生徒ふたりはいよいよ湖上へ。 座学編で身に着けたノウハウを生かしてバスをキャッチできるのか?
今回から実践編:ベイトフィネスを煮詰めた尖った釣り
編集部=写真・文、もりなをこ=イラスト
ワームの端にシンカーを挿入し、 中央付近にフックをセットしたネコリグ。 減水傾向にある近年の霞ヶ浦で、 ベイトフィネスで扱うネコリグの有効性が高まっているという。 生徒ふたりはいよいよ湖上へ。 座学編で身に着けたノウハウを生かしてバスをキャッチできるのか? ストーリー仕立てでお届けする。編集部員がエキスパートに入門し、座学と実践で免許皆伝を目指す 『Basser』の人気連載をピックアップ
※この記事はBasser2014年7月号に掲載されたものを再編集しています
講師=村川勇介(むらかわ・ゆうすけ)
村川勇介先生のブログ「村川勇介のバス・トゥ・ザ・フューチャー」
村川勇介先生のfacebook
1976年生まれ、東京都在住。サラリーマンを務めるかたわら、W.B.S.に参戦するトーナメントアングラー。2011年にはW.B.S.アングラー・オブ・ザ・イヤーを獲得。2012年と2013年のオールスタークラシック2年連続準優勝。得意とするのはテキサスリグ、ネコリグを始めとするソフトベイトの釣り。霞ヶ浦攻略の座右の銘は「今を釣る」。
生徒=アマノ
1969年生まれ、東京都出身。これまでライトリグでズル引くこともフォールの釣りもしてきたが、ルアーと一緒にネイルシンカーが飛んでしまい、それを防ぐチューブを使うのも面倒くさいという理由でネコリグを敬遠していたが一念発起して弟子入り志願。現在は『ルアーパラダイス九州』編集長として九州支社に赴任中。
生徒=アライ
1988年生まれ。群馬県出身、千葉県在住。ネコリグ歴は1年。出しどきが今ひとつよくわからないまま、牛久沼の桟橋や杭に、なんとなくネコリグを投げている。一日やり通すほどにはネコリグを信じきれておらず、微妙な距離を置いている。群馬の実家に帰省するときは、帰り道にある老舗の釣具屋さんで掘り出しもののワームを物色するのが恒例行事。
ネコリグとは……ワームの端にネイル(釘型)シンカーを差し込み、中央付近にフックをセットするリグ。アクションを加えるとテールを持ち上げた状態でバスを誘う。ノーシンカーリグや同じウエイトのジグヘッドワッキーリグなどと比べてフォールスピードが速め
村川勇介先生のブログ「村川勇介のバス・トゥ・ザ・フューチャー」
村川勇介先生のfacebook
1976年生まれ、東京都在住。サラリーマンを務めるかたわら、W.B.S.に参戦するトーナメントアングラー。2011年にはW.B.S.アングラー・オブ・ザ・イヤーを獲得。2012年と2013年のオールスタークラシック2年連続準優勝。得意とするのはテキサスリグ、ネコリグを始めとするソフトベイトの釣り。霞ヶ浦攻略の座右の銘は「今を釣る」。
生徒=アマノ
1969年生まれ、東京都出身。これまでライトリグでズル引くこともフォールの釣りもしてきたが、ルアーと一緒にネイルシンカーが飛んでしまい、それを防ぐチューブを使うのも面倒くさいという理由でネコリグを敬遠していたが一念発起して弟子入り志願。現在は『ルアーパラダイス九州』編集長として九州支社に赴任中。
生徒=アライ
1988年生まれ。群馬県出身、千葉県在住。ネコリグ歴は1年。出しどきが今ひとつよくわからないまま、牛久沼の桟橋や杭に、なんとなくネコリグを投げている。一日やり通すほどにはネコリグを信じきれておらず、微妙な距離を置いている。群馬の実家に帰省するときは、帰り道にある老舗の釣具屋さんで掘り出しもののワームを物色するのが恒例行事。
ネコリグとは……ワームの端にネイル(釘型)シンカーを差し込み、中央付近にフックをセットするリグ。アクションを加えるとテールを持ち上げた状態でバスを誘う。ノーシンカーリグや同じウエイトのジグヘッドワッキーリグなどと比べてフォールスピードが速め
ライトとヘビーの使い分け
取材を行なったのはゴールデンウイーク真っ只中の5月4日。大山の弁天マリーナを出ると、まずはウォーミングアップとばかりにキャスト練習から開始。村川 今回リール以外はすべてこちらで用意しました。この釣りはとても繊細だから、ロッドはもちろんラインやフックやシンカーに至るまで、できるだけ先生と同じ物を使ってもらうことで細かな感覚まで共有してほしかったからです。
