エリアトラウトにおけるクランクベイトは、シビアなレンジコントロールを必要とせず、イージーに遊べるのが魅力だ。 そして、トップからボトムまで多様な持ち駒が揃うと、その戦略性は一気に高まり、断然面白くなってくる。 今回は世界大会個人準優勝の実績を持つエキスパート・鈴木将人さんに、ルアーごとの使い分けや、レンジサーチ術を聞いた。

解説◎鈴木将人
写真と文◎月刊つり人編集部
神奈川県出身で滋賀県在住。3年前からジャッカル「ティモン」に所属しルアー開発に携わる。年間のエリア釣行日は150日以上。夫婦でトーナメントを楽しみ、24年度はブルガリアで行なわれた第4回トラウトエリアワールドチャンピオンシップにチームジャパンのひとりとして参戦し個人準優勝を果たす。2024トラウトキング選手権大会エキスパートシリーズ第3戦3位入賞など上位入賞多数。
クランクベイトは釣果を出しやすいイージーなルアー
エリアトラウトでスプーンと双璧をなすルアーがクランクである。スプーンに比べ定速でレンジをキープしやすく誰でも釣果を出しやすい。
「ビギナーやお子さんに釣らせるなら、まずクランクからスタートするといいです。製品によって得意なレンジがあり個性もさまざま。各ルアーの“出しどころ”が分かるとより面白くなってきます」
そう話すのは「シャイン鈴木」の愛称で親しまれるエリアエキスパート、鈴木将人さんだ。エリア用クランクは形状が多彩である。バスルアーによく見られる丸型が主力だが、リップが背中側に付いたオーバーリップや「へ」の字型のニョロ系もクランクにカテゴライズされる。またミノーと名付けられたモデルでもクランクに似た動きをするルアーもあり、ここではそんな「クランク界隈」のルアーを使った鈴木さんのローテ術を紹介していく。
鈴木さんが訪れたのは、滋賀県高島市にある「フィッシングパーク高島の泉」。豊富な湧水を利用して夏も冬も水温が安定しているポンドはシーズンを通じて魚の活性は高い。ニジマスのほかサクラマスやイトウも泳ぐ。3つのポンドのうち、鈴木さんは第3ポンドのインレット側に釣り座を構えた。
釣り場ガイド:フィッシングパーク高島の泉
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3つのポンドがあり、自家養殖したニジマスとサクラマスが大量放流されている。湧水の効果で水温が安定し周年よく釣れる。
- 公式サイト: https://www.takashimanoizumi.com/
- 営業時間: 10~2月 7:00~17:00 / 3~9月 7:00~17:30
- 料金(9時間): 男性5400円、女性・中学生4200円、小学生3000円
(6時間、3時間券もあり) - 住所: 滋賀県高島市新旭町藁園2250
サーチの軸となる5つのクランクベイトとタックル
鈴木さんがサーチの軸として使用する5つのルアーと、それぞれの推奨タックルを紹介しよう。
鈴木さんのタックル
鈴木さんが用意したロッドはビギナーや中級者に使ってほしいというジャッカル「アナザーティーコネクション」の5本。リールはシマノ「ステラ」や「ヴァンキッシュ」。2000 番が4本にセットされ、小型クランクでセンシティブな釣りをするロッドには「ヴァンキッシュ」1000SSS をセットする。
フッテンFS(シンキングジョイント)
表層から探り、カウントダウンしながら反応レンジや魚との距離をつかむ。ロッド「AT2-S61L+E(1.86m)」は2~4gの中重量級のクランクにマッチする。ラインはエステル0.35号。
ブリブリミノーHFラトル
0~40cmの表層を素早くサーチできる。ワイドに動きかつガラスラトルの音によってアピール度が高い。ロッド「AT3-S60L-E(1.83m)」は1.4~2gの小型中型プラグにマッチ。ラインはエステル0.3号。
フラパニ
水面下80cmまで潜行。フラットサイドの扁平ボディーにより明滅効果で魚を誘う。ガラスラトル入り。ロッド「AT3-S60UL-E(1.83m)」は2gまでのプラグに合う。乗せ重視の調子。ラインはエステル0.3号。
パニクラDR
ボトムノックで誘う。2mの水深まで潜行するボトムサーチのためのクランク。ロッド「AT3-S60L(1.83m)」は3g 超のフルサイズ系クランクにマッチ。ボトムのアタリを弾かず乗せやすくするためにラインはナイロン2.5 ポンドのセッティング。
ちびパニクラSR
