アユの友釣りで釣果を上げるには、オトリ操作の他にハリ選びも重要だ。そこで、今さら聞けないハリ選択の考え方と各ハリの特徴を紹介。

まとめ◎つり人オンライン編集部
1946年創刊の雑誌「月刊つり人」を始め、数々の釣りに関するコンテンツを作成してきたつり人社のつり人オンライン編集部。
掛けバリの形状とその特徴
アユの友釣りで使う掛けバリ(掛け針)は、メーカーやモデルによって形状がさまざまだが、大きく分けると「しわり系」と「ストレート系」、そして「細軸」と「太軸」に分類できる。それぞれの違いを理解して使い分けることで、掛かりの良さやバラシの少なさが大きく変わってくる。
しわり系とストレート系
しわり系とストレート系は、ハリ先の曲がり方に違いがある。ストレート系はハリ先がまっすぐに近い形状で、掛かりの速さを重視した設計だ。オトリに向かってきたアユにスッと刺さり込みやすく、高活性でアユの動きが速い場面や、「追ってくるのに掛からない」と感じるときに向いている。ただし掛かりが浅くなりやすく、身切れやバラシにつながることもある。
一方のしわり系は、ハリ先がやや内側に曲がった形状で、皮を一枚貫通するように掛かるのが特徴だ。ストレート系に比べると掛かりはやや遅れるものの、一度掛かるとバレにくく身切れも起こりにくい。シーズン終盤で皮が硬くなった大アユを相手にする場面や、「掛かるけどバレる」と感じる状況で威力を発揮する。
細軸と太軸
細軸と太軸は、軸(ハリ全体の線径)の太さに違いがある。細軸は軽量で刺さりがスムーズで、シルエットも小さくなるため、食い渋りの時期や警戒心の強い小型アユを相手にする場面で有効だ。ただし線径が細い分、大型のアユが掛かると軸が伸びたり折れたりしやすいという弱点もある。
太軸は文字通り軸が太く、押しの強い瀬や増水時、あるいはシーズン終盤で皮が硬くなった大アユにも負けない強度を持つ。その分重量があるため、チャラ瀬のような流れの緩い場所ではオトリの動きを鈍らせてしまうこともあり、状況を選んで使いたい。
メッキバリとノンメッキバリ
さらに細かく分類すると、表面処理によって「メッキバリ」と「ノンメッキバリ」に分けられる。
メッキバリは、表面にニッケルなどのメッキ加工が施されており、光沢があって滑りが良いという特徴がある。水の抵抗を受けにくく掛かりが軽くなる一方、表面が滑りやすいことから、自分自身でハリを巻く際にはヤスリでフトコロを軽く磨くひと手間が必要となる。磨かなくとも使用はできるが、ハリ自体が滑ってハリスから抜けてしまうことが多々あることも注意しよう。
ノンメッキバリは、最低限のコーティングのみで仕上げられており、針先の鋭さが保たれやすく刺さりが良いという特徴がある。アユバリの中では一番スタンダードなタイプだが、メッキ加工がない分サビに弱くストックにはあまり向かないので、シーズンで使い切るのがおすすめ。
このように、形状・軸の太さ・表面処理の組み合わせを川の状況やアユの活性、サイズに合わせて選ぶことが、掛けバリ選びで釣果を伸ばすポイントといえるだろう。
ハリスの話
友釣りではハリだけでなく、ハリス選びも重要になる。ハリスには大きく分けて「ナイロンハリス」と「フロロカーボンハリス」の2種類がある。それぞれ特性が異なり、状況に応じた使い分けが釣果を左右する。
ナイロンハリスは、しなやかで比重が軽く、水の流れになじみやすいのが特徴だ。オトリアユの動きに自然に追従するため、野アユが掛かりやすいというメリットがある。ただし瞬間接着剤に弱く、それが原因でハリス切れを起こすこともあるため、扱いには注意したい。
一方のフロロカーボンハリスは、張りがあり比重も重い。そのため、流れの速い「瀬」と呼ばれるポイントでもハリスが暴れにくく、仕掛けのトラブルが起こりにくいという利点がある。
なお、素材の違いだけでなくハリスの長さによっても掛かりどころは変化するため、両者を組み合わせた適切な使い分けが重要だ。
掛けバリの種類
ハリ素材とハリスの特性を把握したうえで、次に釣果を分けるのが掛けバリの組み方だ。現代アユ釣りの基本となるのは、3本イカリと4本イカリ。4本イカリはハリ先が魚体に触れやすく掛かりが早いため、競技会では圧倒的にこちらが主流だ。ただし2本のハリ先が同時に触れると貫通力が分散し、浅掛かりになりやすい弱点もある。その点3本イカリは分散が起きにくく、深く刺さるためバラシが少ない。
重さの違いも使い分けのポイントだ。重い4本イカリは流れの強い瀬向き、軽い3本イカリは流れの緩いポイント向きとなる。

ヤナギとチラシ
イカリ以外では、長めのハリスに2~3本のハリを直列に並べたヤナギ・チラシ系がある。全てのハリが同じ向きなら「ヤナギ」、1本だけ逆向きなら「チラシ」。逆バリ側を元バリ、遠い方を先バリと呼ぶ。ヤナギではハリ先を下向きにセットするのがコツだ。
