フリーリグってそんな良いものですか? Basserの特集になるほど良いリグだというのなら、テキサス信者の牛久沼ロコでも使いたくなるようにプレゼンしてみてください。
【フリーリグ特集連動】ポンコツ編集部シリーズ
まとめ◎Basser編集部
現在発売中のBasser最新号(2023年6月号)の特集はフリーリグ。巻頭の山岡計文さんをはじめ、誰もが認める手練れたちがその極意を解説しています。
でもちょっと待って。フリーリグってそんな良いものですか?
テキサスと比べてカバーが撃ちにくいうえに形も不格好だし、オープンウォーターでボトムをとる釣りならワームの自由度が生きてくるでしょうけど、オフセットフックのリグを使うならカバーを撃ちたくなるしテキサスでよくない?
なんで編集部はこんな冴えないリグを特集したのでしょうか?? そこまで良いリグだというのなら、私(ウェブ担当アライ:ホームは牛久沼)が使いたくなるようにプレゼンしてみてください。
あ、わかりやすいようにフリーにちなんだ映画とかアニメに例えて教えて?(コミックも可)。
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今回のプレゼンター紹介
エントリーNo.1 タニガワ
プレゼンテーマ:漢たるもの“自由(フリー)”たれ
谷川駿介/1990年生まれ。千葉県在住。ホームは利根川水系。琵琶湖と桧原湖がアナザースカイの32歳。クランク、スピナベ、テキサス、ヘビキャロなど「オーソドックスな中間の釣り」が好んでおり、編集部内ではフリーリグで最もバスをキャッチしている。
エントリーNo.2 クロハ
プレゼンテーマ:フリーリグは巻き物です
黒羽宗俊/1989年茨城県生まれ、東京都在住。フリーリグで釣ったことのある魚はクロダイとマゴチ。バスはまだない。
エントリーNo.3 ササキ
プレゼンテーマ:アライへ。お前にとって耳の痛い話をするが聞け
佐々木徹/Basser編集長。1984年生まれ、広島県出身。H-1グランプリに出場するようになってからワームの釣りは嗜む程度。フリーリグで特段いい思いをしたこともなかったが、間違いなく釣れそうなのでBasserの特集で取り上げることにした。
審査員
アライ
新井健/1988年生まれ。つり人社インターネット係。牛久沼がホームのオタク。エスケープツイン(ジュンバグ)のテキサスリグへ敬虔な信仰をささげている。入社直後に行なわれた「編集部ガチンコバトル」新利根川戦では、ペアを組んだササキからの「頼むからレッグワームを投げてくれ」という懇願をガン無視してテキサスをフリップし続けた。カバーにねじ込みづらいフリーリグの存在も無視し続けている。
それではここから『Basser』フリーリグ特集号の編集を終えた部員によるプレゼンが始まります。
エントリーNo.1 タニガワ
プレゼンテーマ:漢たるもの“自由(フリー)”たれ
テキサスリグは最高……だが
ボクはアライさんと同じくテキサスリグを愛しています。ワームのリグのなかでは一番カッコいいと思っているし、実際に一番投げるリグもテキサス。リーダーレスダウンショット? よくできたリグなのはわかってる。でもボクはテキサス。なぜならカッコいいから。見た目も名前も。
「ワームのリグはテキサスさえあればいい」
そんなふうに思ってた時期がボクにもありました……。
テキサスリグマスター(自称)だったボクは、カバー撃ち以外に、シンカーフリーのテキサスでボトムの地形変化や沈みモノを探る釣りがとにかく好きでした。エスケープツインなどのホグ系やセンコーなどのストレート系を合わせてボトムを這わせば、ほぼデコはない印象。あれです、『Mr.釣りどれん』でわむろなみえちゃんがやってた釣りです。
ワムラーこと和室七海恵ちゃんの登場は第2巻 ※Amazonへのリンクです
審査員コメント
アライ:うわ、なっつ!!! ワムラーの和室七海恵ちゃん懐かしすぎんだろ……。たしか和室ちゃんの妹がガングロのギャル3人組で……彼女らが霞ヶ浦にハマって「(ファンデーションで)水がますますマッディーに!」ってツッコミが入るくだりで腹抱えて笑った思い出……。ルアマガプラスの『Mr.釣りどれん』特集を見に行ってしまったわ
自由への羨望
そんなテキサスLOVERのボクだったわけですが、フリーリグも気にはなってたんですよ。だって名前が“自由(フリー)”ですよ? 男はいつだって自由を求めて彷徨える青い弾丸なわけです。
ちなみにボクは漫画『刃牙(バキ)』シリーズに出てくる「Mr.アンチェイン」ことビスケット・オリバというキャラクターが大好きなのです。“アンチェイン(≒繋ぎ留められない)”というふたつ名のとおり、「世界で最も自由な男」として描かれていて、作中では囚人でありながら刑務所のなかのスイートルームで暮らし、高級ディナー三昧の毎日(ウエイターは看守)。もう一度言いますが囚人です。このキャラのモデルはボディビルの元世界チャンピオンであるセルジオ・オリバで……(以下略)。とにかく、自由な男、ビスケット・オリバに憧れるボクは、必然的にフリーリグと惹かれあったわけです。
そんなこんなで、試しました。フリーリグ。
審査員コメント
アライ:格闘マンガは履修してないんでわかんないんだけど……Mr.アンチェイン氏に憧れてフリーリグを試した……って無理やり過ぎない!?
