シャッド型という今までにないフォルムで目を引くO.S.P のチェスター。その性能を確かめるべく、月刊つり人編集部が埼玉県の入間川へ行き、実釣。このルアーの得意分野と意外な懐の深さが見えてきた。
シャッド型という今までにないフォルムで目を引くO.S.Pのチェスター。その性能を確かめるべく、月刊つり人編集部が埼玉県の入間川へ行き、実釣。このルアーの得意分野と意外な懐の深さが見えてきた。
編集部員アライ:バサーや釣り人オンラインを経て今年から月刊つり人編集部に配属。根っからのバサーだが、現在あらゆる釣りに挑戦中。社内でもルアーやタックルについてのこだわりや探求心が一番ある。今回は同じく編集部員のナガシマとともに、初めて入間川のアユルアー区間に訪れた。
写真と文◎編集部
シャッド型アユルアー「チェスター」の実力を試すべく入間川へ
OSPからリリースされたシャッド型アユルアー「チェスター」を持って編集部が向かったのは埼玉県の入間川。昨年からアユルアー区間が拡大され、「意外なほど釣れる」という評判もある川だ。上流域は渓流相、下流域は開けているため、さまざまなシチュエーションでルアーを試せると考えて選んだフィールドだったのだが……。
酷暑が続く7月上旬、現地に到着してみると川は減水しきっており、下流域はとてもアユが釣れそうな雰囲気ではなかった。そこで車で大きく上流へ移動し、入間川のアユルアー中心地とされる千歳橋に向かってみた。
川を覗くと水量は少ないものの流れはある。アユの群れも見えたのでサオをだしてみることに。アユルアーにはなかなか厳しいコンディションではあったものの、アライが1尾をキャッチ。これからが本番!というタイミングだったのだが、雲が厚くなり、ゴロゴロと鳴りだしたため撤収となった。とはいえ平瀬や大岩周り、淵やチャラ瀬などさまざまな流れでルアーを泳がせることができたので、帰りの車内で議論したいちアングラーとしての等身大の意見をお届けする。

OSP「チェスターSR/MR」
シャッド形状が特徴的なアユルアー。サイズは76mmと小型ながら、約9gと自重は充分あるため、玄人好みのベイトタックルでも扱いやすくなっている。泳ぎが破綻しにくいため、流れの筋の強弱や石の大小による変化にも気づきやすい。体高があるため、ヒラを打たせた後も泳ぎ出しが早い。キビキビとした軽快な泳ぎを出すべく、薄肉設計でも強度を維持できるハニカムボディを使用し、ウエイトには高比重タングステン玉を低重心に配置している。
・全長:76mm
・重さ:8.9g(SR)/ 9.0g(MR)
・有効レンジ:約30 ~ 80cm(SR)/ 約70 ~ 130cm(MR)
・付属品:カツイチ製チラシ針(1セット)
・カラー全8 色
・価格:1870 円(税込)

アクションに感じたOSPらしさ
- ナガシマ
- 最初の印象はどうでしたか?
- アライ
- バサーにとっては親近感のあるシャッドらしい大きなフォルムとアクションだと思ったよ。アユルアーの取材をしていると、ミノー系のものが多い中で、これはクランクベイト寄りのアクション。フラットな側面で水を押すようなイメージだよね
- ナガシマ
- バス釣りでのシャッド系のイメージはどんな感じですか?
- アライ
- 弱めのクランクって感じかな?アユルアーとしてはこのフォルムと動きがどういう意図なのか最初は掴めなかったけど、途中からこういうことかな?ってわかってきた
- ナガシマ
- 確かにブルブル感というかパタパタした動きが強くてクランクらしい動きも安定していましたね
- アライ
- シャッドよりも少し大ぶりなウォブンロールだと思ったけど、ブリッツとかOSPが出している他のクランクベイトと比べるとピッチが遅いと思ったんだよね。OSPってプラスチック製でもキビキビ動くクランクベイトを出して一世を風靡したメーカーだから、アユルアーもハイピッチで出そうと思えばできたはず。でもそこまでじゃないアクションだってことは、アユにはこのアクションがよかったんだろうね。そうは言っても、一般的なアユルアーと比べたら動きは大きくピッチは速めだと思う

流し方で変わった印象
- ナガシマ
- 釣った時はどんな状況でしたか?
- アライ
- 流れの流心近くでちょうど水を噛んでくれる場所があったから、ゆっくり巻き上げつつ、ロッドティップを動かして手前に寄ってこないように位置調整しながら泳がせていたら来たよ
- ナガシマ
- アユは見えていたんですか?
- アライ
- 全然(笑)。ルアーが安定して泳いでくれるスポットに入れていたら当たった感じ。今日はかなり難易度高かったでしょ?
- ナガシマ
- かなり減水していて、ルアーを通せるポイントがかなり少なかったですね
- アライ
- そうそう、ちょっと流れの脇にルアーが行くと流速がなくて泳がせられなかった

