ブルッと来た瞬間にアワセてはいけない──。梅雨イサキのベストシーズンを迎えた南房総・洲崎沖。年間釣行150~200日を誇る名手・三石忍さんが、指示ダナの管理からダブル・トリプルをねらう連掛けのコツまでを解説する。手返しを支えた話題の進化型エサ「ハイブリッドクロス」の実力にも注目だ。

解説◎三石忍
協力◎マルキユー
年間釣行日数は150~200日。タチウオ、フグ、ヒラメ、カワハギなど海の船釣り全般が得意。入門者へのアドバイスにも定評があり、人気と実力を兼ね備える。
目次
梅雨イサキのベストシーズン到来! 洲崎沖のイサキ釣りへ
5月の大型連休明け、三石さんがやって来たのは南房総(館山市洲崎)の「早川丸」。ねらいは早くも好釣果が伝えられているイサキだ。東京湾口の千葉県側に位置し、黒潮の影響も受ける洲崎の周辺はイサキ釣りのメッカ。イサキは潮通しのよい岩礁帯を好み、5~8月の産卵期に絡んで各地で釣りやすくなる。“梅雨イサキ”とも呼ばれるベストシーズンだ。
手返しをよくする釣りの準備
出船は朝5時。4時までに県道沿いにある船宿で受付を済ませたら、近くの洲崎栄ノ浦港に移動して乗船準備を済ませる。遅刻は厳禁だが、釣り座は予約順なので早く行って場所取りをする必要はない。
洲崎のイサキ釣りはライトタックルのコマセ釣り。ライトゲームタックル、アミコマセ用の60号のプラビシ(以下、ビシ)、船イサキ用3本バリ仕掛けの組み合わせが基本だ。エサはビシに詰めるアミとハリに付けるイカを小さく切ったものが船で配られるが、この日はいろいろな釣りで効果も上々の『ハイブリッドクロス』を付けエサに用意した。
タナ管理と仕掛けの扱いが釣果を左右する
イサキ釣りで大切なのは、まずは指示ダナを正確に釣ること。イサキのアタリは誰でもわかるほど明確だが、タナを外すと驚くほど反応が得られない。自分の釣っているタナをしっかり管理しながら釣ることが大切だ。そして長い仕掛けをトラブルなく扱うことで手返しがよくなる。仕掛けは全長3.5mの3本バリ仕掛けが標準。ハリスは細いと食いがよくなるが、切れるリスクも高まるので、2号、1.75号、1.5号から状況に応じて選ぶ。そのうえでイサキは船上でよく暴れるため、釣り中を通じて仕掛けを絡めず手返しをよくすることが数を伸ばすコツになる。フック型のハリ外しもあるほうが便利だ。
釣り座のセッティングとビシの準備
「ロッドホルダーはコマセバケツの風上側(船首側)にセットします。ビシはバケツに入れ、仕掛けは船の縁にマグネットが貼ってあるので、風下側に伸ばすようにその上にハリを置きます。アミはパンパンに詰めすぎるとよくないので8分目でビシに詰め、ビシの上の窓は半分開け、下の隙間はすべて閉じる状態でスタートするといいでしょう。付けエサはハリにウイリーが付いている場合もすべてのハリに付けましょう」と三石さん。
釣り方は、ロッドを手に持ったらビシを海中に入れる。マグネットに乗せたハリはそのまま順に海中に入るので、クラッチを切って仕掛けを下ろしていく。この時、テンビンに仕掛けが絡んでいないか目で確認するとよい。その後はタナを正確に把握するため、イト出し量はリールのカウンターでなくミチイトで把握する。サオを構えてからは、バケツより風下側に移動して釣りをするとシャクリの邪魔にならない。
指示ダナ遵守とコマセワークでアタリを出す
定刻に出港すると、さっそく早川丸若船長の早川元樹さんから「イサキはすぐに釣り開始です。準備しておいてくださいね」とアナウンスが入った。この日の早川丸は若船長と大船長の2艘ともイサキねらいで人気のほどがうかがえる。
釣り方はビシアジ釣りなど他のコマセ釣りと同じ。指示ダナより仕掛け分(約3m)ビシを落としたら、仕掛けが落ち着くのを数秒待ち、そこからは連続的にシャクリを行なってアミを海中に撒きつつ指示ダナまでビシを持ち上げる。ビシが指示ダナに来たらアタリを待つ。