するとすぐに実感したのが「飛ぶ」ということ。ティアドロップ型のシンカーが先行する空中姿勢になり、テキサスと比較して飛距離が体感110~120%になった気がしました。
そして次にビックリしたのが感度の高さ。多分ですが、シンカーにラインを中通しにするテキサスに比べて、縦捌きに引いた時にシンカーがボトムから離れにくいことが要因だと思われます(イラスト参照)。7gテキサスよりも5gフリーリグのほうが明らかにボトムをコリコリしやすいです。
他にもメリットを挙げると
・根掛かりはかなりしにくい
・近いリグのヘビキャロに比べてキャストしやすく、ピンに落としやすい。
・ヘビキャロよりもシンカーが軽いので着水音が抑えられ、シャローやバスとの距離が近い釣りでも驚かせにくい。
・岩盤のダウンヒルも得意
審査員コメント
アライ:なるほど……それはたしかに納得!
最後に、釣れます。間違いなく釣れます。ちなみにボクはここ3年くらい、1年でキャッチするバスの5~6割をドライブビーバー3.5inのフリーリグで釣ってます。
え? そもそもボトムはやらない?
安心してください。フリーリグはカバーでも釣れます。
マットカバーや濃いブッシュは撃ち抜けないのでNGですが、アライさんのホームであるアシやガマなら全然OKです。申し訳ないですが、向こう2~3年はジュンバグのエスケープツインを1匹残らずタクミ漬けにしていただいて、自由な男への第一歩を踏み出してください。
審査員コメント
アライ:なんでだよ! エスケープツインをフリーリグにしたっていいじゃねーかよ!
◆総評
力説度:★★
こじつけ度:★★★★
使いたくなっちゃう度:★★
ビスケット・オリバのくだりは明らかにこじつけだけども、フリーリグのメリットが簡潔に示されていてわかりやすかったです。というか、あのタニガワ君が「テキサスもいいけど……」と、まず相手の立場に寄り添ったうえで論を展開する説得術を身に着けていてびっくりしました。
エントリーNo.02 クロハ
プレゼンテーマ:フリーリグは巻き物です
フリーと聞いてまず頭に浮かんだのはモーガン・フリーマン。2004年に『ミリオンダラー・ベイビー』でアカデミー助演男優賞を受賞した、アメリカを代表する俳優です。ほかにも『ショーシャンクの空に』や『最高の人生の見つけ方』、『セブン』、『ディープインパクト』など数々の作品で活躍していて、知的で温かみのある俳優として人気を博しています。
今回ノミネートさせていただくフリーリグの使い方は、テキサスリグを信じてやまないアライさんの釣りにそっと花を添える、助演男優賞的な釣りになること間違いなし!
『ショーシャンクの空に』(1994)※Amazonへのリンクです
審査員コメント
アライ:そう来たか。イーストウッドの激渋西部劇『許されざる者』(1992)のモーガン・フリーマンも見てくれよな!
フリーリグの持ち味は、シンカー着底後のノーシンカー状態やアクションの緩急である。そこにもちろん異論はありません。しかし、アライさんに知ってもらいたいフリーリグの使い方がもうひとつあります。それは「巻きフリーリグ」です。
フリーリグを巻く釣りはチニング(クロダイのルアー釣り)でよく使われています。とくに関東のチニングでは、水深1~3mのハードボトムエリアで、5~14gのシンカーを付けたフリーリグに3in前後のクロー系またはホッグ系のワームをセットしてボトム付近をただ巻きします。
チニングでなぜフリーリグを巻くのか? それは、フリーリグの根がかり回避性能が高いから。フリーリグはシンカーがラインと直結されていないため、障害物に当たったときにシンカーが振り子のように振れて、致命的な根掛かりになりづらく、スタックした際も外れやすいんです。
審査員コメント
アライ:テキサスじゃダメなの!?