これらは2本同時に刺さらないぶん深く刺さり込みバラしにくく、背掛かり率も高い。そのため大バリを使ったシーズン後期の大アユ狙いにも向く。ハリスが長い分、追いが弱いアユにも効果的だ。
ダブル蝶バリ
近年増えているのがダブル蝶バリ。180度開いたダブルフックの蝶バリを2対ハリスに装着する。扱いには神経を使うが、野アユの追い気の強弱を問わず絡め取れるのが強みで、競技会では最初のオトリ獲り用によく使われる。ハリを水平にセットする人と垂直にセットする人がいる。
ハリ選択の思考
ハリやハリス、そしてイカリやチラシといった仕掛けのタイプ。これらがアユの掛かりに直結することは理解できても、問題は「実際の釣り場で何をどう選ぶか」だ。頭に入れておきたいのは「アユの大きさ」と「釣るポイントの流速」の二つの軸である。この二つを基準に号数と形状のあたりをつけておけば、掛かりの悪さやバラシの多さといった悩みの大半は解消できる。
大きさとおよその号数
掛けバリの号数は、対象となるアユのサイズに応じて選ぶのが基本だ。シーズン序盤の小型主体なら6号前後の細めのハリ、盛期に良型が交じり始めたら7~7.5号、終盤の大アユ・尺鮎狙いではさらに号数を上げていくのが一般的な考え方である。ただしアユバリの号数はメーカーごとに規格が微妙に異なるため、同じ号数表記でも実際の大きさには差が出る。手元のハリを一度並べて確認しておくと、現場での号数選びに迷いがなくなる。
トロ場など流れが緩やかなところの場合
流れが緩いトロ場では、オトリも野アユもゆったりと動くため、掛かりの鋭さを活かせる細軸・小バリが向く。号数を上げすぎるとハリ自体の重みでオトリの動きが鈍くなり、せっかくの追い気を逃してしまうこともある。動きの軽さと掛かりの速さを優先したい場面だ。
急瀬など流れが速いところの場合
一方、急瀬のように流れが強い場所では、太軸でひと回り大きめの号数を選び、仕掛け全体の安定感とキープ力を高めておきたい。流れの強さに負けない粘りを持たせておかないと、掛かった直後にハリが身切れを起こし、せっかくの野アユをバラしてしまう。太軸のハリは身切れしにくいぶん、強い流れの中でも魚を保持しやすいというメリットがある。
掛かりどころで判断する
実釣中は、掛かりどころを見ながら仕掛けを微調整していくのも大切な視点だ。頭掛かりや口掛かりが続くときはハリスを指一本分長くし、逆に腹掛かりが目立つときは指一本分短くする。掛かりどころはハリスの長さとオトリの泳ぐ姿勢のバランスで変わってくるため、釣れた魚の掛かりどころをこまめに確認する習慣をつけておくと、その日の「アタリハリス長」が自然と見えてくる。
河川状況で判断する
前日に雨が降ったり、冷え込んだ朝は野アユの活性が落ち、追いが鈍くなってハリに掛かりにくい状況になりやすい。こうした低活性時には、イカリバリよりもチラシ針やダブル蝶バリを選ぶのが有効な対策になる。チラシ・蝶バリ系は魚の体に深くしっかりと刺さる分バラシを減らしやすく、活性が低くオトリへの当たりが浅くなりがちな状況でも掛かりを拾いやすい。
増水時も考え方は同様である。水量が増えるとオトリが野アユのテリトリーに入りにくくなったり、追ってきた野アユとオトリの距離が開いてしまったりして、しっかり掛からない場面が増える。こういうときもイカリバリよりチラシ系のハリのほうが分がいいことが多い。
逆に、アタリそのものは頻繁に出るのになかなかハリに掛からないという場面では、太軸の重いハリが効いてくる。野アユの強いアタリをハリ自体の重さで受け止めることで身切れを防ぎ、しっかりと掛けきることができる。掛かりの速さだけでなく「掛けた後に耐える強さ」まで含めてハリを選ぶ視点を持っておきたい。
ハリ交換のタイミング
アユの掛けバリは、掛かる・掛からないに関わらず常に底石と接触しているという前提を忘れてはいけない。オトリが石を割り、川底を舐めるように泳ぐ以上、ハリ先は釣れていない時間も刻一刻と鈍っていく。つまり「釣れないからハリはまだ大丈夫」という考え方はそもそも成り立たないのだ。
目安としては、少なくとも30分に一度は新しいハリに交換したい。加えて、アユがバレた時やオトリが根掛かりするなど、何かしらのトラブルがあった直後も迷わず交換するのが鉄則だ。ハリ先が石やハリスに一瞬でも当たれば、目に見えなくても刺さりは確実に落ちている。「まだ使えそうか」を毎回吟味するより、時間とトラブルを基準に機械的に替えていく方が、結果的に掛かりの効率もストレスも減らせる。
ただし、ハリを毎回使い捨てにしていてはコストがかさむのも事実。そこで役立つのが、ハリ専用のヤスリだ。鈍ったハリ先を軽く研ぎ直すだけで刺さりがある程度復活し、もう一節分粘って使えることも少なくない。すべてのハリを新品に頼るのではなく、研いで延命させる一手を持っておくと、コストを抑えながら数を釣りたい人には特におすすめの方法だ。
いずれにせよ、ハリ先の状態は釣果に直結する。「鈍ったら替える・研ぐ」を習慣化しておくことが、結局は一番の近道になる。
