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つり人編集部2025年10月24日

尺アユ連発で優勝者は3尾合計91cm!「復活!!日本一の大鮎釣り選手権大会2025in 球磨川」レポート

人吉市、球磨村を舞台に「日本一の大鮎釣り選手権」が復活!81名の夢追い人が参加し、予選と決勝で尺アユが10尾もあがった。 これぞ巨アユ王国という釣果で、会場は沸きに沸いた。

人吉市、球磨村を舞台に「日本一の大鮎釣り選手権」が復活!81名の夢追い人が参加し、予選と決勝で尺アユが10尾もあがった。 これぞ巨アユ王国という釣果で、会場は沸きに沸いた。

写真と文◎編集部
特別協賛◎東京燃料林産株式会社株式会社尾鷲林業全日本空輸株式会社
後援◎人吉市球磨村RKK(熊本放送)
協力◎山本釣具センター株式会社がまかつグローブライド株式会社株式会社シマノ

20年ぶりの大遡上

9月20~21日、「復活!!日本一の大鮎釣り選手権大会2025in球磨川」が開催された。本大会は、釣りあげたアユ3尾の合計長寸を競うもの。2019年までは球磨村商工会を中心に実行委員会が毎年開催していたが、「令和2年7月豪雨」で中止を余儀なくされた。 そこで、球磨川を愛する県内外の大アユファンが「釣りで復興を後押ししたい」と立ち上がり企画したのが本大会だ。

2023年のプレ大会を経て翌24年に本大会が正式に復活。昨年は52名の参加だったが、今年は82名の応募があり、当日には81名が集まった。栃木、群馬、東京、山梨、福井、愛知、三重、奈良、兵庫、岡山、広島、鳥取、島根、山口、福岡、大分と、全国各地からの参加である。

球磨川は「尺アユの聖地」と称されるが、他河川の尺(30.3cm)とは別格のアユが泳ぐ。水量豊富な奔流で育った魚体は筋肉質でパワフル。身の厚さは大の男の手首ほどもある。しかも「一生に一尾釣れればよい」と言われる尺アユが、1日に3尾そろう可能性も高いのがこの川のポテンシャル。33cm、34cmという“スーパー尺アユ”が釣れることもある。本大会のキャッチフレーズ「3尾で1mの巨アユを釣ろう!」は、球磨川なら夢ではない釣果なのだ。

今夏の球磨川は、20年ぶりといわれる大遡上に沸いた。下流部から汲み上げられ、中間育成された384万尾ものアユが人吉市と球磨村に放流された。ちなみに昨年の放流数は15万尾。豊かなアユに恵まれた今シーズンは、水害以降で最も活況を呈したといってよい賑わいであった。

川口商店の献花台で野嶋玉造さんが手を合わせた
球磨村の球泉洞駅前にあった川口商店。多くのアユ釣りファンに愛されたこの店は令和2年の豪雨による大氾濫で流され、店主の川口豊美さんと姉の牛嶋満子さんが犠牲となった。被災地には「球磨川の母」と慕われた川口さんの献花台があり、大会前には野嶋玉造さんらが故人を悼んで手を合わせた

市民の温かな歓迎に包まれた予選

20日の予選は、人吉市街地の水の手橋〜繊月橋で実施。競技時間は午前7時から正午までの5時間。決勝進出を目指すには、まず3尾のリミットメイクができなければ難しい。言わずもがな最初のオトリ交換が重要だが、朝イチのアユは活性が低い。魚の活性が上がるまでサオをださずに養殖オトリを温存する戦略を取る人もいれば、配布された3尾の養殖オトリをローテーションして掛かりアユのロストを避け、3尾をそろえる作戦を立てる人もいる。こうして思い思いの作戦を胸に、剛竿を抱えた参加者たちが人吉市街地の流れにずらりと並んだ。

大会予選の様子

早々に掛けたのは競技委員長の野嶋玉造さん。「自分を育ててくれた球磨川に恩返しがしたい」と、本大会にかける想いが人一倍熱い発起人のひとりだ。 会場全体を見て回れば、朝のうちはまばらだった釣果も、日が高くなるにつれてサオが満月にしなる豪快なやり取りが各所で見られるようになった。 予選中には、人吉市の社会福祉法人「ひだまり」が地元の小学生を集め、球磨川くだりの舟から選手たちに声援を送った。「大きいアユを釣ってください!」「がんばってください!」と子どもたちの声援に応え、選手たちもにこやかに手を振って返す。まさに市民の温かな歓迎に包まれる大会となった。

地元の小学生が球磨川くだりの舟から選手たちに声援を送る

終了間際には、太く巨大なアユが次々と検量所に持ち込まれ、会場は大いに沸いた。予選トップは太田敏夫さんで、31.3cm、29.7cm、28.1cmの合計89.1cm。決勝へは24名が進出し、そのうち4尾もの尺アユがあがった。 夜はホテルサン人吉にて懇親会が開かれ、参加選手全員が交流。会場には地元特産品の販売コーナーも設けられ、多くの選手が購入して地域を応援した。また、釣りあげられた大アユは特別協賛の尾鷲林業による「カシ木炭」で香ばしく焼き上げられ、塩焼きとして振る舞われ皆一様に「美味しい」と舌鼓を打った。

