ルアーセレクト、ラインシステム、地形、立ち位置、連携──ロックショアで大型ヒラマサを獲るには、すべての要素が噛み合わなければならない。デュエル開発担当の西島宗幸さんが、2025年春に長崎・平戸で仕留めた16.5kgの過程を振り返り、その一投一投の判断を解説する。

レポート◎西島宗幸(デュエル開発担当)
長年ロックショアからヒラマサを追い続けるアングラーであり、デュエルのルアーやラインの開発に携わる。
目次
熱狂的だった2025年のロックショアヒラマサ
3月末から5月初旬にかけて、長崎の海は「春マサ」シーズンに突入する。ロックショアアングラーを魅了してやまないターゲット、ヒラマサ。特にこの時期は大型個体の回遊が多く、例年10kgオーバーが各地で上がるハイシーズンとして知られている。
しかし2025年の春は明らかに様相が違っていた。10kgクラスはもはや普通。そのサイズでは驚きも薄れてしまうほど、フィールドは異常な熱気に包まれていた。
20kgオーバーのキャッチが報じられたかと思えば、続いて30kgオーバーまで釣りあげられる状況だった。長年ロックショアからヒラマサをねらってきたが、これほどの当たり年は記憶にない。
そして現代は情報社会。SNSを開けば大型キャッチの投稿が連日のように流れてくる。その情報に触れたロックショアアングラーたちが、いてもたってもいられず磯へと足を運ぶ。そんな熱狂的なシーズンだった。
ロックショアでヒラマサをねらうための重要なポイント
ヒラマサをロックショアからねらううえで最も重要なのは場所選び。魚が回遊してくるかどうかはもちろんのこと、「掛けてから獲れる地形」であることが絶対条件になる。
加えて、可能ならば単独ではなく複数人での釣行を強く推奨したい。大型魚がヒットした際、単独でのランディングは極めて難易度が高いためだ。ギャフ入れひとつ取っても、パートナーの存在がキャッチ率を大きく左右する。
長崎県平戸・上阿値賀島の釣行を振り返る
2025年4月23日。この日はややシケ気味の海況だった。遠征して上五島に渡るか、それとも近場の平戸周辺で勝負するか悩んだが、連日大型の釣果が出ている上五島は釣り人が多く、ねらいの磯に上がれないリスクが高い。結果として、あえて近場の磯を選択した。
まだ夜明け前の暗い時間帯、上阿値賀島の西の瀬に到着。足場や波の状況を確認しつつ、慎重に準備を進める。
PE6号のメインタックルに加え、飛距離重視かつ小型ルアー用としてPE4号のサブタックルを用意。夜明けと同時に万全の状態でキャストできるよう整えていく。
夜明けと共にキャスト開始。朝の潮は下げ潮。このポイントは上げ潮が本命だが、朝マヅメは魚の活性が高いため、集中してキャストを繰り返す。しかし、数投、数十投と重ねても反応はない。海中にはベイトの気配こそ感じるものの、ボイルやナブラといった視覚的な変化は見られない。
やはり本命は上げ潮か。そう判断し、無駄な動きを極力抑えながら潮の変化を待った。
ルアーのサイズ感と、アピール力のバランスがカギを握る
そして迎えた潮止まりからの転流。上げ潮へと変わり、徐々に潮が利き始めたタイミングで、海のようすが明らかに変わった。ベイトがざわつき、生命感が一気に高まる。

ここで最初に選んだのは、アピール力に優れるダイビングペンシル。広範囲から魚を引き寄せる意図だ。
しかしチェイスはあるもののなかなかバイトしてこない。ルアーのすぐ後ろ、30cmほどの距離を保ったままついてくる。おそらく捕食しているのは7~8cm前後のキビナゴ。春に多いパターンだ。
そこでルアーサイズを落とし、小型のダイビングペンシルへと変更。しかし今度はチェイスすら消えてしまう。小さければいいわけではないのだと改めて実感。必要なのはサイズ感の一致だけでなく、適度なアピール力との両立なのだ。
そこで投入したのが、フラッシングと強い水押しで魚を呼び込み、水中に長く留まることで確実にフッキングへ持ち込めるシンキングタイプの「ハードコア ウォータードライブ150S」。
そして、その1投目だった。ジャークを入れ、テンションを抜いた直後のストップモーション時に、水中で明確なバイトが出た。ねらいどおりの展開。即座にフッキングを入れる。
PE4号タックルでの大型ヒラマサとのファイト
水面を割った水しぶきと力強いファーストランから良型を確信。この時に使用していたのは飛距離を優先して持ち替えたPE4号タックル。本来であれば6号で強引に寄せたい場面だが、このセッティングで無理は禁物。魚が本気で走ればラインブレイクのリスクが高まる。
そこでファイトスタイルを即座に切り替える。ドラグをやや緩め、プレッシャーを掛けつつも走らせるいなしのファイトに。
このポイントは足もとから充分な水深があり、魚に主導権を握られても耐えられる地形だったため、魚が突っ込めば出す。止まれば巻く。その緩急を繰り返しながら、少しずつ距離を詰めていく。
やがて海面下に魚影が見えた。
デカい!
ひと目で10kgを優に超えていることが分かるサイズ。しかもフックはしっかりと口の中に収まっており、外掛かりではない。身切れのリスクも低い理想的なフッキングだ。
ランディング直前は油断禁物
ランディング直前、最も警戒すべきは横走りによるラインブレイク。沈み瀬に触れれば一瞬で終わる。そのため、このタイミングでドラグをやや締め、主導権を渡さないようコントロール。
最後は同行者が冷静にギャフを打ち込み、見事ランディング成功。地形、立ち位置、連携のすべてが噛み合った一尾だった。
チャンスを逃さないためのラインシステムとルアー選択
ヒラマサねらいの釣りは決して簡単ではない。一日中投げ続けても、バイトはわずか1~2回ということも珍しくない。その貴重なチャンスを確実にモノにするためには細部へのこだわりが不可欠である。
ルアー選択はもちろん、フックポイントのチェック。そして何より重要なのがラインシステムへの信頼性。PEラインやリーダーにわずかな傷でもあれば、必ず組み直すべきだ。不安を抱えたままのファイトでは、思い切ったやり取りができず、結果としてバラシにつながる。
今回使用したのは、私自身、絶大な信頼を置いている「モンスターゲーム9」と「カーボナイロンリーダー」の組み合わせ。結束はFGノット。強度、しなやかさ、トラブルレス性能、どれを取っても安心してファイトに集中できるセッティングだ。
そして今回キーとなったルアーのウォータードライブは、荒れた海況や横風が強い状況で特に威力を発揮する。トップウォータープラグでは水面を滑ってしまう場面でも、確実に水中でアクションを維持できる。スローシンキング設計によりアクションエラーが少なく、ルアーが長く水中に留まることでミスバイトも軽減される。
さらに、体高のあるシルエットは、春にクロ(メジナ)などを捕食している大型ヒラマサにも強くアピールする。飛距離性能も申し分なく、広大なロックショアフィールドにおいて大きな武器となる。ぜひ使ってみてほしい。
一年の中でも特別な高揚感に包まれる春のロックショア。その一瞬のチャンスをものにするために、万全の準備と的確な判断、そして一投一投に集中して臨みたい。
※このページは『つり人 2026年6月号』に掲載した記事を再編集したものです。