クロダイはカキ瀬やゴロタなどのゴツゴツしたハードボトムが大好きで、ボトムにいるエビやカニなどを食べています。根掛かり多発地帯のボトム付近を効率よく探るために、フリーリグが重宝されているというわけです。ボトムの起伏を感じながらコリコリコリコリ巻いているとギュイン! と口ばしでつつかれたようなアタリが出ます。コリコリがギュインに変わる瞬間がもうたまりません……!
さて、これをバスでやってみたらどうなるのか……!? バスだけでなく、クロダイのフリーリグにも詳しい草深幸範さんと高滝湖で巻きフリーリグの検証を行ないました。
詳しくは発売中のBasserを読んでほしいのですが、前日の大会で57人中35人がノーフィッシュという厳しい状況の中、草深さんは2尾のバスをキャッチ。巻きフリーリグの可能性を感じずにはいられない1日でした。ここからは巻きフリーリグをやってみて気が付いたことをご紹介します。
Basser2023年6月号、p054より
とにかく根掛かりが少ない
ハードボトムやオダに当てながら巻いてみたのですが、根掛かりしづらく、スタックしても巻き続ければプンッと外れてくれます。ボトム付近や障害物を舐めるように丁寧に引きながら、オートマチックなハングオフを演出することができます
ソリッドティップのロッドでただ巻きするべし
シンカーが着底したらラインのたるみを作ってゆっくりとただ巻きしてください。この際にソリッドティップのロッドを使うと障害物や地形変化からリグを離しすぎずに巻くことができます。ただ、ボートにルアーが近づくとロッドとルアーに角度が付いてルアーが浮き上がりやすくなるので、巻きスピードの調整は必要です。
ラインはフロロがおすすめ
チニングの場合、河口部や港湾の広大なハードボトムエリアを探ることが多いです。そのため、遠投して遠くでもしっかりと掛けたいという理由からPE0.8号+フロロ3号というセッティングが主流です。ですがバス釣りのキャスト距離は長くても30mほど。フロロカーボンラインを使った方がラインのたるみを作りやすいのでただ巻きがしやすいです。
季節は秋がいいのでは
今回の検証は4月に行ないましたが、オススメの時期はとくに秋。バスがより横方向の動きに反応してくれるからです。スピナーベイトやバイブレーションなどのハードベイトの巻き物に反応が悪いときに、弱い巻き物として登板させてほしいです。
シャローフラットが主戦場
高滝湖でのメインエリアは鳥居スロープ前。水深3m前後にハードボトムのフラットが広がっている場所です。フラットなボトムにある地形変化をコリコリコリとなぞるとバイトが出ました。
沖のオダに絡めながら巻いてみましたが、巻きフリーリグではオダのトップをかすめるような引き方になります。オダのトップにバスが浮くアフターの時期はよいかもしれませんが、基本はフラットが広がるボトムが主戦場でしょう。ほかにも霞ヶ浦の浚渫跡や、皿池などの全体的にフラットな地形の場所で活躍してくれそうです。
シンカーウエイトは何g?
水深や使うワームの浮き上がりやすさ、キャスト距離によってシンカーの微調整が必要です。軽くすればするほど根掛かりが増えますがボトムへのタッチはなくなり、重くすればするほどボトムにタッチしやすくなりますが根掛かりは増えます。5~27gまで使ってみましたが、高滝湖ではとくに、7~10gの出番が多かったです。富士工業のリグスベルを使うと、マメなシンカーチェンジをワンタッチですることができました。
どうですかアライさん! フリーリグがもっと自由なリグになりますよ!
って、私自身、巻きフリーリグでバスを釣ることはできなかったんですけどね……言うのは自由!ということでぜひお試しください。
審査員コメント
アライ:強引にまとめにかかったな(笑)
◆総評
力説度:★★★★★★
こじつけ度:★★★
使いたくなっちゃう度:★
うーん、草深さんに教わってめっちゃ力説するほどよかったのはわかるんだけど、結局テキサスでなくフリーリグでなければならない理由はイマイチ伝わってこなかったのが正直なところ。下にぶら下がってるシンカーならビフテキとかもあるし……。詳しくはBasser読めってことね?
