街中の汽水域に潜む好敵手。そんなクロダイの本領がいま各地で発揮されている。幕張のオフィス街の小さな都市河川で満潮までの上げ潮数時間をねらい3人で12尾。もはやこれは穴場ではなく本場というべきかもしれない。そしてそんな新たな本場はあちらこちらに誕生している。
ストレスの溜まる川からスレレスの消える川へ
写真・文◎編集部
街中の汽水域に潜む好敵手。そんなクロダイの本領がいま各地で発揮されている。幕張のオフィス街の小さな都市河川で満潮までの上げ潮数時間をねらい3人で12尾。もはやこれは穴場ではなく本場というべきかもしれない。そしてそんな新たな本場はあちらこちらに誕生している。
この記事は月刊『つり人』2021年7月号に掲載したものを再編集しています
◆関連記事東京湾のクロダイ・キビレの今。生態面から研究者が解説 第1回(全3回) >>
目次
- 第1回:違法係留船が減って釣りやすくなった浜田川
- 第2回:カニエサが有効
- 第3回:オーバーハングが浸る水位でアタリが連発
違法係留船が減って釣りやすくなった浜田川
「この川は自分が大学生の頃から来ているので、通い始めてかれこれ15年以上になります。周辺にはオフィスビルが立ち並び、プロ野球のスタジアムや国際展示場、巨大なショッピングモールなどもあるので、かなり多くの方が目にする川だと思うんですが、じゃあ釣りをしたことがある人となるとそんなに多くないと思います」
そう語るのは『RFC』に所属する大山健二さんだ。沖堤よりも地続きの釣り場の開拓に力を入れ、都内の運河から南房の漁港まで幅広くクロダイを求めて活動している大山さんがこの日に向かったのは幕張メッセにほど近い千葉市美浜区を流れる二級河川・浜田川だった。
メッセ大橋より上流の1km弱がメインの釣り場
メッセ大橋のすぐ下流にはZOZOマリンスタジアムがある
メッセ大橋の下にフェンスがあり、遊歩道はここで終わる。河口に2本の突堤があるがいずれも釣り禁止エリアなので注意
釣りを終えたら新都心のオフィス街のコインパーキングに戻る。海浜幕張の駅周辺には食堂なども多く大変便利な釣り場だ
最下流のメッセ大橋から上流を望む。先に見えるのはJR京葉線。高速道路の東関道周辺までがメインの釣り場になる。以前はこの両岸にびっしりと船が不法係留されていた
幕張メッセ周辺には大企業の本社ビルなど大型ビルが立ち並ぶ。そんな街中にひっそりと流れる浜田川でクロダイをねらう大山さん
河口に近い最下流域は両岸が護岸され、遊歩道も整備されていることからエントリーしやすそうな釣り場だが、実は長年、不法係留の船舶が両岸を埋め尽くしていたことから、そのロープや沈船などによってチョイ投げもままならなかったという。
「シーバスの出入りはありますが、ねらえるコースが限られますし護岸沿いにルアーを通すこともできないので気持ちよく釣りができるという感じではなかったです」
ところが最近は県が本腰を入れて不法係留船を撤去したことにより、これまでボートで埋め尽くされていた両岸にスペースが空いて格段に釣りやすくなった。
「正直、クロダイの落とし込み釣りは垂直に落とす釣りですし、船やロープもクロダイの恰好のストラクチャーになるのですが、いかんせんやり取りがしにくく、少しでもイトを出してしまうと巻かれて魚が獲れませんでした」
違法係留船が減って釣りやすくなっただけではない。明らかにここ2、3年はクロダイそのものが非常に増えているという。
「前も少しは釣れましたが、今はわりとよく釣れる川になりました」
2020年に本誌では千葉の五井堤防や川崎新堤などで以前までは考えられない、まさに桁違いの釣れっぷりについてレポートしたが、沖堤のみならず、湾奥の地波止や都市河川でもその兆候は明らかという。
高層ビルが立ち並ぶ幕張新都心にいま注目のクロダイ釣り場がある!
第2回「カニエサが有効」へ続く……