング。これには大山さんも「初めてなのにさすがです」とほっとしたようす
正午近くになってオーバーハングが水没するかしないかのタイミングでラッシュがかかった
「今日は大満足。浅いけどタナで食ってくるしクロダイは元気だし、楽しかった!」と郡さん
「クロダイと人間の距離感がたいぶ詰まってきた気がする。ほんとに憧れのいぶし銀は足もとにいるという感じ。これから季節もよくなるから落とし込み釣り入門には最適だよ」と郡さん
オーバーハングがヒタヒタのタイミングで片野さんもサオを曲げて見事ないぶし銀を手にした
満潮の潮止まり直前に大型を追加した大山さん。「去年も6月以降が本番で、いいタイミングをねらえば10発以上当たることも珍しくなかった」とのこと
●交通:東関道・湾岸習志野ICからR357を経由して標識に従い幕張方面へ右折。ハイテク通りとビジネス通りの交差あたりに点在するコインパーキングから徒歩10分弱で釣り場へ