控えめなアクションの食わせ特化型クランク。水面下40cmまでを引きやすい。ロッド「AT2-S60UL-E(1.83m)」は小型クランクや0.4~ 1.6gのスプーンにもマッチ。リールはこのタック
ルのみ1000SSS。ラインはエステル0.25号。
| ルアー名 | 推奨タックル |
|---|---|
| フッテンFS | ロッド: AT2-S61L+E ライン: エステル0.35号 |
| ブリブリミノーHFラトル | ロッド: AT3-S60L-E ライン: エステル0.3号 |
| フラパニ | ロッド: AT3-S60UL-E ライン: エステル0.3号 |
| パニクラDR | ロッド: AT3-S60L ライン: ナイロン2.5ポンド |
| ちびパニクラSR | ロッド: AT2-S60UL-E ライン: エステル0.25号 |
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エリアトラウトのクランクベイト使い分け術
サーチの第一歩は反応の多いレンジを見極めることだ。そのためにはシンキングタイプを使ってカウントダウンでレンジを刻みながら探ると効率的。さらには飛距離を出せるルアーのほうがより広範囲を引けて群れがかたまる位置も把握しやすくなる。
表層からレンジを探る
釣りを始める前に鈴木さんは上記の5つのルアーを主軸に組み立てると語り、初手にはシンキングの「フッテンFS」をセットした。“ぶっ飛び巻き上げウネウネ系”と謳われるリップが背中側に付いたジョイントプラグだ。カラーは視認性が高いカドニキハーフグロー。よく飛んでレンジをキープしやすく、速く巻けば浮上しやすい。追尾して食う「ついばみバイト」も取りやすいルアーである。
「まずは表層からゆっくりと巻いてどれくらいサワリがあるか、魚の距離の詰め方を見ていきます」
対岸近くまでキャストして表層を引いてみると興味を示す魚はいるがヒットしない。2投目で着水から2秒のカウントで巻き始めると食った!繰り返すと2尾、3尾と同レンジでたて続けにキャッチする。
「2カウントなので探っているのは水面下30cm程度。今度は4秒沈めてから巻いてみます」
すると多少のサワリはあるものの乗らない。2投目も同じ。今度は思い切ってボトムまで落として底層を巻く。浮き上がりやすいルアーなので途中で底を取り直して巻くが当たらない。
「下のレンジに行くほど当たりません。もう一度着水から2秒のレンジを探ってみましょう」
そう言って試すと予想どおりにキャッチ。
見極めたレンジをルアーローテしながら攻める
12月上旬の暖かい朝なので表層に高活性な魚が群れているのだろう。ここで表層を引きやすいフローティングの「ブリブリミノーHFラトル」に交換した。ミノーと名付けられているがクランクに近いプラグだ。波動が強めでラトル入りなのでアピール度は高い。
数投して表層と水面直下を引いてみるも当たらない。続いて「フラパニ」にチェンジした。フラットサイドボディーが特徴で丸型とは異なる波動で誘えるクランク。こちらもラトル入りで高活性魚に効く。
クランクは基本的にただ巻きで使えばよいが、鈴木さんは時おりチョンと誘いをかけて巻く。こうしたイレギュラーなアクションに興味を示す魚もいるのだ。水面下30cmほどのレンジを引くもサワリはあるが乗ってこない。
サイズダウンも効果的
今度は音の検証である。ラトル音の有無が食い気に影響しているのかを試すべく「ブリブリミノー」のラトルなしで探る。結果はサワリが出たが乗ってはくれない。
「強いクランクは食いきらないですね。小粒で動きの弱いクランクにしてみましょう」
と言って全長25mmの「ちびパニクラSR」に交換。これでようやく魚が乗った。しかも無限ヒットになるのでは?と思わせる連発劇を見せてくれた。
「トーナメントでは最終局面で使うタイプのルアーです。これを初手から使うと手詰まりになります。最後を決めて強いルアーからヒットをつなぐとローテの深みが増します。どれだけよく釣れるクランクであっても、そのうち魚がスレてきますからね」
低活性ならニョロ系も
もうひとつ最終局面で使う食わせ特化型がニョロ系だ。交換したのは「ペピーノ」。デッドスローに巻いてもフラフラと動き、低活性魚の食い気を誘発する。しかし「ちびパニクラ」ほどの好反応は示さない。そこで、正面のトレースラインではなく、表層に魚が群れなす流れ込み付近を探るとヒット!
