アジングにおいて、リールの性能は釣果に直結する。本記事では、「アングラーズショップmaniac’s」のアジング担当であり、自身もアジング歴20年という高木祥行さんが、実戦でこだわるべきポイントを解説。エステルラインのヨレを防ぐラインローラーの重要性や、アジの身切れを回避する滑らかなドラグ性能など、釣果を左右する要素を紐解いていく。記事の後半では、数々のタックルを見てきた高木さんイチオシのアジングリールもあわせて紹介しよう。

解説◎高木祥行
写真と文◎月刊つり人編集部
maniac'sのウェブショップ店長を務めながらアジングにも精力的に釣行。黎明期から外房エリアに釣行を重ねてきた。クリアブルー本岡利將さんやDLIVE佐藤潤弥さんらメーカー関係者とも交流が広い
エステルラインの壁に突き当たった黎明期のアジングリール
私がアジングを始めたのは20年ぐらい前で、ワームでアジが釣れるのも半信半疑。リールなんか手持ちのものでいいやみたいな感じで、ノーマルギアの07ルビアスを使っていたと思います。イトもフロロ3ポンド直結で、ジグヘッドは2~3g。外房でやっていました。
あの頃のダイワのリールって、やっぱり巻きが軽かった。ハンドルを回す指がちょっと止まるような小さなアタリを感じて、そのまま巻きアワセもできる感覚が好きでした。
タックルも少しずつ変わっていき、飛距離がほしいから7フィート半とか8フィート半くらいのメバルロッドを使うようになりました。フロロ3ポンドで少しでも遠くに届かせようと長めのサオを選んでたんですけど、正直あんまり変わらなかったですね。投げてる感じが全くないというか。
リールは2000番クラスのセルテートとかツインパワーを使うようになって、これはわざと重めのリールを選んでたんです。手もとに重心が来るバランスが、やりやすかったんですよ。
その後、大手の釣り具メーカーだけでなく、アジング専門のメーカーからもいろいろなロッドがリリースされるようになった。エステルラインを使い始めたのもちょうどそのころです。サーティフォーさんが早くから推してて、最初は0.6号と太めを使っていました。引っ張れば切れるイトを細くしなきゃいけないなんて怖くて、渋々慣れていこうとやってたんですが、最初のうちはやっぱりライントラブルが多かった。
PEラインも使ってみたんですけど、フォール中のアタリをとれなくてショートバイトに対応できない。結局、エステルに戻ってトラブルと格闘しながらやってました。
アジングの快適性を左右するラインローラーの重要性
なんとかトラブルを軽減できないかと注目したのがラインローラーの回転でした。テンションがかかりにくい釣りなので、軽い力でローラーが回ってくれないと、イトのヨレが取れないままスプールに巻き込まれていく。それがバックラッシュの原因になっていました。
しかも、ラインローラーは一番水がかかる場所で、イトが水を持ってくるのでオイルが流れたり酷ければ腐食したりして回転が鈍くなる。だからラインローラー部分を何回か釣行するごとにバラして洗浄して、オイルを入れ直すということをよくやってました。乾いた海水が白くこびりついていたりして、そのメンテを怠るとすぐ回転が落ちてくる。
それと並行して、ヨレがひどい時は違う方向に遠投してテンションをかけながら巻き取るとか、今思えば原始的なことをやってましたね。 当時から思うと現在のリールはかなりラインローラーも改善されて快適に使えるようになりました。
私の場合は、当時から他社製のラインローラーに交換して使っています。10年以上前に仲間同士で一緒に釣りをしていて、自分だけライントラブルをしていた原因を考えた時にここだと気づいてからです。今はパーツメーカーさんからいろいろな製品が出ています。たとえばレビテーションエンジニアリング×クリアブルーのラインローラーはすごく軽く回ってくれます。IOSファクトリーのローラーは回転面に小さな凹みが並んでいて、メンテ時に回転をチェックするのにストレスがありません。
いずれにしても、ラインローラーの回転はトラブルを防ぐための根幹ですから、定期的に手で回してチェックするようにしています。シャーシャーと音がし始めたらベアリングの交換時期です。すごく高価なベアリングを長く使うより、普通のベアリングをこまめに替えてオイルで回転を補うのが私のやり方です。
アジの走りを止めてくれるドラグ性能のチェックポイント
