4月が近づけば山々は一気に春めく。春雨により水が増え落ち葉の溜まった枯れた渓も潤いを取り戻す。水も温みヤマメやアマゴの活性も上がるが、解禁から1ヵ月が経って人的プレッシャーが高まってくるのもこの季節。ここでは入渓しやすい里川のスレた魚を想定したミャク釣り仕掛けを解説したい。
世界に広がるシンプルフィッシング。テンカラをやってみよう。
まとめ◎編集部
こちらの記事は月刊『つり人』2021年5月号に掲載したものをオンライン版として公開しています。
リールを使わない簡素な道具立てで楽しめながら、一方では水面直下の魚の反応に気を配り、ある種の集中力でアタリを捉えていくテクニックもあることから、やるほどに楽しみが増す。
基本のタックル、釣り方、さらに毛バリの巻き方を紹介。
目次
毛バリは3秒を基準に流す
まずテンカラのキャスティングに力は必要なく、サオの弾力を活かすのがコツになる。キャストは投げたい方向に対して、サオを前後にまっすぐに振るのが基本。その振り幅はバックキャストで12時、フォワードキャストで10時(もしくは2時)のイメージだ。サオの振り幅はかなり狭い。キャスト後は手前のラインが流れに取られないよう、腕を持ち上げてサオ先をある程度の高い位置に保ちながら釣りをする。
サオのグリップは最下部を軽く包むように握る
次に毛バリは自然に流すのが基本。その際、水面直下を流すので、ラインとハリスの結び目が水面に付くか、わずかに5~10㎝水面上にあるようにする。こうすることで毛バリは水面下5~10㎝を流れ、魚がくわえやすく、かつ合わせやすい状態になる。
立つ位置は魚が毛バリに出る場所の真横が理想。毛バリを自然に流しやすいことと、魚が毛バリをくわえるのを目視しやすいためだ。ただし、後ろに木が茂って真横に立てない場合は、ポイントの斜め下流が多くなる。
毛バリを流す時の基本ポジション。横に立つことで水面直下で起きる変化に気付きやすい
1ヵ所につき3秒、3回同じところを流して反応(アタリや魚の動き)がなければ、魚がいないか食い気がないと判断して違うポイントをねらう。テンカラは手返し重視の釣り。ポイントは無数にあるので、ダメなところで粘らず、どんどん新しいポイントをねらっていくほうが魚も釣れる。ただし、下流や横から流れなりに毛バリを流して魚が出なかった場合、今度は上流から下流に向かって誘いを掛けて(毛バリが水面から飛び出さない程度にチョンチョンと引くなど)同じポイントをねらうと魚が出る場合がある。
アワセは一呼吸が大切
テンカラのアワセは遅アワセ。毛バリが流れていると想定する場所の周囲を目で追い(毛バリそのものを見ようとする必要はない)、バシャッと魚が出たり、スーッと水面近くに黒い影が浮かんできたり、ギラリと水面下が白くなったり(エサを食った魚が反転している)、なにか違和感を覚えたら、「よし」と一呼吸おいてサオをあおりアワセを入れる。慌てて合わせると掛からなかったり、毛バリをくわえる寸前の魚を脅かして引き返させてしまうことが多い。この感覚は当然ながら、魚が実際に釣れるほど蓄積できる。魚が掛かったらサオを倒して肩に掛け、寄せたラインを掴み、ハリスをたぐってタモに取り込む。
フライフィッシングでは大小さまざまな毛バリを使うが、テンカラをするなら、小さすぎない半沈みパターン1つがあればまずは充分だ。具体的にはフライフックの#11や#12クラスが使いやすい。テンカラバリの5号クラスもだいたい同じ大きさになる。世界的に見てもシンプルでミニマルな渓流の釣りにぜひ挑戦してみよう。
自然に流すことで渓流魚はためらいなく毛バリを口にする
次回は毛バリの流し方からアワセについて解説します!
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