トップウォーターの使い分け
「ルアーの動きがスローすぎても反応が悪そうです。表層に群れが濃いのでトップを試してみましょう」
そう言って「ミッツドライ・ラトル2Hook」に交換。トップ専用に設計されたクランクで止めて食わせるのがミソである。着水後3秒ほどは動かさず長めにルアーを見せてから、グリグリと動かしてはポーズする。アピールが足りないと思えば動かす距離を長くし、すぐに魚が寄ってくるならポーズをこまめに入れる。そのうちパシュッと水面が割れて食ってきた。続く2、3投でも連発。クリアポンドなので魚の出る瞬間もよく分かり、見ているだけでも楽しい。
ボトムノックでの釣りも覚えておこう
ポンドの立ち位置によって反応のよいレンジやルアーは変わる。インレット側は浅くて流れもあり、表層でヒットする魚も多いそうだ。一方で流れの吐き出し口となるアウトレット側は基本的に深い。ボトム中心の釣りがハマりやすい傾向がある。このように立ち位置によって変わる展開を鈴木さんは楽しむべく、第3ポンドから第1ポンドに移動した。
表層付近はアタリが遠い。レンジを下げ「パニクラDR」のボトムノックでようやくアタリが出始めた。ボトムノックでアタリが多いのは沖めよりは手前のブレイク付近。カケアガリに追い詰めるようにして捕食する魚が多いのだろう。
「ボトムノックは巻きの速度がばっちり合うと、連発ヒットに持ち込めます。追いやすいスピード感をつかむには、手前まで集中して巻き、魚のチェイスを観察して食いやすいスピード域を見つけてください」
なお、速い動きに食ってくる魚は活性が高い。ガツンと手応えのよいバイトが出る。しかしついばむようなバイトも多い。これを乗せるにはラインをナイロンにするとキャッチ率は格段に高まる。
土煙で魚を寄せる「耕し」メソッド
ボトムには「耕し(たがやし)」と呼ばれるメソッドがある。ボトムノックで土煙を立てて魚を寄せ、連発に導くパターンである。耕し効果が出てきたのか鈴木さんはボトムノックで釣果を重ねた。
ボトムねらいのクランクはDR(ディープランナー)のモデルを使う。「パニクラ」にはDDRというより底を這いやすいボトムノック特化型もある。色使いも大切で食わせの最終系2色はタッキーブラウンとエンドパンプキン。ハイアピールなのがレッドグロー。
今度はあらためて表層を探るべく「ブリブリミノーHFラトル」を遠投した。水面直下でウネウネと動く強いルアーだが、引き波を立てて何度かトレースするうちに表層に興味を示す魚が増える。
「表層を耕していく感じですね」
と話していると下から黒い影が浮上して食らいついた。この日一番の大型でジージーとドラグを鳴らす。鈴木さんはじっくりと強い引きを堪能してからネットイン。ずっしりと重い魚を手にして目尻が下がった。
「エリアトラウトは数釣りにズブズブと沼るのもよし、大型にねらいを絞って掛けにいくのも楽しい。多様なクランクを持っていれば、タイプの異なる魚に合わせた釣りが展開できます。釣りがどんどん深まって大好きになりますよ」
クランク縛りで満喫する1日。そんな楽しみ方もよいかもしれない。
※このページは『つり人 2026年2月号』に掲載した記事を再編集したものです。


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