エントリーNo.03 ササキ
プレゼンテーマ:アライへ。お前にとって耳の痛い話をするが聞け
アライへ
君にとっては耳の痛い話になるかもしれない。許してくれ。
まず聞くが、今年何回釣りに行って、何回デコった?
アライ:今年の牛久沼だと13回、全デコ(´・ω・`)
うん、そうだよね。その理由はなんだと思う?
ずばり、フリーリグを使わないからだ。
たしかにテキサスリグは素晴らしい。僕もテキサスリグが全リグのなかで一番好きだ。でも、今年はフリーリグを使ってみてほしい。ただそれだけでデコが減るはずだ。映画『フリー・ガイ』では銀行強盗のかけているサングラスをかけて主人公の人生が一変するけど、君にとってフリーリグはそういう存在になると思う。
審査員コメント
アライ:自分がゲーム内NPCだったと気づくほどの!?
これは僕の分析なので間違っていたら申し訳ないが、2023年4月現在、アライ君の釣りは両極に寄りすぎている。エスケープツイン(ジュンバグ)の22Lbラインテキサスリグで撃ちまくって釣れなければ次の手は5inプロセンコーのネコリグロングシェイクだよな。
もちろんどちらも素晴らしい釣りだけど、隙間を埋める存在も必要だと思う。つまりテンポよく撃ちつつも適度な漂い感で食わせも効く釣り。アシ・ガマ際だけでなく、わずかに離れたボトムをフラつく魚を拾える釣り。
フリーリグだよ。
審査員コメント
アライ:なにも言い返せねぇ……
あと、20Lbラインのテキサスリグだと、撃ったあとに数cmかもしれないがリグは手前に寄ってきていると思う。フリーリグはけっこうまっすぐ落ちるぞ。すり抜けが悪くてカバーを撃ちにくく感じたらシンカーストッパーをぴったり付けてリーダーレスダウンショットリグにして使えばいい。それをフリーリグと呼ぶかは微妙なところだが釣りは自由だ。
申し訳ないが合わせるワームまで決めさせてもらう。今月の『Basser』で小森嗣彦さんが紹介しているヤマセンコーで頼む。サイズは4in、シンカーは7gで決まりだ。なぜかは記事を読んでみてくれ。次の牛久沼釣行はこれで頼む。
Basser2023年6月号、p026より
5月の牛久沼といえば古よりヤマセンコーが定番。シンカーフリーのテキサスリグでいい釣りをしている人を何人も見てきただろう。それをGW体験してきてくれ。もうひとつお願いがある。撃って着底したあとラインを張るまでにいつもより3秒長く待ってみてほしい。そして、回収前に2mでいいからズル引いてくれ。
審査員コメント
アライ:さすがは編集長。説得力が違う……ていうか、これで釣れちゃったらそれはそれで癪なんですけど!
釣れなかったらどうするかって? ヤマセンコーとシンカー代を僕が払おう。請求書を立ててくれ。以上だ。健闘を祈る。
え? そういうお前は最近釣っているのかって?
もちろんだ。今週は新利根川と印旛沼へ行ってどちらも40cmアップを釣った。
リグとワーム?
エスケープツインのテキサスリグだ。(終)
審査員コメント
アライ:………。
◆総評
力説度:★★★
こじつけ度:★★★
使いたくなっちゃう度:★★★★★
ササキさんて、いつもそう。ぐうの音も出ない理詰めでこちらの逃げ道を封じてくる。もちろん相手のためを思ったうえのことだし圧倒的に正しいんだけれども、言われたほうの気持ちも考えてください。正論は誰も幸せにしないってインターネットに書いてありましたよ。
まとめ
いかがでしたか?
私(アライ)と同じテキサスリグ信者の皆さん、フリーリグ使ってみたくなりましたか? 彼らがここまで力説するものですから、少しでも心に刺さった部分がありましたら、Basserをご一読のうえフリーリグを結んでみてもらえたらいいんじゃないでしょうか。
私はというと、なんか癪なので今年もテキサスリグ一本鎗で……。
………………。
…………。
……。
と行きたいところですが、前述のとおり、今年は4月までに牛久沼へは13回釣行、1尾もバスに触れていません。というか昨年11月頭以降バスを釣っておりません。
さすがに……。
さすがにこのままでは社内の人事評価に影響してしまうレベルです。
仕方なくリグりました。
まぁ、これで釣れるほど牛久沼は甘くないけどね。
……釣れました。
47.5cm、1610gでした。
フリーリグには、勝てなかったょ……。