渓流解禁を迎える春。 半年ぶりに渓魚と会えることに胸を躍らせると同時に、山菜の味を思い出し、無性に食べたくなる人も多いはずだ。 山菜の旬は桜の花が咲くころから。利根川と渡良瀬川に挟まれたデルタ地帯は土地が肥えていて、食べられる植物がたくさん生えている。 ちょっと遠出をすれは、釣りの合間に絶品の山菜も摘めるはず。
渓流釣りの合間に摘める山菜たちをご紹介
文◎渡辺政成 写真◎浦 壮一郎
こちらの記事は月刊『つり人』2020年4月号に掲載したものをオンライン版として公開しています。
渓流解禁を迎える春。 半年ぶりに渓魚と会えることに胸を躍らせると同時に、山菜の味を思い出し、無性に食べたくなる人も多いはずだ。 山菜の旬は桜の花が咲くころから。利根川と渡良瀬川に挟まれたデルタ地帯は土地が肥えていて、食べられる植物がたくさん生えている。 ちょっと遠出をすれば、釣りの合間に絶品の山菜も摘めるはず。
渡辺政成
渓流釣りのほか、キノコや山菜にも詳しい渡辺さん。釣りの合間に山菜採りを楽しんでいる。
目次
- その1
- カラシナ:独特の辛さ
- 菜の花:クセのない野草
- アザミの仲間:もっちりとした食感
- ノビル:酢味噌和えにするのがおすすめ
- フキ:最もポピュラーな野草
- フキノトウ:フキ味噌が美味
- カンゾウ:ほんのりとした甘さ
- その2
- ムラサキダイコン:綺麗な花、掘ると大根
- カラスノエンドウ:新芽を集めておひたしに
- ヨモギ:独特の香りが魅力
- ミツバ:汁物に浮かせて香りを楽しむ
- シャク:白い花が目印
- クレソン:生でも美味しい
- イタドリ:釣りエサのイタドリムシも採れる
- その3
- タラノメ:山菜の王者
- ウルイ:よく似た毒草に注意
- コシアブラ:混ぜご飯によい
- ミズ:根はとろろのように食べられる
- ウド:クセになる味わい
- コゴミ:ゴマ和えが人気
ムラサキダイコン
ムラサキダイコン
掘ってみるとたしかに大根
大根の花、大根花などいろいろな呼び名があるが、地元の人が使用している「紫大根」で紹介する。 標準和名はオオハナセイトウという。その名のとおり紫色の花が咲き、根は小さいけれど大根そのもの。日中戦争の時、日本兵があまりにもきれいな花なので日本に持ち帰って増やしたと聞いている。 柔らかい葉の部分を花と一緒にゆでて鰹節やマヨネーズ醤油で食べる。福島県金山町の『道の駅 奥会津かねやま』では自生していたアザキ大根をすり おろしてソバの薬味に利用しているらしいが、これ がムラサキダイコンにそっくりで、一度味わってみたいと思っている。
根は大根のように太くなる
カラスノエンドウ
カラスノエンドウ
里川の土手で群生するかわいいマメの仲間
道端などに生えているマメ科の植物で、小さな葉が交互に生えている。先端に柔らかい巻きヒゲ(ツル)があり、成長するとエンドウマメそっくりの小型の豆鞘を付ける。新芽を集めておひたしで食べるのがおすすめ。まとめてかき揚げにしてもイケる。
ヨモギ
ヨモギ
都市部にも多い野草 独特の香りが魅力
寅さん映画で女将さんやさくらさんが団子の材料として土手で摘んでいるのがヨモギだ。草餅の材料として、古くから使われている。天ぷらが意外と美味しく、一度食べたらハマる味だ。
ミツバ
ミツバ
汁もの、鍋の香りづけにどうぞ
独特の香りで判別しやすい。比較的明るい林道や登山道、田んぼのあぜ道などに生えている。一年中採取できるが、やはり初夏までの柔らかいもののほうが、食べやすく香りもよい。ミツバは大量に食べるものではなく、汁物に浮かせて香りを楽しむ程度でよいだろう。秋田県ではキリタンポに欠かせない食材である。
シャク
シャク
車道の脇にもよくある 白い花が目印
別名ヤマニンジンといわれるように、葉はニンジンの葉によく似ている。5 月の初めころ、花の咲く前が柔らかくて食べごろ。道ばたなどでもよく見かける。群生していることが多い。場所によってはあまりにも多いので、車や身体に触れると「シャクにさわる」と、ついダジャレを言いたくなる。柔らかい葉や茎の部分を、さっとゆでて鰹節醤油などで食べると、山菜特有の爽やかな香りが口の中に広がる。
ニンジンの葉によく似ている
花はこんな感じ
クレソン
クレソン
きれいな水辺でよく見かける 生でも美味しい独特の辛さと香り
標準和名はオランダガラシ。帰化植物だそうで、よくもまあ日本国中に広がったものだ。レストランの肉料理などに添えられているせいか、渓流釣りの途中に見つけると、なぜかトクをした気分になる。意識して見つけようとしても出会えないので、一度見つけたら場所を覚えておくことだ。水辺を注意して見ていると結構見つけることができる。生のままマヨネーズやドレッシングで食べるのが一般的だが、おひたしにしてもよい。一年中食用にはなるが、美味しく食べるためにはやはり、茎が柔らかい初夏までだろう。
イタドリ
イタドリ
生では酸っぱい味わい 釣りエサのイタドリムシも採れる
子どものころ、学校帰りに道草をしながらイタドリを食べた人は、結構いるのではないだろうか。土手などに生えていて柔らかそうな茎をポキッと折って皮をむいて食べると、ちょっとすっぱくてみずみずしい味がする。ゆでて煮物や鍋の具にしてもよい。渓流釣りファンにはなじみの植物で、茎の中間に穴が開いていると、イタドリムシという魚が大好きなエサが入っている。
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