現代のニーズに合わせて2023年にリニューアルされたリボルテージ。ラインナップにひときわ目立つロングロッドがあった。ジャッカルRevoltage RVⅡ-S78ML+だ。先端技術で作られたそのロッドは、むしろ古くからのテクニックであるジグヘッドスイミングに最適化された1本だということがわかってきた。

文◎Basser編集部
写真提供◎ジャッカル
1986年に日本初のバスフィッシング専門誌として創刊された『Basser』の編集部。バスフィッシングのテクニックだけでなく、日本や本場アメリカのトーナメントシーン、ムーブメントを伝え続けてきた。
突然の配属から生まれた異色のロングロッド
リボルテージシリーズに異色のロッドがある。7ft8inのスピニングロッドだ。公式ホームページではプロスタッフの推薦や紹介文もなく、ごく当たり前のようにラインナップに並んでいる。うっかり見過ごしそうだが、思わず2度見される類のロッドだ。
気になったので、開発の担当者に話を聞くことにした。それがジャッカル社の新保匠太さんである。
新保さんがジャッカルのロッド開発担当になったのは2020年のこと。ちょうどリボルテージをリニューアルする企画が立ち上がったタイミングだ。ロッド開発は未経験の新保さんにさっそくひとつのリクエストが与えられた。「自分の好きなサオを1本つくってみなさい」というものだ。
おかっぱりのスピニングはこの1本で十分、というロッドを目指した。レングスが長い分ラインメンディングも簡単で、I字系にもピッタリ。琵琶湖や霞ヶ浦水系といった広大なフィールド、またリザーバーなどのオープンエリアも得意とする。その他、キャロライナリグやトップウォータープラグ、高比重系ワームも快適に使用できる。
開発担当・新保匠太さんとジグヘッドスイミングの出会い
新保「そこで思いついたのが、ジグヘッドスイミングに最適なこのS-78ML+です。話は遡りますが、自分はジャッカル入社から5年くらいは営業部で、主に中京エリアの釣具店を担当していました。そこで出会ったスゴ腕のロコの方が、営業で会う度にジグヘッドスイミングでとんでもない釣果を出していて、これはやらなければと。それがこのテクニックを始めたキッカケです」
ミドストとは少し違う「フワ系ジグヘッドスイミング」とは
4~5inのスティックベイトをフワフワと中層でアクションしながらゆっくりとスイミングさせる。ミドストのようで、少し違う。ワームをロールさせることを目的としていないからだ。いわゆる名古屋釣法にあたるテクニックだが、新保さんは「そう名乗るには恐れ多いです」という。ここでは「フワ系ジグヘッドスイミング」としておこう。
半年かかってようやく手にした1尾
新保さんはこの釣りを知ってから毎日のように試すようになった。
まったく釣れなかった。
ある日ようやく釣れたのは、ニゴイだった。でも自分のルアーはエサと認識してもらえたんだと自信をもつことができた。半年かかって、ようやくバスを手にした。
3年越しで完成させたベストな1本
当時、ロッド制作については右も左もわからなかった新保さん。S-78ML+が完成するには3年を要した。地道な過程だった。2本のプロトロッドを1年通して使い続けるという方法を取ったのだ。それを3回、つまり3シーズン繰り返す。同時期、同条件で使い比べてみないと違いがわからないと考えたからだった。
グリップ部とダブルロックナットに込めた工夫
新保「時間をかければよいわけではありません。ただ、当時の僕にはそうするほかなかったんです。おかげで得るものもたくさんありました。たとえばグリップ部です。雪の日にモコモコのアウターを着たり、ウェーダーの上からフローティングベストを着たりすると、服にグリップエンドがひっかかって邪魔になるんです。かといってグリップが短すぎるとキャストに難がある。そのあたりも煮詰めました。
それから、こんなこともありました。長期にわたってテストしていると良い日もあるもので、50cmアップが1時間のうちに4匹くらい釣れたことがあったんです。その何匹目かのとき、ファイト中リールが外れかけてめちゃめちゃ焦ったんですよ。大型とファイトしているとロッドを強く握りこむので、知らず知らずのうちにリールのロックナットが緩んでいたんですね。そこで、リボルテージシリーズでは唯一このロッドだけにダブルロックナットを採用しています」
7ft8inというレングスに行き着いた理由
7ft8inというレングスもオールシーズンを通してテストしなければ出ない答えだったかもしれない。
新保さんは7ft2in・4inと短いプロトも作っていた。キャストのブレやコントロールを考慮してだ。けれども実際に使うと、長さのメリットを感じることの方が多いことに気が付いた。
新保「このロッドはネコリグも得意なのですが、ブレイクがあって岩がゴロゴロ沈んでいるような場所でやっているとどうしてもスタックしてしまう。そのときロッドが長いと外しやすいですね。冬の減水時に地形の引っ掛かりやすいポイントが変わっても、この長さがあれば対応できます。
ロッドが長いほどジグヘッドスイミングは操作しやすい
それからジグヘッドスイミングの話をすると、ロッドが長い方がアクションさせやすいんです。ルアーを『動かそう』という意識ではなく、ラインのたるみをフワフワとシェイクするイメージ。ロッドの頂点から水面までのイトがより長いほうが、やりやすいですね」
また、沖の表層にベイトがたまっている場合も、ロッドの長さは有利だ。遠投してから表層でルアーをアクションさせるのに、ティップの打点が高い方がやりやすいからだ。
キャストもサオが長いほど飛ぶが、ブレは大きくなりがちである。その点、「TORAYCA T1100G」の採用されたブランクはティップの振動収束が速く、良い塩梅となった。ブレのない短いロッドの100%フルキャストより、少ない力で遠投できるロングロッドの方が精度も高い。おまけに疲れも軽減できるのだという。
テンパウンダーをバラさないロッド
新保さんがジグヘッドスイミングを好むのは、とにかく大きなバスが釣れるからだ。
このロッドにも、ジグヘッドの操作性と同じくらい、デカバスがかかった際のバレにくさを追求した。
荷重に追従するレギュラーテーパーがバラシを減らす
新保「荷重に追従してくれるレギュラーテーパーにしています。というのも、一部で急に硬くなるアクションのロッドだと、ラインテンションが急激に抜けてしまうからです。たとえば魚の突っ込みに耐えているときに、急に魚が止まった場合。それから魚がエラ洗いした場合。いずれも、テンションが抜けて糸フケが出やすいです。それがバラしの原因になってしまいます。それに、しっかり魚の荷重に対して追従するロッドの方が魚も暴れにくいです」
ネコリグやI字系まで守備範囲は広い
……というわけで、この不思議なスペックのロングロッドは、ジグヘッドスイミングの奥深さに魅了されたひとりのアングラーによって産み落とされたことがわかった。またこのロッドはネコリグやI字、ミノーと幅広いルアーを気持ちよく扱えるようになっている。これまでおかっぱりで一度もルアーを通したことのない、また通そうとも思っていなかった沖や対岸のピンスポットを、ねらい撃ちしてみたい。
※このページは『Basser 2026年8月号』に掲載した記事を再編集したものです。