- ナガシマ
- チェスターはしっかり浮力があるから、落ち込みの巻き返しに入るとスッと浮いてくるんですよね。ある程度流れの規模が大きい場所向きかなと思いました
- アライ
- 開発テストは相模川で行なわれてきたみたいだし、全体的にある程度の流れがある中で、時折ちょっと大きな石がアユの付き場になっているようなポイントをねらうには動きに安定感があってとてもよさそうだよね
- ナガシマ
- 入間川も水量があれば下流域はそんな雰囲気だったはずなので、試しみたかったですね……
- アライ
- 初見の印象では動きもピッチも強めって話をしたけど、使っていて途中で気づいたのは、もう少しゆっくり巻かないといけないってことかな。そこに気づいたらアクションや形状にも納得がいって、ゆっくり巻くための水の噛ませ方を意識しているんだろうと思った。ウィグルワートっていう、動きが大ぶりなバス用クランクベイトがあって、湾曲したリップで水を強く噛むから米国では低水温期にスローリトリーブで使われる。それと似たニュアンスなのかな。リトリーブスピードや川の流れが遅くても、しっかりアクションさせるためのリップやボディーの形状なんだろうね

チューニング次第で活躍の場が広がる
- ナガシマ
- 最初はけっこう早く巻いていたんですか?
- アライ
- ついつい、バス用シャッドのノリで、パタパタパタ〜っと引き抵抗がいい具合にブルブルするように巻き感重視のリトリーブをしていたんだけど、アユだと違うんだよね
- ナガシマ
- パタパタよりもヨタヨタになるまで速度を落とすと釣れそうないい動きに見えました
- アライ
- そう、途中からヨタヨタを意識していて、いい具合に流せるポイントを見つけて通していたらヒットしたよ。最初に群れアユをねらって投げていたでしょ?あの時ルアーを潜らせるためにブリブリ泳がせるとアユが逃げていたから、今日は泳ぎが強いとダメなのかなって思った

- ナガシマ
- 今日はかなり警戒心強めだったと思います。ラインの波紋でも逃げていましたし
- アライ
- だから、普通はルアーの接続にスナップ使うと思うんだけど、直結にしてみた。そうしたらウォブルが抑えられてロール多めのアクションになったから、それもあってアユが逃げずにアタックしてきたのかもしれない
- ナガシマ
- 浮力と動きが少し抑えるために、僕も途中からベリーのアイにウェイトを付けたりしていました。しっかり煮詰めて自分だけの仕様にチューニングするのも面白そうですね
- アライ
- ノーマルの状態だと広い川で追い気のあるアユを効率よくねらっていく釣りに強いのかな
- ナガシマ
- ダウンクロスで広くトレースする釣りのほうが向いていそうですね。底石を小突いた時に一瞬ヒラっとした後にすぐ元の泳ぎに戻ってくれるので、多少底の起伏が大きくても破綻せずにテンポよく探れそうです。点で止める釣りだと流れを選ぶというか、ヨタヨタよりもパタパタが強くなりやすい印象でした。今日みたいな渓流相だと、流れの脇は反転流だったりするじゃないですか。そっちに入っちゃうと浮力が高いぶんすぐ浮いちゃって、なかなか留めておくのは難しかったです。それでウェイトを足していました
- アライ
- でも、そういうポイントはどんなルアーでも難しいよね
- ナガシマ
- そうですね。あとひとつ気になったのは、テイリングしても問題なく泳いでいたことが結構あって、泳ぎの安定性がいい故の弱点かなと。せっかく上手く泳がせられていたのにピックアップしてみたらチラシが絡んでいた……みたいな時が度々ありました
- アライ
- チラシのときは確かに何回か絡んだかも。イカリに替えたらノートラブルだったよ。潜行角度は少し急だったような気がしたけど、底に刺さることもあまりなくて、たまに刺さってもハイフロートだからちょっとラインを緩めればすぐ外れてくれていいなと思った
- ナガシマ
- 友釣りだとアユが潜っていく動きが効くことも多いので潜行角度が急なのも効くのでは!?
- アライ
- さすがに妄想が過ぎるのでは……。話をまとめると、チェスターはノーマル状態なら一定の水量がある川で高活性なアユを効率よく拾っていく釣りにはかなり期待が持てそう。でも、アングラーの使い方次第でいろいろな場所や状況に合わせたオリジナル仕様にチューンすることもできる、懐の深いルアーってことかな!


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※このページは『つり人 2025年9月号』を再編集したものです。