予選トップの太田敏夫さん釣果
予選トップの太田敏夫さん。3尾の合計長寸は89.1cm。うち1 尾は31.3cmで本大会の最大魚の1 尾となった
アユ塩焼き
懇親会では予選で釣りあげたアユを塩焼きにして振る舞った。尾鷲林業のカシ木炭の火力は強く、幅広の大アユもしっかり焼き上がる

上位2名は尺アユ2尾を掛ける

翌21日の決勝は球磨村で行なわれ、A会場が一勝地、B会場が二俣の瀬。勝ち残った24名が2グループに分かれ、3尾の長寸を競った。競技時間は午前7時〜10時。決勝には特別シードとして、人吉市の松岡隼人市長と球磨村の松谷浩一村長も参戦。市長と村長が並んでサオを出す光景は前例がなく、「釣りで球磨川を盛り上げたい」という強い姿勢を示すものとなった。 A会場の一勝地は、「地に足をつけてまず一勝を」という縁起のよい地名で、合格祈願や必勝祈願に多くの受験生やスポーツ選手が訪れる場所。この一勝地に架かる球磨橋上流の樫の木の瀬に有力選手が並ぶ。

A会場の一勝地

そのひとりが予選1位の太田敏夫さん。瀬落ちに立った太田さんは開始早々に掛け、10mのサオが弓なりになった。その上流には激流大アユ釣りの名手・田嶋剛さん。田嶋さんもすぐに掛けるがサイズは小さい。しかしこの魚をオトリに替えると、遠目にも尺はあろうかという大型を取り込んだ。以降もふたりの釣り合いが続く。 A会場の中ほどには松岡市長と松谷村長。ふたりのセコンド役は栃木の齋藤誠司さんで、友釣り経験2回目の松谷村長に手ほどきしていた。

開始から1時間もしないうちに松岡市長が掛けた。強く引き込むアユを落ち着いていなし、見事に取り込む。余裕ある所作は経験者のそれだ。やがて松谷村長も掛け、齋藤さんのサポートで取り込んだ魚はこれまた太い。その後も釣果を重ね、松岡市長は6尾を釣り、松谷村長も3尾のリミットメイクを果たした。

松谷村長のアユ釣りの様子
松谷村長は齋藤誠司さんのサポートを受けながら3尾をキャッチ
松岡隼人市長の釣果
決勝戦の特別シード選手として参加した人吉市の松岡隼人市長は6尾を掛け、29.5cm、29.7cm、29cm のトータル88.2cm をそろえた

決勝会場は球磨村の激流

一方のB会場は、球磨川きっての激流として知られる「二俣の瀬」周辺。左岸の梨木の瀬と右岸の梨木の小又、ふたつの瀬が合流して二俣の瀬となる。多くの選手が並ぶのは梨木の瀬。毎年多くの尺アユがあがる実績場として知られるが、A会場に比べるとサオを曲げる選手は少ない。それでも群馬の千明宏隆さんと栃木の星野守さんが並んでサオを曲げ、その対岸では前年大会2位の髙村收さんも掛けた。

二俣の瀬
決勝戦B会場は球磨川きっての激流、二俣の瀬。球磨川はすべての瀬に名前がある
大会の様子
12mのサオを操る千明さん

優勝者は3尾合計91cm

再びA会場。最下流の友尻の瀬の岩盤に胸まで浸かってサオを曲げているのは名手・島啓悟さんである。その下流では福岡の長野祐樹さんも掛けている様子が見て取れた。 試合終了30分前になると田嶋剛さんが検量所に現れた。なんと31cmを頭に尺アユ2尾をそろえ、3尾長寸は計89.5cm。この釣果を超える選手はそういないだろうと思われたが、終了間際、本部前で見学者の歓声が沸いた。本部前のトロ場で入れ掛かり、何度もサオを曲げていたのが八代市の上村圭資(けいすけ)さん。取り込んだ魚はいずれも超大型。検量の結果、上村さんは31.1cm、30.7cm、29.2cmをそろえ、合計91cmという圧巻の釣果で優勝を決めた。

上村圭資の釣果

2位は群馬県の田嶋剛さん、3位は岐阜県の島啓悟さん(87.1cm)。大物賞は31.3cmを釣りあげた太田敏夫さん(東京都)と平祐二さん(福岡県)が受賞した。 表彰式では、優勝の上村さんにANA国内ペア往復航空券が贈られたほか、上位入賞者や抽選会参加者には協力メーカーから地元名産品が手渡され、大会は大盛況のうちに幕を閉じた。

副賞としてANA国内ペア往復航空券が授与
優勝の上村さんには副賞としてANA国内ペア往復航空券が授与された
本大会最大魚の31.3cmのアユ
本大会の最大魚は平祐二さんが釣りあげた31.3cm。予選では同寸が2尾もあがった
全国から集まった81名の参加者たち
全国から集まった81名の参加者たち

「復活!!日本一の大鮎釣り選手権大会2025in 球磨川」大会動画

※このページは『つり人 2025年12月号』掲載の記事を再編集したものです。

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