秋のエギング、あなたの「なぜ?」に回答!「イカはどこにいる?」「エギの色の法則は?」「ダートのコツは?」など、誰もが抱く10の疑問にプロがQ&A形式で徹底解説。これを読めば、秋イカ攻略の悩みはスッキリ解決!
ラグゼ「EG X アルティメイト」は、ブランクのメイン素材に東レの最先端カーボン素材「TORAYCA®M40X」を採用し、全機種の自重が70g未満を達成したエギングロッドシリーズ。この秋、ラインナップ中最もライトな「S78L+-solid」と最もパワフルな「S76M+-solid」が加わった。いずれもショートモデルとなった両極の2本が広げるエギングの可能性とは。「S78L+-solid」を監修した、勝股 優さんと、「S76M+-solid」を監修した河野 誠さんにそれぞれ話を聞いた。
.jpg?width=1280&height=720&name=title02-20241120_EG_402%20(%E3%82%AB%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%A0).jpg)
河野 誠(こうの・まこと) (写真左):宮崎県在住。44歳。県北エリアのディープ隣接のポイントをめぐり春の大イカねらいに情熱を燃やす。S76M+-solidの監修を担当
文◎編集部
ラン&ガンスタイルを感度で支える「S78L+-solid」・勝股 優
和歌山県の田辺市からすさみ町にかけてのエリアをホームとして、ラン&ガンで地磯をどんどん移動してイカがいるポイントを探していくスタイルでエギングを楽しんでいます。
ポイントを探す際は潮の利き方を重視します。南紀エリアでは、干満による潮の動きのほか、その時々の黒潮の動きも考慮することで釣果を伸ばすことができます。黒潮の支流が大阪湾に向かって流れるのを上り潮、逆に太平洋へ払い出していく流れを下り潮と言いますが、干満の潮位変化に加えて上り潮・下り潮との組み合わせで刻一刻と変化していく海中の状況をとらえることがイカへの近道です。
潮を感じる能力
私の場合はフカセ釣りを子どものころからやっていたこともあって、どの磯で釣果が出ているかを釣具店の釣果情報などで調べて、今は上り潮なのか下り潮なのかを整理してから釣りに行くようにしています。
釣り場に立って実際に探っていくのはやはり潮がよく利いているスポットです。例えば、その立ち位置から左右へエギをキャストしてみて、まずはシャクリを入れずにボトム付近をただ巻きで引いてみます。右方向へキャストして引いてくるときにエギが重く感じるなら、その場所では左から右へ潮が流れているということ。このようにして、その潮の中に活性の高いイカが入っているイメージで釣りをしています。
その際に頼りになるのが、ラインテンションの変化を感じやすい感度に優れたタックルです。EG Xアルティメイトはカーボン素材にトレカM40Xを採用し、全機種70g未満の自重を達成しているシリーズですが、そのなかでも最もライトな「S78L+-solid」は59gと破格の軽さです。軟らかいなかにも高弾性素材ならではの張りがあり、荷重変化と反響感度の両方がわかりやすいロッドになりました。
.jpg?width=1280&height=720&name=01-20241120_EG_338%20(%E3%82%AB%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%A0).jpg)
ショートのメリット
7フィート8インチのショートレングスは取り回しがよく、ラン&ガンで磯を歩き回る際にも扱いやすくて気に入っています。とくに私の場合は干潮で露出するような磯にも乗って海面が近いところで釣りをすることも多いのですが、長いロッドだとシャクるときに水面にティップがついてしまいます。南紀でも串本などに多い水面から高さのある地磯なら長さが有利になることも多いんですけどね。
最近のエギングの傾向を見ても、これまで一般的なスペックだった8フィート6インチのMパワーから、徐々に短く&軟らかくするのがトレンドになっている気がします。おそらくですが、軟らかいロッドでシャクったときに、上方向へ跳ね上がりフォールでじっくり見せて誘えるタイプのエギが、初心者でも釣果を得やすいということで人気になっていることもその理由かなと思います。長いまま軟らかくしようとするとベナベナなロッドになってしまいがちなんですよね。
私もこれまで同シリーズのなかいちばん軟らかく感じられた「S86ML-solid」を愛用していました。もちろん、がまかつの技術力で設計されているので感度も操作性も素晴らしいものでしたが、私のスタイルに合わせて同じ使用感でもっと短い7フィート台のモデルを作りたかったことから「S78L+-solid」を監修させてもらいました。
テストでは開発担当の方にだいぶ苦労をかけたと思います。最初のプロトタイプはティップが軟らかすぎてダメ出しさせてもらいました。荷重変化を感じるにはいいのですが、反響感度の面ではアタリがぼやけてしまう。ラインテンションをかけていないときのイカ特有の弾くようなアタリも感じられるロッドでないと……。その時点で50g台に納まっていましたから、そこから自重を増やさずに作り直すのは相当大変だったと思います。それにもかかわらず、次のテスト時には7~8本ティップのバリエーションを作ってきてくれました。そのなかで「やっぱり硬いほうがいいですよね」などとやり取りしながら仕上げていきました。
その一方で「釣りをしていて楽しい」ことにもこだわりました。出来上がったのは「L+」のパワーということもあり、今の季節の400~500gのイカでも胴から曲がってくれるので非常に楽しめます。かといってデカイカに対応できないわけでは当然なく、今年の3月には2kgのイカもこのロッドで上げています。そのクラスのイカとなれば胴までブチ曲がりますけど、余裕で浮かせられるトルクもあるんです。
タックルはPE0.6号にリーダーはフロロカーボン2~2.5号を1~1.2m、エギは2.5~3.5号というセッティングで1年中通していますから、ぜひ多くのエギングファンに手に取っていただきたいです。
