日本各地のみならず世界各地の魚を追いかけるペスカトーレ中西さんが、毎年足を運ぶのが琵琶湖。ホンモロコやタナゴを本命としてねらい、さまざまな淡水の小魚たちが出迎えてくれた。

写真と文◎月刊つり人編集部
1946年創刊の雑誌「月刊つり人」を始め、数々の釣りに関するコンテンツを作成してきたつり人社の編集部。
琵琶湖の固有種ホンモロコの魅力
日本最古にして最大の湖、琵琶湖。400万年前に原型ができ、現在の形となってから40万年経っているとされている。その長い時間の中で独自の進化を遂げた固有種も多い。ビワコオオナマズやビワマス、ホンモロコなどがそれにあたり、中でもホンモロコは琵琶湖を代表する味覚として人気が高い。春になると定番釣り場である長命寺川や大同川に大勢集まってサオをだす光景は、琵琶湖の風物詩ともなっている。
そんなホンモロコ釣りを毎年の楽しみとしているのが、ペスカトーレ中西さん。タナゴからイワナまで日本各地のあるゆる淡水魚を求めて釣り歩き、最近は韓国でもタナゴ釣りを楽しんでいるという根っからの魚好きだ。
中西さんが琵琶湖を訪れたのは4月末。ホンモロコ釣りは3月下旬から4月下旬がベストシーズンだそうだが、この日は田圃の代掻きが始まっており、加えて数日前には大雨も降った。本命ポイントの長命寺川を覗いたが、濁りがひどく断念。大同川へ移動すると、濁ってはいるもののどうにか釣りになりそうだ。しかし、ベストシーズンともなれば釣り人が立ち並んでいるはずだが、ホンモロコねらいの釣り人は誰もいない。
「大同川が好調なタイミングはもう少し前なんですよね。それでもまったく釣れなくなるわけではないのでひとまずサオをだしてみましょう」
ホンモロコはブッコミ仕掛けでねらう
ホンモロコはドウヅキ仕掛けのブッコミでねらうのが一般的だが、最近はウキ釣りで楽しむ人も増えてきているそうだ。中西さんは市販のホンモロコ仕掛けやワカサギ仕掛けを使ったブッコミでねらっている。ハリは袖バリが一般的だが、キツネ系に替えるとバラシが減ることも多いそうだ。
エサはアカムシの1匹もしくは2匹掛け。この日は濁りに少しでも対抗すべく、アカムシを2匹掛けしてアピール力を重視した。
ロッドを2本準備して、沖と手前に投げ込んだらイトを張り、ドラグを緩めて置きザオにして待つ。使っているロッドは「フエルコ」のULクラスでソリッドティップ搭載のMG600R-5SとLクラスのMG700R-5S。柔軟なソリッドティップのほうが掛かりはよい。
定番ゲストのニゴロブナがファーストヒット
早速サオ先がグッグッと引き込まれた。中西さんがアワセを入れるとフッキング成功。ホンモロコらしからぬ重みを感じながら寄せてきたのはニゴロブナ。この魚も琵琶湖の固有種であり、鮒ずしの材料にもなっている。ホンモロコ釣りでは定番のゲストで大型がかかると仕掛けが絡んでしまい大変になることもしばしばあるそうだ。
「ニゴロブナはフナにしてはやや細身なのに、顔はまるっとしていて可愛らしいところが大好きなんです」と中西さん。愛でるように写真を撮り、優しくリリースしていた。
スゴモロコの猛攻でホンモロコ釣りを断念
同じポイントへ投げ込むと今度は穂先が小さく揺れるようなアタリ。何回合わせても掛からなかったが、投げ込むたびにアタリがあり、ようやく掛けられたのは極小のスゴモロコ。こちらも琵琶湖の固有種だ。
どうやらスゴモロコの群れがたくさんいるようで小さなアタリはひっきりなし。中西さんによれば、スゴモロコとホンモロコの群れは混じることもあるそう。ホンモロコが釣れてくれることを期待していたが、スゴモロコばかり。仕掛けの投入地点をずらすとアタリは少しだけ落ち着くが、またすぐにスゴモロコが掛かり出す。
「スゴモロコはこれだけ釣れるのにホンモロコが混じらないということは、どうやら大同川での釣期は終わってしまったのかもしれません。ゴールデンウィークの頃は水温も上がっていい時期なんですが、代掻きのタイミングでもあって、釣りが成立するかは紙一重なんですよ。今日は加えて雨の濁りもあるので釣りができる場所がかなり限られています。ホンモロコは諦めて濁りの影響が少ない水路を探してタナゴをねらいましょうか」
水路に移動して多彩な日本淡水魚たちをねらう
車で大きく移動しながら見つけた水路の流れは、濁りが薄くて底が見える程度。キラッとタナゴがヒラを打つ姿もこれなら見つけられそうだ。
「アブラボテやヤリタナゴが釣れたらいいですね」と中西さん。
ここでは2.1mのノベザオNB210を使い、ウキ釣りでねらっていく。ミチイトは0.4号、ハリはタナゴバリの三腰。ウキはシモリバランスに調整している。エサはアカムシのほかに黄身練りも用意。中西さんの黄身練りレシピはホットケーキミックスと卵の黄身を混ぜただけのシンプルなものだ。色と匂いでアピールしたいときに黄身練りを使うという。
テンポよく探っていくと
中西さんは速いテンポで次々に打ち返して手早く探っていく。ひとつのポイントでも細かく投入地点をずらしてトレースコースを刻んでいた。
反転流で流れが緩んだポイントに入れるとウキがスッと動いたが、釣れたのはスゴモロコ。「ここでもスゴちゃんですか~~」と中西さんは苦笑い。
それでも少しずつ釣り上がっていくとカワムツ、オイカワ、タモロコ、モツゴ、ウキゴリといろいろな魚種が釣れ始めた。
本命のアブラボテをついにキャッチ
そしてついに本命のアブラボテが水面を割った。小さめのメスだ。
「流れの中に入れたらすぐ来ました。このタナゴはゴマが入っているのが特徴なんですよ。次はオスが釣りたいです」
ゴマというのは体表の黒点のことで、その正体は寄生虫である。同じポイントですぐにアブラボテのメスが釣れたが、それ以降続かない。
「一旦ポイントを休ませます。次のポイントに進みましょう」と言って、次々にポイントを探っていったが、釣れるのはカワムツとスゴモロコばかり。
先ほどのポイントに戻ってくるとすぐにアブラボテのメスが釣れた。どうやらこのポイントだけが好調のようだ。投入点がズレるとスゴモロコの猛攻にあうので、丁寧に同じ流れを通すと、今度は一回り大きく黒いオスのアブラボテが宙を舞った。
「サイズとしては中くらいですね。アブラボテらしいコロコロした体型で可愛らしくていい魚です。今日はひどい濁りで厳しい状況でしたが、8種類も釣れたので楽しかったです」
その後も同じポイントを探り続けたがヤリタナゴは姿を現わさず、日暮れ近くまで中西さんは小魚たちと戯れていた。
※このページは『つり人 2026年7月号』に掲載した記事を再編集したものです。

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