◯◯
日に日に低くなる気温とは裏腹に熱を増す冬季のアジング。夏には豆だったアジも豊富なエサをモリモリ食べて、この時期にはジィっとドラグを引っ張り出す良型に成長している。シーズン初期の釣り方を岩崎林太郎さんに紹介してもらった
写真と文◎髙木翔太
デイの釣りは影をねらう
11月の初めの連休。最初に予定していた佐伯の港はどこも釣り人でいっぱい。人混みを避け、佐伯港からフェリーで大入島に渡った。大入島には多くの漁港があるが、石間港はとくにアジングの実績の高い漁港なのだという。岩崎さんのおすすめは堤防の先端。潮通しがよく常夜灯もあるため、アジが寄り付きやすいポイントだ。石間港の先端は平日でも釣り人が入ることもあるような人気のポイントだが、この日は珍しく空いていた。「こんなことは滅多にないですよ!」と興奮気味の岩崎さんは、さっと準備を済ませ釣りを開始した。まだ日の出ている15時、まずは岸壁際の影をねらう。使用するワームはアジ爆ワーム1.8インチ。カラーはりんたこラディッシュグロー。明るい時間帯にはなるべく違和感を抱かせないように地味目のカラーを選択しているとのこと。合わせるジグヘッドがアジ爆ジグヘッド速掛け1.65g。「日が出ている時間帯では、アジたちは動き回らずに障害物の影に入っていることが多いです。岸壁際や漁船など障害物が作る影を探っていきましょう」
そう言って、底でじっとしているアジをイメージしながら岸壁の作り出す影の中を丁寧に探っていくとヒット。この日、最初にサオを曲げたのはアジングの定番ゲストであるカサゴ。「カサゴが釣れるということは潮があまり動いておらず、他の魚に元気がないということです。少し堤防を回って状況がよくなるのを待ちましょう」
積極的な情報収集が釣果を生む
釣れたカサゴをリリースし堤防を釣り歩いていると、地元の釣り人がやってきて堤防の先端でサビキ釣りを始めた。岩崎さんは待ってましたと言わんばかりにその釣り人に挨拶し、ここ最近の状況を尋ねていた。聞き込みを終え釣りを再開するとすぐにサビキ釣りをしていた釣り人がアジを釣りあげた。それを見た岩崎さんは、底をじっくりと探る釣り方から変更。岸壁から10mほど離れた場所に仕掛けを投入し、底を取ったら2mほどサオ先を上げる。そこからジグヘッドが沈んでいくのに合わせてサオ先を下げて送り込む。これを繰り返し岸壁際までしっかりと探っていると、まだ底には着かないタイミングでラインがふわっとたるんだ。掛かったのは18㎝ほどのアジ。釣り開始から約2時間で本命がヒットした。
この日最初のアジを連れてきたのはりんたこラディッシュグロー。「このカラーはデイでもナイトでも本当によく釣れます」
「サビキにアジが掛かったことから、アジのレンジを想像しました。聞いたお話ではサビキは底べったりで釣っているということでした。アジがついていたのは一番上のハリ。ハリは底から1.5mくらいの範囲にありますので、アジのいるレンジが絞れます。そしてコマセがふわふわと漂っているため、フォールの動きが効くだろうと考えて2m上げてフォールさせるという誘い方にしました」
一見サビキ釣りとルアーでは関係ないと考えてしまいがちだが、同じ魚をねらっている以上ヒントになることは必ずある。よく観察して自分の釣りに活かすことが釣果を上げる鍵だ。
地元の釣り人に質問する岩崎さん。「地方の釣り場の釣れるポイントには、そこで毎日のように釣りをしているローカルアングラーが必ずいます。話しかけて情報を得られるのがベストですが、難しいようであればその釣り人がどのような釣りをしているのかをしっかりと観察しましょう」
アジ専用設計のアジ爆ワーム。1.8、2、2.8インチの3 サイズがラインナップ。カラーは写真のものの他クリアーピンクラメ(1.8、2)おきあみグローレモン(2.8)、グリーンヘッドレモン、ホワイトクリアーラメ、KL アラレ、シラスグロー赤ラメ。魚に違和感を与えない柔らかさでバイトを確実にものにできる。1.8インチと2.8インチには0.3インチごとのカットポイントが設けられておりベイトの大きさに合わせて現場で調整が可能。「1.8 インチと2 インチのパッケージはそのままケースとして使えます。わざわざボックスへ入れ替える必要がないので重宝します」
アミパターンに特化したアーミーベイト 0.9 インチ。今回使用したカラーはクリアーレッドゴールドラメ。視認性の高いスターダストオレンジも岩崎さんのおすすめ。その他ホワイトソリッド、カブラグリーン黒ラメなど個性的な全10 カラー展開。アジメバアーミージグヘッド0.6g との組み合わせでなければ釣れない場合があるという。「タックルボックスには必ず入れておきたいです」
アーミーベイト 0.9 インチにジャストフィットするアジメバアーミージグヘッド。ラインナップは0.2、 0.4、 0.6g でそれぞれにフックサイズ#10と#14 が用意されている