.jpg?width=1280&height=720&name=02-20241120_EG_328%20(%E3%82%AB%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%A0).jpg)
10mのボトムを積極的に探れるS76M+-solid・河野 誠
エギングは例年11~5月ごろまで、春シーズンがメインです。私のホームは宮崎県の県北で、島浦島から北浦までのエリアです。港もありますが地磯をメインにラン&ガンするスタイルで、シャローからカケアガリをはさんでディープに落ちるエリアを遠投で探ります。グーグルの航空写真でシモリの位置を探したり、現地から目視で確認したり、地形を把握したうえで前述のようなポイントを探っていきます。ねらっているディープの水深は約10~15m。3.5号のヘビータイプのエギを使い、着底まで20~30秒カウントするくらいの深さです。
ロッドはこれまでいろいろなメーカーのものを使ってきましたが、とくに9フィートから9フィート6インチのロングロッドを愛用してきました。その理由はカケアガリを超えて遠投するための飛距離と、その先のディープでイカを乗せられるパワーが必要だからです。強風時には足場の高い立ち位置でもティップを下げて風の影響を避けやすいのもメリットですね。ただ、そんなロッドを一日振っているとやはり疲労感が出てしまうのも事実でした。
.jpg?width=1280&height=720&name=03-20241120_EG_466r%20(%E3%82%AB%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%A0).jpg)
「軽・硬」が飛距離を生む
そんななかで、発想を転換して開発に携わったのが今回の「S76M+-solid」です。ラグゼEG Xアルティメイトシリーズの中でも7フィート6インチは最短のショートロッドで、コンセプトをひと言で表わすなら「軽・硬」です。
短いと一般的には遠投に不利になりますが、トレカM40Xを使用して実現した64gという軽さと張りの強さがあるので振り抜けがよく、そのスイングスピードを生かして飛距離を出せます。
実を言えば、この軽さは最初のうちは不安で1投目は緊張しました。でも使っているなかで普通のエギングロッドと変わらないのがわかってきた感じです。開発に当たっては最初のテスト時に3つのサンプルができていました。そのうちの1本がすごくよくて、そのテストのときにボトムで1.5kgのイカをかけてフッキングも決まり浮き上がらせることもできたことから、スムーズに進められました。ちなみに他の2本はもう少し軟らかめのレギュラーテーパー寄りで、現行機種で言えば「S77ML+-solid」に近い感じ。採用になったサンプルはティップを詰めてよりシャープになったイメージです。
%20(%E3%82%AB%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%A0).jpg?width=896&height=504&name=04-20241120_EG_746%20(%E3%82%AB%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%A0)%20(%E3%82%AB%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%A0).jpg)
10mのボトムを叩く
軽く短くなったことによる感度も素晴らしく、このロッドを使うようになってよりボトムを集中して探れるようになりました。
これまでは10mのディープと言ってもボトムを切って中層を誘ってくることが多かったんです。50m遠投したら、30m分は真ん中より下のレンジをサーチし、残り20mを切ったら目に見えるレンジまで一気に上げて、ディープからついてきたイカをサイトで探るといった具合です。
今はボトムを叩いて探る釣り方も積極的に取り入れるようになりました。その操作はこうです。キャストして10~15mのボトムまでフォールさせます。着底に気付くのが遅れると根掛かってしまうので、エギのヘッドのウエイトがボトムに着いた瞬間に、エギが倒れる前にシャクります。コツとしては、その場所ごとにイメージしている水深があると思うので、最初はフリーでフォールさせますが着底直前にイトを張ってテンションフォールに切り替えると「トン」とロッドで着底を感じられます。ほかのロッドでも感じられますが、「S76M+-solid」なら初心者が10mのディープを探っても分かりやすいと思います。
そして着底直後にトゥイッチくらいの力加減のシャクリを2~3回入れます。ボトムからエギを1~2m優しく持ち上げて、そのまま着底までテンションフォール。この操作を一定のリズムで繰り返していくと、そのタイミングがズレたときに、イカのアタリだと察知できます。
タックルセッティングはPE0.6号にリーダーはフロロ14Lbです。昨今では探りやすい範囲のイカが少なくなっていますから、「S76M+-solid」の遠投性能と感度を生かしたこの釣り方は全国各地で応用できると思います。
.jpg?width=1280&height=720&name=05-20241120_EG_576%20(%E3%82%AB%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%A0).jpg)
品番 | 全長(㎝) | 継数(本) | 仕舞寸法(㎝) | 自重(g) | 適正エギ(号) | 適正ライン(PE/号) | カーボン含有(%) | 本体価格(円) |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
S78L+-solid | 234 | 2 | 122.0 | 59 | 1.8~3.5 | 0.3~1 | 99.9 | 7万5000 |
S76M+-solid | 228 | 2 | 119.5 | 64 | 2~3.5 | 0.3~1 | 99.9 | 7万5000 |
※このページは『つり人 11月号』掲載の記事を再編集したものです