ドラグはやはり重要で、ダイワのATD(オートマチックドラグシステム)はかなり性能が高いと思います。アジは口周りが弱いうえ、浅いかかりが多いので、ジジッと断続的に出るようなドラグだと首を振った瞬間に身切れしてしまう。そこをジーッと滑らかに出てくれるドラグがバラしにくいですし、かといって出っ放しではなく、ファイト中にしっかり魚を止めてくれる感じがアジングには合っています。ATDは低価格帯のモデルから採用されているので、ダイワのリールはかなり性能の平均点が高いと思います。
ドラグのへたりについては、ノブのキャップを開けた時にワッシャーが潰れていたり、グリスが黄色く変色していたりすると効きが落ちているサインです。感覚でいうと、今までは止められたサイズの魚が止まらないと感じたらチェックしたほうがいいでしょう。よくわからなければ1年に1回オーバーホールに出すのが確実だと思います。
ロッドの進化とリールの軽さが感度に直結する理由
現在はエアリティやヴァンキッシュの出番が多いです。
リールの軽さを意識するようになったのは、ロッドの進化と時期が重なっています。とくにアジング専門メーカーが出てくるような尖ったロッドには驚きました。例えばクリアブルーが最初のクリスターを出した時は衝撃で、0.5gの軽いジグヘッドが信じられないぐらい飛んでいくんですよ。マイクロガイドのロッドで飛距離と感度を両立させてくれたことも大きかった。代表の本岡利將さんはずっとアジを釣ってる人で、昼も夜も投げ続けてテストしているので、そんな人が作ったロッドがやっぱり使いやすいんだろうと思います。
全体的な感度が上がった今のロッドで釣りをすると、アジの取りこぼしが明らかに減る。そしてその感度を最大限に引き出すために、リールの軽さも重要な要素になってきたんです。自重だけでなく、今のリールはローターも軽くなっているので、巻き出しの軽さも含めた総合的な軽さがアタリの取りやすさに直結してくるんですよ。
ショートハンドルへの交換とその使い分け
感度を上げるためにハンドルは必ず交換して使っています。最初はドレスアップ感覚で見た目がかっこいいなとか、その程度の認識だったんですが、純正のハンドルと使い比べてみると、感度と巻きやすさが全然違うんですよ。私はDLIVEを愛用していますが、ハンドルノブがリール本体にグッと寄っていて、ベールとぶつかりそうなぐらい近い。でもそれが手首の動きと合って、すごく自然に巻ける。
長さも使い分けていて、オカッパリでジグ単をするなら35mmや33mmです。ノーマルだと1000番サイズで35mm、2000番で40mmという設定のリールが多いですが、2000番にワンクラス下のショートハンドルを合わせる感覚です。短いぶん巻きは重くなりますが、感度が上がりますし、ゆっくり巻けるのでレンジキープの面でも有利です。
ただ、デカい魚が掛かると巻くのがたいへんなので、ボートアジングには絶対45mmのハンドルをつけていきます。尺アジが連発するときは明らかに楽ですね。
アジングリールのメンテナンスはやれる範囲で習慣にする
メンテナンスは釣行3回に1回ぐらいの頻度でスプールを開けて、スプールシャフトなど汚くなったオイルを拭き取り、新しいオイルを差し直すというのをやっています。全部バラすのは私もできませんので、基本的には外からアクセスできる範囲で。拭き取りにはティッシュよりキッチンペーパーのような繊維が出にくいもののほうがいいですよ。
ラインローラーのオイルは少し粘度のあるものを選んでいます。さらっとしたオイルは回転は軽いけど抜けが早い。気持ち粘度があるもののほうがベアリングに膜が張って摩耗しにくく長持ちしやすい。それでも回転が重くなるほどではないので、そのバランスがちょうどいいと思っています。
内部のギア関係は、シャリシャリ音がするようになったらグリス切れのサインなので、オーバーホールに出すのが確実です。
ダイワもシマノも今のリールは防水がかなりしっかりしていて、水の入る隙間も少ないので、しぶきがかかった程度ならオカッパリなら実用上の影響はほとんどないと思います。そんなに海水を浴びたりしないですし、ロッドホルダーを使うなら地面に置くことも少ない。だから、個人的にはオカッパリであればダイワのST(センシティブチューンモデル)などマグシールドのないリールでも問題ないと考えています。
ボートアジングでは波をかぶることも多いので、マグシールド搭載モデルや、シマノなら「Xプロテクト」で防水性を高めたモデルがほしいところです。
神経質になる必要はないですが、ラインローラーだけはこまめに見ておく、というのが現実的なバランスかなと思っています。ラインローラーとドラグのチェックを習慣にするだけで快適性が全然変わってくると思いますよ。
高木さんおすすめのアジングリール4選
※このページは『つり人 2026年5月号』に掲載した記事を再編集したものです。



