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編集部2025年5月29日

レイクトラウトの聖地・中禅寺湖で縦軌道ルアーが炸裂

魚種別釣りガイド レイクトラウト

4月1日から岸釣りの解禁迎えた栃木県中禅寺湖。ルアーフィッシングとフライフィッシングが盛んなこの湖では何といってもレイクトラウトが有名だ。今年で本流サクラマス釣り歴33年を迎えた筆者だが、日光の雄大な自然に囲まれたこの山上湖にビッグトラウトの新境地を探し求めている──

写真と文◎佐藤文紀

憧れ続けた中禅寺湖

中禅寺湖を含む栃木県日光といえば観光地として全国的にその名が知れ渡る。 学生の修学旅行先としてはもちろん、昨今はインバウンドの訪日外国人観光客の人気スポットともなっている。

中禅寺という寺院があり、そのほとりにある湖ということで中禅寺湖の名称がつけられたという由来がある。近くに雄大な男体山がそびえ、釣りができる湖としては日本で最も標高が高い位置に存在する。

実際、麓の宇都宮市街地と中禅寺湖では同じ栃木県内といえど、気温の差がまるで別物。ゆえに湖内環境も長きに渡って冷水が保たれることにより、低温環境に適したレイクトラウトが繁栄する。

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トラウティストにはよく知られた話であるがサクラマスをルアーでねらうにあたり適した水温は一般に8~12℃とされているが、レイクトラウトは水温4~10℃までの範囲が最も適しているとされている。こういった低めの温度環境が中禅寺湖で保たれていることにより、日本への導入から60年近くが経過しても代々レイクトラウトがこの湖に適応を重ねてきたのだろう。

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中禅寺湖はレイクトラウトのほか、レインボートラウト・ブラウントラウト・ブルックトラウト・イワナ・ホンマス・ヒメマスの計7種のサケ科魚類の生息が確認されており、同一の湖に7種類ものサケマスが生息する事例は北海道を含めて日本では他に例を見ないほど珍しい。〝トラウトフィッシングの聖地〟と称される所以だ。レイクトラウトは魚の属性でいうとイワナの仲間であり、元がヤマメであるサクラマスとは釣り方は異なる。正直、別物だと認識する。サクラマス歴が長いがゆえ自身のトラウトフィッシングの根底がサクラマスベースにつき解釈のズレが生じることとなり、当初はレイクトラウトならではの特性に自身の釣り方を合わせられずにいたのを実感した。

ただ時折、岸近くまで回遊してくるレイクトラウトの姿を観察することで見えてきたのは、意外にも海のロックフィッシュ、アカハタやアイナメ釣りで馴染んだラインを縦に操作する縦軌道の釣りが突破口になった。

一般的にイワナの仲間、そして北海道に生息するイトウは夜目が利くということが知られている。このことは夜間でも獲物が見えていて暗闇でも捕食できる、ということだ。

対してサクラマス(ヤマメ)は陽の光に敏感で、太陽光の有無と光の差す角度も行動に影響し釣果のカギを握る。このイワナとヤマメの元々の違いは大きくて、イワナの仲間であるレイクトラウトは朝イチの光量が少ない時間帯は水面直下でも積極的に小魚を追い、ボイル音やライズも見られるが朝の時合が終了するとしだいに泳層がボトムに向かって下がっていくためヒットレンジもそれに伴い下がっていく傾向がある。

朝一はただ巻き主体のルアーによる横の動き(一定の速度で横にルアーを引っ張る釣り)と、日中はスプーンやメタルジグといった金属ルアーを使ってラインを縦に入れる釣りが効果的だ。

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マスケグ桜鱒SP20g のPO-6 カラーのただ巻きにヒットしたレイクトラウト。横に一直線に引ける、ただ巻きでのアクションが得意なスプーンだ

 

スプーンに関しても中禅寺湖の場合は、河川のサクラマス釣りで多用されるようなクロスで投げてダウンクロス状態からのU 字ターンできれいに泳ぎきるタイプのみならず、独特のスライド幅を持って真横にズレてフォールする、いわゆるスライドスプーン系やリールを半回転させていくデジ巻きメソッドのルアーアクションが普及しているが、これらは本流ビッグトラウトでは使われていない概念であり、エリアトラウト発祥と思われるメソッドが湖(止水環境下)のネイティブフィールドでもうまく適合、溶け込んだ稀有な例ではないだろうか。