アライもアマノもライトカバー用にSBCC-608T1を、ヘビーカバー用にSBCC-608T2をお借りした。アライはT1にリベルト・ピクシーを、 T2に夢屋BFSスプール搭載のメタニウムMgをセット。アマノはT1にT3 AIR8.6をセット。T2には非ベイトフィネス機をセットしてほぼ釣りにならず……
アライ ロッドはスペルバウンドサーキットクラスの608T1と608T2ですね。村川 T1は薄めのライトカバーにVガードマスバリのネコリグを入れるときに8Lbラインで使います。T2は濃いめのヘビーカバーにスナッグレスネコリグを入れるときに10Lbラインで使います。どちらも使用するワームはフォールクローラー5inでシンカーはタングステンフォールネコシンカー1/16ozです。
アマノ 実は……ライト用とヘビー用ってシンカーウエイトのことと勘違いしていまして……。8Lbラインを巻いたのはベイトフィネス機ですけど、10Lbラインを巻いたほうはフィネスタイプじゃないんですが……。
村川 この釣りはベイトフィネス機なしには成立しません。おそらくそのリールでは苦労すると思いますけど……まあ、それも経験ですからやってみてください。アライ君のほうは2台とも大丈夫そうだね。
アライ はい。ただピクシーのほうがローギヤなので手返しは遅いかも……。
村川 たしかにこの釣りにはハイギヤのほうが合っているけど、今日は際を撃って落として回収という早い釣りではなく、ボトムをズル引くスローな釣りだから問題なし。
太っ腹の村川先生にフロロカーボンライン、T7を支給してもらった。T1を使ったVガードマスバリの釣りには8Lb、T2を使ったスナッグレスセッティングには10Lb
アライ よかったです。シンカーは普段からもっと軽いものを使っていますが、ラインは12Lb以上を巻いているので8Lbは未知の世界です。
村川 その軽さを太いラインで使えるならそれはスゴいけど投げづらくないの?
アライ 正直、投げやすくはないです……。でも普段は牛久沼で20Lbラインで撃つ釣りをしているので、12Lbでもかなり細くしたつもりなんですが……あ、いつもの感覚と全然違います!
村川 でしょ。12Lbと8Lbではロッド、リール、リグが同じでもキャストフィールもボトムでの操作感も全然違うはずだよ。
アマノ 自分も最近はベイトフィネス機で8Lbラインを多用するようになって、それまでとは撃つ釣りの感覚が変わりました。
村川 研ぎ澄まされた釣りになりますよね。
アライ
たしかに投げやすいのは8Lbラインの恩恵だと思うのですが、感度がよくなったのは外に大きく飛び出した独特のシンカー形状や水受けのよいワームのフラット面も関係があるのでは?
村川 お、なかなか鋭いね。これまでいろいろなタイプのワームをネコリグで使って来て操作感をもっと向上させたいという思いで作ったカタチだから相乗効果は当然あるよ。感度や操作もそうだし、ただラインを細くすればいいってもんではない。そのラインに合ったパワーのロッドを使わなければアワセ切れを頻発してしまうし、逆に弱すぎればスナッグレスネコでは上手くフッキングが決まらない。
アマノ トータルでのタックルバランスが大事なわけですね。
村川 そう。まずこの釣りを可能にするリールが広く浸透して、その機能にマッチしたロッドが揃い、さらにライン、フック、シンカー、ワームを吟味して辿り着いた、かなり尖がった釣りですよ。
アマノ あ……。
ベイトフィネス機に8Lbラインを組み合わせたタックルでは気持ちよく投げられたアマノだったが、ベイトフィネス機ではないリールではバックラッシュを連発。
村川 そういうことです……。最初にねらうのはヘビーカバーではないから最初は8Lbラインを巻いたT1を使ってみてください。T2がミディアムパワーなのに対してT1はミディアムライトパワーなんでライトリグはより扱いやすいですから。
アマノ りょ、了解です……。
アライ ボクはスナッグレスネコリグに慣れているのでT2を使ってもいいですか?
村川 もちろん。ライトカバーといっても底には沈み物も多いからね。ただ、せっかくの機会なんでVガードマスバリもマスターしてほしい。
アライ 両方やってみます!
