名古屋港のボート釣りといえばシーバスガイドが人気だが、今年はアジング専門のチャーターボートが登場した。これまでアジとは縁遠いと思われていた名古屋港でジグ単のキャスティングが楽しめると、ライトゲームに精通するレベロクの東島佑介さんが足を運んだ。
名古屋港のボート釣りといえばシーバスガイドが人気だが、今年はアジング専門のチャーターボートが登場した
写真と文◎伊藤 巧
ジグ単のキャスティングでワンキャストワンヒットも
名古屋市を中心に弥富市、飛島村、東海市、知多市にわたる広大な港湾区域を有する名古屋港は、日本最大級の臨港地区を誇る。数多くの埠頭を擁する一大物流拠点として、夜の帳が下りたあとも眩しい照明が岸壁を照らして貨物船へのコンテナの積み下ろし作業が忙しなく行なわれている。そんな港湾部で人気の釣りがチャーターボートのシーバスゲーム。港湾部のボート釣りに魅了されたアングラーは多く、開拓が進んだ今ではシーバスのほかクロダイやキジハタ、メバルなどターゲットはバラエティーに富んでいる。
そんな名古屋港で筏川河口に船を置く「アールホリック」の奥村信哉キャプテンはアジに注目。名古屋港初のアジング専門のチャーターボートとして今年から出船を開始した。名古屋港でアジングと聞いてもピンとこず、地元アングラーの大半が首を傾げることだろう。それほど名古屋港とアジは結びつかない。伊勢湾最奥部の名古屋港となれば、たとえ回遊してもせいぜい豆アジだろうと考えがちだが、その答えは否。ポテンシャルは高く、2月こそ多少渋くなるようだが25㎝クラスならほぼ周年釣果が望め、カタクチイワシなどベイトの回遊があれば尺アジが群れで入るというから激アツだ。名古屋港では過去に40㎝オーバーが上がった実績もあるので、専門にねらうチャーターボートが誕生したことで、これからの展開に期待が高まる。
アジング船を始めるにあたって奥村キャプテンに協力し、フィールド開拓を手伝ってきたアングラーがレベロクのフィールドテスターを務める酒井賢二さんだ。良型アジが群れる場所を見出して2人は確信。
「開拓していて25㎝クラスがワンキャストワンヒットで釣れ続いたとき、これなら充分アジング専門でやっていけると思いました」と奥村キャプテン。なぜ、これほど名古屋港にアジが多いのか伺うと「埠頭が複雑に入り組んでいて小魚の他にアミやイソメ類などのエサが豊富であることと、埠頭に立ち入りできないこともあって場荒れすることなくアジが守られているからだと思います」とのこと。これまで名古屋港のアジといえばロックフィッシュゲームのゲストという認識だったが、数型ともにねらえるとなれば話は別。シーバスに並ぶ人気ターゲットになりそうだ。
釣り方はジグ単のキャスティング。目ぼしいポイントにボートをアンカリングしてねらう。埠頭の常夜灯が海面を照らしている水深10m前後の岸壁周りで釣ることが多く、基本は沖から埠頭に向かってキャストする。底を取ったら誘い上げとフォールを繰り返して手前に探ってくるのだが、日によって反応するアクションが異なるという。いち早くヒットパターンを見つけるために手を変え、品を変えてアプローチするパズル的な要素が実に面白いという。
名古屋港はコンテナターミナルを中心にあちらこちらに照明が灯って作業が行なわれているので夜も明るくアジが群れやすい
軽量リグでボトムを取ると25㎝クラスが立て続けにヒット
11月5日、酒井さんの案内でレベロクの東島佑介さんとフィールドテスターの黒川桂悟さんが名古屋港にてアジングを楽しんだ。この日は大潮後の中潮3日目。ほどよく潮が動いているであろうと、間もなく満潮を迎える午後6時半に出船。まずは良型が期待できる弥富埠頭の南岸壁にエントリーした。常夜灯が海面を照らし、底が馬の背状に張り出している好ポイントにアンカーを下ろす。魚探を覗くと早くも底付近にアジの反応が出ていた。
