毎年多くの釣り人を魅了する朱鞠内湖。朱鞠内湖で貴重な一尾と出会うために、必要な戦略を紹介していく。
毎年多くの釣り人を魅了する朱鞠内湖。近年では全国各地や海外からも、イトウを目掛けて訪れる人が増えてきた。
その人気に伴いスレた魚が増えたのか、人による釣果の差が以前より大きくなっている。そんな朱鞠内湖で貴重な一尾と出会うために、必要な戦略を紹介していく。
目次
幻の巨大魚が生息する朱鞠内湖
朱鞠内湖は、旭川市の北部「幌加内町」にある日本最大の人造湖(ダム湖)。大小13の島が浮かび、複雑に入り組んだ地形が特徴的だ。
キャンプ地としても人気の高い朱鞠内湖だが、幻の魚「イトウ」が生息していることでよく知られる。そのため、全国各地や海外からも釣り人が集まり、リピーターも多い。
朱鞠内湖にはイトウ保護のため、釣りのルールが設けられている。「知らなかった」では済まされないため、事前に確認しておこう。
朱鞠内湖における「8つの釣りルール」とは?
朱鞠内湖に8つの釣りルールがあることは、先に触れたとおりだ。詳しく説明するより、表を見ていただいた方がわかりやすいだろう。
遊魚時間 | 遊魚時間は日の出から日の入りまで |
使用する針 | シングル&バーブレスフックのみ使用可能
ハリは2本以内 ダブル&トレブルフックは使用不可 |
採捕に関する規制 | イトウはキャッチ&リリース |
全面禁漁の河川 | ブトカマベツ川、泥川、蔭の沢川は全面禁漁 |
ヤマメに関する規制 | 朱鞠内湖に流入する全ての河川で、ヤマメが禁漁 |
使用する船に関する規制 | 12V以外の電動船外機は使用不可(エンジン使用禁止) |
ボートを使用する場合 | ボートを利用する場合は、沖釣り届書に記入すること |
遊魚料 | 大人1日1,100円(中学生以下は半額)
現場での販売は現場徴収料金600円を加算 1ヶ月券は4,500円 |
遊魚時間は、日の出から日の入りまでとなっている。その他、使用する針や採捕に関する規制、全面禁漁の河川など、ルールは図にあるとおりだ。
それらのルールを厳守しないと、朱鞠内湖で釣りを楽しむことはできない。最低限のマナーとして押さえておこう。
日々変化する状況を見極める
5月1日の解禁以降、湖の状況は刻々と変化していく。そのため、状況に応じた釣り方を知ることが大事だ。そうすることで、イトウと出会える確率は格段に上がる。ここでは、具体的な状況の見極め方について解説しよう。
水位変動を見極める
朱鞠内湖には水位変動がある。これは、ダム湖特有の水位調整が行われることが理由だ。5月1日の解禁時は、まだ水位が低い。湖岸は歩きやすく、フィールドを広く探ることができる。
水位調整によって次第に水位が上昇してくると、ワカサギが集まるポイントが絞られる。それが狙い目だ。ヤナギの木が、水に浸かり始めるくらいが釣りやすいだろう。
6月中旬は、雪代の流入の影響で満水になるのが例年のパターン。ストラクチャーが障害になるエリアが増え、ウェーディングできる場所は限られてくる。
雪代の流入による濁り
雪代によって湖が濁る場合、状況に応じた戦略が必要になる。たとえば、ルアーは、ラトル入りのバイブレーションやアピール力のあるカラー、波動の大きいタイプのルアーで実績が出ているようだ。
一方、フライは苦戦を強いられることが多い。対処法としては、表層ねらいがおすすめだ。適度な濁りであれば表層が意識されるため、イトウも発見しやすいだろう。
ルアー・フライとも、濁った状況でも対応できるよう、アピール力のあるパターンを用意しておけば万全だ。
ワカサギ・ウグイは、産卵期の5〜6月がチャンス
解禁後から5月下旬にかけて、ワカサギは産卵行動に入る。産卵行動によって、湖岸のシャローエリアにワカサギが寄ってきたらチャンス。ワカサギを狙ったイトウが、手前のブレイクを回遊するところを狙おう。
5月下旬から6月中旬にかけては、ウグイが産卵期に入るため岸際に寄ってくる。ウグイを狙った大型のイトウが、ボイルしているのを目にするだろう。
水温も重要な要素
トラウトが活性化する水温は8〜16度と言われているが、グラフを見てわかるように6月にかけて平均水温が高くなってくる。
出典:2002年から2006年の朱鞠内湖(雨龍第一ダム)の水環境について
グラフによると、6月中旬では20度以上を超えている。釣れにくくなるのも納得できる。とは言っても、場所によって水温が2〜3度違うというのはよくあることだ。
インレットなどの水温が低い場所を探してみよう。そうすることで、絶好のチャンスに恵まれ、貴重な1尾に出会えるかもしれない。
追ってきても食わない時に試したい3つのこと
シーズン全盛期には多くの人が集まり、その分、魚へのプレッシャーも大きくなる。
「追ってきても食わない」という場面に出会ったら、ルアー・フライともバリエーションある誘いが必須になってくる。
ルアーの場合
定番のルアーやカラーだと見切られる可能性が高い。
そのため、ローテーションできるよう、ルアーは種類やカラーを豊富に用意しておきたい。
また、リトリーブスピードにも注目だ。実績を上げる釣り人からは、「リトリーブスピードは速めがよい」との声が多い。あえてじっくり見せず、リアクションバイトを誘うことがスレた魚への対策になる。
フライの場合
フライの場合、アプローチにも気を遣うことが成否を分けることがある。具体的には、静かなウェーディング、確実なターンオーバー、ソフトな着水など、基本的なことをやればいい。
荒れ気味の天候もスレ対策として有効
程よい雨風により湖面が波立つ状況など、やや荒れた天候はイトウの捕食スイッチを入れることがある。また、そのような条件は、魚へのプレッシャーを少なくさせる1つの要素になるだろう。
渡船も使えば釣れる確率が上がる
初めて朱鞠内湖を訪れる人は、渡船サービスを使用するのもおすすめだ。あらかじめ予約しておけば、その時期のおすすめスポットへ案内してくれる。
朱鞠内湖は複雑な地形であるため、湖岸までアプローチできるポイントが少ない。積極的に渡船を使用し、貴重な一尾と出会う確率をあげよう。
5月1日に解禁した後は、釣果情報を待たず、なるべく早く釣行しよう。シーズン初期の朱鞠内湖は好機が短く、あっという間に過ぎ去っていく。
気づけば「好機を逃した」ということにもなりかねない。早めに行動した方が、よい釣り、よい釣果に恵まれるはずだ。
2021/04/23