村川勇介先生のタックル ※2016年4月現在のネコリグ用タックルです。
Vガードマスバリネコリグ用
ロッド:スペルバウンド・サーキットクラスSBCC-608T1(エンジン)
リール:アルデバランBFS XG(シマノ)
ライン:ハードコアT7 8Lb(デュエル)
スナッグレスネコリグ用
ロッド:スペルバウンド・サーキットクラスSBCC-608T2(エンジン)
リール:アルデバランBFS XG(シマノ)
ライン:ハードコアT7 10Lb(デュエル)
ライン、ワーム、フック、シンカーだけでも無数の組み合わせになってしまうであろうネコリグだが、この釣りをやり続けた村川先生が「霞ヶ浦ならこの2種類でいい」と自信をもって薦められるまで煮詰めたタックルセッティングだ
霞ヶ浦の春はゆっくり広範囲をズル引く
村川先生からワームももらってご満悦のアマノ
アマノ ゴールデンウイークというタイミングはどうなんでしょう?村川 正直、厳しいです。このタイミングの霞ヶ浦は田植えの代掻きの濁りの影響で魚が口を使わなくなることが多いんです。
アライ そうなんですか……。
村川 だけど、悪い水を避ければいいというわかりやすさもある。実際、数日前までは代掻きの影響を受けにくい一部の流入河川ではコンスタントにネコリグで釣れていた。ところが、取材直前にけっこうな量の雨が降って、田んぼからの水が直接流れ込む河川は全滅状態になっちゃった。
アマノ そうなんですか……。
「今を釣る」を合言葉に水がいいエリアを探す。食わせもできてカバーにも入れられるベイトフィネスのネコリグは周年いつでもどこでも使えてしまう便利リグだからこそ「投入すべき今」を知ってほしいと力説する
村川 今日は本湖を中心に水のいいところを探していきます。とはいえ本湖も濁りがきついし、スポーニングシーズンですから難しい状況です。でも、だからこそ頼りになるのがネコリグなんです。
アマノ
今の状況にネコリグが合っているということですか?
村川 速い動きのルアーに反応できる魚は少ないから、スローに探れるネコリグは合っています。細身のストレート系ワームも口を使わせやすい形状です。しかも座学編で話したとおり、現在の霞ヶ浦は水位を落としているので産卵絡みの魚のポジションが岸から離れ気味ですから岸際だけではなくフラットを広く探りたい。
村川 さらに、一段下にはウエイトの乗ったプリのメスがいる可能性があるし、アフターのメスは岸際で浮いている可能性もある。つまり、いろいろな状態の魚が混在する状況において、1回のキャストで効率よく探れるのがネコリグなんです。
アマノ なるほど。たしかに便利だ。
村川 超便利です。正直フォールでもズル引いてもスイミングさせてもOKの周年使えるズルいリグなんですよ(笑)。
アライ
もっと活用すべきですね。
村川
まさにそうなんだけど、だからこそ「いつでもどこでも」ではなく「ここぞ!」という出しどきに投入すべき。便利すぎて多用しすぎると状況を見失いやすいから。
アマノ どういうことでしょう?
村川 たとえば魚の活性が高いなら広くズル引くよりも、撃って落として回収という岸際のフォールの釣りのほうが効率的です。
アマノ なるほど。そういう使い方もアリですね。
村川
アリです。アリですけど、そんなに魚の活性が高いなら微波動の細身のストレートワームを落とすことないんじゃないって思ってほしい。もっと波動が強いワームやもっと速く落とせるヘビーリグのほうがいいし、シェードが重要になってカバーの最奥まで撃つべき状況もテキサスリグのほうが活きるはずです。
アライ 便利なリグではあるけれど盲信してはいけない。適材適所ということですね。
村川 そういうこと。ただ、今の霞ヶ浦では強いルアーで押し通したほうが釣れる状況のほうが少ないから、弱めでもカバーに対応できるネコリグの適所が思いのほか多い。
村川 まさにこのタイミングがそうで、岸際を強めのルアーで撃つだけでは魚を拾いきれないけれど、そこからのフラットをネコリグでズル引いてみるとバイトが増えます。
アライ ズル引くだけじゃなくシェイクを入れるのはどうですか?
村川 いろいろ試してみるのはとってもいいことです。昨日もようす見をした限りではスローなズル引きが合っているとは思うけれど、バスの反応は日替わりだからね。
村川 カラーも、ナチュラルプロブルーパールがすごく効いているけれど、雨が降って濁る前まではマイティシュリンプがよく釣れた。今日も濁っていないところでは釣れるんじゃないかな。迷ったら、周年通じて霞ヶ浦の水に合うAOYグリパンがオススメだよ。
アマノ じゃあボクはマイティシュリンプを使わせてもらいます。すごく釣れそうな好みの色ですよ。
アマノがセレクトしたマイティシュリンプカラー
アライ ボクは青ラメが無性に好きなのでシナモンペッパーブルーフレークを使います。
アライのチョイスはシナモンペッパーブルーフレーク
村川 じゃあ先生は手堅くナチュラルプロブルーパールを使います。
村川先生はナチュラルプロブルーパールを先発で登板
……次回、村川勇介のネコリグ道場:第4回
「ズル引きとアワセの掟とは?」