水深が11mほどあるので、まずはアジにジグ単を見つけてもらおうと、東島さんは持参したワームで一番大きい「ディープスワイパー90」を1.5gのジグヘッドにセット。そして照明の陰になっている岸壁の際にジグ単をキャストして、潮の流れぐあいを見ながら底まで沈める。セイゴがあちらこちらでライズしているので、静かにフォールさせてかわす。
東島さんは着底を確認するとラインをやや多めに出して弛ませ、軽くティップで弾くようにワームをダートさせる。すると、すぐに20㎝を超える良型のアジがヒット。ほぼ同時に黒川さんにもヒットして幸先よいスタートを切った。名古屋港に初めて訪れた東島さんと黒川さんだったが、関西で慣れ親しんだスタイルとあって、すぐに状況に対応して良型のアジを立て続けにキャッチ。いずれも体高がある太ったアジだった。
その後も3人揃ってコンスタントに良型のアジを掛けていくが、アタリ自体は小さく分かりづらい。「小魚を捕食しているときに出る明確なアタリではなく、底に押さえつけるような不明瞭なアタリなので察知が難しいですね。先日胃袋の内容物を顕微鏡で確認したらアミやワタリガニの卵を就餌しているようでした。砂も出てくるので底をついばんでいるのだと思われます」と、酒井さんは少しでもアタリを大きくするためジグ単を軽くして、ジグ単を底から浮かし過ぎないように気を使いながらスローに持ち上げてフォールにロッドでついていく繊細な釣りを展開。するとフォール中にツンと小さいながらもアタリが出るようになり、テンポよくアジを掛けていった。
こうした対応力は釣果に大きな差をつける。潮の流れぐあいや水深に応じて1gを中心にジグヘッドは0.7~1.5gを使い分ける。ときには0.4gを結ぶこともあるそうだ。重めからスタートして活性の高いアジを釣り、食いが渋くなってきたら徐々に軽くしていくのがセオリー。釣り方も一辺倒にならないよう誘い上げやフォールのパターンを変えてアタリを引き出していく。ネチネチがよい局面もあれば、フワフワさせたりキビキビ動かしたほうが食ってくることもある。決まったパターンがないからこそ飽きることなく熱くなれるのだ。気の合う仲間で乗れば、ああでもないこうでもないと賑やかに楽しめそうだ。
「活性が高い日はフォール中に食ってきますし、底に置いているだけでも一気に持っていきますから深く考える必要もありませんが、活性が落ちると途端に口を使わなくなりますよね。より軽いジグ単で繊細に誘って食わせますが、水深10mともなると釣りがボヤけがちなので無理に軽いジグヘッドを使わないことが肝要です。自分がジグ単の状況を把握できなければゲームが成立しませんからね」と黒川さん。
こうして賑やかに楽しみながら3時間ほどの釣りで25㎝クラスを数尾と20㎝前後を30尾ほどキャッチして納竿とした。例年に比べて港内の水温も高く11月中旬の時点で22℃前後で推移しており、12月も遜色なくアジングは楽しめそうだ。
昨年から開拓に勤しみ、今年が名古屋港のボートアジング元年となった。知多半島をはじめ愛知県でもオカッパリのアジングは盛んで人口も多いが、競争率が高いうえにサイズは小振り。名古屋港のチャーターボートなら心地よい25㎝クラスの引きを堪能できる。アジング専門とあって他のチャーターボートに比べて料金が安い点もうれしい。仕事帰りにでも気軽に乗ってアジングを楽しんでほしいという奥村さんの心意気だ。
名古屋港のボートアジング。まずは乗船してアジの濃さを体験してみてはいかがだろう。
上層に群れるセイゴをかわしてジグ単をボトムに送り込み、着底を確認したら小さくリフトしてフォール。底から離さないようにラインスラックを出して軽くティップで弾くように誘う。その誘いがアワセを兼ねているとのことで、エギングやワインドに近いイメージの釣り方で数を伸ばした
ジグ単のキャスティングでワンキャストワンヒットも
名古屋市を中心に弥富市、飛島村、東海市、知多市にわたる広大な港湾区域を有する名古屋港は、日本最大級の臨港地区を誇る。数多くの埠頭を擁する一大物流拠点として、夜の帳が下りたあとも眩しい照明が岸壁を照らして貨物船へのコンテナの積み下ろし作業が忙しなく行なわれている。そんな港湾部で人気の釣りがチャーターボートのシーバスゲーム。港湾部のボート釣りに魅了されたアングラーは多く、開拓が進んだ今ではシーバスのほかクロダイやキジハタ、メバルなどターゲットはバラエティーに富んでいる。
