「チャンピオングリップ」といえばあの形状……と想像できますか? おそらく多くの人が誤解しているこの道具について、トップウォータープラッガーの聖地、うらしま堂渡辺つり具店の渡辺雄三さんに教えてもらいました。

文と写真◎Basser編集部
1986年に日本初のバスフィッシング専門誌として創刊された『Basser』の編集部。バスフィッシングのテクニックだけでなく、日本や本場アメリカのトーナメントシーン、ムーブメントを伝え続けてきた。
チャンピオングリップではなくチャンピオンハンドル
コレクターや識者はともあれ、「チャンピオングリップ」と聞いたときにぼんやりと想像するのは、「あの形状」である。しかし、それじゃあガングリップと何が違うのか? そもそもチャンピオングリップの何がよいのか? と問われると、答えに窮してしまう。
知っているようで、全然知らない「チャンピオングリップ」について学ぶべく、埼玉県の「うらしま堂渡辺つり具店」へお邪魔した。
するとさっそく第一の誤解が解けた。
グリップはコルク部分だけ、全体を指すなら「ハンドル」
渡辺「まず、チャンピオン『グリップ』というのは、文字通りこのコルクのグリップ部分だけ。全体を指すならチャンピオン『ハンドル』だね。
こういうシングルハンド(片手投げ)で使うタイプのオフセットハンドルは各社から出ているんですよ。そのうちアメリカのフェザーウエイト(Featherweight)社が打ち出したブランドの一つが『チャンピオンハンドル』だった。これが爆発的にヒットしたため、名前が一人歩きしてしまったというわけ」
なるほど。傷絆創膏のことをバンドエイドと言ってしまう現象に近いことが、釣り業界でも起こっていたわけである。
ちなみにオフセットハンドルじゃないと、当時日本へ輸入されはじめた丸型ベイトリール(5000C)はパーミングしにくい。非常に理にかなった設計なのだ。
ガングリップとの違いと、ブランクとの組み合わせを楽しむ
ということは、ガングリップとチャンピオングリップとの混同も解けてくる。
渡辺「オフセットハンドルのグリップ部分はいくつもパターンがある。代表的なのはガングリップ、なたグリップ、ストレートタイプかな。このグリップをハンドルブランクに差し込んでようやくハンドルが出来上がるんですね。だけど、このハンドルブランクもアルミ合金、マグネシウム、カーボンと素材はさまざま。お気に入りの組み合わせを見つける楽しみがあります」
オフセットハンドルの魅力
さて、それではどうして今なお「オフセットハンドル」タイプのロッドが根強く支持されているのか(お店には山のようなカスタムロッドのオーダーがあった)。その魅力について聞いてみた。
4ftのショートロッドはルアーの弾道を目で追える
渡辺「まず技術的な話をしますね。4ft台のショートロッドでオーバーヘッドキャストすると、弾道がライナーで低いから飛行中のルアーが目で追えるんです。すると、サミングしてルアーが落ちるところを調整できる。ねらった場所にルアーが飛ぶから純粋に楽しいよね。
なぜか僕には実釣取材の依頼がないんだけど(たまにはやりたいんですヨ)、一度取材をしてもらった際には『こんなにたくさん投げるんですか?』と驚かれましてね。少ないときでも最低800投はしてる。このシングルハンドならではの手返しの速さも魅力ですよね」

70歳を迎えた今だから見えてきた楽しみ方
そして70歳を迎えた今だからこそ見えてくる、オフセットハンドルの魅力もあるようだ。
渡辺「今は夏も暑いし、ずっと集中してサオを振り続けるっていうのは難しい。たいていは友人と3人でのんびり、ピクニックみたいな感じ。船上でコーヒーを淹れてカフェをしてみたり。でも、2時間だけは集中してやろうよっていう思想で釣りをしてるね。今は。グラスで多少重たいサオでも2時間なら集中できるから。
で、釣れたり釣れなかったりするんだけど、あとは3人でエロ話したりしてる(笑)。でも12ftのアルミボートで大人3人が横並びでおしゃべりしながら釣りをできるのって、スイングがコンパクトなシングルハンドのロッドならではだと思いますね。
あと、3人並んで釣りをすると、人が良くて一番キャストが上手な人が真ん中になるんだよね。この前なんか僕らのおしゃべりがあんまり面白くて盛り上がったものだから、近くで釣りしてたヘラブナ釣りのおじさんに、『頼むからそのままここで釣りしてくれ』って言われちゃってさ(笑)……」
渡辺さんのエピソードは尽きない。
けれども、そんな愉快なエピソードのひとつひとつにオフセットハンドルの魅力が少しずつ散りばめられている気がした。
カスタムロッドを作ってみたい!
少しでもカスタムロッドに興味が湧いたら、ぜひ自分だけの1本を作ってみませんか?工程はとても簡単。自分でデザインしたロッドでバスが釣れたら、きっと喜びもひとしおです。
1.ブランクを選ぶ

まずは渡辺さんに「普段どんな場所で(リザーバー?マッディシャロー?)、どんなふうに(オカッパリ?フローター?)、どんなルアーを(重め?軽め?)使って釣りをしているか」を相談しよう。的確な1本を選んでくれる。もちろん試投も可能。6ftをくださいといった人が最終的に5ftを選んだりする場合も往々にしてある。また、ブランクはお好みのカラーやデザインに塗装できる。
2.ガイドを選ぶ

ガイドの種類も豊富に取り揃えている。金属ガイドはステンやカーボロイ、セラミック系はハードロイやSicなどがある。ガイドの種類はいわずもがな、スレッド(ガイドを巻くイト)のカラーや巻き方まで指定できる。中には人工宝石のルビーでできたゴージャスなガイドも
3.ハンドルを選ぶ

最後に選ぶのがハンドルだ。ハンドルブランクとグリップもそれぞれで選ぶことができる。ぜひ贅沢に迷ってみてください
※このページは『Basser 2026年8月号』に掲載した記事を再編集したものです。



-2.jpg)