秋はシロギスが接岸してくるのでちょい投げでも釣りやすくなる。とはいえ遠くへ投げられれば気分爽快だし、波などの条件に左右されにくく釣果も期待できるはずだ。そこで今回は、ちょい投げで飛距離を出すための投げ方を徹底研究してみた。
秋はシロギスが接岸してくるのでちょい投げでも釣りやすくなる。とはいえ遠くへ投げられれば気分爽快だし、波などの条件に左右されにくく釣果も期待できるはずだ。そこで今回は、ちょい投げで飛距離を出すための投げ方を徹底研究してみた。
文◎高木翔太
ちょい投げの基本の投げ方
まず、仕掛けをキャストする前に必ず周囲の安全を確認する。ロッドの持ち方は、右利きの場合、右手でリールの脚を中指と薬指の間に挟み、左手でグリップエンドを握るのが基本だ。
次に、リールのベールを起こし、竿先から30cmほどの「タラシ(垂らし糸)」を出す。そして、スプールから出ている道糸に人差し指をかけて準備完了だ。
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竿をゆっくりと後ろに振りかぶり、オモリの重みで竿がしなるのを感じながら、前方へ振り下ろす。オモリが頭上を通過するタイミングで、糸を押さえていた指を離そう。これが、ちょい投げの基本となる「オーバーヘッドキャスト」だ。
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仕掛けが着水したら、オモリが着底するまで待つ。糸の出が止まったら着底の合図なので、リールを巻いて糸のたるみを取る。これでキャスト完了。
シロギスを狙う場合は、ここから誘いをかける。ゆっくりと竿を立てて仕掛けを3秒ほど引きずり、その後3〜5秒止めてアタリを待つ。この「ズル引き&ステイ」を繰り返すのが基本の誘い方だ。
遠投したいならタラシは長めに取る
シロギスが波打ち際まで接岸してくる秋なら、20~30mキャストできれば釣れる見込みは充分。ただ、さらに遠くへ仕掛けを投入することで効率よく釣ることができる。シロギスは群れているため、一度アタリがあったポイントと同じところに仕掛けを投入することでより多くのコンタクトが得られる。仕掛けを遠くへ飛ばし広範囲を探ることで、群れのいる場所を確かめることができる。
また、波打ち際近くではピンギス、少し沖には良型のように、岸からの距離によって群れている魚の大きさが異なっていることが多い。もちろん近くに良型がいるパターンもあるだろうが、より大きな魚を釣りたいなら仕掛けを飛ばす技術は必要になってくる。
飛距離を伸ばす方法としてよく言われているのがタラシの長さを変えること。タラシは長いほどオモリに遠心力が働き飛距離が増すという。それが本当であればタラシの長さを変えるだけというお手軽な方法で飛距離アップが見込める。このことを検証するために、タラシの長さを変えて飛距離の測定を行なった。
測定に使用したタックルは9フィート・MLクラスのシーバスロッド。2500番のスピニングリールにラインは0.8号のPEを巻いてある。ちょい投げでよく使われる標準的な道具立てだ。
飛距離はラインのカラーマーカーによって測定した。仕掛けは6号のジェットテンビンに全長1.4mの3本バリを結んだ。検証したタラシの長さは3種類。30cm、80cm、160cmでそれぞれ3回ずつオーバーヘッドキャストにより飛距離を測定した。測定時、風は海に向かって左から右、風速1~2mほどの強さで吹いていた。
結果は表のようになった。タラシの長さ30cmでは平均して50m以下と最も飛距離が短く、ついで160cmの平均58m、最も飛距離が出たのは80cmで平均68mという結果になった。
タラシ30cm |
平均 48m
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タラシ80cm |
平均 68m
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タラシ160cm |
平均 58m
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サオの反発力を最大限に活かして投げることが重要
飛距離を出す上で重要なのはサオに負荷をかけていかに曲げるかということ。サオの反発力を最大限に活かして投げられるようになると飛距離も出やすい。タラシの長さが30cmだとサオを思ったように曲げることができず飛距離が伸びなかった。
一方、タラシ80cmだとしっかりとサオを曲げることができたため、飛距離も伸びた。普段から投げ慣れている長さだったことも最も飛距離が出た要因だろう。タラシ160cmだとサオを構えた段階で仕掛けが地面に着いている状態からのキャストとなる。この仕掛けが地面についている状態は4m程度のサオを使う投げ釣りでは一般的なスタイルだが、9フィートのサオではタメを作りきれずこのような結果となった。
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投げ方で飛距離は変わる?
次にタックルは同じく、ペンデュラムキャストでの計測を行なった。なおタラシ30cmだとペンデュラムキャストが難しいため今回は計測しなかった。
ペンデュラムキャストは振り子のように前後に仕掛けを振って、後方の頂点に来たときに前方に向かってキャストする。仕掛けの重さをしっかり感じながらキャストができるため、タラシが長くても安定して飛距離を出すことができるのが特徴。
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タラシ160cmで平均65mとオーバーヘッドと比べて飛距離が伸びた。一方、タラシ80cmではペンデュラムでもオーバーヘッドでも違いはほとんどなかった。
タラシ80cm |
平均 68m
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タラシ160cm |
平均 65m
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結果をまとめるともっとも飛距離の出る組み合わせはタラシの長さ80cm(サオの半分の長さ)でオーバーヘッドまたはペンデュラムでのキャストであった。投げ方はどちらでもさほど違いがないため自分の慣れているほうを選ぼう。ただ、ペンデュラムのほうが少ない力でキャストできるということもあり、何度もキャストを繰り返すこの釣りではペンデュラムキャストを覚えると疲れにくくてよいだろう。
オーバーヘッドが体の軸に対してまっすぐにサオを振り抜くのに対して、斜めにサオを振り抜く投法であるスリークォーターキャストも飛距離を伸ばすには有効だ。スリークォーターだと胸を大きく開いて投げるため腕の力に体の捻りが加わるため、より飛距離が伸ばせるとされている。しかし、体全体を使ってキャストするため慣れていないと体力の消耗が激しい。遠くに飛ばすことも釣るための大切な要素だが、さらに大切なのは投げ続けること。時合が来る前に体力を使い果たしてしまうのはもったいない。自分の慣れている投げ方で無理なく釣ることが釣果を伸ばすことにつながるのだ。

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※このページは『つり人 2021年11月号』の記事を情報更新・再編集したものです。