そんな名古屋港で筏川河口に船を置く「アールホリック」の奥村信哉キャプテンはアジに注目。名古屋港初のアジング専門のチャーターボートとして今年から出船を開始した。名古屋港でアジングと聞いてもピンとこず、地元アングラーの大半が首を傾げることだろう。それほど名古屋港とアジは結びつかない。伊勢湾最奥部の名古屋港となれば、たとえ回遊してもせいぜい豆アジだろうと考えがちだが、その答えは否。ポテンシャルは高く、2月こそ多少渋くなるようだが25㎝クラスならほぼ周年釣果が望め、カタクチイワシなどベイトの回遊があれば尺アジが群れで入るというから激アツだ。名古屋港では過去に40㎝オーバーが上がった実績もあるので、専門にねらうチャーターボートが誕生したことで、これからの展開に期待が高まる。
アジング船を始めるにあたって奥村キャプテンに協力し、フィールド開拓を手伝ってきたアングラーがレベロクのフィールドテスターを務める酒井賢二さんだ。良型アジが群れる場所を見出して2人は確信。
「開拓していて25㎝クラスがワンキャストワンヒットで釣れ続いたとき、これなら充分アジング専門でやっていけると思いました」と奥村キャプテン。なぜ、これほど名古屋港にアジが多いのか伺うと「埠頭が複雑に入り組んでいて小魚の他にアミやイソメ類などのエサが豊富であることと、埠頭に立ち入りできないこともあって場荒れすることなくアジが守られているからだと思います」とのこと。これまで名古屋港のアジといえばロックフィッシュゲームのゲストという認識だったが、数型ともにねらえるとなれば話は別。シーバスに並ぶ人気ターゲットになりそうだ。
釣り方はジグ単のキャスティング。目ぼしいポイントにボートをアンカリングしてねらう。埠頭の常夜灯が海面を照らしている水深10m前後の岸壁周りで釣ることが多く、基本は沖から埠頭に向かってキャストする。底を取ったら誘い上げとフォールを繰り返して手前に探ってくるのだが、日によって反応するアクションが異なるという。いち早くヒットパターンを見つけるために手を変え、品を変えてアプローチするパズル的な要素が実に面白いという。
この冬に発売される極短(キョクタン)ヘッドは、1インチ前後のマイクロワームにマッチするショートシャンク設計のジグヘッド。フォールとリトリーブの姿勢を安定させ誰にでも使いやすい涙型ヘッドを採用。ゲイプ幅に余裕を持たせていることから良型アジのランディング率も高い。ワームはPテイル40プラスのヒット率が高めだった
軽量リグでボトムを取ると25㎝クラスが立て続けにヒット
11月5日、酒井さんの案内でレベロクの東島佑介さんとフィールドテスターの黒川桂悟さんが名古屋港にてアジングを楽しんだ。この日は大潮後の中潮3日目。ほどよく潮が動いているであろうと、間もなく満潮を迎える午後6時半に出船。まずは良型が期待できる弥富埠頭の南岸壁にエントリーした。常夜灯が海面を照らし、底が馬の背状に張り出している好ポイントにアンカーを下ろす。魚探を覗くと早くも底付近にアジの反応が出ていた。
水深が11mほどあるので、まずはアジにジグ単を見つけてもらおうと、東島さんは持参したワームで一番大きい「ディープスワイパー90」を1.5gのジグヘッドにセット。そして照明の陰になっている岸壁の際にジグ単をキャストして、潮の流れぐあいを見ながら底まで沈める。セイゴがあちらこちらでライズしているので、静かにフォールさせてかわす。
東島さんは着底を確認するとラインをやや多めに出して弛ませ、軽くティップで弾くようにワームをダートさせる。すると、すぐに20㎝を超える良型のアジがヒット。ほぼ同時に黒川さんにもヒットして幸先よいスタートを切った。名古屋港に初めて訪れた東島さんと黒川さんだったが、関西で慣れ親しんだスタイルとあって、すぐに状況に対応して良型のアジを立て続けにキャッチ。いずれも体高がある太ったアジだった。
