憧れのターゲット「ヒラスズキ」。荒れる磯のサラシゲームは危険が伴うが、条件と手順を論理的に詰めればキャッチ率は確実に上がる。本記事では、タックルや安全対策といった磯攻略の基本から、磯以外でねらえる3つの釣り場とその条件までを網羅して解説する。

写真と文◎新保明弘
昭和52年生まれ。静岡県在住。伊豆半島から御前崎までをホームグラウンドにする。オフショア、ショアともにルアーフィッシングならば何でもこなすが、特にエギング、シーバス、メバル、回遊魚の釣りが得意。
「ヒラスズキ」をルアーで釣る!サラシとベイトフィッシュが必須条件
ヒラスズキ。シーバスアングラーならば誰もが憧れる存在である。警戒心が強く、荒れ気味の磯、サラシが広がっている限られた状況下で活性が上がるため、タイミングを読み、キャッチした時の達成感は一段と強い。
サラシとは、波が打ち寄せて砕ける際に空気を含み、白い泡沫が水面に広がる。その打ち寄せるタイミングが断続的となり、泡沫がより広く、かつ厚みを増し、消滅せずに長時間広がっている状態をいう。
サラシが広がる磯やゴロタ場に、カタクチイワシや小サバなどのベイトフィッシュが接岸するとサラシの中でバランスを崩したベイトフィッシュをねらって、遊泳力の強いヒラスズキが盛んに捕食活動を行なう。この、サラシとベイトフィッシュという2つの条件が揃わなければ、ヒラスズキゲームは成り立たないのだ。
ヒラスズキをねらうタックルと装備:安全対策は必須
ヒラスズキゲームは荒れる海での釣りになるため、危険が伴う。タックルはもちろん、安全対策は万全にしなければならない。現在は波を被っても大丈夫なように、また時には泳いで人よりも前に立つためにウエットスーツにスパイク、フローティングベスト、ヘルメットを装着し、操作性のよい11ftクラスのロッドで挑むスタイルがスタンダードだ。ただしこれはかなり経験を積んだアングラーのスタイルであって、初めてのアングラーにはとても勧められるものではない。
私がお勧めするのは、13ft近いヒラスズキロッドに、固定式のフローティングベスト、ストッキングタイプのウエーダーにスパイクで、波を被らないように水際から距離を取ってねらうスタイル。ウエットスーツが流行る以前は、これが主流であった。
安全対策としてまた大事なことは、万が一の事故に備えて、単独釣行は絶対に避けること。荒れる海での夜釣りは絶対にしない。打ち寄せる波が観察できないため、大変危険である。また、マヅメ時は非常にチャンスだが、ねらうのなら朝マヅメだ。夕マヅメはポイントからの帰り道が闇に包まれてしまうため、危険である。釣り場に着いたら、すぐにキャストをするのではなく、波のようすを少なくとも10分程度は観察したい。
ランディング時の想定も行う
ヒットしたら魚をどこに誘導してランディングするかをイメージしておくことも重要だ。ランディングはPEラインの3号以上、ショックリーダー50ポンドといった太いラインで強引に抜き上げ、ズリ上げるスタイルもあるが、確実に安全に行なうのであれば、やはり玉網を使用する。ヒラスズキを傷つけず、リリースするのにもお勧めである。
磯でのヒラスズキの釣り方:サラシ攻略のルアーローテーション術
サラシの攻略であるが、ヒラスズキが潜んでいれば高確率で1投目、少くとも数投以内にルアーに反応する。しかし、遊泳力が強いヒラスズキといえども一発でルアーを捕らえるとは限らず、ミスバイトをすることがある。この時、ミノープラグだと完全に水中なので見切られやすく、2度目には反応しないことがある。したがってファーストキャストはトップウオータープラグをお勧めする。ミスバイトしてもフックに魚が触らない限り、続けて反応してくることが多いからだ。そして、トップウオータープラグに何度も出るが乗らない、そのような時にミノープラグへローテーションする。
