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編集部2025年5月6日

釣れない状況を打破!アジングは感度で差がつく

アジ 魚種別釣りガイド

小倉でアジを攻略!感度にこだわるロッド「クリスター」シリーズが活躍。反響感度とテンション感度の秘密とは?

写真と文◎編集部

なぜ感度を求めるのか

3月上旬のある日、関門海峡から響灘への出口に位置する北九州市小倉の港湾エリアには、冷たい北寄りの強風が吹き寄せていた。横風に あおられロッドティップから水面までのラインは膨らみがち。さらには3日前に降った冷たい雨が流れ込んでいたうえ、前日と前々日には寒波が襲来、その影響を引きずるアジの活性は極めて低いことが予想された。ロッドの感度が試される厳しいコンディションだ。

アジングのタックル立てはなにより感度が重視される。ときには1g未満のジグヘッドリグを水深10mのボトムで操ることもあるのがアジングだ。その状態でアジのバイトを感じて掛けていくことはもちろん、リグの挙動や水中のようすをイメージして的確に操作するためにも、ラインから伝わってくる情報をできるかぎり手もとに伝えてくれるタックルが必要となる。それは単に釣果を伸ばすためだけでなく、アジングを楽しむうえでも重要だ。

リグの状態がわからないままに釣りを続けていては集中力も続かないし、リグの動きにアングラーの意思を込められず、極論、ただ水中にルアーを浸けているだけになりがちだ。そうではなく、ボトムや障害物とのコンタクトや、潮の受け方の変化を感じながら、「ここにアジがいそう……」「ちょっとボトムから離れすぎたか……」などとイメージしつつリグを操作し、その日の答えを追い求めていくほうが楽しいに決まっている。

それこそが他人と競うわけでもないアジングで、多くのアングラーがコストを度外視してまで感度のよいタックルを求める理由なのである。

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反響感度とテンション感度

さて、今回小倉でアジを追いかけたのは本岡利將さん。アジングの楽しさに魅せられ、自身の理想とするアジングタックルを送り出すためにクリアブルーを立ち上げたアジングフリークだ。SNSの投稿では「#感度バカ」とハッシュタグをつける本岡さんだけに、青いリールシートがアイコンとなっている同社「クリスター」シリーズのロッドは、感度追求の設計思想が色濃い。

ところでこの原稿を書いている記者はバスフィッシングがメインで、本誌2025年1月号で初めて本岡さんを取材するまでアジングはほぼ未経験だった。そんな記者でもクリスターを借りて使ってみたところ、潮の微妙なテンション変化を感じ取ることができ、驚いたものだった。

ここからはそんな記者の少しオタクチックな興味にお付き合いいただきたい。つまり、アジングに必要な「感度」とはなにか、それを可能とするロッドの設計とはどんなものかというタックルうんちく話である(記者は最近ロッドビルディングにハマっているのだ)。

まず「感度」とはなにかを整理したい。ひと口に感度といっても、ラインから手もとへ伝わってくる情報には2種類あると言えそうだ。

ひとつめはリグの着底や障害物へのコンタクト、そしてアジのバイト時などに発生する振動。よく「反響感度」という言葉で表わされるのが、この振動を捉えられる性能ということになる。

もうひとつはラインテンションのわずかな変化だ。潮汐によって刻一刻と変化する潮の流れは、リグをキャストして引いてくる範囲のなかにも局所的に流れの変化点を生み出すことがある。アジングではリグの操作のなかでその変化を感じとれることが非常に重要。そういった場所がアジの居場所や食わせどころになるからだ。リグが受ける水の抵抗の変化がラインテンションの変化となってロッドへと伝わってくる。

これは「テンション感度」「潮感度」「もたれ感度」などとさまざまに呼ばれるが、ここではテンション感度と呼んで話を進めることにする。

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感度がいいのはどんなロッド?

この2種類の感度を高めるための設計とはどんなものか。本岡さんに聞いた。

反響感度

「グリップ周りのデザインやガイドセッティングも反響感度を高める設計をしています。バット部で急激に太くなるブランクなので嵩増しのパーツを介さずに直接リールシートを取り付けられます。リールシートもカーボン製で軽量なので、振動を伝えやすい構造です。サオ尻に蓋をせず開放したほうが感度がよくなるという人もいて、私もグリップエンドを切断して試したことがありますが、クリスターの場合、かえって感度は鈍ってしまいました。エンド開放で感度がよくなるかどうかは、全体の設計にもよるので一概には言えません。

ティップ部のガイドは3㎜とかなり小径のものを乗せています。もう少し大きなほうが飛距離も伸びるだろうとテストで3.5㎜を試していたモデルもあるのですが、それだけで驚くほど感度は悪くなった。ブランクにラインをどれだけ近づけられるかが重要だと思っています。リングの径だけでなく、ガイドを取り付ける位置によっても感度は左右されるので面白いですよ。