その後も3人揃ってコンスタントに良型のアジを掛けていくが、アタリ自体は小さく分かりづらい。「小魚を捕食しているときに出る明確なアタリではなく、底に押さえつけるような不明瞭なアタリなので察知が難しいですね。先日胃袋の内容物を顕微鏡で確認したらアミやワタリガニの卵を就餌しているようでした。砂も出てくるので底をついばんでいるのだと思われます」と、酒井さんは少しでもアタリを大きくするためジグ単を軽くして、ジグ単を底から浮かし過ぎないように気を使いながらスローに持ち上げてフォールにロッドでついていく繊細な釣りを展開。するとフォール中にツンと小さいながらもアタリが出るようになり、テンポよくアジを掛けていった。
こうした対応力は釣果に大きな差をつける。潮の流れぐあいや水深に応じて1gを中心にジグヘッドは0.7~1.5gを使い分ける。ときには0.4gを結ぶこともあるそうだ。重めからスタートして活性の高いアジを釣り、食いが渋くなってきたら徐々に軽くしていくのがセオリー。釣り方も一辺倒にならないよう誘い上げやフォールのパターンを変えてアタリを引き出していく。ネチネチがよい局面もあれば、フワフワさせたりキビキビ動かしたほうが食ってくることもある。決まったパターンがないからこそ飽きることなく熱くなれるのだ。気の合う仲間で乗れば、ああでもないこうでもないと賑やかに楽しめそうだ。
「活性が高い日はフォール中に食ってきますし、底に置いているだけでも一気に持っていきますから深く考える必要もありませんが、活性が落ちると途端に口を使わなくなりますよね。より軽いジグ単で繊細に誘って食わせますが、水深10mともなると釣りがボヤけがちなので無理に軽いジグヘッドを使わないことが肝要です。自分がジグ単の状況を把握できなければゲームが成立しませんからね」と黒川さん。
こうして賑やかに楽しみながら3時間ほどの釣りで25㎝クラスを数尾と20㎝前後を30尾ほどキャッチして納竿とした。例年に比べて港内の水温も高く11月中旬の時点で22℃前後で推移しており、12月も遜色なくアジングは楽しめそうだ。
昨年から開拓に勤しみ、今年が名古屋港のボートアジング元年となった。知多半島をはじめ愛知県でもオカッパリのアジングは盛んで人口も多いが、競争率が高いうえにサイズは小振り。名古屋港のチャーターボートなら心地よい25㎝クラスの引きを堪能できる。アジング専門とあって他のチャーターボートに比べて料金が安い点もうれしい。仕事帰りにでも気軽に乗ってアジングを楽しんでほしいという奥村さんの心意気だ。
名古屋港のボートアジング。まずは乗船してアジの濃さを体験してみてはいかがだろう。
この日は15㎝前後の小アジは数釣れたものの25㎝級は数尾に終わった。タイミングが合えばアベレージ25㎝の数釣りが堪能できる。尺をねらうならカタクチイワシが入ってくる3月が有望。名古屋港で何ともアツい情報だ
東島さんは今回タックルを2セット持ち込んだ。メインロッドは自身が開発に携わったソルティブレイブ「マジックセンサー610UL-2 type-S BORON」。使いやすい長さと幅広いルアーウェイトが特徴で、使いどころを選ばない汎用性が魅力。バットにボロンを採用することでボヤけがちなバイトがクリアになり、これまで見逃していたアタリを捉えられる。もう一本は「おり釣具」とレベロクがコラボしたカーボンフルソリッドの「漁港ロッドOL6- S53L」。曲がりが楽しめるタフなフィネスロッド。
この日メインで使ったジグヘッドは、刺さり重視の漁港ヘッドクロスとダートもこなすスライドヘッド。いずれも耐久性に優れる
細身形状に仕上げたライトゲーム用の軽量ハンドルノブ「ステイルメイト」。1g台の自重を実現して、繊細なタッチを可能にする。エリアトラウトにもマッチ
開始早々良型が連発する。弧を描くロッドがアジをいなして無理なく浮かす。名古屋港とは思えない連発劇だった
※このページは『つり人 2024年1月号』を再編集したものです。