ルアーをキャストするタイミングを計ることも重要である。一面が真っ白になるほどのサラシであればよいが、なかなかそのような状況ばかりではないのが釣りである。サラシがより広がるタイミングでルアーをキャストすると、バイトの可能性は上がる。立ち位置を変えてさまざまな角度からサラシにルアーを通すことも重要である。
条件次第でヒラスズキが回遊する磯以外の3つの釣り場
お刺身を醤油で食べることが当たり前のように、ヒラスズキは荒れる海でサラシをねらうことが当たり前で、最も高確率であるといわれてきた。しかし、釣り人の努力と探究心のおかげで、ヒラスズキもさまざまなスタイルでねらえるようになってきた。時には手軽にキャッチするチャンスもある。
夜釣りのゴロタ場は穴場スポット!ライトな装備で挑める
荒れた状況下での夜釣りは非常に危険だ。一方、ナギの状況下の夜釣りで比較的安全にねらえるパターンがある。それはゴロタ場の夜釣りである。ゴロタ場とは、人の拳大から両手で抱える大きさの丸みを帯びた石で形成される海岸線を差す。石の隙間が多く、常日頃からベイトフィッシュが多い環境となっている。そこへ夜間回遊してくるヒラスズキをねらうのである。
装備はサラシねらいと同様に、固定式のフローティングベスト、ストッキングタイプのウエーダーにスパイク。タックルは9ft前後のロッドに中・小型スピニングリール。メインラインはPE0.6〜0.8号、ショックリーダーはフロロカーボン12ポンド前後を70cm程度入れたものでよい。ルアーは5〜10cmの小型シンキングペンシル。
ゴロタ場の波打ち際に多いベイトフィッシュ、ナミノハナやトウゴロウイワシ、春先の稚アユにマッチ・ザ・ベイトさせる。これをロングキャストして水面直下をスローリトリーブすると、目のよいヒラスズキは暗闇でもルアーを見つけてバイトする。
ゴロタ場でヒットするヒラスズキは30〜60cmとフッコからスズキにかけてのサイズが多いが、産卵期といわれる厳寒期から桜の季節は時に80cmクラスもバイトしてくる。
ゴロタ場は磯と違って根ズレによるラインブレイクが少ない。ドラグを利かせてファイトすればキャッチ率は高いが、より確実性を求めるなら、必ず明るい時間帯の干潮時刻にポイントの地形を確認しておくことをお勧めする。ランディングはあらかじめ予想したゴロタの隙間に寄せ波を利用して誘導し、フィッシュグリップを使うとスムーズに行なえる。
雨後の河口はチャンス
ヒラスズキの実績がある磯、ゴロタ場の近くにある河口部や港は、条件次第でヒラスズキがエサを求めて回遊してくる。河口部なら、ズバリ雨後の増水時。濁りが入り、上流から流されてくるアユやフナなどをねらってヒラスズキが接岸する。両岸が整備された河口部では、シーバスねらいの基本的なタックル、スタイルでねらえる。
表層を上流から流されてくるベイトフィッシュをイメージして、フローティングミノーをスローリトリーブしたり、バイブレーションの早めのリフト&フォールでリアクションバイトを誘うことも時に効果的である。
外海が荒れている状況なら港内に回遊することも
港内では、外海では釣りができないほど荒れている状況や、大荒れ直後のタイミングをねらう。ベイトフィッシュが穏やかな港内に入ってくるのを追って、ヒラスズキも回遊してくる。岸壁際や船陰を、フローティングミノーのトゥイッチ&リトリーブでねらうのが基本である。
特殊な状況として、港内でヒラスズキがベイトフィッシュを追い回し盛んにボイルするケースがある。これは、ルアーをキャストすれば簡単にバイトしてくるかと思えば、まったく反応しないこともある。ルアーの大きさを変え、リトリーブ速度を変え、アクションを変えても駄目。そんな時は、フローティングタイプのルアーをボイルの中にキャストして放っておく。すると、ヒラスズキに弾き飛ばされ弱って漂うベイトをイメージさせるのか、水柱を挙げてバイトすることがある。「ほっとけメソッド」と呼ばれる方法だ。
※この記事は『海のルアー釣り入門』(新保明弘著/2014年出版)を再編集したものです