アタリが出てからの連掛けテクニック
イサキのアタリはブルブルッと明快に手に伝わる。ただ、そこで強くアワセを入れたりすると意外なほどハリに掛からない。「ブルッと来たら、仕掛けをそこでステイさせて次の強いアタリを待ちましょう。この操作が雑だと意外なほど釣れません」と三石さん。
そして、本アタリが出てしっかり魚が乗ったあとは、残りの2本のハリにも魚を付ける連掛けをねらう。「連掛けをするための基本的なコツは、海中のコマセが途中で切れない状態にしておくこと。そのためにはシャクリの段階でコマセのある場所にムラを作らないことを意識します。そのうえで、1尾が掛かったらしばらくステイして、そこからはゆっくり手でリールを巻きながら別のハリにも魚が食いつかないかようすをみましょう。時には巻き上げるだけでなくゆっくり下げてみるのも有効です」「ダブルはだいたいねらえます。トリプルは魚の活性が高くないと簡単には出ない印象ですね。そのあたりは日並にもよるので、コマセを振り出す量や間隔も自分なりに変えてみて、より多くのアタリを出すことを楽しんでください」と三石さん。
この日も好調は続いているようで、最初の流しからさっそくイサキが顔を見せてくれた。
新エサ「ハイブリッドクロス」は加工も自在!
その後、船は午前中にかけて館山湾内の水深40~20mのポイントを数ヵ所移動。そのつど、指示ダナは22m、25m、18m、10mと変わったが、新しい流しごとに順当に反応があり、後半は釣れるイサキのアベレージサイズも30cmを超えて良型になっていった。このサイズになるとダブルになっただけでもかなりの重量感があって面白い。
そして、釣り方や魚の活性のほかに、今回の釣りで三石さんが好釣果を得るもう一つの要因となったのが新しい付けエサ(食わせエサ)だった。
ハイブリッドクロスの特徴と使い方
今年のフィッシングショーで初公開された『ハイブリッドクロス』は、オキアミやイワシなどの生素材をミンチ状にして、ハリにしっかり残るエサ持ち性能を高める素材とハイブリッドさせた素材と技術の融合進化型釣りエサ。今回の釣りでは、「有頭エビタイプ(M)のF10」と「同F15」(F値は硬さを表わしている)の2つをハリに刺す付けエサに使った。
詳しい紹介は別項のとおりだが、実際に使ったものの軟らかさは「しっかりとしたチクワ」といった感じ。ただしハリからは想像以上に外れない。それを細長くカットしてハリに刺すとイサキの食いつきもよく、非常に手返しよく釣りができた。さらに後半はタコベイトのように大きく切り出したものを一番先端のハリに試しに刺してみて、それで実際に良型のイサキが釣れるといった場面もあった。
ハイブリッドクロスの可能性と釣果
「どんな大きさでも使えるし、形もハサミでカットしたりして自在にアレンジできる。それでいてハリ外れしにくくエサ持ちがとてもいい。アイデアしだいでいろんな釣りにも使えるワクワク感がこのハイブリッドクロスの一番の特徴ですね!」と三石さん。
釣りは沖上がりの11時を前に早くも充分な数がクーラーに入り、トリプルヒットも達成したところで気持ちよく納竿。南房総の船宿では「1人上限50尾まで」のバッグリミットが自主ルールとして運用されているので資源保護のために協力したい。
上品な白身にまんべんなく脂が乗ったイサキは、刺し身、焼き魚、煮魚とどんな料理にしても美味しい。さらにこれからの時期は白子や真子も味わえるので、注目の新エサも試しながら、ぜひ旬の釣りを楽しんでみてはいかがだろう。
※このページは『つり人 2026年7月号』に掲載した記事を再編集したものです。