パターンを掴み、状況に合わせてブラッシュアップ
アジングはパターンを見つける釣り。今日のパターンはボトムから1~2mのところをフォールで誘うかと思われたが、1尾釣れたところでぱったりとアタリが止んでしまった。他の釣り人を見ると、サビキ釣りではポツポツと釣れている。
「サビキに寄って来ているアジは、匂いと味でエサを探すスイッチが入っています。一方アジングはシルエットと波動で誘う釣り方なので、コマセに寄ってきているアジを釣ることは難しいのです。コマセが抜けて来てからが本番です」
日が沈み堤防の先端でサビキ釣りをしていた地元の釣り人は帰っていった。入れ替わるようにポイントへ入ったが、それから1時間ほど釣れない時間が続く。
「そろそろ常夜灯が点くころです。コマセも抜けてアジのスイッチが切り替わることに期待ですね」
このタイミングでワームを変更。アジ爆ワーム2.8インチの、カラーはりんたこマンゴーヨーグルト。2.8インチという長さに加え、テロンテロンなやわらか素材のためよく動きアピール力が高い。このワームで先ほどのパターンを再現すると、明確なアタリとともにジーッと出るドラグ。1尾目よりも大きなアジが釣れた。
「今のは着底寸前で当たりました。サビキ釣りをしていたときよりもさらに底に近いところに群れているのかもしれません」
今度はジグヘッドを着底させた後、チョンチョンチョンと3、4回誘いを入れながらシャクリ上げ、張らず緩めずでジグヘッドの動きに合わせてサオ先を下げる。魚の居るレンジを予想し、より重点的に底を探っていく。しばらくするとまたもやゴンッという明確なアタリが出て今回も良型アジが掛かった。
表層のライズをあえて無視。アジを引き出す
2尾目を釣りあげた後、再度同じようにキャスト。同じパターンでねらうが先ほどとは海のようすが異なり、ジグヘッドの着底が5秒ほど早まっている。これは流れが利いていない証拠だ。「このポイントは付近に2つの河口があり、その影響から潮汐表によらずコロコロと潮が変化します。そして、ここのアジは潮が流れていないときには極端に口を使わなくなってしまいます。このような場合は大きくパターンを変えて探りましょう」
そう言って取り出すのは、アーミーベイト0.9インチのクリアーレッドゴールドラメとアジメバアーミージグヘッドの0.6g。アミパターン時に重宝する非常に軽量の組み合わせだ。この組み合わせで表層~中層を探るが、アジのアタリは引き出せない。足もとに目をやると、常夜灯に引き寄せられたセイゴの群れが表層を泳いでいる。
「こうなると表層のアジをねらうのは無理がありますね。ジグヘッドを戻してまた底をねらいましょう」
それから10分ほどして、表層の魚がライズを始めた。なかにはアジも混じっているのだが、岩崎さんが表層をねらうようすはない。底を探っていると急にリーリングを速めた。同時にサオが大きく曲がりアジが掛かった。
「表層でライズしているということは全体的に活性が高まっているということ。今はセイゴが群れていて表層~中層はねらえないので、底まで落として誘いました。風が少し出ており、ラインがたるんでしまっていたので急いで巻きアワセをしました」
この後すぐにキャストし、同様に底を丁寧に探りもう1尾追加。この魚を最後にこの日は納竿とした。
「今日のパターンは底付近でのフォールでしたが、これがいつでも効くわけではありません。海の状況や他の釣り人の動向をしっかりと把握しましょう。12月に入ると、型もぐっとよくなり数も釣れるようになってきます。自分だけのパターンを掴んでアジングを楽しんでください!」
アジ爆ワーム2.8 インチ(ヤリエ)のりんたこマンゴーヨーグルトがこの日の当たりワーム。他にはない柔らかさが特徴
クリップスナップ(ヤリエ)のSS サイズを使用する。開閉不要でスナップの内側に飛び出ている先をジグヘッドのアイに通し、引っ張るだけで装着可能。スムーズにジグヘッドを交換できる
ロッド:シェーラザードブラックエディションSZ-632 XUL(ヤリエ)
リール:イグジスト SF2000SS-P(ダイワ)
ライン:PE0.2 号
リーダー:フロロカーボン4Lb / 70㎝
シェーラザードブラックエディション SZ-632XUL(ヤリエ)は6ft 3in というレングスでジグ単から軽めのプラグまで扱えるライトゲームの万能ロッド。XUL アクションで魚が掛かるとよく曲がりやり取りを楽しむことができる。バット部のカラーは常夜灯下などローライトな場面では深い青だが、太陽光の下では緑がかって見える
佐伯港からフェリーにて約5分で渡ることができる、車で1周20 分程度の大きさの有人島。フェリーの料金は人のみだと150 円、車があっても最大で1750 円とリーズナブル。また30 分~ 1 時間に一本と本数も多いので積極的に利用したい(2024年のデータです)
※このページは『つり人 2024年1月号』を再編集したものです。