雪に残されたこの足跡の主が誰か、あなたは推理できるだろうか?普段は姿を見せない野生動物たちも、雪や土の上には必ず「フィールドサイン(痕跡)」を残していく。本記事では書籍『野生動物の痕跡図鑑』より、動物の痕跡クイズを出題。キャンプや登山、釣り、自然観察といった幅広いアウトドアシーンで楽しめるだけでなく、危険察知にも繋がる内容だ。ぜひ挑戦してみてほしい。

写真と文◎奥山英治
1962年、東京都生まれ。日本野生生物研究所代表。アウトドア雑誌やテレビを中心に生き物や自然との遊び方を紹介する。メインの仕事場のひとつである栃木県茂木町の「ハローウッズ」では生き物を呼ぶ里山を再生するほか、定期的に観察会の講師も務めている。著書に『虫と遊ぶ12か月』(デコ)、『自然であそぶ』(ポプラ社)、『作って遊ぶ! 工作KIDS』(小学館)など。
ヒント1【足跡】:特徴的なパターンの配置
普段は草原になっている近所の野原。雪が降った翌日、特徴的なパターンの足跡が見つかった。
【現場の状況】
場所:群馬県
時期:2月

この動物は開けた草原が大好きだ。そんな場所があれば、身近な里山から山間部まで思いのほか広範囲にこの動物が生息している。ただ、そのことがわかるのは冬に雪が降ったあと。普段は姿を見せることがほとんどなく、スキー場などではたまに見かけるが、身近にいてもなかなか存在に気付きにくい。
この動物は足跡でほぼ100%の答えがわかる珍しい動物である。足跡のパターンに大きな特徴があり、まず前後に点々と縦に足跡が付き、その近くに少し長い足跡が左右に並んで2つ付く。縦の点々が前足で、左右に並ぶ長い足跡が後ろ足だ。歩き方としては、最初に前足が着地し、次いで後ろ足が前足を飛び越えて着地する。つまり前足でチョンと手をついて、次に後ろ足で前にジャンプしながら進んで行く。もう想像できてしまっただろうか?(早い:笑)。

そのようすがわかっていると、足跡と足跡の間隔でこの動物の大きさや移動時のスピードも想像できる。ゆっくり移動している時は間隔が狭く、急いでいる時は間隔が広い。そしてこの動物は後ろ足がかかとまでべったり着地するところが他の動物と違う。あまり想像できないと思うが、多くの動物は歩く時にかかとを地面に付けない。人間でいうつま先立ちの状態で歩くのだ。しかしこの動物は違う。
ヒント2【糞】丸い粒々の形。草食動物ならではの痕跡
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もう1つ、この動物に関して見つけられる痕跡が糞だ。この動物の糞は細かな丸い粒々で、まん丸を少し潰したような形をしている。よく見かけるのは草の上だが、足跡と一緒に雪の上で見つかることもあり、基本的には同じ場所に落ちている。
ただ、たまに数粒や一粒のこともあり、「何か危険を察知して逃げたのか?」などと想像する。乾燥したものをバラしてみると繊維質が多く草を食べていることがわかる。
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【正解】ニホンノウサギ

ニホンノウサギ(ウサギ目ウサギ科)
本州、四国、九州に広く分布。頭胴長50cm前後。冬に郊外や山間部に出かけると雪上に足跡を見つけて存在に気付くことが多いが、夜行性で昼に姿を見ることはほとんどない。ニホンノウサギは4亜種(トウホクノウサギ、キュウシュウノウサギ、オキノウサギ、サドノウサギ)に分かれ、北海道にいるのはエゾユキウサギになる。その他に奄美大島と徳之島にアマミノクロウサギがいる。雪の多い地方に生息するトウホクノウサギとエゾユキユサギは冬に毛が真っ白になるが、そのほかは基本的に換毛しない。(写真は子ウサギ)
動物の痕跡は種類ごとに多様な個性がある。書籍『野生動物の痕跡図鑑』では、こうした痕跡パターンを豊富な写真と生態から詳しく解説している。