スプーンやメタルジグを使った場合でも本流サクラマスや同湖のホンマスやレインボートラウトと違ってレイクトラウトに関していえば、横方向へのただ巻き一辺倒では反応させられる条件や間合いが短い、という点。

通常、本流サクラマスにせよ渓流のヤマメにせよ、自分の目線よりも下に入ったルアーをわざわざ拾い食いするようなことはほぼない。むしろそういうルアーは見切って避ける傾向がある。ヒット時には必然的に下方から上方に食い上げて反転する形のバイトになるからだ。

それがレイクトラウトの場合には鱒であるにも関わらず、海の根魚である肉食寄りの雑食魚であるアイナメのように目線を下にしてボトムのエサをついばむようにして捕食することも珍しくない。この特徴こそが日本のサケ科魚類とは異なる点で、レイクトラウトならではの釣り味と釣りの趣につながっているものと思う。

宙層にワカサギの群れが浮いていれば話は別だが、これとは別にボトムべったりや底石の隙間に潜むゴリなどのハゼ科のベイトフィッシュやエビをねらって回遊するレイクトラウトも実際のところ少なくないそうだ。ハゼ科のベイトフィッシュにしてもエビにしても長距離を泳ぐ生物ではない。 縦の壁際に追い込んで捕食したり、上方から下方についばむようにして捕食も行なう。

このため、スプーンやメタルジグを段階別にホップさせてからのフォールのアクションやボトムバンプの最中、ジャーク&フォールやリフト&フォール、デジ巻きの最中にもアタリが訪れる。むしろ表層や中層を回遊する他のビッグトラウトのように引っ手繰るような手もとにガツン!と衝撃が伝わるアタリではなくて、ロッドティップにコツン、と来る細かい(小さい)アタリがレイクトラウトでは多いのである。 こういった縦軌道の釣りはナイロンラインでは伸びがあってアタリが取りづらいので、低気温による凍結の問題さえクリアできるならばPEラインのほうが取りやすい。

レイクトラウト独特のバイトの仕方は普段釣り慣れたサクラマスや他のトラウトには見られない特徴で、極めて低水温下を適合環境とするレイクトラウトが独自に進化した捕食形態と解釈しても差支えないのではないだろうか。

捕食の仕方のレパートリーが広い点は他の大型トラウトには見られない特徴で、この点もまた釣り方を考察するうえで大きな魅力だろう。中禅寺湖の水深は深く、岸からルアーを投げて届く範囲でもカウント30~40といったポイントはザラにある。着底するまでのフォール時間が長い分、魚にルアーを見せてアピールする時間も長くとれる。

岸から投げて釣る分には深さがあるポイントでも15mないし25mくらいまでがねらいやすいが、深い水深から一気に釣りあげると空気で浮袋が膨らんでしまう可能性があるので、トラウトフィッシングとはいえエアー抜きのハリは魚を取り扱う上でのマナーとしてこの湖ではぜひとも携行したい。

遊漁期間と遊漁エリアは季節によって規則が決められていること、そして遊漁券販売所の位置も釣行に向かう前に事前に下調べしておきたい。

2024年は5月と6月に釣行し、自身は国道側のみで釣果に恵まれた。アクセスのよい国道側は入りやすいだけに常に釣り人が多いが、人通りの多い国道側の向かい側、通称〝山側〟は遊歩道からの傾斜を降りていく釣り場になる。山側は奥に行くに従い歩く時間も相応に要するため荷物を背負いつつ山林を徒歩で向かうことになるので体力に自信があり、なるべく人の少ない場所で釣りたい人に向いているエリアだ。クマ対策も欠かせない。

初夏まではレイクトラウトのみならず、レインボートラウトとブラウントラウトの姿も岸沿いで見かけることも多い。いずれのトラウトも型はよいが追っているエサの種類が異なっていたり、捕食スピードが違うこともあってそれぞれ違った釣り方を楽しめる。

中禅寺湖では夕方の時合になると岸沿いの中層をブラウントラウトがブレイクのショルダーに沿って回遊するのでこんなときは中層をスプーンでただ巻きするとヒットしやすい。

河川の障害物周りに居着くブラウントラウトに比べ、湖の中層を回遊するブラウントラウトは銀毛が強く同じ種類の魚ながら発色の趣もやや違って見えるところも注目に値する。  国道側は観光施設や食事処も多いので観光地のアクティビティーとしても春~初夏の中禅寺湖釣行はおすすめである。 4月から解禁になり、5~6月はそのピークが訪れる。

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