でも、いちばん大きいのはブランクの素材ですね。T1100GやM40Xといった最高級グレードのカーボン素材を使えば廉価なカーボン素材より劇的に反響感度がよくなります。クリスターはこれらを全身に使っていて、高価ですがそれだけのメリットがあります」

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テンション感度

「ラインテンションの変化を感じやすいロッドにするには、ソリッドティップの柔軟さと、リールをセットした状態でのの重量バランスが大事です。

ソリッドティップが軟らかければ、わずかな潮の重みにもティップが入ってくれます。クリスターシリーズにはティップ径が0.5㎜のモデルもあります。シャープペンシルの芯と同じです。でもこの繊細さでないと感じられない潮の変化があるんです。

ただ、反響感度の面で言えば、硬いもののほうが振動を伝えやすいのでトレードオフです。ここでもガイドのセッティングは大事で、ティップのガイドの間隔を狭くしすぎると、曲がりにくくなる(ガイドの足が添え木状態になる)ので、それもテストして反響感度とテンション感度を両立する必要があります。

リールを含むタックルの重量バランスはロッドを持つ手の位置に重心がくることが重要です。手もとでバランスが取れていることで、軽い力でロッドを持てますし、その状態ならテンションの変化にロッド全体がシーソーのように反応してくれて察知しやすくなります。リールシートからグリップエンドまでの長さも、そのバランスを考慮して決めています」

そんな本岡さんは、各地のショップイベントの合間を縫って、クリスターシリーズのニューモデル3本を携えて小倉にやってきたのだ。ところが冒頭でもお伝えしたとおり、状況はかなり芳しくない。地元フィールドテスターの有馬義昭さんの案内で前日と前々日に下見を行なったものの、雨と冷え込みですっかりアジが姿を消してしまったという。

有望ポイントに入ったものの、先にサオをだしていたサビキ釣りのおじさん曰く、「アジ? 釣れないね。昨日もサバが1尾だけ」という有り様。記者を含めた3人はせめて1尾でも釣れてくれ……という気持ちで、夕マヅメを待つ。

「今日は天気がよかったので水温上昇でアジが戻ってきてくれるのを期待するしかないですね。潮の下げ止まりは夜9時ごろですが、水温も下がるのでチャンスは夕マヅメから8時までの勝負です」と有馬さん。

すると願いが通じたのか、陽が沈んだタイミングでおじさんのサビキ仕掛けにアジがヒット。しかも立て続けに2尾を釣りあげたではないか。この2日間消えていた群れが入ってきたのだ。この時合は10分程度で終わってしまい、アジングチームはアタリを得られなかったものの、今日はアジが接岸しているという事実にかなり勇気づけられた。

体感3~5mの横風が吹くなか、本岡さんはジグ単とスプリットショットのタックルをローテーションしながら釣りを続ける。ジグ単のジグヘッドは発売間近のペチャンコヘッドEX TGでウエイトは1g。水深は8mほどあり風も強いがどう考えても食いは渋いはずで、なるべく軽いウエイトで誘いたい。スプリットショットはTGパラソルシンカー1・5gにサイコロヘッドエース0・4gの組み合わせ。シンカーとジグヘッドの間隔は1㎝ほどとかなり短い。ジグ単を重くするようなものだが、ウエイトを分散させて食い込ませやすくするねらいだ。

ほどなくしてスプリットショットを操っていたクリスター59ギフテッドが、本岡さんの言う「いい感じの潮の重み」を探り当てた。どうやら普段貨物船が停泊しているらしい岸壁のボトムに、スクリューの水流で掘られて深くなっているスポットがあるようで、ここに潮流の変化ができているらしい。周辺を回遊しているアジが足を止める場所があるとすればここしかない。

リグをボトムへ沈め、そこからほんの少しだけリグを持ち上げ、アクションをつけずほとんどポーズのテンションフォールで食わせの間を作る。こんな操作を感度の悪いタックルでやるのはちょっと辛い。テンション感度に優れるタックルで食わせどころをイメージできるからこそ集中力を維持して続けられるのだ。

本岡さんのねらいは当たった。意外にも「コン!」というはっきりしたアタリが出たという。あるいは振動をクリアに伝えてくれる反響感度の高いロッドだからこそかもしれないが、いずれにせよ値千金のアジをキャッチ! サイズも23㎝ほどの良型である。

「よ、よかったぁー!」

釣った本人だけでなく全員が胸をなで下ろした。そして釣り方がわかってしまえばこっちのもの。風が弱まったタイミングではジグ単用の60フォーカスエボルバーに持ち替え1尾を追加。「どうせならこれでも釣りたいですよね」とこちらも新作のベイトフィネスモデル・68BFラプチャーでもジグ単を操り、サイズアップの24㎝をキャッチ。

さらに有馬さんも同様の釣り方で2尾を手中に収め、完全にこの日のパターンを探り当てた格好で、取材成立も危ぶまれた状況から計5尾を引き出したクリアブルーチームの、さすがの技術とタックル立てを見届けることができた。

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